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2023.10.30 更新

【医師監修】眠たいのに寝れないのは病気?不眠の原因やうつ病についても詳しく解説

【医師監修】眠たいのに寝れないのは病気?不眠の原因やうつ病についても詳しく解説

就寝時は心身をリラックスさせたうえでスムーズに入眠するのが理想ですが、なかには「眠たいのに寝れない」と悩んでいる方もいるでしょう。生活習慣の乱れや心身の病気などがあると、不眠の悩みに繋がってしまうことがあります。

この記事では眠たいのに寝れない原因や、不眠に繋がる可能性がある病気について詳しく紹介します。

  1. 眠たいのに寝れないのは病気のせい?
  2. 眠たいのに寝れない原因
  3. ストレス
  4. 加齢
  5. 生活習慣
  6. 就寝環境に問題がある
  7. 薬の副作用
  8. 身体的な原因
  9. 睡眠障害
  10. 精神的な疾患
  11. 眠たいのに寝れない場合はうつ病の可能性も?
  12. うつ病の治療法
  13. 薬物療法
  14. 精神療法
  15. 運動療法
  16. そのほかの治療法
  17. まとめ

眠たいのに寝れないのは病気のせい?

眠たいのに寝れない状況が続くと、「もしかして病気にかかっているのでは」と不安を感じることもあるでしょう。しかし、不眠の原因となる要素はたくさんあるため、病気が原因とは一概にいえません。

例えば、ストレスや加齢、生活習慣の乱れなど、病気以外にも不眠の原因はさまざまあります。不眠以外に心身の不調がみられない場合は、病気以外に原因があると考えたほうが良いかもしれません。

ただし、何らかの疾患を疑うような症状が出ている場合は、無理をせずに医療機関に相談しましょう。

眠たいのに寝れない原因

眠たいのに寝れない状況を改善したい方は、まず不眠の原因がどこにあるのかを考えてみましょう。病気に原因がある場合は治療が必要ですが、そうでない場合は自分で不眠の問題に対処できる可能性があります。

眠たいのに寝れない原因は主に下記の8つです。

  • ストレス
  • 加齢
  • 生活習慣
  • 睡眠環境に問題がある
  • 薬の副作用
  • 身体的な原因
  • 睡眠障害
  • 精神的な疾患

以下で詳しい内容を順番に解説します

ストレス

眠たいのに寝れない場合、ストレスによって自律神経が乱れている可能性が考えられます。

自律神経は心身を緊張させて活動に導く交感神経、心身を休息に導く副交感神経の2つから成る神経です。交感神経は日中に、副交感神経は夜に優位となり、1日のなかでの心身の覚醒と休息のバランスを保っています。

しかし、過度なストレスを受けていると自律神経のバランスが乱れてしまい、夜の時間帯になっても副交感神経へ切り替わらないことがあります。就寝のタイミングに交感神経が優位のままだと心身が休息できないため、なかなか寝つくことができません。

ストレスに原因がある場合、入念なストレスケアに取り組むことで不眠の問題を改善しやすくなります。適度にストレス発散の時間を設け、精神的な健康を保てるように心がけましょう。

大川昭宏

大川昭宏

産業心身コンサルティングオフィス株式会社代表

ストレスが原因で生じる不眠に対しては、その問題に対して逃げることなく、積極的な問題解決を心がけるようにしましょう。解決が困難な問題に対しては、いい意味での諦めや受け入れが有効かと思われます。

加齢

人間は歳を重ねるとメラトニンの分泌量が減少するため、不眠の症状があらわれやすくなるといわれています。

メラトニンとは、心身をリラックスさせて眠りやすい状態に導いてくれるホルモンのことです。睡眠において欠かせない役割を持つことから、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。

しかし、加齢に伴ってメラトニンが減少すると睡眠の質が低下し、「寝つきが悪い」「中途半端な時間に目が覚める」などの不眠の症状に繋がってしまいます。

また、高齢者の方は退職による環境の変化や健康面への不安など、若いころと比べるとストレスになる要素が増えていきます。日々受けているストレスが多いと自律神経が乱れ、不眠に繋がる可能性があります。

生活習慣

不眠の原因は普段の生活習慣に隠れているケースもあります。下記の3つは不眠の原因になり得る生活習慣の一例です。

  • 就寝前のアルコールやカフェインの摂取
  • 喫煙
  • 運動不足

就寝前の飲酒を習慣にしている方は多くいらっしゃいますが、不眠の問題を解消したいなら寝酒は避けましょう。アルコールが代謝される際に生じる物質には覚醒作用があるため、不眠の原因になります。

また、カフェインやニコチンにも覚醒作用があるので注意が必要です。就寝前のカフェイン摂取や喫煙は控え、代わりに温かい飲み物を飲むなどして心身を休みやすい状態に導きましょう。

就寝環境に問題がある

就寝環境に眠りの妨げとなる要素があると、眠たくても寝れなくなってしまいます。よくある例としては、下記の3つが挙げられます。

  • 夜に騒音がする
  • 寝室に光が漏れている
  • 寝具が体に合っていない

就寝環境に原因がある場合、睡眠グッズの活用や寝具の買い替えを行うと不眠の問題を改善できる可能性があります。思い当たる点がある方は、この機会に就寝環境を見直しましょう。

薬の副作用

薬の種類によっては、副作用として眠れない症状があらわれる場合があります。

薬の副作用が気になる場合は、通院している医療機関に処方薬を変えてもらえないか相談すると良いでしょう。

身体的な原因

身体に睡眠の妨げとなるような不調があらわれていると、眠れなくなる可能性があります。

例えば、体にかゆみを伴う皮膚疾患がある場合、就寝時にかゆみが生じるとなかなか寝つくことができません。また、「怪我をした部分が痛む」「咳がひどい」なども、不眠に繋がる代表的な例です。

