仕事の不安や人間関係の悪化など、日常にはストレスの原因となるさまざまな要素が潜んでいます。自分は大丈夫だと思っていても、知らず知らずのうちにストレスを抱えてしまうこともあるでしょう。
日常で溜まったストレスをケアするためには、定期的に心身をリラックスさせることが大切です。この記事では、ストレス解消に繋がるおすすめのリラックス方法を紹介します。
リラックスするとはどういう状態?
「リラックス」はさまざまな場所で耳にする言葉ですが、具体的にリラックスするというのはどういう状態を指すのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。一般的に、リラックスとは心身の緊張を解いてくつろいだ状態にいることを指します。
日々のストレスが多い現代社会で、健康的に生活するには、定期的にリラックスすることが大切です。心身の疲れを感じている方は、自分に合った方法でリラックスしましょう。
以下では「自宅」「職場」「時間に余裕がある時」の3つの状況ごとに、実践しやすいリラックス方法を紹介します。
紫藤佑介
メンタルドクターSidow 精神科専門医/精神保健指定医
リラックスができないと筋緊張がほぐれず、肩こりや頭痛の原因になることがあります。
また、リラックスできない状態が続くと精神的なストレスも溜まりやすくなるため、不眠やうつを引き起こすリスクが高まります。
自宅でできるリラックス方法
まずは自宅でできるリラックス方法から見ていきましょう。自宅でできるリラックス方法は数多くありますが、なかでも次の6つは気軽に試せるおすすめの方法です。
- たっぷり睡眠をとる
- ゆっくりお風呂に浸かる
- 読書をする
- 気持ちがリラックスする音楽を聴く
- 瞑想する
- アロマオイルを焚く
たっぷり睡眠をとる
1日の中で30分を超える睡眠は夜の不眠の原因になることや、寝だめで睡眠不足を解消することはできない、というデータがあります。
そのため、優先的に睡眠時間をたっぷり(起床時に眠気を感じずに済むくらい)とるようにしましょう。なお、必要な睡眠時間には個人差があるため、自分自身で検証を行うことも大切です。
ゆっくりお風呂に浸かる
普段の入浴をシャワーで済ませている方は、お風呂に浸かることをおすすめします。入浴には疲労回復のほかリラックス効果もあるため、心身を休めるには最適です。
ゆっくり湯船に浸かることで体内の疲労物質や老廃物が流れやすくなるため、疲労回復に期待ができます。
読書をする
自宅でリラックスしたい方には読書もおすすめです。本の内容に集中すると、日常のストレスから解放され、リラックスすることができます。普段あまり読書をしない方は、この機会に気になる本を探してみるのも良いかもしれません。
気持ちがリラックスする音楽を聴く
自宅で過ごしている間は、聴いていて気分が落ち着く音楽を流すと良いでしょう。気分が落ち着く音楽を聴くと感情の浮き沈みが抑えられ、精神的にリラックスできます。
読書や入浴などほかのリラックス方法と併用すれば、より高い効果に期待できるでしょう。
なお、ヒーリングミュージックなどの気分が落ち着く音楽は、音楽配信サービスだけでなく動画投稿サイトなどでも聴くことが可能です。さまざまなジャンルがあるので、自分好みの音楽を探してみてください。
瞑想する
自分の呼吸に集中し、精神をクリアにしていく「瞑想」も人気のリラックス方法の一つです。瞑想は昔からある心身療法で、気持ちを落ち着かせたりリラックス感を高めたりする効果があるといわれています。
瞑想にはさまざまな方法がありますが、ここでは一般的に広まっている呼吸を数えるタイプの方法を紹介します。すぐに実践できるので、ぜひ試してみてください。
- 目を閉じて全身の力を抜く
- 鼻の先に意識を集中しながら、鼻先から空気が入ったり出たりする感覚を静かに観察する
- 呼吸の数を1から10まで数える
- 10まで数えたら再度1から数え直す
- 上記を繰り返し行う
紫藤佑介
メンタルドクターSidow 精神科専門医/精神保健指定医
瞑想には集中力の向上、睡眠の改善、不安の改善などメンタル面のメリットだけではなく、免疫力向上やアンチエイジングなど身体面のメリットもあるといわれています。
アロマオイルを焚く
リラックスするには、香りも重要な要素です。自宅でアロマオイルを焚いて、心地良い香りのなかで過ごせばリラックスできるでしょう。よりリラックス効果を高めるためにも、読書や瞑想をする際など、ほかのリラックス方法と併用することをおすすめします。
なお、アロマオイルには多くの種類があります。時間がある時に、お気に入りのアロマを探してみると良いでしょう。
職場でできるリラックス方法
集中力が求められる職場では心身が緊張状態になりやすく、リラックスしたい場面が多くあります。以下では、職場でも気軽に試せるリラックス方法を紹介します。
- 仮眠をとる
- 腹式呼吸をする
- ストレッチをする
仮眠をとる
職場でリラックスしたい際は、仮眠をとるのが効果的です。仮眠をとると日中の眠気を飛ばせるのはもちろん、脳がリフレッシュされて心身をリラックスできます。デスクに伏せて仮眠するだけでも効果に期待できるので、ぜひ試してみてください。
