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2023.05.26 更新

【医師監修】ビタミンB12が睡眠に効果的って本当?摂るタイミングや過剰摂取のリスクなど解説

【医師監修】ビタミンB12が睡眠に効果的って本当?摂るタイミングや過剰摂取のリスクなど解説

「睡眠にはビタミンB12の摂取が大切」と聞いたことはあっても、栄養素の効果について具体的なイメージが湧きづらい方は多いと思います。

専門家でもない限り、栄養素がどのような働きを持つか、どの食品に何の栄養素が含まれるかなどの詳細を知っているケースはあまりないでしょう。

この記事では、ビタミンB12の働きや睡眠にどのような効果があるかなどについて解説します。ビタミンB12という栄養素の効果や役割を知ることで、睡眠との関連性を理解しやすくなるかもしれません。

睡眠の質の向上を目指してビタミンB12を取り入れようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

  1. ビタミンB12が睡眠に良い影響を与えるといわれる理由
  2. ビタミンB12を多く含む食品
  3. ビタミンB12の摂取量やタイミングの目安
  4. ビタミンB12が足りない、もしくは過剰摂取したらどうなる?
  5. ビタミンB12が不足した場合
  6. ビタミンB12を過剰摂取した場合
  7. 質の高い睡眠には生活習慣を見直すことも大切
  8. バランスの良い食生活を心がける
  9. 適度な運動を生活に取り入れる
  10. ゆっくり入浴してリラックスする
  11. 睡眠をとる部屋を快適な空間に整える
  12. 寝心地が良いと感じる寝具を使う
  13. まとめ

ビタミンB12が睡眠に良い影響を与えるといわれる理由

ビタミンB12は「ビタミンB群」の一種で、水に溶けやすい性質を持つ「水溶性ビタミン」です。

ビタミンB群とは、ビタミンB12を含めた下記8種類の栄養素の総称を指します。

  • B1
  • B2
  • B6
  • B12
  • ナイアシン
  • パントテン酸
  • 葉酸
  • ビオチン

ビタミンB12は神経や血液細胞を健康に保ち、遺伝子物質であるDNAの生成を助ける役割を持つ栄養素です。

摂取すると貧血を予防したり疲労を防いだりする効果があり、神経の機能を整える役割を持つことから、自律神経の乱れを改善する効果も期待できるとされています。

自律神経とは、血圧や体温、呼吸など体内の機能を24時間コントロールする神経のことです。自律神経には、活動モードの「交感神経」と、リラックスモードの「副交感神経」があり、両者の切り替えがスムーズに行われることで、規則正しい生活を送りやすくなります。

自律神経が正常に働いていれば、夜になると体を休める副交感神経が優位な状態になって自然な眠気が促されるため、睡眠リズムも整いやすくなります。

つまり、ビタミンB12が睡眠に効果的だといわれる理由は、ビタミンB12が持つ神経の機能を整える役割によって自律神経が整うと、スムーズな入眠が期待できるためだと考えられるでしょう。

また、東京慈恵会医科大学の研究(※)によると、ビタミンB12には不眠症の有無に関わらず睡眠を安定させる効果があることが報告されています。

シフト制の勤務や夜更かしで睡眠リズムが乱れている方は、後述する摂取量や摂取のタイミングの目安を参考にして、ビタミンB12を日常的に取り入れてはいかがでしょうか。

(※)睡眠覚醒リズム障害に対するビタミンB12の治療効果発現機序に関する研究 東京慈恵会医科大学 伊藤 洋

ビタミンB12を多く含む食品

ビタミンB12は、魚類や貝類などの動物性食品に多く含まれている反面、穀物や野菜、果実といった植物性食品にはほとんど含まれていない栄養素です。
そのため、普段あまり動物性食品を摂取しないベジタリアンや菜食主義(ヴィーガン)の方は、ビタミンB12が不足しやすいといえるでしょう。
ただし、植物性食品であっても海藻類にはビタミンB12を多く含む食品もあります。

それでは、ビタミンB12を多く含む食品を表でまとめたので、確認しましょう。

食品名含有量(可食部100g当たり)
しじみ/水煮82.0μg
あさり/缶詰/水煮64.0μg
まさば/焼き22.0μg
かたくちいわし/田作り65.0μg
かき/くん製油漬缶詰32.0μg
牛レバー/生53.0μg
鶏レバー/生44.0μg
卵黄/生3.5μg
あまのり/ほしのり78.0μg
あまのり/焼きのり58.0μg

