NELL
  1. NELL
  2. WENELL
  3. 【医師監修】カーテンを開けて寝るのはあり?睡眠と光の関係や就寝環境についても解説
2023.04.21

【医師監修】カーテンを開けて寝るのはあり?睡眠と光の関係や就寝環境についても解説

【医師監修】カーテンを開けて寝るのはあり?睡眠と光の関係や就寝環境についても解説

光は睡眠に大きく影響を与えると聞いたことがあるかもしれません。光を遮断するアイテムとしてカーテンがありますが、就寝時はカーテンを開けて寝るべきか悩んでいる方もいると思います。

カーテンを開けて寝るか、閉めて寝るかは個人の判断によるところが大きいですが、睡眠と光の関係を理解することで、一つの判断基準になるでしょう。

この記事では、カーテンを開けて寝ることに関する情報や、睡眠と光の関係性、快適な就寝環境などを解説します。

就寝時のカーテンの開閉で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

  1. 睡眠には光(太陽光)が大きく関わる
  2. カーテンを開けて寝るのは問題ない?
  3. 寝室のカーテンを選ぶ時のコツ
  4. ① 遮光のレベルで選ぶ
  5. ② 防音機能で選ぶ
  6. ③ 防寒性で選ぶ
  7. ④ 防犯面を考慮して選ぶ
  8. 熟睡できる快適な就寝環境とは
  9. 寝室環境が睡眠に最適な空間であること
  10. 自身に合った寝具を使用すること
  11. まとめ

睡眠には光(太陽光)が大きく関わる

人の体には体内時計が備わっており、毎日決まった時間に起きられたり、眠気を感じたりするのは体内時計による働きが影響しています。

体内時計は約25時間で1周期とされていますが、地球の周期は24時間のため、約1時間のズレが生じます。このズレは、さまざまな刺激を受けることで修正されますが、その一つが光です。

また、人が夜に眠気を感じるのは、メラトニンという睡眠ホルモンの働きによるものですが、メラトニンは太陽光などの明るい光を浴びると分泌が抑制されます。

抑制されたメラトニンは約15時間~16時間後に分泌されはじめ、その後、1~2時間の間に自然な眠気が促されるといわれています。

つまり、太陽光を浴びることで体内時計はリセットされ、夜に眠気を感じる時刻が決定されるということです。

そのため、朝起きて太陽光を浴びなかったり、暗い部屋で昼過ぎまで寝ていたりすると、体内時計はリセットされず、夜の睡眠の質を低下させる原因になります。

山口祐司

山口祐司

福岡浦添クリニック院長

概日リズムは、光の種類と「暴露時間」でも変化し、真っ暗闇で睡眠をとった方が良い睡眠が得られるといういくつかの報告があります。

睡眠中の部屋の光が低いレベルでも眼の緊張を引き起こすことがあり、体の代謝に悪影響を与えて体重を増加させる可能性もあります。また、睡眠中の部屋で高いレベルの光を浴びると、乳がんや前立腺がんのリスクが高くなります。

カーテンを開けて寝るのは問題ない?

就寝時のカーテンの開閉について、「朝からカーテンを開ける手間を省くために開けたまま寝る」「防犯面が気になるからカーテンを閉める」など、考え方は人によってさまざまでしょう。

カーテンを開けて寝るのか、または閉めて寝るのかは、個人のライフスタイルや環境に合わせて選択する必要があります。

ただし、カーテンを開けて寝ることで外の光が室内に入り込むのは避けたほうが良いといえます。夜に光を浴びると覚醒した状態が続くこととなり、寝つきの悪さに繋がる可能性があるためです。

山口祐司

山口祐司

福岡浦添クリニック院長

医学的な視点でいうと、睡眠中にカーテンを開けて眠るのは、街路からの光や車のヘッドライトの光により、睡眠が妨げられる可能性があるため推奨できません。また、睡眠中に少量の光が入り込むと、メラトニン分泌が抑制され熟睡ができなくなります。

寝室のカーテンを選ぶ時のコツ

寝室のカーテンを選ぶ時のコツ

寝室のカーテン選びは快適な睡眠をとるために大切です。寝室のカーテンを選ぶ時は以下の点を考慮しましょう。

  • 遮光のレベルで選ぶ
  • 防音機能で選ぶ
  • 防寒性で選ぶ
  • 防犯面を考慮して選ぶ

それぞれ解説します。

① 遮光のレベルで選ぶ

カーテンによって遮光性は異なり、「1級遮光」「2級遮光」「3級遮光」のように遮光率で等級が決まっています。

等級遮光率閉めきった時の特徴
1級遮光99.99%以上人の顔の表情がわからないレベル
2級遮光99.80%~99.99%未満人の顔や表情がわかるレベル
3級遮光99.40%~99.80%未満人の表情はわかるが、作業するには暗いレベル

例えば、夜の街頭の光が気になる方や朝の日光を遮断して眠りたい方は、1級遮光のカーテンが適しています。

睡眠に対するこだわりは人によって異なるため、寝室環境や重視するポイントを考慮して最適なカーテンを選びましょう。

② 防音機能で選ぶ

睡眠の質には寝室環境が影響し、静かな部屋で寝ることが推奨されているため、寝室のカーテンは防音・遮音性に優れたものがおすすめです。

屋外の音は空気を伝って窓から入ってくるので、防音・遮音性に優れたカーテンを選ぶことで、屋外の音をある程度遮断しやすくなります。

また、カーテンによっては繊維密度が高かったり、何層かコーティングされていたりと、音を遮るための特殊な加工が施されている商品もあるため、屋外の音が気になる方はこのようなカーテンを選ぶのも良いでしょう。

