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2022.12.12 更新

【医師監修】朝早く目が覚める「早朝覚醒」とは?症状や原因、対処法をわかりやすく紹介

【医師監修】朝早く目が覚める「早朝覚醒」とは?症状や原因、対処法をわかりやすく紹介

「朝早く起きてしまうのに、日中に眠気や疲労感が残っている」という症状に心当たりがある方は、「早朝覚醒(そうちょうかくせい)」である可能性があります。

早朝覚醒は不眠症状の一つであり、長期間にわたって症状が続く場合は「不眠症」として日常生活に支障をきたすため、違和感がある時点で対処することをおすすめします。

この記事では早朝覚醒を含めた4種類の不眠症の特徴や原因、不眠症への対処法についてわかりやすく紹介します。

「最近なぜか睡眠の質が低い気がする…」という悩みを持っている方は、ぜひ参考にしてください。

  1. 早朝覚醒って何?
  2. 早朝覚醒以外にも不眠症は3種類ある
  3. 早朝覚醒の原因として考えられるもの5つ
  4. 加齢による睡眠時間の減少
  5. 日常のストレスや緊張
  6. 生活リズムや生活習慣の乱れ
  7. アレルギーなどの体の疾患
  8. うつ病などの精神疾患
  9. 睡眠の質を高めて早朝覚醒を対処する方法
  10. 規則正しい生活習慣を心がける
  11. 就寝や起床の時間を整える
  12. 朝起きたら太陽の光を浴びる
  13. 睡眠時の環境を整える
  14. まとめ

早朝覚醒って何?

「早朝覚醒(そうちょうかくせい)」とは、本来起きる時間よりも2時間以上早く起きてしまい、それ以降眠れなくなる症状のことを指します。

前述のとおり、早朝覚醒は不眠症状の一つで、この状態が1ヶ月続く場合は「不眠症」である可能性が高いです。

倦怠感や食欲不振、集中力低下のほか、さまざまな体調不良の症状に繋がるリスクがあります。

もし早朝覚醒の疑いがある場合は、早めの対処を心がけましょう。

早朝覚醒以外にも不眠症は3種類ある

早朝覚醒以外にも「不眠症」と呼ばれる症状には以下の3種類があります。

  • 入眠障害
  • 熟眠障害
  • 中途覚醒

それぞれの特徴や症状を紹介するため、覚えておきましょう。

入眠障害の特徴や症状

「入眠障害(にゅうみんしょうがい)」とは、ベッドに入ってから寝付くまでに30分~1時間以上かかり、それを苦痛と感じる症状のことを指します。

日常的に精神的な不安やストレスを感じている場合になりやすいとされる不眠症です。主な原因としては下記のようなものが考えられます。

  • 心配性や神経質な性格
  • 生活リズムが不規則
  • 就寝前に長めの睡眠をとっている
  • 寝る前のカフェイン摂取
  • 寝室の気温・湿度が快適ではない
  • 寝具が体に合っていない

上記のように、環境によって眠れないほか、試験や面接、プレゼンなど、緊張する行事があると不安で眠れなくなるといった精神的な面も大きく影響しています。

とくに心配性な方であれば、「眠れないことで明日に影響が出る」という不安感でさらに眠れなくなることもあります。

熟眠障害の特徴や症状

「熟眠障害(じゅくみんしょうがい)」とは、十分な睡眠をとったにもかかわらず、ぐっすり寝たと感じられず眠りが浅いという症状のことを指します。

熟眠障害の主な原因としては以下のようなものが考えられます。

  • 日常的にストレスを抱えている
  • 睡眠時無呼吸症候群やうつ病などの病気を抱えている
  • 喘息や花粉症などを夜間に発症する
  • 夢中遊行など睡眠中に異常行動を起こしている

上記のように、ストレスなどの精神的原因に加えて、持病などによって睡眠の質が低下していることが原因で、「いくら寝ても寝た気がしない」という状態になっているといった特徴があります。

ストレスの原因や持病が解消することにより改善されることもありますが、長期的に続く場合は不眠症として日常生活に支障をきたすため、ほかの睡眠障害と同じく注意が必要です。

中途覚醒の特徴や症状

「中途覚醒(ちゅうとかくせい)」とは、睡眠中に何度も目が覚め、一度起きてしまうとその後は寝つけなくなる症状のことを指します。

中途覚醒の原因としては、以下のようなものが考えられます。

  • 加齢により眠りが浅い
  • 日常生活において不安や心配ごとがある
  • 翌日に楽しみなことがある
  • 寝る前にアルコールを摂取している
  • 寝る前にコーヒーや緑茶などを摂取している
  • 睡眠時無呼吸症候群やうつ病などの病気を抱えている
  • 脳血管障害や認知症などの脳変性疾患を抱えている

上記のように、中途覚醒は高齢者に多いとされているほか、寝る前にアルコールやコーヒーなど、利尿作用がある飲み物を摂取する習慣がある方に多い症状とされます。

習慣による場合は見直すことで改善する可能性がありますが、持病などにより中途覚醒の症状があり、日常生活に支障をきたしている場合は医師に相談することをおすすめします。

