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2023.03.20 更新

【医師監修】カフェインを摂ると眠れないって本当?目が覚める理由や摂取量の目安などを解説

【医師監修】カフェインを摂ると眠れないって本当?目が覚める理由や摂取量の目安などを解説

夜にコーヒーを飲んで寝付けなくなったり、トイレのために目覚めてしまったりした経験がある方は多いのではないでしょうか。コーヒーやエナジードリンクが好きだからといって毎晩のように飲んでいると、慢性的な寝不足に繋がる可能性があります。

カフェインと上手く付き合うためには、カフェインの特徴を知ったうえで適切に摂取することが大切です。

この記事では、カフェインを摂取すると眠れなくなる理由についてわかりやすく解説します。カフェインの推奨摂取量や摂取して良いタイミングの目安も紹介するので、普段コーヒーや緑茶などカフェインを含む飲み物をよく飲む方は、ぜひ参考にしてください。

  1. カフェインを摂ると眠れない2つの理由
  2. 目が覚めて眠れない「覚醒作用」
  3. トイレに行く回数が増える「利尿作用」
  4. 【一覧】カフェインを含む飲み物や食べ物
  5. カフェインの摂取量や時間帯の目安
  6. 1日あたり最大400mgを目安にする
  7. カフェインは夕方以降控える
  8. 就寝前にはノンカフェインの飲み物がおすすめ
  9. まとめ

カフェインを摂ると眠れない2つの理由

カフェインとは、茶葉やコーヒー豆、カカオ豆などに含まれる天然の食品成分です。カフェインを摂ると眠れなくなるのは、以下の2つの作用が関係しています。

  • 目が覚めて眠れない「覚醒作用」
  • トイレに行く回数が増える「利尿作用」

それぞれの理由について、詳しく解説します。

目が覚めて眠れない「覚醒作用」

人間が疲労すると、神経を静める働きがある「アデノシン」という物質が体内で分泌され、アデノシンが脳内の「アデノシン受容体」と結合することで眠気が生じます。

しかし、カフェインにもアデノシン受容体と結合する性質があるため、カフェインを摂取するとアデノシンではなくカフェインがアデノシン受容体と結合してしまい、結果としてアデノシンの働きが妨げられてしまいます。

カフェインを摂取すると目が覚めた気分になるのは、カフェインの働きによって眠気が妨げられているためです。

なお、コーヒーを飲んで目が覚めてすっきりした気分になっても、疲労そのものが回復している訳ではありません。カフェインの効果が切れると、再び眠気が襲ってくることもあります。

トイレに行く回数が増える「利尿作用」

カフェインを摂ると眠れなくなる2つ目の理由は、利尿作用があるためです。

尿は腎臓から排出される際、ほとんどが再吸収されて体内に戻りますが、カフェインがこの再吸収の役割を妨げます。すると、尿が体内に戻らず、そのまま外へ排出されるため尿が多くなるのです。

この仕組みから、夜にカフェインを摂取すると、尿意が生じて夜中に起きる回数が増えやすくなります。

森田麻里子

森田麻里子

Child Health Laboratory代表、小児スリープコンサルタント

カフェイン以外では、アルコールにも利尿作用と覚醒作用があるため、睡眠には良くありません。

また、野菜や果物に多く含まれるカリウムにも利尿作用があります。夜のトイレが気になる場合は、夕食後のデザートに果物を食べるのは避けましょう。

【一覧】カフェインを含む飲み物や食べ物

コーヒーにカフェインが含まれていることは有名ですが、それ以外にもさまざまな飲み物にカフェインは含まれています。

ここでは、文部科学省の「日本食品標準成分表 2015年版(七訂)」(※1)を参考に、カフェインを多く含む飲み物を紹介します。どんな飲み物にどの程度カフェインが含まれているかを知って、就寝前に摂取しすぎないよう気を付けましょう。

飲料名カフェイン濃度浸出方法
コーヒー60mg/100mLコーヒー粉末10g/熱湯150mL
玉露160mg/100mL茶葉10g/60℃の湯60mL、2.5分
紅茶30mg/100mL茶5g/熱湯360mL、1.5~4分
せん茶20mg/100mL茶10g/90℃の湯430mL、1分
ウーロン茶20mg/100mL茶15g/90℃の湯650mL、0.5分
エナジードリンク又は眠気覚まし用飲料(清涼飲料水)32~300mg/100mL

また、カフェインは飲み物だけでなく、チョコレートのような食べ物にも含まれています。

独立行政法人 国民生活センターの「高カカオをうたったチョコレート」調査(2008年)(※2)によると、一般的なチョコレートの場合は100gあたり25〜36mg、高カカオチョコレートの場合は100gあたり70〜120mgのカフェインが含まれているそうです。

疲れているからといって夜中にチョコレートを食べ過ぎると、睡眠を妨げる可能性があります。就寝前には、飲み物に加えて食べ物の種類にも注意を払いましょう。

(※1)文部科学省「日本食品標準成分表 2015年版(七訂)」
(※2)独立行政法人 国民生活センター「高カカオをうたったチョコレート」調査(2008年)

