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2024.01.22 更新

【医師監修】睡眠はダイエットにも重要!食欲に関わるホルモンと睡眠との関係を解説

【医師監修】睡眠はダイエットにも重要!食欲に関わるホルモンと睡眠との関係を解説

ダイエット中の場合、食事や運動に重点をおく方も多いのではないでしょうか。しかし、ダイエットにおいてもう一つ重要な要素、「睡眠」を忘れてはいけません。にもかかわらず、ダイエット中にどのような睡眠をとれば良いか、正しく理解している方はあまり多くないようです。

睡眠とダイエットの関係性を知ることで、ダイエットはもちろん、健康的な生活を送ることにも繋がります。

この記事では、睡眠とダイエットの関係性をわかりやすく解説し、睡眠の質を高める方法も紹介します。睡眠がダイエットにどのような影響を与えるのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

睡眠とダイエットの関係性を2つ紹介

「睡眠の質が低いと太りやすい」といった噂を聞いたことがあるかもしれません。そういわれるのには、成長ホルモンをはじめとした2つの理由があります。

  • 成長ホルモンの分泌が減ると太りやすくなる
  • レプチン・グレリンがダイエットに影響する

それぞれのポイントについて、詳細を解説します。

成長ホルモンの分泌が減ると太りやすくなる

成長ホルモンの分泌量の影響により、太りやすくなる可能性があります。下垂体から分泌される成長ホルモンは、成長期に分泌されるイメージが大きいかもしれませんが、成長期だけでなく大人になってからも分泌されるものです。

成長ホルモンは主に代謝を調節する機能や免疫機能に作用しており、ダイエットだけでなく美容や健康にとっても重要な役割を持っています。

また、脂肪を分解してエネルギーに変えたり、血中のコレステロールを低下させたりするのも、成長ホルモンの役割の一つです。

こうした役割を持つ成長ホルモンは、睡眠中に多く分泌されます。そのため、睡眠不足になると成長ホルモンの分泌量が減り、持っている役割を十分に果たせなくなるため、結果的に太りやすくなると考えられています。

青木厚

青木厚

あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長

成長ホルモンには脂肪分解作用があり、体脂肪を減少させます。

レプチン・グレリンがダイエットに影響する

睡眠不足になってホルモンバランスが乱れることも、太りやすくなる原因とされています。

食欲に関して影響するのは、「グレリン」と「レプチン」という2つのホルモンです。睡眠不足の時には、食欲を増進させるグレリンが増加し、食欲をコントロールするレプチンが減少します。

通常はレプチンによって食欲が抑制されていますが、睡眠不足になると分泌量が増えたグレリンの働きによって、食事量の増加に繋がります。

一方で、睡眠中にはレプチンが分泌され、質の高い睡眠をとればよりレプチンの分泌量が増えるとされています。正しく睡眠をとって、グレリンとレプチンの分泌をを適切に保つことが大切です。

正しく睡眠をとるために知っておくべきこと

正しく睡眠をとるために知っておくべきこと

健康的な生活を送ることはダイエットにとって大切なことですが、健康的な生活を送るには正しく睡眠をとる必要があります。正しい睡眠をとるためにも、理想とされる睡眠時間や質について知っておきましょう。

  • 日本の成人の睡眠時間は6~8時間の方が多い
  • 睡眠時間を確保しつつ睡眠の「質」にもこだわる

以下で詳しく解説します。

日本の成人の睡眠時間は6~8時間の方が多い

厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針 2014(※)」によると、日本の成人における睡眠時間は6~8時間の方が約6割を占めるそうです。そのため、一般的に必要な睡眠時間も6~8時間であると考えられています。

ただし、睡眠時間は季節によって変化するものであり、成人後、加齢するにつれて睡眠時間が短くなることもわかっています。年齢別の睡眠時間の目安は、以下のとおりです。

年齢睡眠時間の目安
10歳代前半8時間以上
25歳約7時間
45歳約6.5時間
65歳約6時間

睡眠時間は季節や年齢に影響を受けるものなので、必要な睡眠時間には個人差があります。そのため、上記の睡眠時間はあくまでも目安として考えましょう。

睡眠において大切なのは、日中に眠気で困らない程度の睡眠を確保していることです。必ずしも「睡眠時間が長い=健康」ということではないため、自分にとって必要な睡眠時間を確保するよう努めましょう。

(※)出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針 2014」

睡眠時間を確保しつつ睡眠の「質」にもこだわる

睡眠で大切なのは、睡眠の「時間」だけではなく「」も同様です。質の高い睡眠がとれている状態とは、スムーズに入眠・起床ができることや、必要な睡眠時間を確保できていて熟睡感があることなどが挙げられます。

厚生労働省が示す睡眠の質の評価指標を参考にすると、睡眠の質の高さとは以下のことが挙げられます。

  • 体内時計が24時間の動きに同調し、昼と夜のメリハリがある
  • 体温リズムが下降する間で、睡眠が始まるタイミングが安定している
  • 必要な睡眠時間が確保され、日中に過度な眠気が生じない
  • ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルが安定し、中途覚醒が少ない
  • 起床時刻前に体温が上昇し、覚醒の準備が整う
  • 就寝から入眠までに過度の時間を要しない
  • 起床して行動を開始するまでの推移がスムーズである
  • 熟睡感を得て満足している
  • 過度な疲労感がなく意欲的である

