アレルギーの原因となるダニの死がいやフンを取り除くには、掃除機がけが効果的です。しかし、ダニの被害を抑えるためには、ダニの死がいやフンを取り除くだけでなく、ダニそのものを退治する必要もあります。
掃除機がけでダニ退治まで行えると楽ですが、掃除機だけでダニ退治は可能なのでしょうか。この記事では、掃除機だけでダニを退治できるのかどうか、ダニ退治のために掃除機をかける際のポイント、ダニ退治の効果的な方法などを解説します。
ダニが繁殖しやすい場所とは
自宅のなかでも、マットレスや布団などの寝具、カーペット、ソファは特にダニが繁殖しやすい場所だといわれています。
そもそもダニは餌が豊富で高温多湿な環境を好む生き物です。マットレスや布団などの寝具は皮脂や汗、垢や髪の毛など餌となるものが付着しやすいだけでなく、寝汗によって湿気が溜まるためダニの好む環境が整っています。
また、ほこりや髪の毛などのゴミが溜まりやすいカーペットやソファも、ダニの餌が豊富です。これらの場所はダニが好む環境の条件を満たしていることから、ダニが繁殖しやすくなります。
ちなみに、ダニは梅雨から夏場にかけて繁殖することが一般的とされていますが、冬の室内にもダニが発生する環境は多いです。冬は寒さや乾燥対策で暖房器具や加湿器を使用する家庭が多く、その場合高温多湿な環境になりやすいためです。
どの季節もダニが好む環境が整っているため、通年ダニ対策を行う必要があります。
ダニ退治は掃除機だけで行える?
ダニ対策にはさまざまな方法がありますが、掃除機がけも有効な対策方法の一つです。
ダニの餌となるゴミを掃除機で取り除くことで繁殖を防げるうえ、アレルギーの原因となるダニの死がいやフンも取り除けます。
ただし、掃除機をかけるだけでは生きているダニを完全に取り除くのは難しいです。ダニは脚先のカギ爪と吸盤を使って繊維に張り付いており、簡単に吸い取ることができません。
特に繊維の内部に入り込んでいるダニは吸い取りにくく、掃除機がけ以外の方法で退治する必要があります。
ダニ退治のために掃除機をかける際のポイント
掃除機がけで直接的なダニ退治を行うのは難しいですが、ダニ対策に効果がないわけではありません。繊維の表面にいるダニは掃除機でも吸い取れ、ダニの餌を取り除くことで繁殖を防ぐ効果にも期待できます。
また、掃除機がけの際はいくつかのポイントを意識するだけで、より効率的にダニ対策を行えます。以下では、ダニ退治のために掃除機をかける際のポイントをいくつか紹介します。
掃除機をかける場所を事前に軽く叩いておく
掃除機を使ってダニ対策を行う際は、掃除機がけをする場所を事前に軽く叩きましょう。
軽く叩くことで内部に潜んでいるダニの死骸やフンが繊維の表面に浮いてくるため、より効率的に掃除機で吸い取れます。
掃除機はゆっくりと動かす
部屋の掃除のために掃除機をかける際は、効率を重視して掃除機のヘッド部分を素早く動かしている方もいるかもしれません。
しかし、ダニ対策を目的に掃除機をかける場合はゆっくりと動かすことがおすすめです。ヘッド部分をゆっくりと動かすことで、ダニの死骸やフンをしっかり取り除けます。1㎥につき、30秒程度かけて掃除機を動かすことがコツです。
さまざまな方向に掃除機をかける
掃除機は同じ方向だけにかけるのではなく、縦、右、左、斜めとさまざまな方向からかけましょう。さまざまな方向から掃除機をかけると吸い残しを防ぎやすくなり、ダニの死骸やフン、ダニの餌となるゴミをよりしっかり取り除けます。
裏面も表面と同様に掃除機をかける
ダニは暗い場所を好む生き物です。暗い場所を求めてマットレスや布団、カーペットの裏面に移動している場合もあります。
そのため、表面の掃除機がけが終わった後は裏面も同様にゆっくりと掃除機をかけてダニを吸い取りましょう。
温風機能がある掃除機を使う
掃除機によっては温風機能がある製品もあります。
ノズルに温風機能がある掃除機ではダニの発生原因になる湿気を対策できるため、結果としてダニ除去の効果を期待できます。
機能を活用することで普通に掃除機をかけるよりもダニ対策の効果が高まる可能性があるためおすすめです。
掃除機とあわせて取り入れたい!ダニ退治に効果的な4つの方法
先述したように、掃除機だけでは生きているダニを完全に退治するのは難しいです。そのため、本格的なダニ退治は別の方法で行いましょう。
以下でダニ退治に効果的な方法を紹介します。
①布団乾燥機で退治する
マットレスや布団などの寝具に潜んでいるダニを退治するには、布団乾燥機を使う方法がおすすめです。
