夏の蒸し暑い夜は、暑苦しさを感じてなかなか寝つくことができません。暑さのせいで寝られない日々が続き、困っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では暑くて寝れない理由や、寝れない場合の対策方法を解説します。熱帯夜の暑苦しさに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
暑い夜に眠れないのは体温が下がりにくいため
暑い夜に寝れない主な理由は、深部体温が下がりにくくなるためだと考えられています。深部体温とは、体の内部の体温のことです。人の体は深部体温が下がることで眠気が訪れる仕組みになっています。
一般的に、深部体温は夕方の時間にピークに達し、就寝時間が近づくにつれて下がっていくといわれています。しかし、気温が高い夏の時期は暑さのせいで体温が下がりにくく、なかなか眠気が訪れてくれません。
そのため、夏は睡眠不足に悩む方が特に増える時期でもあります。
福井美典
糖尿病専門医・抗加齢医学会専門医・救急科専門医・総合内科専門医
人の体温調整は、自律神経系のうち戦う神経、すなわち交感神経系のホルモンACTH・コルチゾール(ストレスホルモン)などよって調整されています。これらのホルモンは、朝起床前、深夜3時を超えたあたりから高くなり日中に最高値に、夜眠る時には減っていくのが通常です。
しかし、夏場は日照時間が長く、暑さによるストレスもあって交感神経系の活動が優位になり、体温も上昇する傾向にあります。夜遅い時間になってもリラックス神経、すなわち副交感神経系に切り替わらず、寝る前であっても深部体温が高いままであると考えられます。
暑くて眠れない時の対策方法
前述したように、暑い夜に眠れないのは深部体温の下がりにくさが主な原因です。そのため、暑い時期は深部体温を下げるための工夫が必要となります。
ここでは暑くて眠れない時の対策として深部体温を下げやすくするための方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- クーラーや扇風機をつけて寝る
- 夏用の寝具に変える
- 夏用の寝間着を着る
クーラーや扇風機をつけて寝る
暑くて寝れない夜は、クーラーや扇風機を使って寝室の温度・湿度を調整しましょう。睡眠に適した温度・湿度に調整すれば、暑い夜でも眠りやすくなります。
夏場の理想的な温度は25℃〜26℃、湿度は50%〜60%だといわれているので、この数値を目安に調整してみてください。
また、クーラーと扇風機は併用するのがおすすめです。クーラーで冷えた空気を扇風機で循環させると、寝室全体がより涼しくなります。ただし、体が冷えると体調不良に繋がる可能性があるので、クーラーや扇風機の風は直接体に当たらないように気をつけましょう。
なお、熱帯夜に冷房が切れるとすぐに室温が上がってしまうため、冷房はつけっぱなしにしておくことをおすすめします。つけっぱなしでも電気代が極端に高くなることはないので、安心して使いましょう。
福井美典
糖尿病専門医・抗加齢医学会専門医・救急科専門医・総合内科専門医
部屋の空気が乾燥すると、鼻風邪・喉風邪の原因になるため、湿度を意識して加湿器を使ったり、濡れたタオルを干したり、軽度の湿度を保つことをおすすめします。
また、太い血管が走っている、首元や足首を冷やさないことも大切です。両肘・両膝などの関節部位が冷えると体調を崩す方が多いので、七分袖にする、またはタオルケットなどで肘・膝を覆って寝ると体温調整がしやすくなります。
扇風機と凍らせたペットボトルの組み合わせもおすすめ
人によっては、部屋にエアコンが設置されていない、または故障などで使えない状況にいる方もいらっしゃるでしょう。エアコンが使えない方は、扇風機と凍らせたペットボトルの組み合わせを試してみてください。
扇風機の風を凍らせたペットボトルに当てると風が冷やされ、より涼しい環境で眠れます。また、室内の空気中の水分がペットボトルの表面に集まって除湿されるため、湿度が高い熱帯夜も乗り切りやすくなるでしょう。
ただし、エアコンに比べると除湿や温度を下げる効果は弱いです。暑さが苦手な方は、エアコンを使える環境を整えることを検討したほうが良いかもしれません。
夏用の寝具に変える
通年同じ寝具を使っている方は、涼しく眠れる夏用の寝具に変えてみると良いでしょう。生地が薄く、吸水性・通気性に優れた素材を使った寝具を取り入れると、暑い夜も眠りやすくなります。
