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2024.01.22 更新

【医師監修】「冬季うつ」の症状を知って正しく予防しよう!食欲や睡眠への影響も解説

【医師監修】「冬季うつ」の症状を知って正しく予防しよう!食欲や睡眠への影響も解説

毎年冬になると、なんとなくだるかったりやる気が出なかったりするという方もいらっしゃると思います。

「冬はそういう季節だから」と諦めているかもしれませんが、やる気が出ないのは「冬季うつ」が原因かもしれません。

うつ病については聞いたことがあっても、冬季うつは聞いたことがないという方も多いでしょう。

この記事では、冬季うつとはどのようなものか、冬季うつでよく見られる症状、冬季うつの改善方法などを説明します。

  1. 冬季うつとは季節性の抑うつ気分のこと
  2. 冬季うつの症状
  3. 気分の落ち込み
  4. 集中力の低下
  5. 常時眠気がある、過眠する
  6. やる気が出ない、体がだるい
  7. 食欲が増す
  8. 冬季うつの改善方法
  9. 毎朝太陽の光を浴びる
  10. 規則正しい食事を心がける
  11. 適度な運動をする
  12. 医療機関を受診して治療を受ける
  13. まとめ

冬季うつとは季節性の抑うつ気分のこと

冬季うつとは季節性の抑うつ気分のこと

冬季うつとは、晩秋から冬にかけて悲しく憂鬱な気分になる、季節性の抑うつ気分のことを指します。

ウインター・ブルーなどと呼ばれることもありますが、正式名称は「季節性感情障害(SAD/Seasonal Affective Disorder)」です。女性や若年者に比較的多く見られるとされており、一度発症すると毎年繰り返すともいわれています。原因やメカニズムについては、まだ判明していません。

冬季うつの症状

冬季うつでよく見られる症状としては、主に以下のものが挙げられます。

  • 気分の落ち込み
  • 集中力の低下
  • 常時眠気がある、過眠する
  • やる気が出ない、体がだるい
  • 食欲が増す

それぞれの症状について、詳しく説明します。

気分の落ち込み

なんとなく鬱々として気分が晴れず、落ち込むような感覚になります。気分が落ち込むだけでなく、場合によってはうつ状態躁状態を繰り返すこともあるなど、人によって症状の出方はさまざまです。

漠然とした不安や憂鬱な状態は、通常のうつ病よりもあらわれにくいとされています。

集中力の低下

集中力の著しい低下は冬季うつでは顕著に見られる症状で、程度次第では仕事や家事にも影響を及ぼす場合があります。

集中力だけではなく思考力も低下する傾向にあるため、普段なら分かるようなことが分からなくなったり、考えが頭の中でまとまらなくなったりします。気分の落ち込みと同様に、通常のうつ病でも見られる症状です。

常時眠気がある、過眠する

常時眠気があり、睡眠時間が通常よりも長くなります。それにも関わらず日中の眠気も同時に生じ、過眠にも繋がります。通常のうつ病ではどちらかというと不眠になりやすい傾向があるので、この点は通常のうつ病と冬季うつの大きな違いと言えるでしょう。

やる気が出ない、体がだるい

体のだるさを感じ、なかなかやる気が出ません。上述した気分の落ち込みや集中力の低下なども、この症状に関係しているケースが多いです。やる気の低減や体のだるさは通常のうつ病でも見られる症状ですが、冬季うつのほうがより強く症状が出やすいことが特徴です。

食欲が増す

食欲が増し、特に白米やパン・パスタといった炭水化物や、菓子類のような甘いものを好んで食べます。食欲が午後から夜にかけて増強しやすいことが特徴です。

通常のうつ病ではどちらかというと食欲は低下する傾向があるので、この点も通常のうつ病と冬季うつの違いの一つです。また、食欲が増すため体重も増加しやすいです。

齋藤幹

齋藤幹

さいとう内科・循環器クリニック院長

冬季うつを発症すると常時眠気を感じたり、食欲が増したりする理由についてご説明します。常時眠気を感じるのは、日照時間が短くなることによってセロトニン・メラトニンが不足し、睡眠リズムが乱れるからです。