睡眠の質が低下して「睡眠負債」が溜まると、判断力や集中力の低下、生活習慣病のリスク増加やメンタル面の不調といった悪影響が生じる可能性があります。

睡眠の質を高めるには、睡眠時の行動だけでなく日中の過ごし方も大切です。睡眠の質を高める具体的な方法は後ほど詳しく紹介するので、そちらもぜひご覧ください。

出典:厚生労働省 第3章 より健康的な睡眠を確保するための生活術

睡眠を正しくとることで得られる効果

適切な睡眠時間を確保し、睡眠の質が向上すると、以下のような効果も期待できるとされています。

  • 心身の疲労を回復させる
  • 集中力が向上する
  • ストレス解消に繋がる
  • 生活習慣病の予防になる

質の高い睡眠をとって心身の疲労が回復すると、日中、意欲的に活動しやすくなるでしょう。集中力が向上する効果が得られたら、仕事や学業にも良い影響がおよぶかもしれません。

また、睡眠を正しくとると、高血圧や肥満、メタボリックシンドロームなど生活習慣病の予防にも繋がるとされています。

質の高い睡眠をとるための方法

質の高い睡眠をとるには、日頃から昼間の過ごし方に気を付ける必要があります。下記では質の高い睡眠をとるために日常生活に取り入れたい方法を解説します。

  • バランスの良い食事を毎日なるべく同じタイミングで摂る
  • 日中は運動に取り組み、夜は入浴でリラックスする
  • 寝室の環境を整えて自分に合った寝具で眠る

それぞれのポイントを詳しくみていきましょう。

バランスの良い食事を毎日なるべく同じタイミングで摂る

規則正しい生活の基本として、食事内容や食事の方法を見直すことからはじめましょう。

食事面でまず気を付けるのは、朝食をしっかりと食べることです。朝食を食べることで栄養が補給できるうえに、脳が目覚めやすくなります。

生活リズムを整えるために、朝昼晩の食事は毎日同じくらいの時間帯に食べることも大切です。主食・汁物・主菜・副菜2つという構成の一汁三菜を意識して、バランス良く栄養を取り入れましょう。

また、就寝直前に食事を食べると、消化が優先されて眠りづらくなるため注意してください。胃に入った食べ物が消化されるには約3時間かかることを覚えておきましょう。

覚醒作用があるカフェインやアルコール摂取、喫煙を控えることも、質の高い睡眠に繋がります。アルコールには利尿作用もあり、就寝中に目が覚める原因になってしまうため、過度な飲酒は避けましょう。

日中は運動に取り組み、夜は入浴でリラックスする

日中に適度な運動をすると、体が疲労して夜に自然な眠気が促されやすくなります。ストレッチやウォーキングといった軽めの運動から取り入れると、無理なく続けやすいでしょう。

なお、就寝直前に激しい運動をすると、体が覚醒して寝付きづらくなるため、運動するタイミングにも気をつけてください。

また、就寝時には、自律神経のうち活動性を低下させる「副交感神経」が優位な状態が理想的です。副交感神経を優位にするには心身がリラックスすることが大切ですが、手軽な方法として入浴があります。

きちんと湯船に浸かり、38℃のぬるめのお湯で25分~30分程度リラックスして過ごしましょう。就寝直前に熱いお湯に浸かると交感神経が優位になるため、入浴は就寝時刻の約90~120分前に済ませることをおすすめします。

入浴時、入浴剤を入れて香りを楽しむと、よりリラックスしやすくなります。お気に入りの香りで1日の疲れをとるようにゆっくり過ごしましょう。

寝室の環境を整えて自分に合った寝具で眠る

睡眠の質を高めるには、就寝環境が整っており快適に感じる寝具で眠ることも重要です。

寝室の室温湿度の理想は、夏場が25℃〜26℃、冬場は22℃〜23℃、湿度は通年50%〜60%とされているため、必要に応じてエアコンやヒーターを活用して、快適な就寝環境を整えましょう。

また、寝室の明るさも眠りに影響を与えます。明るい光を浴びると体内時計が乱れて生活リズムが崩れるため、照明は暗くして就寝しましょう。

寝室の照明は睡眠の邪魔をしない、オレンジ系の暖色がおすすめです。真っ暗だと眠れない方は、明るすぎない間接照明を取り入れても良いでしょう。

さらに、寝具が体に合っていないと寝返りを打ちづらくなり、体の一部に常に負荷がかかった状態となります。体に合わない寝具の使用は体の不調に繋がる可能性があるため、寝返りを打ちやすく快適に眠れる寝具を選びましょう。

マットレスは適度な反発力があり、体圧を分散できるものが理想です。枕は体型に合う高さのものを選び、枕カバーや敷き布団にもこだわって選ぶと良いでしょう。

まとめ

ダイエットと睡眠との関係に大きく影響しているのは、成長ホルモン・レプチン・グレリンです。睡眠の質を高めることで、食欲をコントロールするレプチンの分泌量が増えるため、健康的な生活のためにも質の高い睡眠を心がけましょう。

質の高い睡眠をとるには、食事や運動をはじめとした日中の過ごし方が重要です。この記事の内容を参考に、食事の内容を見直したり入浴してリラックスしたり、取り組めるものからぜひ取り入れてみてください。

この記事の監修者
青木厚
青木厚あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長
あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長。医学博士。糖尿病、高血圧、高脂血症、生活習慣病が専門。ライザップの医療監修ほか、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」、TBSテレビ「Nスタ」など出演多数。著書『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)は現在40万部突破中。
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