高いパフォーマンスを維持しながら仕事や勉強に取り組むためにも、日中は眠気を感じずに過ごしたいところです。
しかし、睡眠不足が原因で、目を開けているのが辛いほどの眠気が襲ってくることもあります。眠気のせいで作業に集中できず、悩んでいる方は多くいらっしゃるでしょう。
この記事では、目を開けているのが辛いほど眠くなる原因や目の疲労を対策する方法について解説します。
目を開けているのが辛いほど眠いと感じる原因
「日中に目を開けているのが辛いほど眠い」と感じる原因は、主に日頃の睡眠不足にあります。
睡眠は脳や体の疲労を回復するうえで欠かせない行為です。毎日ぐっすり眠って心身の疲れをとることで、日々の活力や健康は保たれています。
しかし、睡眠が不足して心身に疲れが溜まっていると日中の強い眠気に繋がってしまい、集中力や注意力が低下してしまいます。眠気の強さによっては、目を開けているのが辛いと感じる場合もあるでしょう。
そのため、日中の眠気に悩んでいる方は、睡眠不足の原因を取り除くことから始めましょう。睡眠不足の原因はさまざまですが、よくある原因として挙げられるのが下記の3つです。
- 体内時計の乱れ
- 月経や妊娠による体温の上昇
- 睡眠障害
体内時計の乱れ
体内時計とは、体の生体リズムを調整してくれている機能のことです。
体内時計は人間の脳にあり、ここから指令を出すことで日中は活動モードに、夜は休息モードに体の状態を切り替えてくれています。例えば、人間は夜になると自然と眠気が訪れる生き物ですが、これは体内時計が心身を休息状態に導いてくれているおかげです。
しかし、体内時計は不規則な生活習慣などが原因で乱れることがあります。体内時計が乱れると覚醒と休息のリズムも乱れてしまい、就寝の時間になっても眠気が訪れず、睡眠不足に陥ってしまいます。
松岡俊行
江坂まつおか眼科院長
ヒトの体内時計は約25時間の周期で、1日1時間のズレが生じます。私たちは、太陽の光を浴びることで、このズレを修正します。従って、起床後なるべく早く太陽の光を浴びることが対策になります。
体内時計は、網膜からの光信号を受けてメラトニンというホルモンの分泌をコントロールしています。また、自律神経のバランスを整えることも重要です。活動モードの交感神経を日中に、休息モードの副交感神経を夜間によく働くよう促してやると良いでしょう。
日中は運動不足にならないように心がける、就寝前の長時間のパソコンやスマホ使用は避け、就寝時刻に照明を落とす、就寝前に入浴して体の深部体温を上げ、体温が下がってきたタイミングで眠りに就くのが効果的です。
月経や妊娠による体温の上昇
人間は体内部の温度「深部体温」が下がることで脳や体が休息状態となり、眠気が訪れるようになっています。深部体温は夜になると自然と下がり、スムーズな入眠をサポートしてくれています。
しかし、場合によっては深部体温が下がらず、寝つきにくくなることがあります。深部体温が下がりにくくなる原因はさまざま考えられますが、なかでも多いのが月経や妊娠によるホルモンバランスの変化です。
月経前や妊娠中は体内の女性ホルモンのバランスが変化し、普段よりも体温が高くなります。それに伴い深部体温も下がりにくくなり、夜に眠気が訪れず睡眠不足に繋がります。
睡眠障害
睡眠障害とは、睡眠に関連した病気の総称です。病気の種類によっては睡眠の妨げとなる症状があらわれ、睡眠不足に繋がってしまいます。下記は睡眠不足に繋がる病気の一例です。
- 睡眠時無呼吸症候群
- レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)
- 概日リズム睡眠覚醒障害
睡眠不足の原因が病気にある場合は、まず治療に専念することが大切です。不安な点がある方は、医療機関に相談してみると良いでしょう。
しっかり眠っているのに目を開けているのが辛いのはなぜ?
