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2023.10.12 更新

【医師監修】覚醒とはどういう状態を指す?睡眠のメカニズムや質を高める方法を解説

【医師監修】覚醒とはどういう状態を指す?睡眠のメカニズムや質を高める方法を解説

元気良く日中を過ごすためには、気持ちの良い覚醒が欠かせません。スッキリと目覚めることで早い時間帯からやる気のスイッチが入り、よりパフォーマンスが高い状態で活動することができます。

朝に気持ち良く覚醒するには、睡眠のメカニズムを把握したうえで眠りの質を高めることが大切です。この記事では覚醒の意味や質の良い睡眠をとる方法を紹介します。

  1. 覚醒とは
  2. 人が自然と覚醒できる理由
  3. 気持ちの良い覚醒に欠かせない「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」
  4. レム睡眠
  5. ノンレム睡眠
  6. 質の良い睡眠をとる方法
  7. 就寝前に軽いストレッチをする
  8. 温かい飲み物を飲む
  9. 就寝3時間前までに夕食を済ませる
  10. 就寝90~120分前までに風呂を済ませる
  11. 就寝前はリラックスして過ごす
  12. 体に合っている寝具を使う
  13. 早朝覚醒や中途覚醒は不眠症の症状なので注意
  14. まとめ

覚醒とは

覚醒」とは、主に眠りから目を覚ますことを指す言葉です。目を覚ます状態を意味する言葉には、ほかにも「起床する」「起きる」「目覚める」など複数ありますが、覚醒と意味に大きな違いはありません。

また、目が覚めて意識がはっきりしている状態を「覚醒状態」と呼びます。覚醒状態になると集中力や反射能力が上がり、仕事の作業効率向上、スポーツのパフォーマンスアップが期待できます。

人が自然と覚醒できる理由

人は毎日睡眠と覚醒を決まった時間に自然と繰り返していますが、これは体に備わっている睡眠欲求と覚醒力のメカニズムが正しく機能しているおかげです。

睡眠欲求とは、その名のとおり「眠りたい」と感じる欲求のことです。睡眠欲求は覚醒している時間が長ければ長いほど高まり、睡眠をとることで解消されます。例えば、夜遅くまで作業している際にいつもより眠気が強まるのは、覚醒時間が長くなっているためです。

一方、覚醒力とは眠りから目を覚ます力のことで、体内時計が調整をしてくれています。夜に自然と眠くなり朝に起床できるのは、体内時計が適切なタイミングで覚醒する力を抑えたり、強めたりしてくれているためです。

気持ちの良い覚醒に欠かせない「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」

朝にスッキリと覚醒するには、睡眠中に脳や体を十分に回復させなければいけません。脳や体はぐっすりと熟睡することで回復しますが、具体的には睡眠中の「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」のバランスが大きく影響しています。

レム睡眠は全身の筋肉をリラックスさせ、体を休める役割を持つ睡眠です。一方、ノンレム睡眠は、日中の活動で疲労が溜まった脳を休ませる働きを持ちます。人が眠っている間はこれらの睡眠を約90分周期で繰り返すことで、脳と体を回復しています。

それぞれ役割が違う睡眠であり、心身を回復させるにはどちらも欠かせない存在です。レム睡眠とノンレム睡眠を経て心身が回復すれば、朝に気持ち良く覚醒することができます。

以下では、レム睡眠とノンレム睡眠の特徴をより詳しく解説します。

レム睡眠

レム睡眠は眠りが浅く、脳も活発に働いている状態です。睡眠中に眼球がよく動くことが特徴で、比較的覚醒に近い状態の睡眠であるといわれています。夢を見るのも、レム睡眠中が多いとされています。

レム睡眠はノンレム睡眠の間に約90分周期で出現し、睡眠が後半に近づくとレム睡眠の時間も増加していきます。

ノンレム睡眠

ノンレム睡眠は脳波活動が低下し、眼球の動きもほぼ見られない状態です。睡眠の深さは3段階にわけられており、睡眠の前半は深い眠り、後半には浅い眠りが出現する点が特徴です。

質の良い睡眠をとる方法

気持ち良く覚醒するには、普段の睡眠の質を高めることも大切です。深い眠りに入って心身がしっかり休息できていれば、それだけスッキリと覚醒しやすくなります。睡眠の質は主に下記の方法で高められるので、ぜひ実践してください。

  • 就寝前に軽いストレッチする
  • 温かい飲み物を飲む
  • 就寝3時間前までに夕食を済ませる
  • 就寝90~120分前までに風呂を済ませる
  • 就寝前はリラックスして過ごす
  • 体に合っている寝具を使う

以下でそれぞれの方法を順番に紹介します。

就寝前に軽いストレッチをする

就寝前のストレッチには、寝つきが良くなる効果リラックスできる効果があります。暗めの部屋で深呼吸しながらストレッチを行うとより高いリラックス効果に期待できるので、寝つきの悪さに悩んでいる方はぜひ実践してみましょう。

ただし、激しく体を動かすと眠気が飛んでしまう可能性があるので注意してください。就寝前のストレッチは、あくまで眠るための準備として行うものです。スムーズに入眠するためにも、できるだけ軽めのストレッチに留めましょう。