特に麻やタオル生地、コットンやガーゼを素材にした寝具は通気性に優れた製品が多いです。夏用の寝具に買い替える際は、ぜひ素材の種類に注目してみてください。
夏用の寝間着を着る
熱帯夜の暑苦しさに悩んでいる方は、夏用の寝間着を着るのもおすすめです。夏用の寝間着は吸水性や通気性の良い素材が使われているケースが多く、寝間着としてよく使われるジャージ、一般的なTシャツなどと比べると、涼しく眠ることができます。
なかでも、麻やシルク、コットンやガーゼを素材とした寝間着は通気性が良い傾向があります。夏用の寝間着を持っていない方は、オンラインショップや近くの店舗などで探してみると良いでしょう。
季節を問わず心がけたい!睡眠の質を高める方法
ぐっすりと眠って気持ちの良い朝を迎えるためには、睡眠の質を高めることが大切です。睡眠の質は主に下記の方法で高めることができるので、ぜひ実践してみてください。
- 寝る前に軽くストレッチをする
- 温かい飲み物を飲んで体温を上昇させる
- 夕食は就寝3時間前までに済ませる
- アロマや読書でリラックスする
- 体に合っているマットレスや枕を使う
それぞれの方法を以下で順番に見ていきましょう。
寝る前に軽くストレッチをする
普段から体のこりを感じている方は、就寝前のストレッチを日課にすると良いでしょう。ストレッチをすると硬くなった体の緊張がほぐれ、寝つきが良くなる効果があります。
ただし、激しく体を動かすと逆に眠れなくなってしまう可能性があるので気をつけてください。ストレッチの内容は、軽めのものに留めましょう。
温かい飲み物を飲んで体温を上昇させる
先述のとおり、人は深部体温が低くなると眠気が訪れる生き物です。この深部体温を就寝のタイミングで下げるには、寝る前に温かい飲み物を飲むのが良いとされています。温かい飲み物を飲んで深部体温が上昇すると、その後体温が下がっていく際に自然と眠気が訪れてくれます。
飲み物には数多くの種類がありますが、安眠のために飲むのなら白湯やホットミルク、ホットココアなど刺激の少ない飲み物がおすすめです。刺激が少ない飲み物を飲んでホッと一息つけば、心身がリラックスしてより眠りやすくなるでしょう。
ただし、アルコールを含んだお酒全般、カフェインが含まれているコーヒーやエナジードリンクなどの飲み物は、睡眠の妨げとなるので避けてください。
また、温かい飲み物を飲んで睡眠の質を高めるには、体温が下がりやすい環境を整えることも大切です。寝室の温度・湿度が高く体温が下がりにくい環境だと、温かい飲み物を飲んでも安眠効果に期待できない可能性があるので気をつけましょう。
夕食は就寝3時間前までに済ませる
就寝直前の時間帯に食事をすると睡眠中に消化活動が行われる影響で、休息をとっている脳が刺激されてしまいます。脳が刺激されると目が覚めやすくなる可能性があるので、食事の時間帯には気をつけましょう。
なお、一般的に消化活動にかかる時間は2時間〜3時間だといわれています。消化活動による睡眠の質の低下を防ぐためにも、夕食は就寝3時間前までに済ませることをおすすめします。
アロマや読書でリラックスする
心身が緊張状態にあると寝つきが悪くなる可能性があるため、就寝前はできるだけリラックスして過ごしましょう。例えば、アロマを焚いたり、読書をしたりするだけでもリラックスすることができます。
また、聴き心地が良い音楽を流すのもおすすめのリラックス方法です。クラシックや自然音が入った曲を聴くことで気持ちが落ち着き、より入眠しやすくなります。
体に合っている枕やマットレスを使う
枕やマットレスなどの寝具は各製品で特徴が異なり、使う人の体格によって合う・合わないが変わってきます。例えば、柔らかさが特徴のマットレスは包み込まれるような寝心地が魅力ですが、体格が大きい方が使うと体が沈み込みすぎてしまい、なかなか寝つくことができません。
このように使っている寝具が体に合っていないと、寝にくさを感じて熟睡できない可能性があります。睡眠の質を高めるためにも、寝具は自分に合っている製品を使いましょう。
まとめ
暑くて寝れない夜は、クーラーや扇風機を使うなどして深部体温を下げやすい就寝環境を整えることが大切です。また、寝具や寝間着も夏用の涼しげな製品に変えると良いでしょう。
また、睡眠は季節問わず毎日とるものです。どんな季節でも快適に眠れるよう、普段から睡眠の質を高めるように心がけましょう。