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2022.11.29 更新

【医師監修】睡眠と便秘の意外な関係とは?腸の動きを良くするおすすめの行動も紹介

【医師監修】睡眠と便秘の意外な関係とは?腸の動きを良くするおすすめの行動も紹介

便秘になる原因の一つに睡眠不足があることをご存じでしょうか。意外と思われるかもしれませんが、睡眠と便秘には密接な関係があるため、睡眠の質を高めることで便秘の解消に繋がる可能性があります。

適切な睡眠に加えて、便秘解消に効果的とされる対処法を把握し、便秘に悩まない健康的な日々を目指しましょう。

この記事では、睡眠と便秘の関係性や睡眠の質を高める方法、便秘の予防や解消に繋がる行動を紹介します。便秘に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

  1. 睡眠と便秘の意外な関係性
  2. 自律神経の乱れによる影響
  3. 腸内環境の悪化によるメラトニン不足
  4. 便秘予防には規則正しい生活と睡眠が大切
  5. 睡眠時の寝る向きも便秘に関係する?
  6. 正しい睡眠と一緒に取り入れたい便秘対策
  7. 水分を補給する
  8. 食生活を見直す
  9. 日中に適度な運動をする
  10. ゆっくり入浴してリラックスする
  11. 趣味やストレッチでストレスを解消する
  12. まとめ

睡眠と便秘の意外な関係性

睡眠と便秘は一見関係がなさそうですが、実はお互いに影響を与えます。睡眠の質が低下すると便秘になることがあり、反対に便秘が睡眠の質を低くする原因になることもあります。

ここでは、睡眠と便秘の関係性について以下の2つの観点から詳しく解説します。

  • 自律神経の乱れによる影響
  • 腸内環境の悪化によるメラトニン不足

自律神経の乱れによる影響

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、人間の活動に応じてバランスを取っています。

  • 交感神経:日中に優位となり、脳を活発にしたり血圧を上げたりする
  • 副交感神経:夜に優位となり、呼吸や心拍数を下げたり精神をリラックスさせたりする

日中は交感神経が優位な状態のため活動的になりますが、夜になってリラックスすると副交感神経が優位になり、徐々に就寝の準備が整います。

これらの交感神経や副交感神経は、消化管にも分布しています。交感神経には腸の動きを抑える働きがあり、副交感神経には腸の動きを活発にする働きがあります。

ストレスや不規則な生活習慣によって自律神経が乱れると、睡眠時に交感神経が優位な状態が続いて睡眠の質が低下するだけではなく、腸の動きも鈍くなってしまいます。

白畑敦

白畑敦

しらはた胃腸肛門クリニック横浜 院長

自律神経は一般的には疲れ・ストレス・睡眠不足に影響を受けますが、寒さや暑さ、食べ過ぎ・飲みすぎなど物理的な影響にも大きく左右されます。また、女性では月経の影響も受けます。

腸内環境の悪化によるメラトニン不足

就寝時はメラトニンというホルモンが分泌されることで自然と眠気が促されますが、メラトニンの分泌には腸内環境が大きく影響しています。

メラトニンはセロトニンという神経伝達物質から生成されますが、セロトニンはトリプトファンというタンパク質がなければ生成されません。トリプトファンは体内で自然に作られるものではないため、食べ物から摂取する必要があります。

しかし、便秘により腸内環境が悪化するとタンパク質の吸収不良が生じてしまい、トリプトファンが正常に合成されなくなります。つまりメラトニンも生成されづらくなるため、寝つきが悪くなって睡眠の質の低下に繋がります。

また、吸収不良でタンパク質が不足すると、集中力不足や、疲れやすさ、肌荒れなどの症状が出てきます。タンパク質は、複数のアミノ酸から構成されており、肌や髪の毛をつくるコラーゲンや、筋肉、神経伝達物質であるドーパミンなどの原料です。

自律神経との関連もあるため「疲れやすさ」「集中不足」「肌荒れ」などの自覚症状が全てタンパク質不足が原因とはいいきれませんが、一因として排便状況との関連を疑うといいでしょう。

便秘予防には規則正しい生活と睡眠が大切

便秘予防には規則正しい生活と睡眠が大切

便秘は自律神経の乱れが大きく影響するため、便秘の予防にはストレスを溜めないように規則正しい生活を送り、質の高い睡眠をとることが大切です。

睡眠の質を高めるためには、夜更かしをせずに早寝早起きを心がけることや就寝前の行動が重要になります。

特に就寝前のスマホ操作や過度な飲酒・喫煙、カフェインの摂取は、脳を活性化させてしまい、睡眠の質を低くする原因になるためやめましょう。

また、質の高い睡眠をとるには、自分にとって必要なだけの睡眠時間を確保しなければなりません。必要な睡眠時間は季節や加齢が影響するほか、個人差もあるため一概に何時間とはいえませんが、一般的に必要な睡眠時間の目安は6~8時間とされています。

睡眠不足になると、頭痛や倦怠感、集中力の低下などにも繋がる可能性があるので、便秘の予防という観点だけではなく、健康的に日常を送るためにも睡眠の質を高めるように心がけましょう。

睡眠時の寝る向きも便秘に関係する?