夜にしっかり眠っているにもかかわらず目を開けているのが辛いのは、疲れ目である可能性が高いです。
疲れ目とは、目が疲れた感覚が一時的に生じている状態を指します。疲れ目の主な原因は、目の酷使によって生じる筋肉疲労です。
人間の目は、カメラのレンズのような役割を持つ水晶体を調節しながらピントを合わせています。水晶体は毛様体筋と呼ばれる筋肉によって調節されており、遠くを見る時は筋肉を緩ませて水晶体を薄くし、近くをみる時は筋肉を緊張させて水晶体を厚くすることで調節を行っています。
そのため、パソコン・スマホ操作などで近くにあるものを長時間見ていると、毛様体筋が緊張し続けてしまいます。その結果、筋肉疲労が起きてしまい、「目を開けているのが辛い」といった疲れ目の症状に繋がります。
なお、疲れ目の症状は目を休ませると緩和されていきます。目に疲れを感じた時は、無理せず休憩すると良いでしょう。
心身に不調がある場合は眼精疲労の可能性も
目の疲れに加えて心身の不調を感じる方は、眼精疲労になっている可能性も考えられます。
眼精疲労は、疲れ目がさらに進行した状態です。休息をとることで回復する疲れ目とは違い、休んでもなかなか回復しないのが特徴です。疲れ目よりも症状は重く、目の疲労以外に下記のような心身の不調があらわれる場合もあります。
- 頭痛
- 肩こり
- 吐き気
- 不眠
- 食欲や集中力の低下
- 倦怠感
また、眼精疲労は目の酷使だけでなく、目の病気が原因で起きる可能性もあります。気になる症状がある方は、早めに眼科を受診しましょう。
原因によって対策が異なりますので、自己判断せず眼科を受診しましょう。
単にメガネやコンタクトレンズの度が合ってない場合から、老眼、ドライアイ、水晶体が濁る白内障、網膜の視神経が障害される緑内障、まぶたが下がってくる眼瞼下垂、眼瞼痙攣などさまざまな病気の可能性があります。
早めに受診して原因を突き止め、適切な治療を受けることが大切です。
松岡俊行
江坂まつおか眼科院長
眼精疲労は原因によって対策が異なりますので、自己判断せず眼科を受診しましょう。
単にメガネやコンタクトレンズの度が合ってない場合から、老眼、ドライアイ、水晶体が濁る白内障、網膜の視神経が障害される緑内障、まぶたが下がってくる眼瞼下垂、眼瞼痙攣などさまざまな病気の可能性があります。
早めに受診して原因を突き止め、適切な治療を受けることが大切です。
目の疲労を対策する方法
疲れ目に悩んでいる方は、過度な疲労がたまらないように普段から対策しましょう。疲れ目の対策には、下記の5つが有効です。
- こまめに目を休ませる
- 睡眠をしっかりとる
- 眼球を動かしてストレッチする
- コンタクトレンズと眼鏡を使い分ける
- ホットタオルやホットアイマスクで目元を温める
以下で具体的な対策方法を解説します。
こまめに目を休ませる
疲れ目は目の酷使によって起こるため、こまめに休ませてあげることが大切です。少しでも疲れを感じたらすぐに休憩し、疲労がたまらないように心がけましょう。
特にデスクワークなど目に負担がかかる作業が多い方は、入念にケアをしてあげることが重要となります。長時間パソコンで作業をする際は、1時間おきに10分程度目を休ませるようにしてください。
睡眠をしっかりとる
目が疲れやすい方は、普段からしっかり睡眠をとるように意識してください。適度に睡眠をとることで目の周辺の筋肉や視神経がリラックスし、疲れ目を防ぎやすくなります。
また、しっかり眠れていれば目の周りの血行が良くなり、「まぶたが軽くなる」「視界がスッキリする」などのうれしい効果も得られます。
眼球を動かしてストレッチする
目に疲れを感じた時は休息をとるのが一番ですが、忙しいなどの理由から休憩するのが難しい場合もあるでしょう。そんな時は、眼球を動かすストレッチをするのがおすすめです。
眼球を動かして目をストレッチすると目の周辺の筋肉がほぐれ、リフレッシュすることができます。ストレッチは、「目を上下左右に動かす」「目をぎゅっとつぶる」など簡単な運動で問題ありません。仕事中や勉強中でも手軽に行えるので、ぜひ実践してみてください。
コンタクトレンズと眼鏡を使い分ける
普段コンタクトレンズを使っている方はずっとコンタクトを装着するのではなく、眼鏡と使い分けるようにしましょう。
コンタクトレンズを長時間つけていると水分の蒸発が増え、目が乾きやすくなってしまいます。目が乾くと目に負担がかかりやすくなり、疲れ目に繋がる場合があります。
乾き目を防ぐためにも、コンタクトレンズをつけるのは仕事中のみ、ほかの時間は眼鏡を使うなどして対策すると良いでしょう。
ホットタオルやホットアイマスクで目元を温める
疲れ目対策には、目元を温めるのも効果的です。ホットタオルやホットアイマスクで目元を温めると目の周辺の筋肉がほぐれ、疲れ目を防ぐことができます。
