毎日適度な睡眠時間を確保しても「日中に眠気がある」といった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
眠気がある状態で無理に仕事を続けても、作業効率が上がらないどころか、ミスが増えることもあると思います。
そのような状態であれば、思い切って15~30分の仮眠をとってみましょう。スッキリした状態で目覚め、作業効率の改善が期待できます。
日中の仮眠を「パワーナップ」と呼び、実際に効果があることがわかっているため、眠気で悩んでいる方は積極的に取り入れることをおすすめします。
ただし、方法を間違えると作業効率の低下や睡眠リズムの乱れに繋がるためいくつかの注意点は知っておきましょう。
この記事では、パワーナップの効果や、実践する際の注意点について紹介するので、日中の眠気に悩んでいる人は参考にしてください。
パワーナップ(積極的仮眠)とは30分程度の仮眠のこと
パワーナップとは、昼寝を意味する「nap」と「パワーアップ」をかけた造語であり、15〜30分間ほどの短時間の昼寝を指します。
90年代にアメリカの社会心理学者によって提唱されたとされており、現代では大手企業などでも実践されています。
軽度の仮眠が午後のパフォーマンスを改善させるために有効であることがわかっており、厚生労働省でも、昼間の短時間仮眠がその後の覚醒レベルを上げ、作業能率の改善に役立つ可能性があるとしています。
パワーナップによる具体的な効果やメリットについては以降で詳しく紹介します。
パワーナップ(積極的仮眠)がもたらすメリット
パワーナップがもたらす効果やメリットには下記のようなものが挙げられます。
- 記憶力・注意力などが上がり作業効率が向上する
- 疲労回復で頭がスッキリする
- ストレス解消によって健康促進に繋がる
それぞれのメリットの具体的な内容について、以下で詳しく紹介します。
記憶力・注意力などが上がり作業効率が向上する
人の睡眠は脳が休まるノンレム睡眠と、体が休まるレム睡眠などに段階が分かれていますが、パワーナップは入眠後20分ほどであらわれるノンレム睡眠におけるステージ2ほどで目覚めることを目指します。
ノンレム睡眠におけるステージ2では、脳内に蓄積したキャッシュ・メモリがクリアされたような状態になり、起きた時に認知能力や記憶力、注意力が上がるとされています。
このような効果があるため、仕事の昼休憩などにパワーナップを取り入れると作業効率が向上することが期待できるのです。
疲労回復で頭がスッキリする
昼食後や14〜15時といった時間には、午前中の疲れなどから眠気を催すことがあるかもしれません。
パワーナップは前述のとおり、ノンレム睡眠の状態からスッキリとした状態で目覚めることにより眠気を改善する効果が期待できます。
例えば、パソコン作業など大量の情報を処理して脳が疲れている際などでも、パワーナップを取り入れることにより脳の疲労を解消できるとされています。
午後の早い時間に眠気で作業効率が悪くなる方は実践してみてください。
ストレス解消によって健康促進に繋がる
眠気がある状態では仕事がストレスに感じる場合もあるでしょう。
パワーナップによる眠気の改善効果のおかげで、スッキリした状態で仕事ができ、身体的・精神的なストレスを低減も期待できます。
そのほか、20分ほどの昼寝は心臓疾患や認知症の予防による健康維持にも繋がるともいわれています。
パワーナップ(積極的仮眠)を実践する際の注意点
パワーナップを実践する際には下記のような点に注意しましょう。
- 仮眠時間は15~30分までにする
- 横になって寝ない
- 光や音、室内温度などを調整する
- 仮眠前にコーヒーなどのカフェインを摂取する
- パワーナップ(積極的仮眠)は15時前までにする
方法によってはパワーナップの効果が得られないことがあるため、上記のような注意点をよく理解してから実践することをおすすめします。
それぞれの注意点について、以下で詳しく紹介します。
仮眠時間は15~30分までにする
パワーナップでは浅いノンレム睡眠時に目覚めることを目指すのですが、30分以上の仮眠をとると深い睡眠状態に入ってしまう可能性があります。
深い睡眠状態になると、目覚めた時にスッキリせず倦怠感を覚えたり、目覚めにくくなったりしてしまうため、仮眠は30分以内になるようにアラームをかけておきましょう。
長時間睡眠になると夜の睡眠にも影響を及ぼし、睡眠リズムの乱れに繋がる可能性もあるため、パワーナップを実践する際には時間に注意する必要があります。
横になって寝ない
深い睡眠状態に入らないための対策として、横になった状態で寝ないという方法があります。
椅子の背もたれにもたれかかったり、机に伏せたりした状態で寝ると、深い睡眠に入りづらいためおすすめです。
しっかりと布団やマットレスの上で寝てしまうと目覚めにくくなるので、パワーナップを実践する際には深い眠りに入らないように工夫しましょう。
光や音、室内温度などを調整する
短時間で睡眠状態に入るためには、周辺の光や音、部屋の温度・湿度などを快適にすることをおすすめします。
仮眠時には照明を消すなどしてスムーズに入眠することで、30分以内にノンレム睡眠のステージ2に入ることができ、パワーナップが成功しやすくなるでしょう。
反対に、睡眠環境が悪い場合はせっかく時間をとっても眠れず、時間を無駄にする可能性があるため注意が必要です。
仮眠前にコーヒーなどのカフェインを摂取する
コーヒーなどに含まれるカフェインには「アデノシン」と呼ばれる眠気物質をブロックする効果があります。
カフェインの効果は摂取後20〜30分後にあらわれるとされているため、パワーナップ前に飲むとことで目覚めた後にスッキリとして状態になり、その後の眠気防止に効果的です。
カフェインを摂取しなければパワーナップが成功しないというわけではありませんが、より効果を高めたい場合におすすめです。
パワーナップ(積極的仮眠)は15時前までにする
一般的にパワーナップは15時前に行うと良いとされています。
15時前までにパワーナップを取り入れる理由は、午後の遅い時間に仮眠をとると夜の睡眠に影響を及ぼす可能性があるためです。
パフォーマンスを向上させて日中を過ごしつつ、夜自然に入眠するためには15時前までにパワーナップを終了させるように注意しましょう。
まとめ
パワーナップとは15〜30分ほどの仮眠のことを指し、起きた時にスッキリした状態で目覚めるため、認知能力や集中力が増すといった効果があります。
ただし、30分を超えると目覚めにくい睡眠状態に入るほか、仮眠終了後のだるさに繋がるなど効果が薄れる場合もあるので注意しましょう。
「午後は睡眠不足のような感じで仕事が進まない」など作業効率が落ちてしまっている方は、今回紹介したような注意点を意識しつつ、昼休みなどの休憩時間を利用してパワーナップを実践してみてください。