③ 防寒性で選ぶ

睡眠の質を向上させるには、寝室の温度や湿度も重要です。温度や湿度は季節や住んでいる地域によって異なるため、寝室環境に合わせてカーテンの防寒性も考えましょう。

基本的に厚手のカーテンは外気を通しづらく、薄手のカーテンは外気を通しやすいです。素材に特殊コーティングを施したものや、カーテン生地を2重にした裏地付きのものなど、機能性に優れたカーテンもあります。

例えば寒い地域に住んでいる場合は分厚いカーテン、夏の暑さが気になる場合は断熱効果があるカーテンのように、状況に応じて選びましょう。

④ 防犯面を考慮して選ぶ

睡眠の質とは若干異なる視点ですが、カーテンを選ぶ時は防犯面も考えることが大切です。窓から得られる情報は多いため、カーテンで防犯対策に取り組む時は室内が見えづらくなるように以下の点を考慮しましょう。

  • レースカーテンを使用する
  • 厚手のカーテンを使用する

日中はレースカーテンを閉めるように心がけると、防犯面に効果的です。また、薄い生地のカーテンは、人影や室内の明かりが外から見えやすくなるため、室内を見えにくくするなら厚手のカーテン(遮光カーテン)が適しています。

熟睡できる快適な就寝環境とは

睡眠の質を高めるためにも、日頃から就寝環境を整える意識を持ちましょう。カーテンも就寝環境に影響を与える一つの要素ではありますが、ほかにも快適な就寝環境のための条件は複数あります。

快適な就寝環境の条件として挙げられるのは、以下のとおりです。

  • 寝室環境が睡眠に最適な空間であること
  • 自身に合った寝具を使用すること

それぞれ解説します。

寝室環境が睡眠に最適な空間であること

睡眠時は以下の寝室環境が理想とされています。

  • 室温:夏場は25℃〜26℃、冬場は22℃〜23℃
  • 湿度:通年50%〜60%
  • 音:静かな環境
  • 照明:できるだけ暗い環境

上記のほか、快適な睡眠には寝床内環境も重要であり、寝床内温度は33℃前後、湿度は45%~55%が推奨されています。

特に冬場は寝床内温度が低くなる傾向があるため、あらかじめ毛布などの寝具を温めたり、必要に応じて湯たんぽや電気毛布を使用したりすると、寝付きの良さに繋がりやすくなるでしょう。

自身に合った寝具を使用すること

睡眠の質には寝具も大きく影響します。枕やマットレスといった寝具は、以下に挙げる理想的な寝姿勢を保てるものを選びましょう。

  • 仰向け寝:背骨がなだらかなS字カーブを描いた状態
  • 横向き寝:背骨と床が真っすぐ平行になった状態

上記に加えて、マットレスは寝返りが打ちやすい適度な反発力があり、体圧分散性に優れたものがおすすめです。柔らかすぎる、または硬すぎるマットレスを使用すると寝返りが打ちづらくなるため、肩こりや腰痛といった体の不調に繋がる可能性があります。

山口祐司

山口祐司

福岡浦添クリニック院長

マットレスは、寝る体位によって以下のように選択しましょう。

・仰向け寝:平坦な面で背中が沈み込まないようにするため、中程度~硬いマットレスを選ぶ
・横向き寝:背中を適切な位置に調整するため、体のバランスを保てるように体の支持ができる強いものを選ぶ
・うつ伏せ寝:背中のアラインメント(背骨の位置調整)を維持できるように硬めのマットレスの使用が効果的である

横向き寝の方は、腰や肩の圧を軽減するため、クッションを使用することも重要です。また、うつ伏せ寝の方は、頭と肩に軽いクッションを置くことも効果があります。

まとめ

睡眠と光には密接な関係があるため、光を遮断するアイテムであるカーテンは、睡眠の質に大きく影響する要素の一つだといえます。

カーテンを開けて寝るか、閉めて寝るかは個人の判断にもよりますが、睡眠の質という観点でいうと、外の光が室内に差し込んで眠りを妨げる状況は避けたほうが良いといえるでしょう。

また、睡眠の質を向上させるには就寝環境寝具も大切です。睡眠に影響を与える要因を把握して、睡眠の質の向上を目指しましょう。

この記事の監修者
山口祐司
山口祐司福岡浦添クリニック院長
1979年自治医科大学卒業後、国家公務員共済組合連合会浜の町病院と九大病院救急部で2年間の臨床研修。浜の町病院勤務の時に、名嘉村博先生(現在、名嘉村クリニック院長)から指導を受け、その20年後に名嘉村先生から現在の睡眠医療への道に導かれることになる。臨床研修後は、福岡県の地域医療(県立病院、町立病院)の仕事を行い、その後、自治医科大学医動物及び血液学、ハーバード大学べス・イスラエル病院感染症部門リサーチフェロー、熊本大学遺伝発生研究施設(分化制御)講師として基礎研究に従事。2000年より、福岡浦添クリニック院長として睡眠医療に従事している。日本睡眠学会専門医、日本内科学会総合内科専門医。アメリカ睡眠学会会員、アメリカ血液学会会員。1990年ベルツ賞(2等賞)、2006年福岡県医師会医学研究賞。
ページのトップへ