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2022.09.15 更新

【医師監修】痔が痛い時はどうする?眠れない時の対処法や病院に行く目安など解説

【医師監修】痔が痛い時はどうする?眠れない時の対処法や病院に行く目安など解説

痔に関する悩みは、人にはなかなか言いづらいうえに医療機関の受診も躊躇しやすく、自分1人で抱えやすいものです。「痛い」「かゆい」など、症状が気になって眠れなくなり、睡眠不足になることもあるかもしれません。

睡眠不足になると集中力の低下や自律神経の乱れを引き起こすことがあり、痔の痛みから悪循環に陥ってしまいます。もし痔の症状がつらいなら、恥ずかしいからと我慢せずに正しい対処が必要です。

この記事では、痔の種類ごとの特徴や痛みで眠れない時の対処法を解説します。痔を防ぐ心がけも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

  1. 痔の種類は大きく分けて3つ
  2. いぼ痔(痔核)
  3. きれ痔(裂肛)
  4. 痔ろう(あな痔)
  5. 痔が痛い時に病院に行く目安
  6. 種類別!痔が痛くて眠れない時の対処法
  7. いぼ痔(痔核)の対処
  8. きれ痔(裂肛)の対処
  9. 痔ろう(あな痔)の対処
  10. 痔を予防する5つの方法
  11. 排便時にいきみすぎない
  12. ウォシュレットの使いすぎに注意する
  13. 下痢・便秘を防ぐ食生活を送る
  14. 立ちっぱなし・座りっぱなしの時間を減らす
  15. 入浴や運動で血行を促進する
  16. まとめ

痔の種類は大きく分けて3つ

痔にはさまざまな種類がありますが、代表的なものに以下の3種類があります。

  • いぼ痔(痔核)
  • きれ痔(裂肛)
  • 痔ろう(あな痔)

それぞれ詳しく解説するので、原因や症状から自分がどの種類なのかチェックしてみてください。

いぼ痔(痔核)

いぼ痔」とは、肛門にいぼのような腫れができる疾患です。排便時の強いいきみや便秘によって肛門に負担がかかり、血流が悪くなって腫れることでいぼ痔になると考えられています。

いぼ痔はできる場所や症状によって2種類に分けられ、肛門の内側にできるのは「内痔核」、肛門の外側にできるのは「外痔核」です。

内痔核の場合、痛みは少ないものの排便時に出血するケースがあり、症状が進むと排便時に肛門からいぼが出てくることがあります。一方の外痔核は、炎症を起こすと血栓ができることがあり、出血は少なめですが痛みが強く出ることが多いタイプです。

きれ痔(裂肛)

きれ痔」とは、肛門の中の皮膚が裂けて切れた状態の疾患です。便秘による硬い便を無理に排便、または勢いの強い下痢によって皮膚が傷ついて裂けることで発症します。

きれ痔は排便時に強い痛みがあり、症状がひどくなると排便後しばらく痛みが続くことがあります。ただし出血は少なく、トイレットペーパーにつく程度です。

きれ痔になると痛みを避けるため排便を我慢するようになるので、便秘になりやすいところも懸念点です。排便しないことで便が硬くなって再び皮膚が切れ、悪循環に陥ることがあります。

痔ろう(あな痔)

痔ろう」は、直腸と肛門の境目である歯状線(しじょうせん)が膿んで炎症を起こし、管状のものができた状態です。下痢が歯状線のくぼみに入って細菌に感染して膿み、炎症を起こすと痔ろうになります。

膿が排出されるまでは腫れや痛み、発熱がありますが、膿が排出されると楽になることが多いようです。

痔が痛い時に病院に行く目安

痔が痛い時に病院に行く目安

痔の症状を自覚した場合、自分の判断で対処法に取り組む前に、まずは医療機関の受診を検討しましょう。

自分では痔だと思っていても、実は体内から出血していたというケースもあり、もしかしたら症状の原因は痔ではなく、内蔵系をはじめとした何らかの疾患の可能性も考えられます。

