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2024.01.22 更新

【医師監修】睡眠時無呼吸症候群をマウスピースで治療する方法とは?使用条件なども解説

【医師監修】睡眠時無呼吸症候群をマウスピースで治療する方法とは?使用条件なども解説

睡眠時無呼吸症候群の治療法にはいくつか種類がありますが、そのなかの一つがマウスピースを用いた方法です。口内にマウスピースを装着することで、睡眠時無呼吸症候群の症状の緩和に期待できます。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群の方がマウスピースを使って得られる効果やメリット・デメリットを紹介します。マウスピースを使った治療法を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

  1. 睡眠時無呼吸症候群の症状や原因
  2. マウスピースを使った睡眠時無呼吸症候群の治療法とは
  3. 睡眠時無呼吸症候群の治療に使うマウスピースを作るには条件がある
  4. マウスピースを使った治療を行うメリット・デメリット
  5. マウスピースを使った治療を行うメリット
  6. マウスピースを使った治療を行うデメリット
  7. マウスピース以外の睡眠時無呼吸症候群の治療法
  8. CPAP(シーパップ)
  9. ASV(Adaptive Servo Ventilation)
  10. まとめ

睡眠時無呼吸症候群の症状や原因

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり,浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気のことです。空気の通り道である上気道が睡眠中に塞がれることで発症します。

主な症状として、大きないびきや中途覚醒、起床時の頭痛、昼間の眠気、集中力の低下などが挙げられます。睡眠中はもちろん、起床時や日中にも症状があらわれる厄介な病気です。

睡眠時無呼吸症候群を発症する原因の多くは肥満だといわれています。増えた脂肪が喉を塞ぐことで空気の通り道が狭くなってしまうと、睡眠時無呼吸症候群の症状に繋がります。

マウスピースを使った睡眠時無呼吸症候群の治療法とは

無呼吸や息苦しさなどの睡眠時無呼吸症候群の症状は、下顎が後方に下がって気道が圧迫されることで起こります。この症状を防ぐため、睡眠時無呼吸症候群が軽度〜中等度の場合は治療にマウスピース(スリープスプリント)を使うケースが多いです。

一般的な治療で使われるマウスピースは、装着時に下顎の最大移動量の50~70%(だいたい3mm~7mm)ほど前方に出した状態で固定する形状になっています。

装着して下顎が前方に出ることで気道が広くなり、無呼吸やいびきをはじめとした睡眠時無呼吸症候群の症状が起こりにくくなるでしょう。

なお、睡眠時無呼吸症候群用のマウスピース自体は歯科医院で作ります。医師から睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、診断書があれば保険適用のマウスピースを作れます。ただし、マウスピースの種類によっては保険適用外となるケースもあるので注意してください。

睡眠時無呼吸症候群の治療に使うマウスピースを作るには条件がある

一般的な歯科医院では、睡眠時無呼吸症候群の治療に使うマウスピースを作るための条件を設けているケースが多いです。

具体的な条件は各医院によって変わりますが、多くの医院では下記のように年齢や健康状態に関する条件を設けています。

<マウスピースを作るための条件の例>
  • 原則として高校生以上
  • 顎の関節に問題がない
  • 歯が20本以上残っている
  • 鼻に疾患がない

なお、上記はあくまで一例です。医院によってはほかにも条件を設けている可能性がありますし、専門の医院ですと特殊な形態やさまざまな状況にも対応できる場合もあるので、診察を受ける際に確認しておきましょう。

マウスピースを使った治療を行うメリット・デメリット

マウスピースを使った治療を行うメリット・デメリット

マウスピースを使った治療にはメリットが多いですが、その反面いくつかデメリットもあります。より自分に適した治療法を選ぶためにも、マウスピースはメリット・デメリットを把握したうえで作るかどうかを決めましょう。

以下ではマウスピースを使った治療を行うメリット・デメリットをそれぞれ紹介します。

マウスピースを使った治療を行うメリット

マウスピースを使った治療を行うメリットとしては、主に下記の3つが挙げられます。

<マウスピースを使った治療を行うメリット>
  • 小さいので携帯しやすい
  • 装着しても目立たない
  • 装着時のストレスが少ない(シーパップと比較して)

