男女問わず、見た目の面でも健康の面でも肥満が気になる方は多いかもしれません。肥満は食べ過ぎや運動不足が原因だと思われやすいですが、実は日々の睡眠も肥満と深い関係性があります。
この記事では、なぜ睡眠不足が肥満に繋がるのか、その3つの理由について詳しく解説します。自分の肥満がどのケースに当てはまるのか、チェックしましょう。
肥満の理由がわかったら、次は肥満の状態を脱するために睡眠不足を解消させることが大切です。記事内で、日常生活で取り組める改善策も紹介するので、できることから生活に取り入れてみてください。
睡眠不足と肥満の関係性を解説
肥満を解消させたいと思った時、食事や運動の改善は真っ先に思いつくかもしれませんが、睡眠時間や睡眠の質を改善させようと考える方は少ないかもしれません。
しかし、近年では睡眠不足と肥満には関係性があると考えられており、韓国のソウル大学医学部は、「6時間未満の睡眠時間の人はメタボ率などが上昇する」と発表しています。
睡眠不足が肥満に繋がる原因の一つとして挙げられるのは、ホルモンバランスの乱れです。
睡眠不足になると食欲を抑えるホルモン「レプチン」が減少する一方、食欲を高めるホルモン「グレリン」の分泌が増えます。夜遅くまで起きていると夜食が食べたくなったり、夜中に無意識に食べてしまったりした経験がある方も多いでしょう。
さらに、日本人の睡眠時間は世界でも少ないといわれており、慢性的な睡眠不足に悩む方も多いと考えられるため、より注意が必要です。
睡眠不足が肥満に繋がる3つの理由
ここからは、睡眠不足が肥満に繋がる理由を3つ解説します。睡眠不足が肥満に繋がる理由を詳しく知ることで、日常生活で気を付けるべきことが見えてくるでしょう。
- 食生活が乱れて食事の回数が増える
- 運動量が減ると消費カロリーも減る
- 成長ホルモンの分泌量が減る
自分の肥満に当てはまる理由はどれなのか、一度確認してみてください。
食生活が乱れると食事の回数が増えて太る
前述のとおり、睡眠不足によってレプチンとグレリンのホルモンバランスが乱れると、食欲が増進されて食事の回数が増える傾向にあります。
夜中に起きていると夜食やお菓子を食べたくなる原因は、このホルモンバランスの乱れによるものが多いです。夜中は運動量が少なくカロリーが消費されにくい状況にあるため、夜食を少しだけ食べたつもりでも肥満に繋がりやすくなります。
運動量が減ると消費するカロリーも減る
睡眠時間が足りておらず日中に眠気があると、集中力が低下して「階段を使う」「走って移動する」といった行動が億劫になりやすいです。こうして日中の運動量が少なくなるとカロリーも消費されにくくなるため、肥満に繋がる可能性があります。
さらに、睡眠不足で食欲が増しているのに、日中は運動量が減るという悪循環に陥ってしまうこともあるため気を付けなくてはなりません。
特に、デスクワークや車通勤の方の場合は運動量が少ないため、より太りやすい傾向にあるといえるでしょう。
成長ホルモンの分泌量が減る
成長ホルモンを分泌しているのは子どもだけでなく、成人した大人の方も同様です。成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されるものなので、十分に眠れない場合、成長ホルモンの分泌量が減少する可能性があります。
成長ホルモンは、新陳代謝を促して健やかな体をつくるために重要な役割を果たすものです。分泌される量が減ってしまうと、基礎代謝が低下して太りやすくなると考えられます。
肥満に悩む方におすすめしたい睡眠不足の改善方法
肥満に悩んでおり睡眠不足を感じているのであれば、質の高い睡眠をとって睡眠不足を解消させることに努めましょう。
手軽に日常生活に取り入れられる睡眠不足の改善方法として、以下の4つが挙げられます。
- 意識して太陽光を浴びる
- 健康的な食生活を心がける
- 運動する習慣を身につける
- 就寝前にリラックスする
この項目では、それぞれの内容について詳しく解説します。
