定期的な検温は、自分の健康状態を把握するためにも大切な行為です。
健康管理を行うため、寝起きに体温を測っている方も多いと思いますが、この時、体温がいつもより高いと、不安になることもあるでしょう。
この記事では、寝起きの体温が高い原因や睡眠と体温の関係性、睡眠時の体温を理想的な状態に保つ方法を紹介します。寝起きの体温が高い場合と発熱の違いも解説するため、寝起きの検温で「いつもより体温が高くて不安」と感じたことがある方は、ぜひご一読ください。
寝起きの体温が高い時に考えられる原因
起床後の検温で「なぜ、寝起きは体温が高いの?」と考える方も多いでしょう。寝起きの体温が高い場合には、主に以下の原因が考えられます。
- ストレス
- 感情の変化
- 月経
- 食事
- 寝室の気温
- 布団やパジャマなどの熱気
寝起きの体温が普段より高い場合は、上記の要素が影響している可能性があります。
測った体温がいつもと違うと健康面に不安を覚える場合もありますが、朝と夕方の体温差が1℃以内であれば、体調面は問題ないといわれています。体温が高くても体調に明らかな変化がない限りは、過度に心配しなくても良いでしょう。
なお、食後は体温が上がるため、より正しい体温を測りたい方は、寝起きと食事前の夕方に1回ずつ測ることをおすすめします。
また、単純に「平熱が高い」場合も考えられます。平熱が気になる場合は、起床後・午前・午後・夜の計4回熱を測り、それぞれの体温を把握しましょう。
起床時に体温が高くなる原因はいくつかありますが、ストレスや生理、平熱などはそれぞれ個人差があるため、必ずしも、「寝起きは体温が高い」とは言い切れません。
平熱とは何℃のこと?
自分の健康状態を管理するためには、自分の平熱を把握しておくことが大切です。
平熱は平均で36.6℃〜37.2℃とされていますが、個人差があるので一概にはいえません。もともと平熱が低い方であれば、37℃程度でも発熱を疑ったほうが良いでしょう。
そのため先述のとおり、一日の中で時間帯を分けて複数回測り、これらの体温値を時間帯ごとの平熱として把握すると良いでしょう。なお、平熱の測定は、1日だけで終わるのではなく、日をあけて何日間か測ることがおすすめです。
体温は年齢や性別でも異なる
体温は、年齢によっても変化します。子供のうちはやや高く、成長するにつれて落ち着いていきますが、高齢になるとさらに体温が低くなる傾向があります。検温をする際は、自分の年齢も考慮したうえで平熱かどうかを判断しましょう。
なお、高血圧症や更年期障害などを発症している場合は、発熱がないのに体にほてりを感じる可能性があります。ほてりの症状が心配な方は、一度医療機関への相談をおすすめします。
また、年齢だけでなく性別でも体温は異なります。例えば、女性は生理前になると、ホルモンの影響で体温が上がる場合があります。
発熱は何度から?
寝起きに体温が高い場合は、感染症などが原因で発熱している可能性があります。発熱とは、医学的には体温が37.5度以上のことをさします。そのため、寝起きに体温が37.5度以上ある場合は、寝起きで体温が高いと捉えず、発熱を疑いましょう。
ただし、先述したように平熱には個人差があるため、平熱が低い方は37.5度以下でも発熱している可能性があります。
睡眠と体温の関係
そもそも、睡眠と体温には以下のような関係があります。
- 深部体温が下がると眠気が生じる
- 起床に向けて深部体温が上昇する
それぞれを詳しく解説します。
深部体温が下がると眠気が生じる
深部体温とは、脳や内臓など体の中心部の体温のことで、深部体温が下がると眠気が生じます。
深部体温は、皮膚の表面の温度が上がり手足から熱が放出されることで下がります。冷え性などで皮膚の表面温度が上がりにくいと、深部体温が下がり切らないため眠気が生じにくく、睡眠の質が悪くなります。
起床に向けて深部体温が上昇する
一度下がった深部体温は、起床に向けて上昇を始めます。しかし、深部体温が上がりにくいと、覚醒に上手く移行できず、目覚めにくくなる可能性があります。
例えば、電気毛布や暖房をつけたまま眠ると、深部体温が高い状態が維持されやすく、眠りが浅くなります。電気毛布や暖房を使う場合は、タイマーを設定するなど、温度を調節しましょう。
なお、これらはあくまでも「深部体温」であるため、検温で測れる体温とは性質が異なります。
睡眠と体温の関係は、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
睡眠時の体温を理想的な状態に保つ方法
