睡眠は毎日しっかりとるのが理想ですが、仕事や勉強などで忙しく過ごしていると思うように睡眠時間を確保できないこともあります。
なかには、普段の寝不足を休日に寝だめをすることで解消できないか検討している方もいるのではないでしょうか。
しかし、休日の寝だめは、睡眠の質の低下に繋がるためおすすめできません。この記事では寝だめの効果の有無やおすすめできない理由、寝だめをせずに済む方法などを解説します。
休日の寝だめは効果あり?
寝だめには大きく分けて「先取り睡眠」と「補充睡眠」の2種類があります。
先取り睡眠は、事前に長く眠ることで未来の睡眠不足に備える睡眠です。例えば、「来週は仕事が忙しくて眠る時間がないため、今週末に寝だめをする」などのような眠り方を指します。
しかし、先取り睡眠は寝だめの効果がありません。十分な睡眠を確保できている状態で長く眠っても、脳は休息できないからです。先取り睡眠をしたところで後々睡眠時間が不足すれば、寝不足に繋がります。
一方、補充睡眠は、過去の睡眠不足を解消するために後でまとめて眠る睡眠を指します。補充睡眠は一定の寝だめ効果があると考えられており、普段の寝不足で溜まった疲労の回復効果に期待できるでしょう。
休日の寝だめはおすすめできない
補充睡眠は一定の疲労回復効果があるものの、眠りすぎると体内時計にずれが生じてしまうため、休日の寝だめはおすすめできません。
体内時計とは、体の生体リズムを調整してくれている機能を指します。体内時計が脳から指令を出すことで日中は活動モードに、夜は休息モードに心身の状態は切り替わっています。例えば、夜の時間は自然と眠気が訪れますが、これは体内時計が心身を休息状態に導いてくれているおかげです。
しかし、寝だめをして体内時計がずれると覚醒と休息のバランスに乱れが発生し、朝起きるのがつらくなるほか、いつもの就寝のタイミングで眠れなくなってしまいます。十分な睡眠をとれなくなることで、仕事や勉強のパフォーマンスの低下にも繋がるでしょう。
体内時計のリズムを維持するためには、休日かどうかに関係なく毎日きちんと睡眠をとることが大切です。どうしても休日に多く眠りたい場合は、長くても普段の睡眠時間に加えて+2時間までに留めることをおすすめします。
休日に寝だめをせずに済む方法
休日の寝だめはおすすめできませんが、癖になっていると無意識のうちに眠りすぎてしまうこともあるでしょう。このような方は、休日に寝だめをせずに済むよう工夫してみてください。以下で休日に寝だめをせずに済む方法を3つ紹介します。
休日に人と会う約束を入れる
休日に眠りすぎてしまう方は、事前に人と会う約束を入れておくのがおすすめです。休日に人と会う約束をしている場合は約束の時間までに起きる必要があるため、眠りすぎを防ぐことができます。
約束の時間はお互いの都合によって左右されますが、可能であれば午前中などの早めの時間帯が良いでしょう。約束の時間が早いほど朝起きる時間も早くなり、寝すぎてしまう心配を減らせます。
寝室の環境を変えてみる
休日の寝だめを防ぐには、寝室の環境を変えるのが効果的です。朝に目が覚めやすいような環境を整えることで、眠りすぎを防ぎやすくなります。
目が覚めやすい環境を整えるには、目覚まし時計の活用が定番です。一般的な目覚まし時計で起きるのが難しくても、「スヌーズ機能が付いている製品を使う」「アラームを止めるために一工夫必要な製品を使う」などすれば、朝に起きやすくなる可能性が高まります。
このほか、窓から陽の光が入りやすいように家具の位置を変えてみるのもおすすめです。朝日が入ってくることで、自然と眠りから目を覚ますことができます。
平日にしっかりと睡眠をとる
休日に寝だめをしてしまう主な原因は、平日の睡眠不足の可能性が高いです。
そのため、平日はしっかり眠って睡眠不足を解消するように心がけましょう。忙しさを理由に平日の睡眠時間を確保するのが難しい場合は、1日のスケジュールを見直してみてください。
休日の寝だめに頼ってしまう人は睡眠の質を見直そう