意識して太陽光を浴びる
睡眠を促すために大切なホルモンである「メラトニン」と「セロトニン」の分泌に重要なのが、太陽の光を浴びることです。日中に太陽を浴びるとメラトニンの原料となるセロトニンが分泌され、夜の時間になると自然な眠気が促される仕組みになっています。
メラトニンは太陽の光を浴びてから15〜16時間後に分泌されるため、就寝時刻から逆算して太陽光を浴びると良いでしょう。例えば、夜23時に寝たいなら朝7〜8時頃に朝日を浴びる計算になります。
日照時間が少なくなる冬はセロトニンが減少しやすいため、特に意識して日光を浴びるようにしましょう。
健康的な食生活を心がける
睡眠の質を向上させるには、健康的な食生活を心がけてしっかりと栄養を摂ることが大切です。
特に、睡眠と深い関係がある「トリプトファン」を意識して摂ることをおすすめします。トリプトファンとは必須アミノ酸の一種で、睡眠の質を高めるセロトニンやメラトニンを作るために必要な栄養素です。
トリプトファンは、豆腐や納豆などの大豆製品、チーズ・牛乳などの乳製品、米などの穀類に多く含まれています。
また、朝食をあまり食べないという方は多いかもしれませんが、簡単なものでも良いので朝から食事を摂ってエネルギーを補給しましょう。
コーヒーやチョコレートなど、カフェインが含まれる食べ物には覚醒作用があるため、就寝前には避けることが望ましいです。
運動する習慣を身につける
普段から運動する習慣がある方は不眠に悩むことが少ないといわれるため、日々の生活に運動を取り入れることをおすすめします。
運動を行うことで睡眠に良い影響が及ぶ理由は、継続的な運動によって肉体的な疲労感が得られると、寝つきが良くなって熟睡しやすくなるためです。
質の高い睡眠のためには、就寝3時間ほど前に運動を行うと効果的だとされています。就寝直前に運動を行うと、体が興奮して寝つきづらくなるため避けたほうが良いでしょう。
また、激しい運動も同様に体が興奮して逆効果となるため、ウォーキングや軽いランニングなどの有酸素運動を行ってください。
就寝前にリラックスする
就寝する前にリラックスした状態でいると、入眠しやすくなり熟睡に繋がる可能性があります。
体や脳を覚醒させずリラックスできることであれば、取り組むのは何でも構いません。例えば、就寝前に手軽に取り入れやすい行動として以下の方法があります。
- 温かい飲み物を飲む
- 音楽を聴く
- アロマを楽しむ
- 軽い読書を楽しむ
- 深呼吸して呼吸を整える
- ゆとりのあるパジャマを着用する
牛乳に含まれるタンパク質は精神を安定させるセロトニンの原料となるため、就寝前に牛乳を温めて飲むとリラックスしやすくなります。牛乳だけでなく、ハーブティーや生姜湯などもおすすめです。
また、穏やかな音楽を聴いたり、お気に入りのアロマを焚いたりしてリラックスするのも良いでしょう。ただし、火を使うアロマは火災に繋がる可能性があるため注意してください。
日常を忘れてストレス発散したい方には、脳が疲れない軽い内容の本を読むことをおすすめします。ただしブルーライトを目に入れると上手く眠れなくなるため、スマホやタブレットを使った電子書籍は避けましょう。
さらに、腹式呼吸で深呼吸をして呼吸を整える、適度にゆとりのあるパジャマを着用するといった方法も簡単に取り組めます。
さまざまなリラックス方法を試しながら、自分に合っていて長く続けられるものを見つけてみてください。
まとめ
食事や運動はもちろん、日々の睡眠も肥満に深い関係があると考えられています。
睡眠不足になると、肥満だけでなく頭痛や倦怠感といった体の不調に繋がる可能性もあるため、睡眠不足を解消させて睡眠の質を高めることは大切です。
睡眠不足の解消を目指す方は、自分の肥満の原因や睡眠に関するトラブルを把握したうえで、生活習慣の改善に努めましょう。
「規則正しい生活を送る」「太陽光を浴びる」「適度な運動をする」など、紹介した睡眠不足の改善策をできることから始めてみてください。