早朝覚醒の原因として考えられるもの5つ

早朝覚醒以外の原因として、以下の5つが考えられています。

  • 加齢による睡眠時間の減少
  • 日常のストレスや緊張
  • 生活リズムや生活習慣の乱れ
  • アレルギーなどの体の疾患
  • うつ病などの精神疾患

ここからは、それぞれ詳しく紹介します。

加齢による睡眠時間の減少

人の睡眠時間は、一般的に6〜8時間が平均的とされています。

しかし、人それぞれの体質や季節のほか、年齢によっても平均的な睡眠時間は異なります。

とくに年齢では、人は歳を重ねるほど睡眠時間は短くなるとされています。下記の表のように、人の睡眠時間の平均は歳とともに徐々に減少することがわかっています。

年齢睡眠時間の平均
10歳代前半8時間以上
25歳約7時間
45歳約6.5時間
65歳約6時間

出典:厚生労働省健康局 健康づくりのための睡眠指針2014

個人差があるため一概にはいえませんが、高齢者の方は若年層よりも睡眠時間が短い傾向があるため、早寝早起きになります。

睡眠だけではなく、血圧やホルモン分泌など、睡眠を支える生体機能リズムが前倒しになるため、高齢者の方の場合、早朝覚醒の症状は病気ではありません。

日常生活に問題がなければ、早朝覚醒を問題視せず、早く起きた時間を有意義に過ごしましょう。

水野泰孝

水野泰孝

グローバルヘルスケアクリニック院長

高齢者でも日中の活動量が多い方は、その分良質な睡眠、言うなれば熟眠が得られるのではないかと思います。ただし、短い睡眠時間が連日続くような状況は避けたいものです。

日常のストレスや緊張

ストレスや日常的な緊張により不眠症の症状があらわれる方もいます。

とくに神経質な方や生真面目な方はストレスを感じやすく、不眠症になりやすいとされています。

仕事や家庭でのストレスや緊張を抱えている方は、日常の中に自分なりの発散、解消方法を取り入れ、リラックスできる時間を作りましょう。

生活リズムや生活習慣の乱れ

夜勤や交代勤務制などで生活リズムが乱れている場合も、不眠症になりやすいと考えられます。

夜勤と日勤が交互に繰り返されるなど、生活リズムが安定しない場合、体内リズムが狂うことで、意図しない時間に目が覚めるなどの症状があらわれることがあります。

長期的に生活リズムが崩れてしまうと、それが習慣化してしまい早朝覚醒が続いてしまうこともあります。

後述している対処法でも紹介しますが、一定の生活リズムと睡眠サイクルを習慣化することが大切です。

アレルギーなどの体の疾患

アレルギーや持病など、体の疾患によって睡眠が妨げられている場合も不眠の原因となります。

人によって原因や症状の大きさはさまざまですが、一例としては下記のようなものが挙げられます。

  • 高血圧や心臓病(胸苦しさ)
  • 呼吸器疾患(咳・発作)
  • 腎臓病・前立腺肥大(頻尿)
  • 糖尿病
  • 関節リウマチ(痛み)
  • アレルギー疾患(かゆみ)
  • 脳出血や脳梗塞
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • ムズムズ脚症候群(レストレスレッグス症候群)

上記のような疾患によって不眠症状があらわれている場合は、早朝覚醒について対処しようとするよりも、原因になっている疾患の治療を優先したほうが良いでしょう。

疾患が治ることで、不眠症も自然と改善することが期待できます。

水野泰孝

水野泰孝

グローバルヘルスケアクリニック院長

睡眠医学を専門とする医師は精神科に多いです。早朝覚醒の症状があり医療機関を受診したい場合、メンタルクリニックなどで睡眠外来などを掲げている医師に相談すれば、適切なアドバイスが得られるでしょう。

うつ病などの精神疾患

体の疾患だけではなく、心の病気(精神疾患)も不眠に大きく影響します。

例えば、うつ病の約9割の方は何かしらの不眠症状も伴っているとされています。また、不眠症状がある人はうつ病にかかりやすいといったように、相互に影響しやすい関係でもあります。

そのため、「不眠症と思っていたらうつ病だった」というケースも少なくありません。

ほかにも、精神疾患に対する治療薬の副作用が、睡眠の妨げになっているケースもあります。

精神疾患が関係している場合は、自分で解決しようとせず、専門の医師に相談することがおすすめです。

睡眠の質を高めて早朝覚醒を対処する方法

睡眠の質を高めて早朝覚醒を対処する方法

不眠症状を改善するためには、睡眠の質を高めることが大切です。具体的な対処法として、次のようなものが挙げられます。

  • 規則正しい生活習慣を心がける
  • 就寝や起床の時間を整える
  • 朝起きたら太陽の光を浴びる
  • 睡眠時の環境を整える

それぞれの対処法について、以下で詳しく紹介します。

規則正しい生活習慣を心がける

規則正しい生活習慣を心がけることは、睡眠の質を高めるために必要な基本的なものです。

例えば、定期的な運動は、ほど良い疲労感により心地良い睡眠に繋がります。規則正しくバランスの良い食事は睡眠のリズムを整えることにも繋がります。

そのほか、就寝前には、ブルーライトによる覚醒効果がある「スマホ」「パソコン」の操作や、覚醒効果に加えて利尿効果がある「アルコール」や「カフェイン」の摂取を避けるなど、睡眠の質を低下させないための習慣も大切です。