医療機関を受診する目安となる症状の例は、以下のとおりです。

  • 痛みがある
  • かゆみがある
  • 出血がある
  • 肛門からいぼが出ている
  • 便秘や下痢を繰り返す
  • 肛門を洗うとしみる

痔だと思われる症状を自覚した際には、肛門科を受診することとなります。初めて肛門科を受診する時は不安に感じるかもしれませんが、ほかの病院と雰囲気に変わりはありません。

診察時は横向きに寝て、腰にはバスタオルを巻いて診察するのが基本です。恥ずかしい体勢をとらないよう配慮されているため、過剰に不安に思う必要はないでしょう。

男性医師に診察してもらうのが恥ずかしいと感じる女性は、女性医師がいる病院を選ぶ方法もあります。女性外来のなかには肛門を見てくれる病院もあるので、肛門科に抵抗を感じる方は探してみてください。

また、症状が痔なのかほかの病気なのかわからない場合は、まずはかかりつけ医に相談しても良いでしょう。

種類別!痔が痛くて眠れない時の対処法

医療機関を受診して医師による診断・治療を行うのに加えて、痔の症状がつらいなら、自分でできる対策にも取り組みましょう。

痔の種類に関わらず、痔が痛い場合はまず安静にすることが大切です。それを踏まえたうえで、以下で解説する対処法に取り組んでみてください。

ここからは、以下の3種類の対処法をそれぞれ解説します。

  • いぼ痔(痔核)
  • きれ痔(裂肛)
  • 痔ろう(あな痔)

同じ痔といってもそれぞれ対処法が異なるので、自分の痔の種類に合った方法を試してみてください。

なお、ここで紹介する対処法はあくまでも一般的な方法となるため、必要に応じて医師にアドバイスを受けながら自分に適する対処法に取り組むことをおすすめします。

いぼ痔(痔核)の対処

いぼ痔の場合は、おしりを温めて血行を促すと痛みが和らぎやすいです。

お風呂をシャワーで簡単に済ませるのではなく、入浴または座浴をしておしり全体を温めましょう。もし痛みが強くて入浴が難しい場合は、ホットタオルやカイロで患部を温めることをおすすめします。

また、患部に負担がかからないように、同じ姿勢をとり続けないことも大切です。

きれ痔(裂肛)の対処

きれ痔もいぼ痔と同様、患部を温めて血行を促すと痛みが緩和されやすくなります。前述したように入浴や座浴をする、もしくはホットタオルなどを使用して温めましょう。

患部に負担がかからないように圧迫しないほか、細菌が入るのを防ぐため、きれ痔を触らないように気を付けてください。

痔ろう(あな痔)の対処

痔ろうで膿んでいる場合は、まず患部を冷やします。ほか2種類の痔のように温めると、痔ろうの場合は痛みに繋がるため注意しましょう。

また、就寝時には、横向きやうつ伏せの姿勢になると痛みの軽減に繋がりやすいため、寝姿勢にも気を配ることをおすすめします。

もし膿が出ている場合は、患部を洗って清潔にしましょう。痔ろうは市販薬では治療できず、手術する必要があるため、できるだけ早く医療機関を受診するのが望ましいです。

痔を予防する5つの方法

痔は日常生活の過ごし方を意識すれば、予防しやすい病気です。普段痔になることが多い方は、以下の5つの方法を試してみてください。

  • 排便時にいきみすぎない
  • ウォシュレットの使いすぎに注意する
  • 下痢・便秘を防ぐ食生活を送る
  • 立ちっぱなし・座りっぱなしの時間を減らす
  • 入浴や運動で血行を促進する

それぞれ詳しく解説します。

排便時にいきみすぎない

排便時にいきみすぎると肛門に負担がかかり、うっ血して痔に繋がりやすくなります。目安として排便は3分程度にして、なるべく肛門に負担をかけないように気を付けましょう。

