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2025.07.28 更新

【医師監修】湿気と頭痛の関係とは?気象病になりやすい方の特徴や対策方法を紹介

【医師監修】湿気と頭痛の関係とは?気象病になりやすい方の特徴や対策方法を紹介

雨が降るなどで湿気が多くなると、頭痛が起きることがあり悩んでいる方もいると思います。

具体的な病名がわからず困っている方も多いかもしれませんが、こういった症状は「気象病」の可能性があります。

また、湿気による頭痛に対する対策があるのであれば、症状を緩和するために知っておきたいという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、湿気と頭痛の関係や気象病になりやすい方の特徴、対策方法を紹介します。

  1. 気象病(天気痛)とは?
  2. 症状
  3. 原因
  4. 気象病(天気痛)は女性のほうがなりやすい?
  5. 湿気による頭痛や気象病の対策
  6. すぐにできる対策
  7. 長期的におこなう対策
  8. まとめ

気象病(天気痛)とは?

気象病(天気痛)とは?

梅雨でジメジメしている時になぜか頭が痛くなることが多い、もしくは台風などが近付いて気圧が下がっている時に体調が悪くなりやすい方も多いでしょう。

天気や気圧、寒暖差、湿度など、気象の変化によって引き起こされる症状の総称を「気象病」と呼び、自律神経の乱れによって起こると考えられています。雨が降り湿気が増すと頭痛が起きるのも、気象病の1つと考えられます。

気象病の中でも、特に天候が悪くなると体の痛みが強くなったり、体調不良を引き起こしたりする場合は天気痛と呼ばれます。

気象の変化と体の痛みや体調不良との関係には諸説ありますが、以下では主な症状や原因を紹介します。

症状

気象病(天気痛)によって起こる代表的な不調には、主に以下が挙げられます。

  • 頭痛
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 肩の痛みやこり
  • うつ症状

なお、頭痛やめまいといった体調不良の頻度および程度は人によって異なります。また、体調不良の症状がひどくなることでうつ病になる可能性もあるため、症状がつらいと感じた際には医療機関を受診することをおすすめします。

原因

気象病(天気痛)は、自律神経の乱れによって起こると考えられています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、普段はバランスのとれた状態を保っています。

しかし、天気や気圧、寒暖差、湿度などの変化によってストレスにさらされると、交感神経と副交感神経のバランスが乱れてしまい、その結果、上述したような体の不調が起こると考えられています。

また、特に湿度に関しては、湿度が高い(=大気中の水分が多い)と汗が蒸発しづらく体温調節ができなくなり、汗が乾きにくくなります。その結果、汗の量が減ることで末梢部分の血流が滞って、頭痛に繋がることもあります。

上述したように、うつ症状は気象病(天気痛)の代表的な症状の1つですが、頭痛やめまいといったほかの症状が繰り返しあらわれることにより、それが引き金となりうつ症状に繋がるケースもあります。

豊田早苗

豊田早苗

とよだクリニック院長

頭痛やめまいが繰り返し起こると、身体的ストレスとなります。また、頭痛やめまいの症状は、仕事や生活活動の支障となり、思うようにならないことが精神的なストレスを生み出します。

こうした身体的ストレスと精神的ストレスが加わることで、脳内のセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質の分泌が悪くなり、気分が落ち込む、意欲が出ないなどのうつ症状を引き起こします。

気象病(天気痛)は女性のほうがなりやすい?

気象病(天気痛)は、男性より女性のほうがなりやすいといわれています。女性は生理周期や更年期障害の影響など、ホルモンバランスが乱れやすい傾向があるため、気象病(天気痛)の影響がより顕著にあらわれる場合があります。

湿気による頭痛や気象病の対策

湿気による頭痛や気象病の対策

湿気による頭痛や気象病(天気痛)への対策方法には、「すぐにできる対策」と「長期的におこなう対策」の2パターンあります。 それぞれの対策方法に関して解説します。なお、これらの方法を試しても症状が改善されず、依然として頭痛や体の不調に悩まされる場合は、一度医療機関を受診しましょう。

豊田早苗

豊田早苗

とよだクリニック院長

気象病では、頭痛やめまい、疲労感など症状は多岐に渡る場合が多いです。そのため、体の不調を総合的に診てもらえる内科を受診しましょう。

すぐにできる対策

すぐにできる対策としては、主に以下のようなものがあります。

  • 耳の周りを温め、てマッサージをする
  • 小まめな水分補給を心がける
  • 日頃から適度な運動を心がける
  • ぬるめのお湯に少し長めに浸かる

詳しくみていきましょう。

耳の周りを温めてマッサージする

上述したように、湿度が高いと血流が滞るため、血流を良くする必要があります。血流を良くするためには、手のひらで耳を覆って耳の周りを温めてマッサージすることがおすすめです。耳マッサージの手順は以下のとおりです。

  1. 耳を軽くつまんで上・下・横に5秒ずつ引っ張る
  2. そのまま軽く引っ張りながら後ろ向きにゆっくりと5回回す
  3. 耳を包むように折り曲げて5秒キープする
  4. 耳全体を手のひらで覆って、ゆっくり円を描くように後ろに向かって5回回す