温かい飲み物を飲む

温かい飲み物を飲む

人は体内部の体温である「深部体温」が低くなると、眠気が訪れる仕組みになっています。深部体温は就寝のタイミングで自然と下がっていきますが、より効率的に下げたい方は就寝前に温かい飲み物を飲むことがおすすめです。

温かい飲み物を飲むと深部体温は上昇し、その後体温が下がる過程で自然と眠気が訪れてくれます。白湯やホットミルク、ホットココアなど飲んでいてリラックスできる飲み物を選べば、より良い安眠効果に期待できるでしょう。

ただし、アルコールやカフェインが含まれている飲み物は、眠りが浅くなる原因になるので避けてください。アルコールやカフェインを含む飲み物の例としては、お酒全般、コーヒー、エナジードリンク、煎茶などが挙げられます。

就寝3時間前までに夕食を済ませる

睡眠の質を高めたい方は、就寝直前の食事を避けるように意識しましょう。

就寝直前の時間帯に食事をすると、睡眠中に消化活動が行われる影響で休息をとっている脳が刺激されてしまいます。その結果、目が覚めやすくなったり、眠りが浅くなったりする可能性があります。

一般的に、消化活動にかかる時間は2時間〜3時間といわれています。消化活動が終わっている状態で眠るためにも、夕食は就寝3時間前までに済ませることをおすすめします。

就寝90~120分前までに風呂を済ませる

睡眠時の深部体温を下げるためには、就寝2時間前の入浴が効果的です。お風呂にゆっくり浸かると手足の血行が良くなるため、体の熱を放散しやすくなります。

そして、熱が放散されやすくなる分、体内部の深部体温が下げやすくなるので、自然と入眠しやすくなります。

また、入浴には、心身をリラックス状態に導く「副交感神経」が優位になるという効果があるため、心身が緊張状態だとなかなか寝つけない場合でも、入浴をしてリラックスすれば、より眠りやすくなるでしょう。

ただし、お湯の温度が高いと、深部体温が高いままの状態になってしまうので注意してください。

入浴の際は、38℃のぬるめのお湯で25分~30分程度、半身浴であれば約40℃のお湯で30分程度の温度・時間がおすすめです。42℃の熱めのお湯に浸かる場合は、入浴時間を5分程度に留めるなど時間を調整しましょう。

就寝前はリラックスして過ごす

就寝前に不安やストレスが原因で心身が緊張状態にあると、なかなか眠気が訪れてくれません。そのため、就寝前はできるだけリラックスしながら過ごすことを心がけましょう。

リラックスするには、「アロマを焚く」「聴き心地が良い音楽を流す」「読書をする」「就寝前にストレッチを行う」などが定番の方法です。どの方法でリラックスできるかは人によって異なるので、自分に合いそうな方法を試してみると良いでしょう。

体に合っている寝具を使う

枕やマットレスなどの寝具は高さや硬さが各製品で異なり、体に合うかどうかは使う人によって変わってきます。

例えば、柔らかいマットレスは包み込まれるような寝心地が魅力ですが、体格が大きい方だと「体が沈み込みすぎて寝にくい」と感じることもあります。また、硬めのマットレスはしっかり体を支えてくれるものの、なかには「硬すぎて眠れない」と感じる方もいるでしょう。

睡眠の質を高めるためには、自分の体格や好みに合っている寝具を使うことが大切です。普段使っている寝具が合っていない場合は、この機会に買い替えを検討しましょう。

早朝覚醒や中途覚醒は不眠症の症状なので注意

覚醒状態、覚醒時間など「覚醒」と名がつく用語はさまざまありますが、そのなかでも「早朝覚醒」と「中途覚醒」は、常態化している場合は不眠症の一種といえますので覚えておきましょう。

早朝覚醒は早すぎる時間帯に目が覚めてしまう、中途覚醒は睡眠中に何度も目が覚めてしまうことが主な症状です。これらの症状が続くと睡眠が不足し、気持ちの良い覚醒から遠ざかってしまうので注意してください。

不眠症にはほかにも、寝つくまでに時間がかかる「入眠障害」、ぐっすりと眠った感覚を得られない「熟眠障害」の2種類があり、早朝覚醒や中途覚醒と重複してあらわれる場合もあります。これらの症状に悩んでいる方は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

なお、中途覚醒の原因や対策方法については以下の記事で解説しています。

中途覚醒
【医師監修】中途覚醒はなぜ起きる?加齢から睡眠障害まで考えられる原因や対策を紹介

まとめ

眠りが浅く朝の目覚めが悪いと、日中の眠気や集中力の低下に繋がってしまいます。毎日スッキリと覚醒できていない方は、この機会に睡眠の質を見直してください。睡眠の質は夕食の時間帯、就寝前の過ごし方などに気をつけると高めることができます。

ただし、いつまでも睡眠の質が改善しない場合は、不眠症を発症している可能性も考えられます。心配な方は、一度医療機関に相談してみましょう。

この記事の監修者
中山明峰
中山明峰めいほう睡眠めまいクリニック 院長
めいほう睡眠めまいクリニック 院長。耳鼻咽喉科専門医、睡眠専門医、めまい専門医。1985年、愛知医科大学医学部卒業。愛知医科大学耳鼻咽喉科准教授、名古屋市立大学睡眠医療センター部長を経て、2021年に睡眠障害・めまい専門診療施設「めいほう睡眠めまいクリニック」開院。
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