先述したように、就寝時と起床時の体温と睡眠には密接な関係があります。そのため、睡眠時の体温を理想的な状態にすることは、睡眠の質を高めるうえで大切です。
そのため、普段の眠りが浅い方は、睡眠時の体温を理想的な状態に保てるように工夫すると良いでしょう。睡眠時の体温を理想的な状態に保つ方法としては、下記の5つが挙げられます。
- 寝室の温度を調整する
- 電気毛布を適切に使用する
- 寝起きはダラダラ過ごさない
- 湯船にゆっくり浸かる
- 就寝前の運動は避ける
以下では、それぞれの方法を詳しく紹介します。
寝室の温度を調整する
睡眠時の体温を理想的な状態に保ちたい方は、寝室の温度に気を付けてください。部屋の温度が高いと体の熱を放散しにくくなり、深部体温も下がりにくくなってしまいます。
深部体温が下がらないと眠りが浅くなったり、入眠できなかったりして睡眠の質が低下する可能性があるため注意が必要です。
熱を放散しやすい環境でぐっすり眠るためにも、就寝時は寝室の温度を少し低めに調整しましょう。
電気毛布を適切に使用する
電気毛布は寒い時期に便利なアイテムですが、加熱したまま眠ると睡眠の質が低下する可能性があります。この時、温度が高い寝室で眠る場合と同様に体の熱を放散しにくくなり、深部体温も下がりづらくなってしまいます。
電気毛布を使用する際はあらかじめタイマーをセットするなどし、長時間の使用は避けて適切に使うよう心がけましょう。
寝起きはダラダラ過ごさない
ぐっすりと眠るためには、体温変化のリズムを崩さないためにも寝起きにダラダラ過ごさないことが大切です。人の体温が変化するリズムには規則性があり、このリズムに沿って睡眠と覚醒のバランスが保たれています。
そのため睡眠中は体温が低下しているため、体温のバランスを保つためには朝はしっかり起きて体温を上げなければいけません。
朝が苦手な方には大変かもしれませんが、寝起きだからといってダラダラしてしまうと、体温変化のリズムが崩れ、夜に眠れなくなる可能性があります。目が覚めたらできるだけすぐに起きて活動するよう心がけましょう。
就寝前の約90〜120分前に湯船に浸かる
睡眠時の深部体温を下げるためには、就寝90~120分前の入浴が効果的です。湯船にゆっくり浸かると手足の血行が良くなるため、体の熱を放散しやすくなります。
そして、熱が放散されやすくなる分、体内部の深部体温が下げやすくなるので、自然と入眠しやすくなります。
また、入浴には、心身をリラックス状態に導く「副交感神経」が優位になる効果があるため、心身が緊張状態でなかなか寝つけない場合でも、入浴をしてリラックスすれば、より眠りやすくなるでしょう。
入浴の際は、38℃のぬるめのお湯で約30分間、半身浴であれば40℃程度のお湯で約30分間の入浴がおすすめです。42℃の熱めのお湯に浸かる場合は、入浴時間を5分程度に留めるなど時間を調整しましょう。
いずれの場合も、睡眠時の体温を保つために、高温のお湯への長時間の入浴は避けましょう。
就寝前の運動は避ける
習慣的に適度な運動を行うと、寝つきが良くなる効果があります。
しかし、就寝直前に運動を行うと深部体温が下がりにくくなり、かえって寝つきが悪くなる可能性があるため、運動は就寝3時間前までに行うよう留めましょう。
どうしても就寝前に体を動かしたい場合は、本格的な運動は避けて軽めのストレッチ程度で済ませましょう。
なお、睡眠に効果的な運動のタイミングは、夕方〜夜の時間帯が良いとされています。時間に余裕がある方は、ぜひ意識してください。
また、ここまでに紹介した方法以外に、季節に合わせてお使いのシーツの素材を変えてみることもおすすめです。以下の記事では、シーツの素材や種類を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
体の不調をいち早く察知するためには、自分の平熱を把握したうえで定期的な検温を行うことが大切です。また、一般的には37.5度以上は発熱と捉えられますが、平熱には個人差があることを覚えておきましょう。
体温は性別や年齢だけでなく、気温やストレスのような外的な要素でも変化します。「寝起きだから体温が高いだけ」と考えるのではなく、まずは、体温が高くなった要因を考えると良いでしょう。
また、体温は健康面だけでなく、夜にぐっすりと眠るためにも重要な要素です。最近よく眠れていない方は、睡眠中の体温を理想的な状態に保てるように、紹介した内容を参考に寝室の環境調整や寝る前の入浴法、寝る前の過ごし方を工夫してください。