ただし、仮眠の時間が長すぎると、夜の睡眠に影響する可能性があるので注意が必要です。「仮眠をとりすぎて夜に眠れない」という事態を避けるためにも、仮眠時間は15分~30分程度に留めることをおすすめします。
腹式呼吸をする
デスクワークの最中やサービス業など、自由に身動きが取りにくい職場でリラックスしたい時は腹式呼吸がおすすめです。
深い呼吸には体をリラックスさせる効果があり、仕事にも集中しやすくなります。腹式呼吸を行う手順は下記のとおりです。
- お腹がへこむのを意識しながら口から大きく息を吐く
- お腹が膨らむのを意識しながら鼻から息を吸う
- ゆっくりと息を吐く
ストレッチをする
ストレッチは凝り固まった体の柔軟性を高める効果があることで知られていますが、ほかにも体の緊張を解いて心身をリラックスさせる効果があります。「背伸びをする」など軽いストレッチで良いので、心身の疲れを感じたタイミングで行いましょう。
時間に余裕がある時にできるリラックス方法
休日などの時間に余裕がある日は、外出してリラックスするのも良いでしょう。時間に余裕がある分選択肢の幅は広がりますが、なかでも下記の3つはリラックスしやすいのでおすすめです。
- 森林浴をする
- カラオケで思いきり歌う
- いつもとは違う場所でゆっくり過ごす
以下でそれぞれの方法を順番に見ていきましょう。
森林浴をする
普段自然に触れる機会が少ない方には森林浴がおすすめです。森林浴とは、緑溢れる環境に接することで精神的な癒しを得る行為のことを指します。ストレス解消効果や心身をリラックスさせる効果があるといわれており、疲れた心を癒すには最適な方法です。
なお、森林浴をする際は近くの公園ではなく、山や森に足を運ぶことをおすすめします。人の少ない山や森であれば騒音などの外部から受けるストレスが減り、よりリラックスできるでしょう。
カラオケで思いきり歌う
歌うのが好きな方は、カラオケに行って思う存分歌うのも良いでしょう。思いきり歌うことで普段のストレスを解消できるのはもちろん、リラックスにも繋がります。親しい友人と行けば、より楽しい時間を過ごせるでしょう。
ただし、人によっては複数人でカラオケに行くと気を遣ってしまい、逆に疲れてしまう可能性があるので注意してください。
周囲に気を遣うタイプの方は、ストレスを減らすためにも1人で行くことをおすすめします。
いつもとは違う場所でゆっくり過ごす
連休でまとまった時間を取れる場合は、温泉旅館やホテルなど、いつもとは違う場所でゆっくり過ごしてみるのもおすすめです。普段と違う環境に身を置いている間は日々の悩みやストレスから解放され、リラックスした時間を過ごすことができます。
リラックスする際に気をつけたいポイント
リラックスする方法はさまざまありますが、方法によっては心身に良くない影響が及ぶ可能性もあるので注意してください。ここでは、リラックスする際に気をつけたいポイントをいくつか紹介します。
寝酒はリラックスにならない
普段からお酒を飲んでいる方のなかには、「寝酒をするとリラックスして眠りやすくなる」と感じる方がいるかもしれません。
しかし、寝酒は睡眠の質を低下させ、心身の不調に繋がる可能性があるため控えるようにしましょう。寝酒をして摂取したアルコールは睡眠中に抜けていきますが、その反動で眠りの質は低下してしまいます。
眠りの質が低下すると睡眠不足に陥ってしまい、ストレスに繋がる可能性もあります。リラックスできると感じたとしても、寝酒は避けるようにしましょう。
紫藤佑介
メンタルドクターSidow 精神科専門医/精神保健指定医
寝酒が当たり前になると「お酒を飲まないと眠れない」という思考が形成されて余計に眠れなくなる可能性があります。
もし寝酒が習慣になっている場合は、徐々に飲酒量を減らして「それでも問題なく眠れる」という体験を積み重ねましょう。
スマホやパソコンの長時間使用は避ける
リラックスする方法としては、スマホやパソコンで動画を視聴したり、ゲームをプレイしたりするなど、画面越しに楽しめるコンテンツに触れる方法もあります。しかし、スマホやパソコンの長時間使用は体の不調に繋がる場合があるため、使用時は注意が必要です。
操作をする時間が長すぎると眼精疲労や肩こり、頭痛などの不調があらわれる可能性があります。健康的にリラックスするためにも、スマホやパソコンの長時間使用は避けましょう。
食べ過ぎないようにする
食べることでリラックスやストレス解消をできるタイプの方は、食べ過ぎないように心がけましょう。食べ過ぎは肥満の原因となるほか、糖尿病をはじめとした病気を引き起こすきっかけになる可能性があります。
ストレスが溜まっているとつい食べ過ぎてしまう場合がありますが、食事の量は増やしすぎず、食事以外のリラックス方法も検討しましょう。
まとめ
リラックスする方法は数多くありますが、どれほどの効果があるかは人の好みによっても異なります。リラックスする際は、「自分が一番リラックスできる方法は何か」を考え、より適した方法を実践すると良いでしょう。
また、リラックスできたとしても、食べ過ぎやお酒の飲み過ぎなど、健康に悪影響を及ぼす可能性がある方法は避けるようにしてください。