睡眠障害

睡眠障害とは、睡眠に関連した病気の総称のことです。睡眠障害には多くの種類がありますが、代表的なものとしては下記の3つが挙げられます。

睡眠障害の種類概要
不眠症不眠の症状が原因で日中の活動に支障が出る病気
睡眠時無呼吸症候群睡眠中に無呼吸となり、体の低酸素状態が発生する病気
概日リズム睡眠覚醒障害体内時計がずれることで睡眠と覚醒のリズムが乱れ、不眠になってしまう障害

上記のように、睡眠障害の種類によって症状は異なります。思い当たる症状がある方は、早めに医療機関に相談しましょう。

精神的な疾患

精神的な疾患のなかには、不眠の症状があらわれる種類もあります。例えば、下記の4種類は不眠の症状があらわれる代表的な疾患です。

  • 双極性障害
  • 適応障害
  • 統合失調症
  • うつ病

精神的な不調は身体的な症状と違って分かりにくく、本人が病気だと気づかないまま過ごしてしまうこともあるので注意が必要です。意欲の低下や強い不安感がある時は、精神科や心療内科に診てもらうことをおすすめします。

眠たいのに寝れない場合はうつ病の可能性も?

眠たいのに寝れない場合はうつ病の可能性も?

先述したように、精神的な疾患は不眠をもたらす場合があります。なかでも、うつ病は症状として不眠があらわれることで知られる代表的な疾患です。

うつ病は気分障害の一種で、精神症状だけでなく身体症状もあらわれるのが特徴です。具体的には下記のような症状が精神と身体にあらわれます。

精神症状・意欲の低下
・集中力の低下
・イライラや不安感
・ネガティブ思考になる
・物事に対して関心を持てなくなる
身体症状・不眠
・倦怠感
・頭痛やめまい
・食欲の低下
・動悸
・肩こりや腰痛

うつ病が悪化すると、症状が原因で日常生活に大きな支障が出る可能性もあります。少しでも気になる症状がある方は、専門の医療機関を受診することを強くおすすめします。

大川昭宏

大川昭宏

産業心身コンサルティングオフィス株式会社代表

どんな病気でもそうですが、早期発見・早期治療が病気克服の近道です。また、うつ病の場合「希死念慮(きしねんりょ)」といって死にたくなってしまう気持ちが生じることもあります。周りの方から受診を勧められたり、ご本人でもコントロールが効かないと感じる場合には、医療機関を躊躇わずに受診してください。

うつ病の治療法

以下ではうつ病の主な治療法を解説するので、参考にしてください。

薬物療法

薬物療法は薬を用いた治療法です。一般的には抑うつ気分や不安感、焦燥感などを解消させる働きを持つ抗うつ剤が用いられます。

抗うつ剤はすぐに効果を発揮する薬ではなく、基本的には医師の指示があるまで服用を続けることになります。また、うつ病の症状で生じた心身の不調に合わせて、別の治療薬が一緒に処方されるケースもあります。

精神療法

精神療法は、精神的に調子が良い状態を維持しつつ、うつ病の再発を防ぐために行われる治療法です。主に「認知行動療法」と「対人関係療法」の2種類があります。

認知行動療法は、うつ病が原因でネガティブ思考に陥ってしまった考え方を異なる方向に変えていく治療法です。考え方を変えることで、うつ病の再発予防に期待ができるといわれています。

一方、対人関係療法は、うつ病患者が抱えている対人関係の問題を解消し、精神的なストレスを減らす治療法です。良い対人関係が、うつ病の症状改善や予防に繋がります。

運動療法

運動療法は、体に負担がかかりすぎない有酸素運動を行うことで、気分の安定化を目指す治療法です。

軽度~中等度のうつ病の方に向いている治療法だといわれており、一般的には薬物療法と組み合わせて取り組むことになります。

そのほかの治療法

うつ病の治療法は上記で紹介した3つが有名ですが、医療機関によっては下記の治療法を用いる場合もあります。

  • 高照度光療法
  • 修正型電気けいれん療法
  • 経頭蓋磁気刺激法

うつ病を治療する際は自分に合わせた治療法に取り組むだけでなく、休養をするための環境を作ることも大切です。ストレスを受けにくい環境を整えつつ、ゆっくりと休みましょう。

まとめ

ストレスや加齢、就寝環境の問題など、眠れなくなる原因はさまざまあります。不眠の問題を早めに解消するためにも「なぜ眠れないのか」を把握したうえで、適切に対処を行いましょう。

また、うつ病をはじめとした心身の疾患に不眠の原因がある場合は、治療が必要です。不眠以外に気になる症状があらわれている方は、医療機関に相談することをおすすめします。

この記事の監修者
大川昭宏
大川昭宏産業心身コンサルティングオフィス株式会社代表
産業心身コンサルティングオフィス株式会社代表。心療内科医、精神科医、産業医。帝京大学医学部卒業後、国立精神神経医療研究センター、国立国際医療研究センター心療内科勤務等を経て現在は、産業心身コンサルティングオフィス株式会社代表。約30社の産業医も行っている。専門は心療内科全般、職場のメンタルヘルス。元帝京大学医学部医学教育センター臨床教授、帝京大学医学部地域医療学(心身医学)非常勤講師、日本赤十字社東京都支部メンタルヘルスケアアドバイザー、心療内科・精神科専門医、指導医。
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