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2022.11.10 更新

【医師監修】寝不足が血圧に与える影響とは?高血圧の対策方法についても解説

【医師監修】寝不足が血圧に与える影響とは?高血圧の対策方法についても解説

仕事や勉強、家事など1日にやることが多いと自分の時間が少なくなってしまいますが、どんなに忙しくても必ず確保しておきたいのが睡眠をとる時間です。

睡眠時間が足りずに寝不足に陥ってしまうと、集中力の低下や日中の眠気だけでなく、高血圧を引き起こす可能性もあります

この記事では、寝不足と血圧の関係性や高血圧の対策方法を解説します。血圧の高さに不安を感じている方はぜひ参考にしてください。

  1. 寝不足は高血圧のリスクを引き上げる
  2. 睡眠時無呼吸症候群が高血圧の原因になることも
  3. 寝不足による高血圧の対策方法
  4. 寝姿勢は「横向き寝」にする
  5. 生活習慣を見直す
  6. 就寝前の食事やアルコール、カフェインの摂取を控える
  7. 適度に運動をする
  8. 高血圧以外の寝不足によるリスク
  9. 太りやすくなる
  10. 集中力や注意力が低下する
  11. ストレスが増える
  12. 病気になりやすくなる
  13. まとめ

寝不足は高血圧のリスクを引き上げる

血圧は常に一定値を保っているわけではなく、1日をとおして変動しています。

血圧の変動に大きな影響を与えているのが、心身を活動状態に導く「交感神経」、心身を休息状態に導く「副交感神経」の2つから成る自律神経です。

交感神経は日中に活発となる神経で、血管を収縮して血圧を上昇させる役割を持っています。夕方頃になると副交感神経が優位となり、体を休めるために血圧を下げてくれます。特に体が深い休息をとっている睡眠中は、血圧が最も下がるタイミングです。

しかし、寝不足になると自律神経の乱れによって交感神経が活性化しすぎてしまい、血圧が上昇することで高血圧に繋がる場合があります

なお、一般的には最大血圧が140mmHg以上、または最小血圧90mmHg以上の状態が高血圧の判断基準だといわれています。

睡眠時無呼吸症候群が高血圧の原因になることも

高血圧は睡眠時無呼吸症候群が原因となる場合もあるので注意してください。

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり,浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気のことです。

先述したように、正常な状態では体を休めている睡眠中は血圧が最も下がるタイミングです。しかし、睡眠時無呼吸症候群を発症していると無呼吸状態から呼吸を再開する際に脳が覚醒し、交感神経が活発になることで血圧が上昇してしまいます。

また、大きないびきや無呼吸による息苦しさが主な症状である睡眠時無呼吸症候群は、睡眠の質にも悪い影響を及ぼします。症状が原因で満足に眠れない状態が続くと、寝不足による高血圧に繋がる可能性も考えられるでしょう。

なお、睡眠時無呼吸症候群は主に肥満が原因で発症します。不安な方は普段の食事に気を配り、適切な体重維持に努めましょう。気になる症状がある方は、早めに医療機関に相談することをおすすめします。

寝不足による高血圧の対策方法

高血圧は「血管に動脈硬化を引き起こす」「臓器障害の原因になる」など、体のさまざまな不調に繋がる症状なので早めの対策が必要です。

心配な方は下記の対策方法を実践し、高血圧を防ぎましょう。

<高血圧の対策方法>
  • 寝姿勢は「横向き寝」にする
  • 生活習慣を見直す
  • 就寝前の食事やアルコール、カフェインの摂取を控える
  • 適度に運動をする

以下で各対策方法を詳しく紹介します。

寝姿勢は「横向き寝」にする

「いびきをかいている」「眠っている時の呼吸が浅い気がする」場合は、横向き寝を意識するようにしましょう。横向きで眠ると呼吸に必要な気道を確保しやすくなり、無呼吸の症状による血圧の上昇を防ぎやすくなります

寝姿勢としては仰向けも定番ですが、血圧の上昇が心配な方は避けましょう。仰向けの姿勢で眠ると重力によって下側に舌が下がってしまい、気道が狭くなることで睡眠時無呼吸症候群の症状の発生に繋がります。

生活習慣を見直す

高血圧の原因である寝不足を防ぐためには、規則正しい生活習慣を心がけることが大切です。

生活習慣の乱れは寝不足に繋がり、結果的には高血圧をはじめとした生活習慣病に繋がります。生活習慣の乱れを直す第一歩は、食生活の改善です。食事は毎日同じ時間にきちんととる、糖分、塩分は控えめにし、脂っこい食事は避けましょう

特に連休は生活習慣が乱れやすいタイミングなので注意が必要です。仕事の日、休みの日に関係なく、毎日決めた時間に起床・就寝したうえで規則的なリズムに沿って生活を送りましょう。

