日中に、急に眠気を感じたり寝すぎてしまったりする場合、その理由が何かしらの疾患にある可能性もあります。
うつ病などの疾患が思い浮かぶかもしれませんが、日中に眠くなる症状を伴う疾患は、ほかにもいくつか存在します。
もし疾患である場合、それぞれに適した対応を取らなければ、症状がより一層悪化するかもしれません。
この記事では、日中の著しい眠気に疾患が関わっている可能性や、その場合に考えられる具体的な疾患などを解説します。
日中の著しい眠気はうつ病などの疾患が関わっていることも
日中眠気を生じるのは、寝不足だったり、疲れやストレスが溜まっていたりすることが主な理由として考えられます。
その場合は、「しっかり睡眠をとる」「ストレスの原因を取り除く」などの対応で、眠気を生じる機会も減るものです。
しかし、眠気の程度が著しかったり眠気がずっと継続したりといった場合は、うつ病などの疾患が関与している可能性があります。
うつ病の症状や原因について
うつ病になると、一日中ずっと気分が落ち込んでいる、何をしても楽しくない、漠然とした不安や焦りを感じるといった精神症状があらわれます。
また、疲れやすい、食欲がない、動悸や息苦しさを感じるといった身体症状を発するケースもあり、日常生活に大きな支障が生じます。
うつ病になる原因は、正確にはわかっていません。
精神的ストレスや身体的ストレスが引き金となり発病することもありますが、結婚や就職といった嬉しい出来事の後にも、発症する可能性があります。
過度の睡眠はうつ病に見られる症状の一つですが、その一方でうつ病は、不眠の症状を引き起こす場合もあり、不眠の中でも特に「入眠障害」が起こりやすいとされています。
入眠障害になると、なかなか寝つけず夜の睡眠時間が短くなってしまうため、昼間に眠気が生じる場合があります。
また、うつ病から過眠症になる可能性もあり、うつ病の治療のために服用している抗うつ剤などの副作用で、眠気を生じるケースも考えられます。
うつ病を治す方法はある?
日中の眠気がうつ病から来ているのだとすれば、眠気に対処するためにはうつ病を治すことが根本的な対策となります。うつ病の治療としては、以下のような方法が挙げられます。
- しっかりと休養をとる
- 日光を浴びる
- 散歩などの運動を定期的に行う
- 規則正しい生活を送る
- 食生活を改善する
どの方法がうつ病の治療に効果的は、人それぞれ異なります。
上述した方法の中からできそうな方法を試し、時間をかけて症状の変化を見ると良いでしょう。
症状がひどい場合や症状がなかなか治らない場合は、医療機関の受診をおすすめします。
うつ病以外で日中の著しい眠気に関わる可能性のある病気
うつ病以外に日中の眠気や、過眠の症状が出る可能性のある疾患としては、以下のようなものが挙げられます。
- 自律神経失調症
- ナルコレプシー(居眠り病)
- 特発性過眠症
- 反復性過眠症
- むずむず脚症候群
- 周期性四肢運動障害
- 概日リズム睡眠障害
それぞれの疾患を詳しく説明します。心当たりがあると感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
自律神経失調症
自律神経失調症は、自律神経の乱れによってさまざまな症状があらわれる疾患です。
自律神経は、血流をコントロールする役割を担っているため、自律神経失調症で最も出やすい症状は血流低下症状です。
血流が低下した結果、眠気・めまい・頭痛・記憶力の低下などの症状もあらわれます。「寝付きが悪い」「眠りが浅い」という不眠症状が出てくる場合もあり、それが日中の眠気に繋がるケースもあります。
ナルコレプシー(居眠り病)
ナルコレプシーは「居眠り病」という別名にもあるように、時や場所に関係なく一日に何回も居眠りをしてしまうのが主な症状です。
