心身が疲れている時はいびきをかきやすくなるため、忙しい現代では、いびき問題に直面している方も多いのではないでしょうか。
自分もしくは家族のいびきがうるさいと、眠りづらくなり翌日にも悪影響が及ぶため、改善させたいものです。
自分のいびきを改善するにせよ、家族に指摘するにせよ、いびき問題の解消を目指すなら、原因を把握して適切な対処法に取り組みましょう。
この記事では、疲れている時にいびきをかく理由や、疲れ以外の原因についてわかりやすく解説します。いびきへの対処法も紹介するので、自分もしくは家族のいびき問題で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
疲れるといびきをかく理由とは
いびきをかく原因はさまざまありますが、疲労もそのなかの一つです。いびきが生じるのは、就寝時に全身の筋肉が緩むことで、特に舌の緊張が低下してのどを狭くし、息を吸う際に狭くなった部分に空気が通過するため、のどが振動して音が出るというメカニズムです。
疲労している、または飲酒していると、平時より筋肉が緩みやすいことから、気道がさらに狭くなりやすいため、いびきがうるさくなる傾向があります。
また、心身が疲れている場合、疲労を回復させるために酸素をたくさん取り入れようとして、口呼吸になることもいびきをかく理由として挙げられるでしょう。口呼吸になると、さらに口蓋垂(こうがいすい)や舌がのどの奥に落ち込むため、いびきをかきやすくなります。
疲れ以外のいびきをかく原因
いびきをかくのは疲れだけが原因ではなく、生活習慣であったり、病気の可能性が潜んでいたり、ほかにもさまざまな原因が考えられます。
疲れ以外にいびきをかく主な原因は、以下のとおりです。
- 睡眠時無呼吸症候群
- 鼻づまり
- 過度な飲酒や喫煙
- 肥満による影響
- 寝具が合っていない
それぞれ、内容を詳しく解説します。
なお、いびきをかく原因は、以下で紹介するもの以外の可能性も考えられるため、正確な原因を把握したい時は医療機関の受診をおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に無呼吸状態を繰り返す病気です。医学的には、体内に入る酸素が3%以上低下、そして10秒以上呼吸が停止した状態が続くことを「無呼吸」と定義しており、無呼吸が1時間に5回以上ある場合は睡眠時無呼吸症候群とされます。
無呼吸症候群になると、いびきのほかに不眠や中途覚醒(夜間の睡眠中に目が覚める)、起床時の頭痛、日中の眠気などの症状があらわれる可能性があり、日常生活にも影響が出てしまいます。
また、無呼吸症候群は放置すると、高血圧や心臓循環障害、脳血管障害などに繋がるリスクもあるため、注意が必要です。
ただし、適切な治療を行えば改善が見込めるため、自分もしくは家族のいびきが気になり睡眠時無呼吸症候群を疑う方は、一度医療機関を受診すると良いでしょう。
鼻づまり
鼻づまりが生じて鼻呼吸ができなくなり、口呼吸が増えることもいびきをかく原因の一つです前述したように、口呼吸が増えると重力により口蓋垂(こうがいすい)や舌の根元がのどに落ち込むことで気道を塞いでしまうため、いびきの原因になります。
鼻づまりは、風邪やアレルギー性鼻炎などさまざまな疾患が原因で起こるため、特に季節の変わり目や花粉症の時期には注意が必要でしょう。
また、鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)の可能性もあるため、鼻づまりがある時は一度耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
過度な飲酒や喫煙
飲酒や喫煙も、いびきに影響を与える可能性がある要素です。アルコールには筋肉を緩める作用があり、過度な飲酒は気道の閉塞を起こしやすくするため、いびきをかきやすくなります。
また、喫煙に関しては、いびきとの医学的な因果関係が正確にわかっていないものの、扁桃腺(へんとうせん)が炎症で腫れることでいびきに繋がると考えられているようです。
喫煙すると、たばこの煙により上気道(のどや鼻)の粘膜が炎症を起こして腫れるため、気道が狭くなり、いびきが生じるとされています。
肥満による影響
肥満もいびきの原因になり得ます。肥満とは、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態であり、肥満の度合いをあらわす体格指数「BMI」が25以上であることが肥満の定義です。
肥満になると内臓脂肪が付くだけではなく、首の周りにも脂肪が増えます。首の周り、つまり気道の周囲に脂肪が増えることで、気道が圧迫されて空気の通り道が狭くなり、その結果いびきをかきやすくなります。
また、肥満になると舌にも脂肪が付くため、舌が大きくなってのどの奥を塞ぎやすくなることも、いびきに繋がる理由の一つといえるでしょう。
寝具が合っていない
これまで紹介した原因に心当たりがない場合は、就寝中に使っている寝具が体に合っておらず、寝姿勢が崩れることでいびきをかきやすくなっているのかもしれません。
特に、枕の高さが合っていない場合は、首が曲がって気道が狭くなるため、いびきに繋がりやすくなります。
また、寝姿勢が崩れる原因には、マットレスが体に合っていないケースも考えられるでしょう。例えば、柔らかすぎるマットレスでは腰部分が深く沈み込んで「くの字」の姿勢になり、寝姿勢が崩れてしまいます。
枕やマットレスといった寝具は、いびきだけではなく、睡眠自体にも大きな影響を与えるため、寝姿勢が崩れず快適に眠りやすいものを使うことが大切です。