排便できない時は無理せずに、自然に便意をもよおした時に排便すると痔の予防になります。

ウォシュレットの使いすぎに注意する

肛門に細菌が繁殖するのを防ぐために、排便後は肛門を清潔にしましょう。排便後にウォシュレットで洗うのは効果的ですが、洗い過ぎ・強すぎる水圧・熱いお湯・乾燥機能の使いすぎは避けてください。

肛門を清潔にするには、湯温が人肌程度のお湯で10秒程度洗えば十分です。洗浄後、水分をしっかり拭き取らないと細菌が繁殖しやすくなるため注意しましょう。

下痢・便秘を防ぐ食生活を送る

前述のとおり、下痢や便秘が痔の原因となることが多いため、普段から食生活に気を付けて下痢や便秘を防ぐことが大切です。

便を軟らかくするために、1日1リットルを目安に水分を摂りましょう。朝起きたら、まず冷たい水を飲む習慣をつけると、排便が促されやすくなります。

また、腸内環境を整えるため食生活に気を配り、食物繊維を積極的に摂取しましょう。食物繊維は、野菜ならごぼう・キャベツ・にんじん、果物ならりんご・バナナ、きのこ類ならえのき・しいたけに多く含まれています。

さらに、腸内の善玉菌を増やすために、ヨーグルト・みそ・醤油・納豆から乳酸菌を摂るのもおすすめです。

一方、痔の時に悪玉菌を増やす食べ物を摂取するのは、あまりおすすめできません。具体的には、インスタント食品・アルコール・辛い物・冷たすぎる食べ物は控えたほうが良いでしょう。

立ちっぱなし・座りっぱなしの時間を減らす

肛門にかかる負担をできるだけ軽減するため、同じ姿勢を続けないように努めましょう。

座りっぱなしはもちろん、立ちっぱなしでも肛門に負担がかかります。長時間同じ姿勢が続く時は、合間に姿勢を変えたりストレッチをしたり、体を動かして血液を循環させましょう。

もしデスクワークの仕事で長時間座る場合は、円座クッションの使用がおすすめです。真ん中に穴があいた構造から椅子に肛門が当たらないため、かかる負担を減らせるメリットがあります。

また、座りっぱなしで体が冷えると血行が悪くなるので、必要に応じて膝掛けやカイロを活用しましょう。

入浴や運動で血行を促進する

体の血行を促すには、入浴や運動が効果的です。おしりは意外と冷えやすいため、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かって温めましょう。暑い夏場でもエアコンで体が冷えるので、シャワーではなく湯船に浸かることをおすすめします。

また、ウォーキングやヨガなど軽い運動を毎日行い、全身の血液の循環を促すことも大切です。無理なくできる範囲で良いので、適度な運動を習慣にしましょう。

運動すると腸の活性化に繋がるほか、筋力がアップすれば便を押し出す力もつけられます。

まとめ

痔の代表的なものには、いぼ痔きれ痔痔ろうの3種類があり、それぞれ症状や原因は異なります。

普段から痔になることが多い方は、痔の原因に多い下痢・便秘・血行不良にならないように気を付けましょう。もし痔が痛くて眠れないなら、紹介した対処法を試してみてください。

肛門科の受診は不安かもしれませんが、診察では配慮してもらえるため、ほかの科を受診する時と同じ感覚で受診できます。痔の治療を先延ばしにすることは望ましくないため、痔の症状を自覚したらまずは医療機関の受診を検討しましょう。

この記事の監修者
白畑敦
白畑敦しらはた胃腸肛門クリニック横浜 院長
しらはた胃腸肛門クリニック横浜 院長。昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院、市中病院で消化器外科医として勤務。大腸肛門病疾患でも研鑽を積み、2017年しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開設。大腸疾患(内視鏡治療・便秘治療・炎症性腸疾患など)・肛門疾患(痔核手術・便失禁治療など)を専門分野として診療。
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