ダニは熱に弱いため、60℃以上の熱を与えると一瞬で死滅します。また、50℃程度の熱なら20分~30分で死滅するといわれています。
50℃〜60℃に温度設定をした布団乾燥機を使って寝具を高温状態にするだけで、簡単にダニ退治を行えます。
布団乾燥機を使って寝具のダニを退治する手順は以下のとおりです。
- 部屋の温度を上げて湿度を下げる
- 布団乾燥機を設置し、寝具を温める
- 寝具を十分温めたら、掃除機でダニの死がいを吸い取る
布団乾燥機を使ってダニ退治をする場合は、事前に部屋の温度を上げておくことがポイントです。部屋の温度を上げることで寝具の温度も上がりやすくなり、よりしっかりとダニを退治できます。
また、ダニは乾燥に弱いため、部屋の温度を上げると同時に湿度を下げておきましょう。
徹底的にダニを退治したい場合は、寝具を温めたあとに裏返し、再度布団乾燥機で温めてください。
②スチームアイロンで退治する
カーペットやソファなど布団乾燥機を使えない場所のダニを退治したい場合や布団乾燥機を持っていない場合は、スチームアイロンを使いましょう。
スチームアイロンからは約100℃の蒸気が出るため、熱に弱いダニを一瞬で死滅させられます。スチームアイロンを使ったダニの退治方法は以下のとおりです。
- タオルを水で濡らして固く絞り、ダニ退治をしたい場所に広げる
- タオルの上からスチームアイロンをかける
- 掃除機でダニの死がいを吸い取る
スチームアイロンをかける時間は、1ヶ所につき20秒が目安です。素材がスチームアイロンの熱で変色しないか心配な場合は、一度目立ちにくい場所でスチームアイロンを試しがけすると安心です。
③乾燥機能を搭載した洗濯機で退治する
本来、洗濯機の乾燥機能は衣類を乾かすための機能ですが、ダニ退治にも効果的です。
熱に弱いダニは、洗濯機の乾燥中に発せられる熱風に耐えることができません。ダニが気になる寝具や衣類などを洗濯機に入れて乾燥をかけるだけで、簡単にダニを退治できます。
また、乾燥後に洗濯をすればダニの死がいやフンも洗い流せます。
乾燥機能付きの洗濯機を持っていない場合は、コインランドリーに設置されている乾燥機を使うのも一つの方法です。
④殺虫剤で退治する
ダニ退治には市販のダニ用殺虫剤を使う方法も効果的です。少ない手間で簡単に退治できるため、ダニ退治に取り組む時間がなかなか取れない方に向いています。
空間に噴射して部屋全体のダニを退治できるもの、ダニを退治したい場所に直接噴射して使うものなどさまざまなダニ用殺虫剤が販売されているので、部屋の環境に合った商品を選びましょう。
ダニの繁殖を防ぐ方法
ダニは外出時に着ていた衣類や窓から入ってくるほこりなど、さまざまなものに付着して家に侵入してきます。侵入を完全に防ぐのは難しいため、有効なダニ対策を行うためには侵入してきたダニが繁殖しない環境づくりを行うことが重要です。
以下でダニの繁殖を防ぐ方法を紹介します。
こまめに掃除機をかける
ダニはホコリや皮脂、毛、フケ、食べカスなどさまざまなものを餌とします。ダニの餌となるゴミを減らして繁殖を防ぐためにも、掃除機はこまめにかけましょう。
ダニ対策のための掃除機がけの頻度は、部屋全体なら3日に1回、ダニが繁殖しやすい寝具は1週間に1回が目安です。
湿気を溜めない工夫をする
ダニは湿気の多い場所を好むため、繁殖を防ぐためには部屋に湿気が溜まらないように工夫することが重要です。
湿気対策の方法はさまざまですが、よくある例としては「こまめに窓を開けて換気する」「除湿機を使う」「エアコンの除湿モードを使う」などが挙げられます。
防ダニスプレーを使う
手軽にダニ対策を行いたい方は、防ダニスプレーを使うことがおすすめです。寝具やソファ、カーペットなど、ダニが繁殖しやすい場所に吹きかけるだけでダニを予防できます。
なお、防ダニスプレーの使用時は、容器に記載されている注意事項を確認して適切に使用しましょう。
まとめ
掃除機をかけるとアレルギーの原因となるダニの死がいやフンを取り除けるほか、ダニの餌となるゴミも取り除けます。ダニの餌がない清潔な環境を保つことで、ダニの繁殖を防ぎやすくなるでしょう。
ただし、掃除機だけで生きているダニを退治するのは難しいため、本格的な退治は別の方法で行ってください。
ダニは熱に弱く、布団乾燥機やスチームアイロン、乾燥機能を搭載した洗濯機などで簡単に退治できます。より手軽に退治したい場合は、ダニ用の殺虫剤を使いましょう。