夏の夜に「気温が高くて眠りにくい」と感じる方は多いのではないでしょうか。しかし、次の日に万全の体調で活動するには、しっかりと睡眠をとらなければなりません。
快適な睡眠をとるためには、寝室や寝床の温度・湿度が大切です。そのため、寝苦しさを感じる方は、理想的な温度・湿度の目安や、快適な環境を保つための方法を理解しましょう。
この記事では、寝室と寝床の理想的な温度・湿度や、気温が高くて寝苦しい夜でも快眠できる方法などを紹介します。エアコンの上手な活用方法も紹介するので、暑くて寝苦しさに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
寝苦しい夜に快適に眠るなら環境を整えることが重要
暑くて寝苦しい夜に快適な睡眠を実現するには、寝室の「環境(気温・湿度)」を整える必要があります。
快適な環境を整えるためには、寝室全体だけでなく寝床内気候(しんしょうないきこう)を確認することも不可欠です。寝床内気候とは、人と寝具の間の温度・湿度のことです。
寝室環境および寝床内気候が高温になると、睡眠前半の覚醒が増え、深いノンレム睡眠の減少に繋がります。その結果、睡眠の質が低下するので注意が必要です。
寝苦しい夜の睡眠に理想的な環境
「寝苦しい」あるいは「心地良い」と感じる気温・湿度は、人によって異なるため、一概に、「何℃以上が寝苦しい」「何℃以下が心地良い」とはいえません。
ただし、個人差はあるものの、一般的に理想とされる気温・温度は、基準があります。寝室と寝床内について理想的な環境(気温・湿度)を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
理想的な寝室の気温・湿度
理想的な寝室の環境(気温・湿度)は、以下のとおりです。
- 気温:25~26℃
- 湿度:50~60%
寝具や寝巻きによって快適に感じる気温は変わりますが、基本的にはエアコンや扇風機などで調整して上記の範囲内に保つことをおすすめします。
理想的な寝床内の温度・湿度
寝床内気候は、体温や汗が寝具内に保持されたり、寝具などの通気性が影響したりして形成されます。理想的な寝床内気候は、以下のとおりです。
- 温度:32~34℃
- 湿度:45~55%
就寝中は寝具や寝巻きによって、寝床内の温度を32~34℃に保ちましょう。
なお、寝具や寝巻きによって、保温・保湿性能が異なります。前節で述べたように、寝室の気温・湿度を25~26℃および50~60%の範囲にしたうえで、寝具や寝巻きで調整して、快適な寝床内気候を作りましょう。
寝苦しい夜でも理想的な気温・湿度を保つ方法
快適な睡眠を実現するには、寝室と寝床内気候を理想的な状態にキープしなければなりません。気温・湿度を理想的な状態に保つのにおすすめの方法は、以下の4つです。
- エアコンをつけっぱなしにする
- 遮熱性に優れたカーテンをつける
- 通気性の高い寝具を使用する
- 凍ったペットボトルを置く
各方法について詳しく説明します。
エアコンをつけっぱなしにする
快適な睡眠を実現するために、就寝の1時間ほど前からエアコンの冷房や除湿機能を使用して、「気温25~26℃、湿度50~60%」の寝室環境を保持しましょう。
エアコンの風量は、「弱」に設定することがおすすめです。冷たい空気は重いので床付近にたまりますが、風量を「弱」より強く設定すると、冷たい空気と天井近くの温かい空気もかき混ぜてしまうため、ベッド周辺が冷えにくくなります。
遮熱性・遮光性に優れたカーテンをつける
窓付近は、屋外の気温の影響を受けやすく室内の環境に影響を及ぼします。遮熱性・遮光性に優れたカーテンを取り付ければ、室温が日光で温められて上昇するのを防ぎ、エアコンが効きやすくなります。
比較的低コストで簡単に設置できるため、ぜひ検討してください。
通気性の高い寝具を使用する
通気性が低い寝具を使用すると、熱や湿気がこもりやすくなり快適に眠れません。湿気を逃し良好な寝床内気候を維持できる、通気性の高い寝具(マットレスや枕など)の使用がおすすめです。
マットレス本体・枕本体を替えられない場合は、通気性・放湿性に優れた敷きパッドやシーツを使用すると、快適な環境を維持できるでしょう。
なお、敷きパッドやシーツは、使用されている素材によって特徴が異なります。通気性・放湿性を重視するのであれば、リネン(麻)やコットン(綿)がおすすめです。
また、リネンやコットンは、吸湿性にも優れています。人は寝ている時にコップ1杯程度の汗をかくといわれていますが、リネンやコットンであれば、汗を素早く吸収し、翌朝の肌がベタベタした感覚を防ぐことも可能です。
マットレス本体の通気性については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
凍ったペットボトルを置く
ペットボトルに水を入れて凍らせたものを部屋に置くと、除湿効果が期待できます。これは、ペットボトル内部の温度と室内の温度の差によって結露が起こり、空気中の水分が除去されるためです。
なお、ペットボトル以外の容器でも使用できます。また、凍ったペットボトルの代わりに、冷やした保冷剤を部屋に置いて除湿することも可能です。
水は凍結すると膨張するため、凍らせる水の量は容量の90%程度に抑えてください。満杯に入れると、凍らした際に容器が破損する可能性があります。また、結露した水が垂れてくるため、床などが濡れないように、洗面器などの上に置いたり、タオルを敷いたりしましょう。
寝苦しい夜に快眠するためのエアコンの使い方
寝苦しい時はエアコンを活用することが有効ですが、体を冷やしすぎたり、部屋の温度を上手くコントロールできなかったりすることもあるでしょう。
以下では、快眠するためのエアコンの使い方を紹介します。
- ドライ運転モードを活用する
- サーキュレーターで冷気を循環させる
ドライ運転モードを活用する
エアコンには、冷風を送って単純に温度を下げる通常の運転モードのほかに、除湿をするドライ運転モードが備わっています。快眠をするためには、ドライ運転モードの上手な活用がおすすめです。
前述しているように、就寝中はコップ1杯程度の汗をかくといわれています。ドライ運転モードを活用すれば湿度が下がるため、寝汗が乾きやすくなって寝苦しさを軽減できるでしょう。
ドライ運転モードは弱冷房によって除湿をする仕組みなので、ゆっくりと温度を下げることが可能です。そのため、つけっぱなしにしても急激に体が冷えたり、就寝中に喉を痛めたりするリスクを軽減できます。
また、「気温の高い日は就寝前に通常の運転モードを使って寝室の温度を下げ、就寝時にドライ運転モードへ切り替える」というように、運転モードを使い分けるのも良いでしょう。
サーキュレーターで冷気を循環させる
エアコンを使う時は、一緒にサーキュレーターを使って冷気を循環させる方法もおすすめです。サーキュレーターは、直線的に風を送る性能に優れており、空気を循環させるために使用する家電です。
冷気は下方向に移動するため、エアコンの真下にサーキュレーターを配置することで、床に溜まった冷気を効率良く部屋全体に行き渡らせることができます。
まとめ
快適な睡眠を実現するうえで大切なのは、寝室や寝床内気候を整えることです。寝室の理想的な気温・湿度は25~26℃および50~60%、寝床内の理想的な温度・湿度は32~34℃および45~55%とされています。
「気温が高くて寝苦しい」と感じたら、この記事で紹介した「エアコンをつけっぱなしにする」「遮熱性・遮光性に優れたカーテンをつける」「通気性の高い寝具を使用する」「凍ったペットボトルを置く」といった対策を試してください。