(※)出典:文部科学省「食品成分データベース」

主菜として肉類や魚類を取り入れるほか、ほしのりや焼きのりを普段の食事にプラス1品として取り入れるのも良いでしょう。

ビタミンB12の摂取量やタイミングの目安

推奨されるビタミンB12の摂取量の目安は、年齢やライフステージに応じて異なります。

厚生労働省(※)が示す、年齢やライフステージごとのビタミンB12摂取推奨量は、下記のとおりです。

ライフステージ摂取推奨量
生後6ヶ月0.4μg
幼児7〜12ヶ月0.5μg
小児1〜3歳0.9μg
小児4〜8歳1.2μg
小児9〜13歳1.8μg
10歳代14〜18歳2.4μg
成人2.4μg
妊娠している女性(10歳代も含む)2.6μg
授乳中の女性10歳代も含む2.8μg

(※)厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』ビタミンB12の必要摂取量は?

例えば、しじみの味噌汁1杯に含まれるビタミンB12が4.0~4.5µg程度だと仮定すると、しじみの味噌汁1杯を飲めば、どの年代の方でも摂取量の目安に届きます。

また、ビタミンには、水に溶けやすい「水溶性ビタミン」と、油に溶けやすい「脂溶性ビタミン」という2種類があり、ビタミンB12は水溶性ビタミンに該当します。水に溶けて体に蓄積されない性質を持つため、まとめて摂取することはおすすめできません。

例えば、朝にまとめて必要摂取量のビタミンB12を摂取したとしても、尿として排出されるので夕方には足りなくなっている可能性があります。

そのため、上記を摂取量の目安とし、ビタミンB12は「朝にまとめて摂る」「夜だけビタミンB12を摂る」という方法ではなく、朝・昼・晩の毎食で摂ることをおすすめします。

毎食ビタミンB12を摂取し、朝昼晩の3食を合計して必要摂取量が摂れるよう意識すると良いでしょう。

神林由香

神林由香

Men’s Clara Clinic院長

ビタミンB12は、魚や貝類に多く含まれます。

朝食は、しじみの味噌汁やのり、焼き鮭などのメニューがおすすめです。

ビタミンB12が足りない、もしくは過剰摂取したらどうなる?

ビタミンB12が足りない、もしくは過剰摂取したらどうなる?

ビタミンB12が不足した場合の影響、または過剰摂取した時のリスクが気になる方は多いかもしれません。

ここでは、以下の2つの事例にわけて説明します。

  • ビタミンB12が不足した場合
  • ビタミンB12を過剰摂取した場合

ビタミンB12が不足、もしくは過剰摂取した場合のリスクが気になる方は、ぜひご一読ください。

ビタミンB12が不足した場合

人間にとって、ビタミンB12は多量に必要とされるものではないため、一般的な食生活を送っていれば不足することは滅多にないとされています。

ただし、前述したとおり菜食主義の方に加えて、下記のような特徴を持つ方は、ビタミンB12が不足する可能性もあるため気を付けなくてはなりません。

  • アルコール中毒の方
  • 妊娠している方
  • 胃に疾患がある方
  • 肝臓・回腸に障害がある方

ビタミンB12が不足した場合、貧血や手足のしびれ、認知機能の低下などが起こる可能性があります。

これらの症状を引き起こさないためにも、上記の特徴に当てはまる方は特に意識して、ビタミンB12を朝・昼・晩で摂取すると良いでしょう。

また、胃の疾患や手術などによって吸収障害が起こっている場合には、内服薬でビタミンB12を補うことが難しくなるようです。その場合には、担当の医師に相談しながら、適切な方法でビタミンB12を摂取できるよう努めましょう。

ビタミンB12を過剰摂取した場合

基本的に、ビタミンB12を過剰摂取したとしても有害になることはないとされています。

水溶性ビタミンは、過剰摂取してもすべて体内に吸収されるわけではなく、必要量以上に摂りすぎた分は尿として排出されるためです。

健康・医療に関するアドバイスを行う機関である全米医学アカデミー(※)でも、ビタミンB12の過剰摂取によって有害になる可能性は低いことから、ビタミンB12の摂取量の上限は設けていません。