就寝や起床の時間を整える

睡眠・覚醒は、体内リズムによって調整されています。

そのため、体内リズムを整えることは睡眠のリズムを整えることに繋がります。

休日前などの夜更かしや、休日の長時間睡眠、昼寝のしすぎは体内リズムを崩す原因になるので注意しましょう。

毎日一定の時間に就寝、起床することで体内リズムが整い、習慣化すれば自然に質の高い睡眠がとれるようになります。

朝起きたら太陽の光を浴びる

人の体内リズムは、1日1時間ズレるといわれていますが、太陽の光を浴びることで体内時計をリセットできます。

さらに、太陽の光を浴びてから14時間後以降には、睡眠を促す「メラトニン」という脳内ホルモンが分泌されるため、自然な眠気が発生します。

このような効果により、朝に太陽の光を浴びることで夜の寝つきがよくなり、夜更かしを避け、睡眠の質を高められます。

睡眠時の環境を整える

日常的な生活リズムのほか、下記のような方法で睡眠時の環境を整えることも、睡眠の質を高めるためには大切です。

  • 就寝前にリラックスタイムをつくる
  • 寝室の温度や湿度を快適にする
  • 自分に合う寝具を使う

上記について、それぞれ以下で詳しく紹介します。

就寝前にリラックスタイムをつくる

寝る前は、「ヒーリングミュージックを聴く」「アロマを炊くなどしてリラックスする」などおこない、副交感神経を優位にすると、自然な眠気が促され、心地良く入眠できます。

また、半身浴やぬるめのお湯で入浴することもリラックスに繋がるうえ、体の緊張をほぐし副交感神経が優位な状態になるため、おすすめです。

このように、就寝前にリラックスできる時間を設けることで、就寝後の睡眠の質が高まることがわかっています。

水野泰孝

水野泰孝

グローバルヘルスケアクリニック院長

就寝前に副交感神経を優位にさせる手段として、上記以外にも「間接照明にする」「照明を落とす」などの方法もあります。

寝室の温度や湿度を快適にする

心地良く眠るためには、寝室の湿度や温度にも気を配りましょう。

睡眠のための適温は20℃前後で、湿度は40%~70%ほど、寝床内の環境は個人差もありますが、33℃±1℃、湿度は50%±5%が最適とされています。

快適な室内、寝床環境を作ることは睡眠の質に大きく影響するため、日頃から意識しましょう。

自分に合う寝具を使う

寝室環境よりさらに睡眠の質に影響するのが寝具(枕・マットレス・布団など)です。

例えば、使っているマットレスが硬すぎる場合、体が沈まず、肩や腰など一部で体を支えることになるため、血行不良になり肩こりや腰痛などの体調不良に繋がります。

一方で、柔らかすぎても腰などの体重がかかりやすい部分が集中的に沈み込み、寝姿勢が「くの字」になります。

その状態では寝返りが打てず、腰に長時間負担がかかるため、硬すぎる場合と同じく体調不良の原因になります。

マットレスなどの寝具は体型や体重によって人それぞれ感じ方や合うものが異なるので、自分で確かめながら自分の体に合う寝具を見つけることが大切です。

人生の3分の1とも言われている睡眠において、寝具が自分に合っていなければ「とくに心身に問題がない」という方でも不眠の症状に繋がる可能性があります。

睡眠の質を高めるのであれば、寝具にはこだわりましょう。

まとめ

早朝覚醒とは、本来起きる時間よりも2時間以上早く起きてしまい、それ以降眠れなくなる睡眠障害の一つです。

長期的に続く場合は「不眠症」として、日常生活にも影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

不眠症による症状をなるべく軽減させる方法として、日頃から睡眠の質を高める行動を心がけましょう。

睡眠の質を高めるためには、生活習慣の見直しや、睡眠時にリラックスできる環境を作ることが効果的です。

この記事の監修者
水野泰孝
水野泰孝グローバルヘルスケアクリニック院長
グローバルヘルスケアクリニック院長。昭和大学医学部医学科卒業後、東京慈恵会医科大学大学院医学研究科、長崎大学熱帯医学研究所、タイ王国マヒドン大学熱帯医学部、バングラデシュ国下痢症疾患研究所、連合王国ロンドン大学公衆衛生・熱帯医学部を経てグローバルヘルスケアクリニック院長へ。
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