マウスピースの大きなメリットは、気軽に装着できる点にあります。装着時のストレスが少なく、専用の装置も不要です。

また、マウスピースはサイズが小さく、出張先や旅行先の宿泊施設にも簡単に持ち運べるので社会人や学生の方にもおすすめです。

マウスピースを使った治療を行うデメリット

続いて、マウスピースを使った治療を行うデメリットを紹介します。

<マウスピースを使った治療を行うデメリット>
  • 歯や口腔内の健康状態によっては装着できない
  • 咳が上手くできない
  • 装着により不快感を感じる可能性がある
  • 鼻の疾患次第では呼吸が苦しく感じる場合がある
  • 長期使用で顎や顎周囲の筋肉に問題が出る場合がある

マウスピースは口内に装着するアイテムなので、歯や口腔内の健康状態が悪いと装着することができません。

口腔内トラブルが多い方だと、ほかの治療法を検討したほうが良いケースもあります。

また、装着時のストレスは少ないものの、慣れていないうちはマウスピース装着による違和感や不快感を感じるかもしれません。

マウスピース以外の睡眠時無呼吸症候群の治療法

睡眠時無呼吸症候群は、マウスピースを使った方法以外にもさまざまな治療法があります。以下では睡眠時無呼吸症候群の一般的な治療法を2種類紹介します。

CPAP(シーパップ)

CPAP(シーパップ)は機械で圧力をかけた空気を鼻から送り込むことで気道を広げ、睡眠中の無呼吸を防止する治療法のことです。主に中等度〜重度の睡眠時無呼吸症候群を発症している方に対して用いられています。

治療に使う装置はCPAPの機器本体と空気を送るためのチューブ、鼻に当てるマスクで構成されています。マスクの形状にはいくつか種類がありますが、多くの場合は「ネーザル」と呼ばれる鼻のみを覆うタイプのマスクを使用します。

CPAPの装置は購入することもできますが、一般的にはレンタルして使うケースが多いです。一定の基準を満たせば、保険が適用された価格でレンタルできます。

ASV(Adaptive Servo Ventilation)

ASV(Adaptive Servo Ventilation)とは、マスク式の人工呼吸器のことです。心臓の機能が低下した慢性心不全の方が抱える呼吸困難、息切れなどの症状を改善するために開発されました。

しかし、体が低酸素状態となるまでの流れが睡眠時無呼吸症候群を抱える方と似ていることから、睡眠時無呼吸症候群の症状改善のためにも使われるようになりました。睡眠時無呼吸症候群の治療にはCPAPを用いるケースが多いですが、心臓の病気などが原因で呼吸が乱れてしまう方に対してはASVを使う場合があります。

まとめ

気軽に装着できる、持ち運びやすいなど、マウスピースを使った治療法を選択するメリットは数多くあります。またマウスピースとCPAPを併用する場合もあります。

ただし、マウスピースを使った治療法が適しているかどうかは症状の重症度や口腔内の状況によって変わってくるので、医師や歯科医師とよく相談したうえで使用の判断をしましょう。

また、治療用のマウスピースを作るためには、年齢や健康状態など歯科医院が設けた条件を満たす必要があります。条件を満たせるか不安な方は、CPAPをはじめとしたほかの治療法も検討しておくと良いでしょう。

この記事の監修者
藤巻弘太郎
藤巻弘太郎ぶばいオハナ歯科 院長
ぶばいオハナ歯科 院長。歯科医師・歯学博士・国際中医師(中国;漢方医)。大学院で歯科放射線学で免疫の研究に従事し、修了後は健康を提供していきたいと、都内複数の医院で勤務後、〈運動〉〈睡眠〉〈栄養〉を基軸にした「ぶばいオハナ歯科」(府中市分倍河原)を開設。日本歯科大学東京短期大学非常勤講師、東海大学医学部基礎医学系生体構造機能学領域特任研究員、日本睡眠歯科学会 評議員・学術大会準備運営委員・広報委員なども務める。
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