ただし、過剰摂取によって体に起こる反応には個人差がある可能性もあります。

過剰摂取によるリスクを過度に心配する必要はありませんが、前述した1日の摂取量の目安を参考にしながら取り入れましょう。

(※)Institute of Medicine. Food and Nutrition Board. Dietary Reference Intakes: Thiamin, Riboflavin, Niacin, Vitamin B6, Folate, Vitamin B12, Pantothenic Acid, Biotin, and Choline. Washington, DC: National Academy Press, 1998

神林由香

神林由香

Men’s Clara Clinic院長

脂溶性ビタミンを過剰摂取した場合の悪影響としては、ビタミンAによるものがよく知られています。

主な症状として、腹痛、めまい、嘔吐、関節痛、皮膚乾燥、催奇形性などがあります。

妊娠中および妊娠を希望する女性は、妊婦の推奨量を超えるような過剰摂取をしないよう注意喚起されています。

質の高い睡眠には生活習慣を見直すことも大切

スムーズに入眠して熟睡するために、食生活にビタミンB12を取り入れようと意識するのは大切なことです。

それと同時に、日頃から食事や運動、入浴といった生活習慣を整えて、自然に入眠しやすい環境を作ることも、睡眠の質を高めるためには重要だといえます。

もしビタミンB12を適切に摂取していたとしても、暴飲暴食をしたり、スマホを朝方まで触って夜更かししたりなど、生活習慣が乱れていれば睡眠の質を高めることは難しくなるでしょう。

睡眠の質を高めるためにも、日常の中で以下のような生活習慣を心がけることをおすすめします。

  • バランスの良い食生活を心がける
  • 適度な運動を生活に取り入れる
  • ゆっくり入浴してリラックスする
  • 睡眠をとる部屋を快適な空間に整える
  • 寝心地が良いと感じる寝具を使う

ここでは、それぞれの内容について詳しく解説します。

バランスの良い食生活を心がける

人間の体内時計は約25時間で、地球の周期とは約1時間のずれがあるため、そのままにしていると体内時計はどんどんずれていきます。

朝食を食べることで体内時計がリセットされて、生活のリズムが作られやすくなるため、朝食も含めて1日3食きちんと食べるように心がけましょう。

「朝から朝食を食べて、日中に活動して夕飯を食べる」という生活リズムが整うと、「朝起きて夜に眠くなる」という睡眠リズムも整うことが期待できます。

一方、不規則な食生活は睡眠リズムを乱す原因となるため注意が必要です。 就寝直前に夕飯を食べると、体が食べた物の消化を優先させるため寝付きづらくなり、もし寝付けたとしても睡眠が浅くなる可能性があります。

また、就寝前にカフェインアルコールを過剰摂取することもおすすめしません。カフェインが持つ覚醒作用によって眠れなくなったり、アルコールが持つ利尿作用によって夜中に頻繁に目覚めたりする可能性があります。

カフェイン・アルコールの過剰摂取には気を付けて、就寝前にはリラックスするために温かい飲み物を取り入れるのも良いでしょう。

なお、寝る前におすすめの飲み物については、以下の記事でわかりやすく紹介しているので、ぜひこちらもご覧ください。

寝る前 飲み物
【医師監修】寝る前の飲み物おすすめ7選!飲むといいもの、避けたほうが良い飲料も紹介

適度な運動を生活に取り入れる

日中に運動して体が疲労すると、夜に自然な眠気が促されやすくなるため、日頃から運動する習慣を身に付けることをおすすめします。

就寝前に激しい運動を行うと、体が興奮して寝付きづらくなるので、ジョギングやウォーキングといった軽めの運動を取り入れましょう。

また、人間は体温が一旦上昇して下降するタイミングで眠気が促されるため、就寝の約3時間前までに運動に取り組めば、スムーズに入眠しやすくなることが期待できます。

運動する時間が取れない方や運動が苦手な方は、会社で階段を使う、自宅の一駅まで下りて歩いて帰る、朝から散歩に出かけるなど、日常の中でできる限り体を動かすよう意識してみてください。