また、目元を温めることで、疲れ目の原因の一つである目の乾きも改善しやすくなります。目を酷使する作業が多い場合は、ホットタオルやホットアイマスクを常備しておくと良いかもしれません。
疲れ目を防ぐために睡眠をとるのなら「眠りの質」を重視しよう
疲れ目の対策として睡眠をとる場合は、できるだけ質が高い睡眠をとるように心がけましょう。睡眠の質を高めてぐっすり眠れていれば、目をはじめとした心身の疲れをしっかり癒すことができます。
反対に睡眠の質が低い場合は心身の疲れがとれず、思うようにリフレッシュできないので注意してください。眠りが浅い日々が続くと睡眠不足となり、睡眠不足が疲れ目や眼精疲労の悪化に繋がる場合もあります。
睡眠不足が続くと、体内時計と実際の身体の動きが合わなくなり、自律神経のバランスが崩れます。その結果、身体の疲れが残りやすくなり、頭痛、めまい、下痢、倦怠感などの不調を引き起こします。
さらには精神的なイライラや、集中力の低下、抑うつ症状が起こりやすくなります。ホルモンバランスの乱れが長期間続くと、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが高まります。
松岡俊行
江坂まつおか眼科院長
睡眠不足が続くと、体内時計と実際の身体の動きが合わなくなり、自律神経のバランスが崩れます。その結果、身体の疲れが残りやすくなり、頭痛、めまい、下痢、倦怠感などの不調を引き起こします。
さらに精神的なイライラや、集中力の低下、抑うつ症状が起こりやすくなります。ホルモンバランスの乱れが長期間続くと、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが高まります。
睡眠の質を高める方法
睡眠の質は主に下記の方法で高めることができます。
- 就寝前に軽くストレッチをする
- 温かい飲み物を飲んで体温を上昇させる
- 夕食は就寝3時間前までに済ませる
- 就寝前の時間はリラックスして過ごす
- 体に合っている枕やマットレスを使う
就寝前に軽くストレッチをする
睡眠の質を高めたい方は、就寝前のストレッチを日常に取り入れると良いでしょう。ストレッチをして体の緊張がほぐれると、より寝つきが良くなる効果を得られます。
特に暗い部屋で行うストレッチは、リラックス効果も得られるのでおすすめです。このほか、疲労回復や肩こりの緩和などさまざまな効果に期待できます。
温かい飲み物を飲んで体温を上昇させる
先述したように、人の体は深部体温が低くなることで眠気が訪れる仕組みになっています。
この深部体温を就寝のタイミングで下げるには、眠る前に温かい飲み物を飲むのが効果的です。温かい飲み物を飲むと体温は上昇しますが、その後体温が下がっていく過程で自然な眠気が訪れてくれます。
ただし、アルコールやカフェインが含まれている飲み物は、眠る前に飲んでしまうと睡眠の妨げとなるので避けましょう。睡眠の質を高めるために飲むのなら、白湯やホットミルク、ホットココアなど、飲んでいてリラックスできる飲み物を選ぶことをおすすめします。
夕食は就寝3時間前までに済ませる
就寝直前に食事をすると睡眠中に行われる消化活動によって休息をとっている脳が刺激されてしまい、目が覚めやすくなる可能性があります。そのため、夕食の時間は遅くなりすぎないように気をつけましょう。
なお、消化活動にかかる時間は2時間〜3時間だといわれています。消化活動に必要な時間を考えると、夕食は就寝3時間前までに済ませておくのが理想です。
就寝前の時間はリラックスして過ごす
就寝前の考え事や不安が原因で心身が緊張状態にあると、寝つきが悪くなる可能性があります。スムーズに入眠するためにも、就寝前の時間帯はできるだけリラックスして過ごすことを心がけましょう。
リラックスする方法はさまざまありますが、例としては「気持ちが落ち着くアロマを焚く」「聴き心地が良い音楽を流す」「読書する」などが挙げられます。
体に合っている枕やマットレスを使う
睡眠の質を重視するなら、普段使っている枕やマットレスにもこだわりましょう。
特に寝具が自分の体に合っているかどうかは、質の高い睡眠をとるうえで重要なポイントです。例えば、「枕が高すぎる」「マットレスが柔らかすぎる」などのように寝具が体に合っていないと、眠りにくさに繋がってしまいます。
人の体格や好みはそれぞれ異なるため、寝具の合う・合わないも使う人によって変わってきます。普段から寝にくさや違和感を覚える場合は、この機会に自分に合った寝具に買い替えてみると良いでしょう。
まとめ
目を開けているのが辛いほどの強い眠気は、普段の睡眠不足を解消することで緩和できます。日中の眠気に悩まされている方は睡眠不足の原因を取り除きつつ、睡眠の質を高めるために工夫すると良いでしょう。
また、夜にしっかり眠っているのに目を開けるのが辛い場合は、疲れ目である可能性が高いです。目を酷使する作業が多い方は、こまめに休憩やストレッチを挟んで疲労対策をしてください。