就寝前の食事やアルコール、カフェインの摂取を控える

寝不足を防ぐには、睡眠の質が低くならないように気をつけることが重要です。睡眠の質が低下する原因はさまざまあり、普段の何気ない行動が睡眠の質の低下に繋がっている可能性もあります。

例えば、就寝前の食事は睡眠の質の低下に繋がりやすい行動の一つです。就寝前に食事をすると睡眠中に行われる消化活動によって脳が刺激され、目が覚めやすくなってしまいます。

消化活動には2時間〜3時間程度かかるため、睡眠の質を意識するなら就寝3時間前までには夕食を済ませておく必要があります。

また、就寝前にホッと一息つくためにお酒やコーヒーを飲まれる方もいるでしょう。しかし、アルコール・カフェインには眠りを浅くする作用があるので注意が必要です。睡眠の質を高めるためにも、就寝前のアルコールやカフェインの摂取は避けましょう。

適度に運動をする

適度に運動をする

普段体を動かす機会が少ない方は、適度に運動をするように心がけましょう。習慣的な運動には睡眠の質を高める効果があり、寝不足を防ぐことに繋がります

特に夕方〜夜の時間帯に行う運動は効果的なので、時間に余裕がある方はぜひ意識してみてください。

睡眠に良い運動は、有酸素運動です。100メートルの短距離を疾走するよりも、2~3kmの長距離を早歩き、または軽くジョギングするのが良いでしょう。

ただし、就寝直前の運動は体を興奮させてしまい、寝つきの悪さに繋がるので注意しましょう。就寝直前に体を動かす際は、軽めのストレッチに留めることをおすすめします。

高血圧以外の寝不足によるリスク

寝不足の状態が続くと、下記のように高血圧以外にも心身のさまざまな不調に繋がってしまうので気をつけてください。

<寝不足によるリスク>
  • 太りやすくなる
  • 集中力や注意力が低下する
  • ストレスが増える
  • 病気になりやすくなる

以下で詳しい内容を順番に紹介します。

太りやすくなる

人間の食欲は、主に食欲を抑える「レプチン」と食欲を増進させる「グレリン」と呼ばれる2つのホルモンによって調整されています。自然と食欲をコントロールできているのは、これらのホルモンが必要に応じて作用しているおかげです。

しかし、寝不足になるとホルモンのバランスが崩れ、食欲を抑えるレプチンが減る代わりに食欲を増進させるグレリンが増えてしまいます。その結果、いつもより食事の量が増えてしまい、太ってしまうことがあります。

集中力や注意力が低下する

寝不足がもたらす体の不調として代表的なのが、集中力や注意力の低下です。夜にしっかり眠れていないと日中に強い眠気が襲ってくるため、普段に比べると集中力や注意力が低下してしまいます。

ストレスが増える

人は強いストレスに対して、副腎からコルチゾールなどのホルモンを分泌することで対応しています。しかし、寝不足の状態が続くと睡眠中に分泌されるコルチゾールの量が少なくなってしまい、普段よりもストレスの影響を受けやすくなります

また、「イライラしやすくなる」「不安を感じやすくなる」など、寝不足は精神の健康面にも悪い影響を及ぼします。精神的に余裕がない状況が続くことで、更なるストレスの増加に繋がってしまいます。

病気になりやすくなる

睡眠中は副交感神経が優位となって心身がリラックス状態になるため、免疫力が増加します。例えば、体調が優れない時に眠ると回復しやすくなるのは、眠っている際に免疫力が増加しているおかげです。

免疫力は睡眠中の胃腸内で作られます。睡眠直前にご飯を食べると、胃腸は消化活動のために休めず、さらに免疫力を低下させることとなるので、遅い時間の食事はなるべく避けてください。

寝不足の状態だと免疫力が低下してしまい、病気にかかりやすくなります。健康的な生活を送るためにも寝不足は早めに解消し、質の良い睡眠をとるように心がけましょう。

まとめ

寝不足は高血圧をはじめ、肥満やストレスの増加、集中力や注意力の低下など、さまざまな体の不調に繋がります。寝不足気味の方は、この機会に睡眠時間の長さや睡眠の質を見直してみましょう。

また、高血圧を防ぐためには、普段の生活習慣に気を配ることが大切です。生活習慣の改善は、高血圧以外の生活習慣病を防ぐことにも繋がります。不規則な生活を送っている方は、ぜひこの機会に規則正しい生活を心がけてみてください。

この記事の監修者
中山明峰
中山明峰めいほう睡眠めまいクリニック 院長
めいほう睡眠めまいクリニック 院長。耳鼻咽喉科専門医、睡眠専門医、めまい専門医。1985年、愛知医科大学医学部卒業。愛知医科大学耳鼻咽喉科准教授、名古屋市立大学睡眠医療センター部長を経て、2021年に睡眠障害・めまい専門診療施設「めいほう睡眠めまいクリニック」開院。
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