ゆっくり入浴してリラックスする

湯船に浸かるのは面倒で、シャワーでお風呂を済ませる方も多いと思いますが、睡眠のことを考えると、湯船に浸かってゆっくりリラックスしたほうが良いといえます。

前述した体温の上下によって眠気が促されるメカニズムより、湯船に浸かって体が温まると、運動するのと同様の効果が期待できます。

寝床に入るタイミングで体温が下がりはじめることが理想なので、就寝直前ではなく90〜120分前ほど前に入浴しましょう。

ただし、熱すぎるお湯に浸かると体が興奮して寝付きづらくなるため、お湯の温度や入浴時間には注意が必要です。

  • 38℃のぬるめのお湯の場合、25~30分程度
  • 42℃ほどの熱いお湯の場合、5分程度

就寝前に「副交感神経」が優位なリラックスモードになるためにも、好きな香りの入浴剤でお風呂タイムを楽しむのも良いでしょう。

睡眠をとる部屋を快適な空間に整える

就寝する部屋の環境は睡眠の質に大きな影響を与えるため、自分が「快適に眠りやすい」と思える環境を整えましょう。

例えば、蒸し暑い、テレビの音がうるさい、蛍光灯が明るすぎるといった環境では、ぐっすり眠ることが難しくなるかもしれません。

部屋の温度と室温は、夏場が25℃〜26℃、冬場は22℃〜23℃、湿度は通年50%〜60%が理想的とされています。エアコンや加湿器などを活用しながら、快適な室温・湿度を保ってください。

もし、寝室に明るい蛍光灯を使用しているのであれば、就寝時には忘れず消しましょう。真っ暗な環境で眠ることが不安な方は、明るすぎない間接照明を取り入れるのも選択肢となります。

スムーズに入眠するために就寝前に音楽を聴きたい方は、脳波が「α波(アルファ波)」の状態になるクラシック、オルゴール、自然音などがおすすめです。

ただし、就寝時にも音楽が流れていると睡眠の妨げとなる可能性があるため、タイマー機能を活用して静かな環境で眠りにつきましょう。

睡眠と音楽の関係性については、以下の記事で詳しく紹介しています。

睡眠 音楽 効果
音楽は睡眠にどんな効果をもたらす?リラックスしやすい曲のジャンルなど調査

寝心地が良いと感じる寝具を使う

睡眠の質を高めるためには、自分の体に合う寝具を使うことも大切です。寝具が体に合っていないと、睡眠の質が低下したり肩こりや腰痛といった体調不良を招いたりする可能性があります。

例えば、柔らかすぎるマットレスを使っている場合、腰部分が沈み込んで「くの字」の姿勢で寝ることとなり、体圧が一部に集中して血行不良を招き、体の痛みを引き起こすかもしれません。

一方、硬すぎるマットレスを使用すると、体圧が肩や腰などの出っ張った部分に集中して寝返りを打ちづらくなる可能性があります。寝返りが上手に打てないと、就寝中の体にかかる圧力を分散できず、肩こりや腰痛を引き起こすことがあるのです。

このような状況を避けるためにも、マットレスを選ぶ際には硬すぎず柔らかすぎないものを選びましょう。それと併せて、体圧分散性に優れており、適度な反発力があることも大切です。

適度な反発力があれば、体が押されるようにして寝返りを打ちやすくなり、体にかかる圧力を分散しやすくなります。スムーズに寝返りを打って血行不良を防ぐことができれば、体の痛みを引き起こしづらくなることが期待できるでしょう。

また、季節に応じて寝具カバーを使い分けるのもおすすめです。夏はひんやりする冷感素材を使う、冬は保湿性の高い素材を使うなど、快適に眠りやすくなるよう工夫しましょう。

まとめ

ビタミンB12を摂取して自律神経の乱れが整うと、睡眠の質にも良い影響を与えることが期待できます。

この記事で紹介したビタミンB12を多く含む食品や、1日の摂取推奨量を目安にしながら、意識的に毎日の食事に取り入れてみてください。

ただし、睡眠の質を向上させるためには、ビタミンB12の摂取だけでなく日々の生活習慣を見直すことも重要です。

ビタミンB12を摂取しても、夜更かしをしたり朝食を抜いたりなど生活習慣が乱れていては、体内時計が整わず睡眠の質が低下する可能性があります。

記事内で紹介した生活習慣の見直し方は、今日からすぐに取り組める方法もたくさんあるため、ぜひ食生活や運動、入浴といった身近なところから改善しましょう。

この記事の監修者
神林由香
神林由香Men’s Clara Clinic院長
日本皮膚科学会正会員。日本美容皮膚科学会会員。日本先進医療医師会会員。日本抗加齢学会正会員。メンズヘルス医学会会員。 美容外科専門医(JSAS)。東京大学理科2類中退後、2011年香川大学医学部卒。東京女子医科大学病院初期研修、東京女子医科大学病皮膚科入局、2016年大手美容外科都内分院スキンクリニック院長などを経て現職。
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