カフェインの摂取量や時間帯の目安

カフェインの摂取量や時間帯の目安

カフェインには覚醒作用や利尿作用がありますが、摂取してはいけない訳ではありません。良質な睡眠のためには、量と時間を守って摂取することが大切です。

カフェインを摂取する際には、以下の2点に気を付けましょう。

  • 1日あたり最大400mgを目安にする
  • 夕方以降は控える

それぞれのポイントについて、詳しく紹介します。

1日あたり最大400mgを目安にする

1日あたりのカフェイン摂取許容量は、個人差が大きいため明確には設定されていません。

下記に目安として、厚生労働省が示すカナダ保健省の推奨する摂取許容量(※)を紹介します。

対象推奨する摂取許容量
健康な成人最大400mg/日
妊婦や授乳中、あるいは妊娠予定の女性最大300mg/日
4歳~6歳の子ども最大45mg/日
7歳~9歳の子ども最大62.5mg/日
10歳~12歳の子ども最大85mg/日
13歳以上の子ども1日当たり2.5mg/kg(体重以下)

コーヒーを飲む場合、マグカップ1杯を237mLとすると、カフェイン400mg/日はマグカップ約3杯、300mg/日はマグカップ約2杯です。

カフェインを過剰摂取すると、吐き気や心拍数の増加など健康に影響を与える可能性があります。上記の量を目安にして、適量のカフェインを摂取するように心がけましょう。

(※)厚生労働省 カナダ保健省のカフェイン摂取に関する注意喚起

カフェインは夕方以降控える

カフェインの働きによって睡眠が妨げられないように、カフェインを摂る時間帯にも気を付けましょう。

個人差がありますが、カフェインの効果は摂取してから30分〜1時間ほどでピークになるといわれています。効果が半減するまでの時間には幅があり、6~8時間程度かかることもあるため、夕方以降は摂取を控えると良いでしょう。

また、利尿作用はカフェイン摂取後3〜5時間程度続きます。就寝前にカフェインを摂取すると、夜中に尿意で目覚める可能性があるため、やはり夕方以降の摂取は控えたほうが良いといえます。

森田麻里子

森田麻里子

Child Health Laboratory代表、小児スリープコンサルタント

カフェインを摂取するタイミングは、朝、または昼寝の前がおすすめです。昼寝の前にカフェインを摂取すると、スッキリと起きやすくなります。

どうしても夜に十分な睡眠を取れない場合は、20分程度の昼寝をすると良いでしょう。

就寝前にはノンカフェインの飲み物がおすすめ

就寝前に何か飲まないと落ち着かない方には、ノンカフェインの温かい飲み物がおすすめです。就寝前に温かい飲み物を飲むと、水分補給や体を温める効果、リラックス効果などが期待できます。

おすすめの飲み物は、白湯・ホットミルク・ホットジンジャー・ルイボスティー・カモミールティーなどです

就寝前に避けたほうが良いのはカフェインを含む飲み物だけでなく、アルコール類も同様です。

アルコール類は飲んでから一時的に眠気が生じるものの、酔いが醒めると眠りが浅くなって睡眠の質が低下します。熟睡できなくなる恐れがあるため、寝酒をしないよう気を付けましょう。

就寝前の飲み物について、より詳しい内容は以下の記事で紹介しています。

寝る前 飲み物
【医師監修】寝る前の飲み物おすすめ7選!飲むといいもの、避けたほうが良い飲料も紹介

まとめ

カフェインには覚醒作用と利尿作用があり、就寝前に飲むと快適な眠りを妨げる可能性があります。就寝前の過剰摂取は避けて、適量を正しいタイミングで摂取するよう心がけましょう。

1日あたりのカフェイン摂取許容量は明確には定められていませんが、健康な成人の場合、1日あたり最大400mgが目安となります。

また、カフェインの効果は数時間持続するため、快眠のためにも夕方以降カフェインの摂取は控えましょう。もし就寝前に何か飲みたい場合は、ノンカフェインの飲み物がおすすめです。

カフェインは絶対に摂取してはいけないものではなく、適切な量と飲むタイミングを理解することが大切です。この記事で紹介したカフェインの摂取量やタイミングを参考に摂取してみてください。

この記事の監修者
森田麻里子
森田麻里子Child Health Laboratory代表、小児スリープコンサルタント
東京大学医学部医学科卒。麻酔科医として勤務後、2017年の第1子出産をきっかけに2018年より現活動を開始。2019年昭和大学病院附属東病院睡眠医療センター非常勤勤務。乳幼児の睡眠問題についてのカウンセリングや、育児支援者・医療従事者向け講座、アプリ監修、コンサルタント育成などを行う。著書:『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』ダイヤモンド社、『東大医学部卒ママ医師が伝える科学的に正しい子育て』光文社新書、『子育てで眠れないあなたに』KADOKAWA。
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