感情が昂ぶっている時に、手足の力が急にかくんと抜ける「カタプレキシー」と呼ばれる症状や、寝ている最中に、金縛りにあうといった症状を伴うこともあります。
症状がひどい場合は、睡眠に恐怖を感じてしまうケースもあるほどです。
覚醒した状態を保つためには、ヒポクレチン、あるいはオレキシンといわれる「神経ペプチド」が必要です。ナルコレプシーは、これらを作り出せなくなることで発症すると考えられています。
特発性過眠症
特発性過眠症は、ナルコレプシーと同様に日中の過剰な眠気と居眠りを誘発する疾患です。
居眠りの時間が1時間以上と長い点が大きな特徴ですが、それだけ寝ているにも関わらず、目が覚めてもスッキリ感は得られず、頭がぼんやりした状態が続きます。
ナルコレプシーとは異なり、カタプレキシーは見られません。
夜間の睡眠時間に関しては、長いタイプ(10時間以上)と通常程度のタイプに分けられます。
起床困難や頭痛、失神といった自律神経症状を伴う場合もあるため、自律神経失調症と勘違いしないよう注意が必要です。
反復性過眠症
反復性過眠症は、過剰な眠気と睡眠時間の延長(1日あたり16時間~20時間程度の睡眠)が繰り返しあらわれることが特徴の疾患です。
仮眠症状があらわれる期間は、数日から数週間程度と長く、そのような症状が年に数回から10回以上見られるため、1年を通してずっと仮眠症状が継続してしまうケースも考えられます。
夢を見ているような感覚になり現実感が失われ、食欲や性欲が高まり抑うつ的になる場合もあります。
むずむず脚症候群
むずむず脚症候群は、レストレスレッグス症候群とも呼ばれ、座ったり横になったりすると足に違和感を覚えるような症状を伴う疾患です。
どのような違和感が出るかは、「むずむずする」「かゆい」「針で刺されている感じがする」「虫が這っているような感じがする」など、人によってさまざまです。
むずむず脚症候群になる原因はまだ明らかにはなっていませんが、脳内の神経系の異常や貧血などから発症することが有力な説として考えられています。
直接的に眠気に関わる症状を伴うわけではありませんが、横になると症状が出ることから上手く寝られずに、結果として日中の眠気に繋がります。
周期性四肢運動障害
周期性四肢運動障害は、睡眠中に四肢(主に下肢)の筋肉が急速に収縮しては弛緩する不随意運動(ミオクローヌス)が、繰り返し起こることが主な症状です。
ミオクローヌスによって深い眠りが妨げられて、睡眠が浅くなったり目が覚めたりするため、結果として日中の眠気や倦怠感に繋がります。加齢に伴い増加する睡眠障害の一つです。
概日リズム睡眠障害
概日リズム睡眠障害は、体内時計の周期が24時間周期に適切に同調できないために生じる睡眠障害です。
人間の体内時計の周期は約25時間といわれており、1日の周期である24時間より1時間ほど長くなっています。
通常であれば、日常生活においてさまざまな刺激を受けることにより、体内時計が24時間周期に同調して、この約1時間のズレが修正されます。
このズレが修正されなければ、望ましい時刻に入眠・覚醒することができなくなってしまう可能性があり、結果として、眠気や頭痛、倦怠感といった身体的な不調を生じるようになります。
すでに触れてはいますが、概日リズム睡眠障害に限らずいずれの疾患の場合でも、症状が気になる場合はすぐに医療機関を受診するよう心がけましょう。
まとめ
日中に眠気を感じる場合、うつ病などの疾患がその原因となっている可能性もありえます。
何をしても楽しくない、疲れやすい、食欲がないといったような症状がある場合は、うつ病のせいで眠気を生じている可能性を疑いましょう。
うつ病以外にも、自律神経失調症やナルコレプシー・概日リズム睡眠障害なども、日中に眠気を生じる可能性のある疾患として考えられます。
それぞれの疾患の症状を見て心当たりがあると感じた場合は、なるべく早く医療機関を受診しましょう。