便秘には「右向きで寝ると良い」もしくは「左向きのほうが良い」という説を聞いたことがあるかもしれませんが、寝る姿勢と便秘の関係性には諸説あり、寝姿勢ごとにメリットとデメリットがあるため、どの姿勢が良いとは一概にいえません。

就寝時は寝る向きだけを気にするより、スムーズに寝返りを打てることや、寝姿勢が崩れないように気を付けることが大切になります。

寝姿勢が崩れると、首や腰が痛くなったりいびきの原因になったりして、睡眠の質に悪影響を与えてしまうため注意が必要です。

以下のとおり、仰向け寝・横向き寝それぞれの理想的な寝姿勢をキープできるよう、自分の体に合う寝具を選びましょう。

  • 仰向け寝:背骨が緩やかなS字カーブを描く姿勢
  • 横向き寝:頭から背中の骨が真っすぐになる姿勢

寝具は寝る姿勢や体型によって選び方が異なりますが、基本的には高すぎず低すぎない枕と、適度な反発力があってスムーズに寝返りを打ちやすいマットレスを選ぶのがおすすめです。

正しい睡眠と一緒に取り入れたい便秘対策

便秘の予防や解消には睡眠の質を高めることが大切ですが、睡眠の質を高めると同時に、便秘対策として、以下のような行動を取り入れるのがおすすめです。

  • 水分を補給する
  • 食生活を見直す
  • 日中に適度な運動をする
  • ゆっくり入浴してリラックスする

それぞれを解説します。

水分を補給する

水分の摂取量が少ないと、便が硬くなり便秘になりやすくなります。そのため、日頃から意識して水分を補給しましょう。目安は、1日1,500ml以上の飲み物を飲むと良いとされています。

また、起床時の水分補給は便が軟らかくなるだけではなく、腸の働きも活発になる効果が期待できます。

食生活を見直す

食生活の乱れは生活リズムの乱れに繋がります。朝食を抜いたり暴飲暴食したりせず、毎日3食決まった時間に食事をとって、生活のリズムを整えましょう。

整腸効果が有名な食物繊維が多く含まれる食材や、腸内環境を整えるオリゴ糖を含む食品を食べると、より便秘の対策になります。

オリゴ糖とは、果糖やブドウ糖といった複数の単糖が結びついた糖質の一種です。ビフィズス菌のような善玉菌を増やす役割を持つことから、整腸作用が期待できます。

日中に適度な運動をする

運動不足になると血行不良になって腸の働きが悪くなるうえに、腹筋も衰えて排便する力が弱くなる傾向があります。血行を促進して便秘対策を行うためにも、日々の生活に適度な運動を取り入れましょう。

運動は難しいものではなく、軽いランニングやウォーキングで構いません。日中に適度な運動をすると、腸が働くようになって自律神経が整い、睡眠の質を高めることにも繋がります。

ゆっくり入浴してリラックスする

若干ぬるさを感じる温度の湯船にゆっくりと浸かると、副交感神経が優位になって便秘の解消に繋がります。入浴する際の湯温や時間は、38℃のぬるめのお湯で25分~30分程度が目安です。

熱すぎる温度だと交感神経が優位になり、体が覚醒して寝付きづらさに繋がる可能性があるため、注意してください。また、長湯は脱水症状を引き起こす可能性もあるので、適度な入浴時間を心がけましょう。

趣味やストレッチでストレスを解消する

ストレスが溜まると自律神経の乱れに繋がるため、受けたストレスを溜めるのではなく、適度に解消させる意識が大切です。

例えば、アロマやお香を楽しんだり音楽を聞いたり、読書をしたりといった自分の趣味で気分転換をすれば、心も体もリラックスできて副交感神経が優位になる効果が期待できます。

また、ちょっとした空き時間にストレッチを取り入れるのもおすすめです。気分がリフレッシュできるほか、体が伸びて血行も良くなります。

白畑敦

白畑敦

しらはた胃腸肛門クリニック横浜 院長

そのほかの便秘対策として、チューイングガムの咀嚼による自律神経への影響や、キシリトールなど甘味料の腸管蠕動更新作用による便秘改善への補助的作用はありますが、改善されない場合は適切な便秘薬を医療機関で処方してもらいましょう。

まとめ

睡眠と便秘は意外にも関係性が強く、睡眠不足が便秘の原因になるケースや、便秘によって睡眠の質が低くなるケースもあります。

便秘を解消するには、生活リズムを正して睡眠の質を高め、自律神経と腸内環境を整えることが大切です。

便秘の予防と解消に向けた行動は自分でも簡単にできることが多いため、できることから実践してみてください。

ただし、便秘がつらい場合や長引く場合は、無理をせずに医療機関を受診して、適切な診断と治療を受けましょう。

この記事の監修者
白畑敦
白畑敦しらはた胃腸肛門クリニック横浜 院長
しらはた胃腸肛門クリニック横浜 院長。昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院、市中病院で消化器外科医として勤務。大腸肛門病疾患でも研鑽を積み、2017年しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開設。大腸疾患(内視鏡治療・便秘治療・炎症性腸疾患など)・肛門疾患(痔核手術・便失禁治療など)を専門分野として診療。
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