簡単にできるマッサージのため、体調が悪いと感じたらすぐに試してみましょう。

小まめな水分補給を心がける

気象病(天気痛)は、先述の通り体温調整がうまくいかない、自律神経の乱れなどで汗がかきにくい場合に症状が出ることがあります。そのため、水分補給が逆効果に感じられるかもしれませんが、水分が不足して脱水状態になることも頭痛を招く原因になります。

そのため、小まめに水分補給を行い、水分不足を解消することが大切です。特に、夏場や冬場の乾燥した室内は脱水症状を引き起こしやすい環境になるため、注意しましょう。

日頃から適度な運動を心がける

規則正しい生活リズム同様に日頃からの適度な運動も自律神経のバランスを整えるために重要です。無理せず継続できる範囲の負荷で運動を行うことを心がけましょう。

体を動かすことによる疲労は睡眠の深さにも関わるため、質の高い睡眠にも繋がります。

ぬるめのお湯に少し長めに浸かる

人間の体は、深部体温が下がることで自然と眠気を生じるようになっています。そのため、夜のお風呂をシャワーで済ませるのではなく、しっかりと入浴することをおすすめします。

その際、お湯の温度はだいたい38℃のぬるめのお湯で25分~30分程度浸かると良いでしょう。そうすることで副交感神経が刺激されるので、自然とリラックスした気持ちになります。

ただし、寝る直前の入浴は深部体温が上がったままの状態で眠りにつくことになり、上手く寝つけない可能性があるため、あまり好ましくありません。就寝時間の約90~120分前の入浴を意識しましょう。

豊田早苗

豊田早苗

とよだクリニック院長

気象痛や天気痛は、血管内に水分が停滞することで血管が拡張し、神経が圧迫されて起こるといわれています。

肩や首の凝りがある場合は、体を温める入浴は効果的ですが、片頭痛持ちである場合は、入浴によってさらに血管が拡張し、片頭痛を悪化させてしまう場合があるため注意が必要です。

長期的におこなう対策

長期的におこないたい対策としては、主に以下のようなものがあります。

  • 規則正しい生活を心がける
  • バランスの良い食事をとる
  • 漢方による体質改善を行う

詳しくみていきましょう。

規則正しい生活をする

気象病や(天気痛)への対策としては、できるだけ同じ時間に寝て同じ時間に起きるといったように、規則正しい生活を心がけることが重要です。

規則正しい生活を継続することで、自律神経のバランスが整いやすくなります。特に起床の時間を一定にすることは、入眠のリズムを整えることにも繋がるため、とても効果的です。

入眠のリズムには体内時計が関わっていますが、1日の周期が24時間であるのに対して体内時計の周期は約25時間で、1時間程度の差があります。このズレを放置したままにしておくと、入眠のリズムはなかなか整いません。

体内時計は太陽の光を浴びることでリセットされるので、起きたらすぐにカーテンを開けて、太陽光を浴びることを心がけましょう。

体内時計の役割やリズムを整える方法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

体内時計
体内時計にはどんな役割がある?リズムを整えて体の不調を防ごう

バランスの良い食事をとる

食事は、栄養素のバランスが良くなるように心がけましょう。特に、神経疲労に効くといわれているビタミンB群は重要です。

ビタミンB1は水溶性ビタミンで、摂り過ぎても腎臓から排出されるため、毎日摂取する必要があります。ビタミンB1は肉類、魚類、豆類、穀類、種実類などに多く含まれているため、それらを意識的に摂取しましょう。

漢方による体質改善を行う

漢方による体質改善を行うことも、気象病(天気痛)の改善に効果的とされています。ただし、漢方は副作用が生じることがあるため、服用する際には一度漢方内科などの医療機関に相談することをおすすめします。

また、漢方内科以外にも神経内科や頭痛外来などの内科への受診もご検討ください。もし自分で受診先を判断できない場合は、かかりつけ医に相談しましょう。

まとめ

湿気が多いと頭痛が起きるなど、寒暖差、天気や気圧、湿度といった気象の変化によって起こる不調は、「気象病」または「天気痛」と呼ばれています。

気象病(天気痛)は、寒暖差、天気や気圧、湿度などの変化によるストレスにさらされることにより、自律神経の乱れによって起こると考えられています。

そのため、気象病(天気痛)への対策としては、自律神経のバランスを整えることが重要です。すぐにできる方法には、耳の周りを温めてマッサージするといった方法があります。

普段の生活では、規則正しい生活や適度な運動、バランスの良い食事などを心がけると良いでしょう。頭痛やめまいがひどい場合は、医療機関を受診することをおすすめします。

この記事の監修者
豊田早苗
豊田早苗とよだクリニック院長
鳥取大学卒業後、JA厚生連に勤務し、総合診療医として医療機関の少ない過疎地等に暮らす住民の健康をサポート。2005年とよだクリニックを開業し院長に。患者さんに寄り添い、じっくりと話を聞きながら、患者さん1人1人に合わせた診療を行っている。
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