休日についつい寝だめをしてしまう方は、普段の睡眠の質を見直してみましょう。睡眠の質を高めて深い睡眠をとれば寝不足を解消しやすくなり、休日の寝だめに頼る必要もなくなります。
多くの場合、睡眠をとって心身を癒すには「長時間眠ることが大切」だとイメージされやすいですが、それよりも質の高い睡眠をとることが重要です。
長時間眠っても睡眠の質が低いままでは、心身の疲れを十分に回復することができません。また、普段の眠りが浅いと寝不足に繋がり、寝不足は休日の寝だめに繋がります。そのため、平日に深く眠れていないと感じる方は、睡眠の質を向上させるために工夫しましょう。
ただし、睡眠の質が高くても、睡眠時間があまりにも短すぎる場合は寝不足に繋がるので注意してください。人によって最適な睡眠時間は異なりますが、一般的には6時間〜8時間の睡眠が理想だとされています。
睡眠の質を高める方法
ここからは、睡眠の質を高める具体的な方法を紹介します。平日により深く眠れるようになりたい方は、ぜひ実践してみてください。
- 就寝前に軽くストレッチをする
- 温かい飲み物を飲んで体温を上昇させる
- 夕食は就寝3時間前までに済ませる
- 就寝前はリラックスして過ごす
- 体に合っている寝具を使う
以下で各方法の内容を順番に見ていきましょう。
就寝前に軽くストレッチをする
睡眠の質を高めるには、就寝前のストレッチが有効です。ストレッチをすると体の緊張がほぐれ、より寝つきが良くなる効果を得られます。暗い部屋で行うとリラックス効果にも期待できるので、ぜひ実践してみてください。
ただし、体を激しく動かすタイプのストレッチは、睡眠の妨げとなってしまう可能性があるので気をつけましょう。睡眠の質を高めるためにストレッチをするのなら、軽めのものに留めることをおすすめします。
温かい飲み物を飲んで体温を上昇させる
人間の体は、夜に深部体温が低くなることで休息状態となり、眠気が訪れる仕組みになっています。
この深部体温を就寝のタイミングで下げるには、就寝前に温かい飲み物を飲むのが効果的です。温かい飲み物を飲んで体温が上昇すると、その後体温が下がっていく際に自然な眠気が訪れてくれます。
ただし、アルコールやカフェインが含まれている飲み物は、睡眠の妨げとなるので就寝前に飲むのは避けましょう。就寝前に口にする飲み物は、白湯やホットミルク、ホットココアなど、刺激が少なく飲んでいて気分がリラックスするものを選ぶのがおすすめです。
夕食は就寝3時間前までに済ませる
睡眠の質を高めるためには、夕食をとるのが遅くなりすぎないように気をつけることも重要です。就寝直前に食事をすると睡眠中に行われる消化活動によって休息をとっている脳が刺激されてしまい、目が覚めやすくなる可能性があります。
一般的に、消化活動にかかる時間は2時間〜3時間だといわれています。消化活動が終わった段階で眠るためにも、夕食は就寝3時間前までに済ませることをおすすめします。
就寝前はリラックスして過ごす
就寝前に心身が緊張状態にあると、寝つきが悪くなる可能性があります。そのため、就寝前はできるだけリラックスして過ごすようにしましょう。
リラックスするには、「気持ちが落ち着くアロマを焚く」「クラシックや自然音などの聴き心地が良い音楽を流す」「読書をする」などの方法が効果的です。適したリラックス方法が見つからない場合は、自分がどんな時にリラックスできるのかを思い返してみると良いかもしれません。
体に合っている寝具を使う
枕やマットレスなどの寝具は、自分の体に合った製品を使いましょう。寝具が自分の体に合っていれば睡眠の質が向上し、心身の疲れも回復しやすくなります。
反対に「マットレスが硬すぎる」「枕が高すぎる」など、寝具が体に合っていない場合は違和感が生じてしまい、なかなか寝つくことができないので注意してください。横になった時に違和感や寝にくさを感じる方は、この機会に寝具の買い替えを検討しましょう。
まとめ
休日に長時間眠るとスッキリとした感覚を得られるかもしれませんが、寝だめは睡眠の質の低下に繋がります。
寝だめが癖になっている方はこの機会に普段の睡眠の質を見直し、寝だめをしなくても済むような生活を送るように心がけましょう。