普段の疲れや寝不足など眠くなる理由はさまざまありますが、その一つとして挙げられるのが「貧血」です。
なかには貧血になるたびに眠気を感じてしまい、なぜ眠くなってしまうのかわからず困っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、貧血になると眠くなる主な理由や貧血を予防する方法について詳しく解説します。貧血に悩んでいる方はぜひご一読ください。
貧血になると眠く感じる理由
貧血とは、血液の赤血球のなかにあるタンパク質「ヘモグロビン」の量が不足し、血液に十分な酸素量を届けられなくなった状態のことを指します。
ヘモグロビンは酸素を体のすみまで運搬する役割を担っているため、量が減ってしまうと血液に酸素が十分に行き渡らず、脳の活動が低下してしまいます。
その結果、判断力が鈍ったり、ぼーっとして眠気を起こしたりする場合があります。
眠気がひどいと日中のパフォーマンスも下がってしまうので、貧血になりやすい方は早めに対処しましょう。
貧血になることで起こる眠気以外の症状
貧血によって起こる体の不調は、眠気だけではありません。ヘモグロビンの減少により体が酸素不足に陥ってしまうと、下記のような症状があらわれる場合もあります。
貧血による眠気以外の主な症状
- 疲労感や倦怠感
- 動悸や頭痛
- めまい
- 肌荒れなど
このほか、貧血が生理不順の原因になる場合もあるので、女性の方は注意が必要です。
また、貧血を起こすと、身体的な不調だけでなく「些細なことでイライラする」「感情的になってしまう」など、精神面にも良くない影響が出ることがあります。
なお、貧血を起こしていても最初は自覚症状がないケースが多く、健康診断や症状が重くなった際に初めて自分が貧血だと気付く場合も少なくありません。
大塚亮
おおつか医院 院長
貧血の症状と合わせて注意すべき病気として、子宮内膜症、子宮筋腫、消化管出血、腎臓病、白血病などがあります。貧血症状で医療機関に受診すれば検査してもらえるでしょう。
貧血を予防するには普段の食生活を見直そう
先述のとおり、貧血は体に酸素を運んでくれるヘモグロビンの量が減少することで起こる症状です。
そのため、ヘモグロビンを作り出すために必要な栄養素を摂取し、量が不足しないように気を付けましょう。
ヘモグロビンは、主に鉄を含む「ヘム」という色素とタンパク質が結合してできています。
体内の鉄が足りないとヘモグロビンの量が減ってしまうので、貧血を予防したい方は、普段の食事に鉄が多く含まれている食品を取り入れて鉄不足を防ぎましょう。
貧血・鉄分不足と感じる人におすすめな食品
先述したとおり貧血の予防には、鉄を含む食品を摂取することが大切です。かといって、鉄を含んでいれば何でも良いというわけではありません。
鉄には、体に吸収されやすい「ヘム鉄」と吸収されにくい「非ヘム鉄」の2種類があります。貧血を予防したいなら、体に吸収されやすいヘム鉄を多く含む食品を摂取すると良いでしょう。
ヘム鉄は主に下記の食品に多く含まれているので、食事の際は積極的に取り入れてみてください。
- レバー
- 魚
- 牛肉
- 豚肉
- 鶏肉
また、貧血の予防を目的に食事のメニューを決める際は、「ビタミンC」を含んだ食品も取り入れることをおすすめします。
ビタミンCは摂取した鉄を吸収しやすい形にしてくれるため、鉄を含んだ食品と一緒に摂取すると貧血の予防により期待ができます。
ビタミンCを多く含んでいる食品は以下のとおりです。
- パプリカ
- ブロッコリー
- 芽キャベツ
- じゃがいも
- さつまいも
上記以外にも、レモンやオレンジといった果物もビタミンCを豊富に含んでいます。食事のメニューを決める際はヘム鉄が多い食品と組み合わせてみてください。
大塚亮
おおつか医院 院長
動悸、眩暈、黒色便、月経困難症、経血量が多いなどの自覚症状がある場合は、一度受診されるのが良いでしょう。
貧血による眠気を防ぐ方法
貧血による眠気に悩んでいる方は、「朝起きてから日光にあたる」という習慣を取り入れると良いでしょう。
起きてから日光を浴びると、人を眠りに導くホルモン「メラトニン」の分泌が抑制され、体を活動状態に導くことができます。
毎朝日光を浴びれば、「セロトニン」と呼ばれる脳内伝達物質が分泌されます。
セロトニンは、「日中は覚醒して夜には眠くなる」という健康的なリズムを取り戻しやすくする効果があります。
また、セロトニンには集中力のアップの効果があるため、よりパフォーマンスの高い状態で日中過ごすことができます。
ただし、眠気の原因である貧血を改善することも重要です。貧血による眠気がある方は、日光を浴びるだけでなく食生活も改善するように心がけてください。
貧血の予防には睡眠不足の解消も大切
貧血の予防として睡眠不足の方は、食生活に気を付けるだけでなく、睡眠の質も見直してみましょう。睡眠不足の状態が続くと、せっかく食事のメニューに工夫をしても重要な鉄の吸収を妨げてしまいます。
睡眠の質は下記の方法で高めやすくなるので、睡眠不足の方はぜひ実践してみてください。
睡眠の質を高める主な方法
- 就寝2時間前までに入浴を済ませる
- 就寝前はスマホを操作しない
- 体に合った寝具を使う
それぞれの方法について、以下で詳しく紹介します。
就寝2時間前までに入浴を済ませる
入浴の時間帯が決まっていない方は、就寝2時間前までに入浴するよう意識してみてください。
人の体は、深部体温が下がると眠くなる仕組みになっています。入浴をすると深部体温が上がりますが、この時に上がった体温は入浴後徐々に下がっていきます。
そのため、就寝2時間前まで入浴を済ませておけば、丁度良いタイミングで眠気を誘発させることができます。
また、入浴をすると心身をリラックスさせる役割を持つ副交感神経が優位となるため、より眠りやすくなるでしょう。
なお、お風呂の温度・入浴時間は、38℃のぬるめのお湯で25分~30分、半身浴なら約40℃のお湯で30分に留めることをおすすめします。
あまり温度が高すぎると、眠りにくくなる可能性があるので注意してください。
就寝前はスマホを操作しない
スマホを操作するのは就寝2時間前までに留めましょう。
就寝前にスマホを操作すると、画面から発せられる光によって脳が覚醒してしまい、入眠の妨げになる可能性があります。
また、パソコンやテレビなどの画面から発せられる光も、スマホ同様に脳が覚醒する原因となるので気を付けましょう。
体に合った寝具を使う
睡眠不足を感じている方は、自身が使っている寝具を見直してみることをおすすめします。寝具はそれぞれ特徴があるため、合う・合わないも人によって変わってきます。
仮に自分が使っている寝具が合っていない場合、寝づらさを感じて睡眠不足に繋がる可能性もあるでしょう。
睡眠の質を高めるには、より寝やすいと思える寝具を使うことが大切です。
少しでも寝づらさを感じている方は、この機会に自分に合った寝具を探してみてください。
まとめ
貧血は眠気や動悸、イライラなど、体や精神面の不調の原因となります。
貧血気味の方は鉄を含んだ食品を多く摂取する、鉄と一緒にビタミンCを取り入れるなどして、食生活を見直しましょう。
また、貧血による眠気は、しっかりとした睡眠リズムを保つことで抑えられる可能性があります。
日中の眠気に悩んでいる方は、貧血の改善に努めるほか、規則正しい睡眠リズムを保てるように意識してみてください。