普段からお酒を飲んでいる場合は肝臓に負担がかかるため、週に何回か休肝日を設けることが大切です。しかし、「休肝日はどうも寝つけない」と困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、休肝日と睡眠の関係性、お酒に頼らずに睡眠の質を高める方法について紹介します。
休肝日だから眠れないわけではない
寝る前にお酒を飲む習慣があると、お酒を飲まない日は眠れないと感じることもあるでしょう。しかし、「休肝日だから眠れない」ということはありません。そもそも、「お酒を飲むとよく眠れる」というのは間違った認識です。
「お酒を飲むと眠りやすい」と感じるのは最初のうちだけです。寝酒は睡眠の質を低下させ、目が覚める回数を増やしてしまいます。
寝る前に摂取したアルコールは寝ている間に体からゆっくりと抜けていきますが、その反動で眠りが浅くなります。つまり、寝つきを良くするためにお酒を飲むのは逆効果なのです。
寝酒を続けると睡眠の質が低くなるだけでなく、アルコール依存症に発展する可能性もあるため、寝酒はできるだけ避けましょう。なお、眠るためにお酒に手が伸びる程度ではアルコール依存症とはなりません。
渥美正彦
医療法人上島医院院長
お酒に含まれるアルコールが体内で分解される際に作られる「アセトアルデヒド」という成分は、睡眠の質を低下させます。また、アルコールによる利尿作用も睡眠を分断化させる要因になります。
寝酒をせずに睡眠の質を高める方法
夜に眠れない場合はできるだけ寝酒を避け、飲酒以外の方法で睡眠の質を高めるようにしましょう。
- 就寝前にリラックスする
- 寝る前にスマホやテレビの画面を見ない
- ストレッチをする
- 湯船に浸かる
- 毎朝太陽の光を浴びる
- 寝る前のカフェイン摂取や喫煙は避ける
- 無理に寝ようとしない
- 寝室の環境を整える
以下ではそれぞれの方法について、具体的な内容を紹介します。
就寝前にリラックスする
就寝前に気持ちがリラックスした状態でいれば、より眠りやすくなります。寝る前に本を読む、気分が落ち着く音楽を聴くなど、自分に合った方法でリラックスしましょう。
リラックスする方法がよく分からない方は、下記の4つを試してみてください。
- 読書をする
- ハーブティーなどの気持ちが落ち着く飲み物を飲む
- アロマを焚く
- 照明を暗くしてキャンドルを灯す
また、手軽にリラックスしたい場合は、深呼吸をすることをおすすめします。深呼吸をすると脳に新鮮な酸素が送り込まれて、心身が落ち着きます。
寝る前にスマホやテレビの画面を見ない
寝る前にスマホやテレビの画面を見ると、その画面から発せられる光によって脳が覚醒してしまい、眠りにくくなるので注意してください。
スマホやテレビなどの画面を見るのは就寝2時間前までに留め、就寝前は読書するなどしてリラックスした状態を保てるようにしましょう。
渥美正彦
医療法人上島医院院長
夜に分泌されるメラトニンは催眠作用があり眠りをもたらしますが、夜に光を浴びることでメラトニンの分泌が強力に抑制され、眠りづらい状態になります。寝つきが悪い方は夜の光を抑え気味にしましょう。
ストレッチをする
寝る前にストレッチをすると筋肉の緊張が緩和することで体がリラックスし、眠りやすくなります。
ここでは手軽にできるストレッチ方法を体の部位ごとに紹介するので、眠れない時はぜひ試してみてください。
ストレッチをすれば血流の流れが良くなり、体のコリや冷え性などの改善にも繋がります。眠れない時はもちろん、体の疲れを感じる場合にもおすすめです。
渥美正彦
医療法人上島医院院長
ストレッチには不安や緊張を緩和する効果があり、寝つきの改善が期待できます。痛みを感じたり息が上がるほど頑張ってしまうと逆に興奮作業で眠りを妨げてしまいますので、無理をせず、気持ち良いと感じる程度に行うのがおすすめです。
湯船に浸かる
いつもシャワーだけで入浴を済ませている方は、ゆったりと湯船に浸かってみるのも良いでしょう。湯船に浸かると体をリラックスした状態に導く副交感神経が刺激され、眠りやすくなります。
眠るためにリラックスするなら、38℃のぬるめのお湯に25分~30分程度浸かることをおすすめします。ただし、お湯が熱すぎると、逆効果になる可能性があるので注意してください。
42℃の熱めのお湯が好きな方は、入浴時間を5分程度に留めましょう。また、半身浴の場合は、約40℃のお湯に30分程度浸かるとよりリラックスできます。
毎朝太陽の光を浴びる
睡眠の質を高めるには、毎朝太陽の光を浴びて体内時計を調整することが大切です。朝起きてから太陽の光を浴びるとその時点で体内時計がリセットされ、正しい睡眠リズムを保つことができます。
体内時計がリセットされる時間が遅くなると、夜に眠気が訪れる時間帯も遅くなってしまうので注意してください。体内時計をリセットする時間がずれないよう、毎朝同じ時間に起床して太陽の光を浴びましょう。
寝る前のカフェイン摂取や喫煙は避ける
寝る前は、コーヒーやエナジードリンクなどカフェインが入った飲み物を飲むのは避けましょう。カフェインには脳が覚醒する作用があるため、寝る前に摂取すると眠りにくくなってしまいます。
また、寝る前の喫煙も睡眠の質を低下させる要因となるので、注意が必要です。タバコに含まれるニコチンは覚醒作用のあるアドレナリンの分泌を促し、覚醒作用は1時間持続するといわれています。
覚醒作用が持続したままでは、スムーズに眠ることができません。睡眠の質を高めるためにも、喫煙は就寝の1時間〜2時間前まで、カフェインの摂取は就寝の4時間までに留めるように心がけましょう。ただし、体質によっては敏感な方もいるので注意が必要です。
無理に寝ようとしない
朝早く起きなければいけないのに夜になかなか眠れない場合、「早く眠らないと」と焦ってしまうこともあるでしょう。しかし、眠れない時に無理に寝ようとするのはおすすめしません。
焦って眠ろうとすると体の緊張が高まり、人の体を覚醒に導く交感神経が優位な状態へ進んでしまい、さらに眠れなくなってしまいます。そのため、眠れない時は無理矢理寝るのではなく、まずはリラックスするようにしましょう。
寝室の環境を整える
眠りの質を高めるには、寝室の環境を整えることも重要です。遮光カーテンを設置する、アイマスクや耳栓などを使う、使っている寝具を見直すなどして眠りに適した環境を整えましょう。
特に自分が眠る時に使う寝具は、眠りの質に大きく影響する要素なのでこだわりたいところです。マットレスや枕などの寝具が合っていないと感じる場合は、この機会により適した製品への買い替えを検討することをおすすめします。
まとめ
休肝日に眠れないからといって、お酒に手を伸ばすのはおすすめしません。むしろ寝酒は睡眠の質を低くする要因となります。
眠れない場合は、本を読んだりストレッチをしたりして、リラックスするようにしてください。
また、眠れない要因には、生活習慣の乱れが関係している可能性もあります。心当たりのある方は毎朝同じ時間に起きて太陽の光を浴び、体内時計を正しいリズムに調整しましょう。