いびきをかく時の改善策・対処法
いびきをかく原因には疲れや病気、生活習慣などさまざまありますが、原因を把握することで改善に繋げやすくなります。
いびきをかく時の主な改善策や対処法には以下のものがあるので、いびきが気になる方は実践してみましょう。
- 適度に休息をとり疲れを溜めない
- 節酒・禁煙をする
- 横向き寝をする
- 寝具を見直す
- 肥満を改善する
- 医療機関で医師のアドバイスを受ける
なお、最後の項目でも詳しく説明しますが、これらの改善策は必要に応じて医師のアドバイスを受けながら取り組むことをおすすめします。
このことを念頭に置きながら、詳しい内容を見ていきましょう。
適度に休息をとり疲れを溜めない
疲れが原因でいびきをかくのなら、そもそも疲れを溜めないよう意識することが大切です。仕事や日常生活で適度に休息をとり、何事も無理をしすぎないよう注意すると良いでしょう。
しかし、何かと忙しい現代では、意識していても疲れが溜まることがあると思います。そのような場合は、マッサージや音楽、アロマなど、自分に合った方法でリラックスして、疲れを解消するのがおすすめです。
疲れを溜めないことは大前提となりますが、疲れが溜まったら解消する意識を持つことで、疲労によるいびきの改善を目指しやすくなるでしょう。
節酒・禁煙をする
過度な飲酒はいびきに繋がるため、お酒を飲む量を減らすのもいびきの改善には効果的です。特に就寝前の飲酒は、筋肉が弛んで気道を塞ぎやすくなるため、控えるように心がけましょう。
また、禁煙することでのどの粘膜や扁桃の炎症を予防できる可能性があります。のどの炎症を抑えるという観点では、寝室が乾燥しないように適度な湿度を保つことも重要です。
湿度は通年50%〜60%が理想的とされるため、季節に応じて加湿器やエアコンの除湿機能を活用しながら、適度な湿度を目指しましょう。
なお、就寝前の飲酒や喫煙は、睡眠の質を低下させる原因にもなります。いびきの改善だけではなく、睡眠の質を高めるためにも就寝前の飲酒や喫煙は控えることをおすすめします。
横向き寝をする
いびきが気になる場合、仰向けの姿勢で寝るのではなく、横向きの姿勢で寝ることでいびきの予防に繋がるため、普段から寝姿勢を意識しながら就寝しましょう。
仰向けの姿勢で寝ると舌がのどの奥に落ち、気道が塞がりやすくなるため、いびきをかきやすい傾向がありますが、横向きの姿勢を維持しながら寝ることで、舌が落ちるのを防ぎやすくなります。
横向きの姿勢を維持するのが難しい方は、抱き枕を抱えたり、壁に背中を付けたりすると姿勢を維持しやすくなるので、試してみてください。
寝具を見直す
いびきの改善には寝具の見直しも大切です。特に枕はいびきに大きく影響する可能性が高いため、自分に合ったものを選びましょう。枕を選ぶ際は、以下のように寝姿勢によって高さを検討するのがおすすめです。
- 仰向け寝:首の骨が緩やかなS字カーブを描く高さ
- 横向け寝:頭から背中にかけての骨が真っすぐに伸びる高さ
また、就寝中の体にかかる負担を減らして正しい寝姿勢をキープするには、自分の体に合うマットレスを使うことも重要です。前述した横向きの姿勢で寝る場合、肩側の肩にかかる負担が増して、体の左右のゆがみを生む可能性があるため、特に意識する必要があります。
マットレスに適度な反発力があれば寝返りを打ちやすく、体圧分散性に優れているとバランス良く体圧を分散できるため、買い替えを検討する際にはこの2点に注目しましょう。
肥満を改善する
肥満の方は、適度な運動や規則正しい食生活を心がけ、減量して肥満を改善すればいびきも軽減する可能性があります。自分の適正体重がわからない方は、先に少し触れた「BMI」の数値を目安にしましょう。
BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で算出できるため、自分のケースを当てはめて計算してみてください。
数値が25以上の方が肥満に該当するのは前述したとおりですが、なかでも30以上だと高度な肥満とされます。一般的に、BMIが18.5~25未満が適正体重となるため、この数値を目指して肥満の改善に取り組むと良いでしょう。
医療機関で医師のアドバイスを受ける
何らかの病気が疑われる場合は、まず医療機関を受診して医師の診断を受けることをおすすめします。睡眠時無呼吸症候群をはじめとした病気が原因でいびきをかいている場合、根本となる病気を治療しなくてはなりません。
また、いびきをかくと、睡眠不足になったり睡眠の質が低下したりする可能性もあります。自分が病気なのか判断できない場合でも、いびきが気になるようなら一度医師に相談してみましょう。
一般的に、いびき関係の受診先は耳鼻咽喉科になりますが、まずはかかりつけ医に相談する方法もあります。一人で悩まずに、専門家やかかりつけ医のアドバイスを聞いてみてはいかがでしょうか。
まとめ
一般的にいびきは、のどの気道が狭くなることが原因で生じます。疲れが溜まると、平時より筋肉が弛緩したり、体に酸素を取り込もうとして口呼吸が多くなったりするため、いびきをかきやすくなります。
また、いびきの原因はさまざまありますが、なかには睡眠時無呼吸症候群をはじめとした病気の可能性も考えられるため、注意が必要です。
自分で正確に原因を判断することは難しいので、原因がわからずに悩むようなら、一度医療機関を受診しましょう。
そのほか、いびきには枕やマットレスなどの寝具も関係していることがあります。特に、枕の高さが合っていないと気道が狭くなりやすいため、寝姿勢に応じて自分の体に合うものを選びましょう。