食欲が増す理由については、セロトニンが不足すると情緒不安定となり、甘いものを食べて一時的にセロトニンを増やそうとすることによる影響だといえます。

冬季うつの改善方法

冬季うつを改善する方法としては、以下のような対処が挙げられます。

  • 毎朝太陽の光を浴びる
  • 規則正しい食事を心がける
  • 適度な運動をする
  • 医療機関を受診して治療を受ける

それぞれの方法について、詳しく説明します。

毎朝太陽の光を浴びる

冬は日照時間が不足し、セロトニンの分泌量が減ることが知られています。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれるように、人の多幸感に大きく関与しています。

また、セロトニンは睡眠ホルモンである「メラトニン」の原料にもなります。メラトニンは睡眠・覚醒だけでなく、日々のホルモン分泌などのリズムにも関わっている重要なホルモンです。毎朝しっかりと太陽の光を浴び、セロトニンおよびメラトニンが不足しないよう心がけましょう。

規則正しい食事を心がける

季節性うつ病にはセロトニンの不足が大きく関わっていますが、セロトニンは体の中でも作り出すことが可能です。セロトニンの材料になるのは、アミノ酸の一つである「トリプトファン」です。そのため、トリプトファンを効率よく摂取できる食材を多くとり、規則正しい食事を心がけることが重要です。

トリプトファンを多く含むのは、肉・魚・大豆などです。また、トリプトファンを効率的に吸収するためにはビタミンやミネラルも欠かせないため、緑黄色野菜や果物も積極的に取り入れることが望ましいです。

先ほど触れたように、冬季うつ時に食べたくなるのは炭水化物や菓子類などですが、極力上述したような食材を中心に摂取しましょう。

齋藤幹

齋藤幹

さいとう内科・循環器クリニック院長

冬季うつの改善に効果的なものとして、トリプトファンのほかにラベンダーの香りやカモミールなどがあります。体をリラックスさせることでセロトニンの分泌を促し、冬季うつの症状改善に効果が期待できます。

適度な運動をする

ウォーキングのような一定のリズムで行う適度な有酸素運動は、セロトニンの分泌を促す効果があります。同時に、交感神経を抑えて副交感神経を優位にする作用があることも分かっています。通勤時に歩く距離を延ばしてみる、できるだけ階段を使うようにするなど、できることから行っていくと良いでしょう。

医療機関を受診して治療を受ける

通常のうつ病と同じように、医療機関を受診して治療を受けることも重要です。冬季うつを改善させるための療法としては、薬物療法や認知行動療法などが挙げられます。

症状が重く日常生活に支障をきたす場合は、専門家に相談しましょう。

齋藤幹

齋藤幹

さいとう内科・循環器クリニック院長

冬季うつの発症は日照時間の短いことが原因であるため、光療法によって症状が改善する可能性があります。この点において、通常のうつ病とは治療法が異なります。

まとめ

冬季うつとは季節性の抑うつ気分のことで、女性や若年者に比較的多く見られます。

気分が落ち込んだり集中力が低下したりといったことは通常のうつ病と同じですが、過眠したり食欲が増したりといったことは、冬季うつならではの症状です。

症状を改善させるには、規則正しい食事を心がける、適度な運動を行うなどの対処が重要です。

医療機関を受診して薬物療法などを受けることも可能なため、自分なりの努力だけでは症状がなかなか改善されない場合は、速やかに医療機関を受診することを心がけましょう。

この記事の監修者
齋藤幹
齋藤幹さいとう内科・循環器クリニック院長
1996年北海道大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院にて内科研修。その後東京大学医学部付属病院(循環器内科)や専門病院での経験を経て、2019年に「さいとう内科・循環器クリニック」を開業。医学博士、内科認定医、総合内科専門医、循環器専門医・指導医、臨床研修指導医。
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