寝起きに頭痛がすると何もやる気が出ず、つらい状態のまま1日を過ごすこととなります。
頭痛が続くことで「明日も頭痛がするのでは」と不安を抱えると、布団に入ってから憂鬱な気分で眠りにつくことになるかもしれません。
朝から頭痛がしてつらい日々を送っているのであれば、自分の頭痛のタイプを知って改善を目指していきましょう。
この記事では、「朝起きたら頭が痛い」「頭がズキズキしてつらい」など、寝起きの頭痛に悩んでいる方に向けて、頭痛が起こる原因や症状などを詳しく解説します。頭痛の症状に対処する方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
寝起きに頭痛が起こる原因を種類別に解説
寝起きの頭痛にはさまざまな種類があり、すべての原因が解明されているわけではありません。なかでも一般的に多い頭痛のタイプは、次の2種類だといわれています。
- 血流が原因で起こる「片頭痛」
- 筋肉が緊張して起こる「緊張型頭痛」
それぞれの原因について、わかりやすく解説します。
血流が原因で起こる「片頭痛」
片頭痛とは、こめかみ周辺に発作的な痛みが生じる頭痛のことです。
寝起きの「片頭痛」は、就寝中は穏やかに流れている血液が、起床時に勢いよく流れることで起こります。血液が穏やかに流れている時間が長いほど反動が大きくなりやすく、頭痛に繋がりやすい傾向にあるようです。
片頭痛の原因は、寝過ぎが原因であることが多いといわれています。
筋肉が緊張して起こる「緊張型頭痛」
緊張型頭痛とは、頭部が圧迫されるような痛みが生じる頭痛のことです。
就寝中の姿勢が崩れて不自然な姿勢が続くと、寝起きの「緊張型頭痛」に繋がります。姿勢が悪いと頭や首などに負担がかかって筋肉が緊張し、血管を圧迫して血流が悪くなるためです。
このほか、枕の高さが合っていなかったり、体に合わないマットレスを使ったりすることが原因になることもあります。
緊張型頭痛には、大きく分けて反復性緊張型頭痛と慢性緊張型頭痛の2種類があります。
痛みが少なくすぐに頭痛が治る場合は、反復性緊張型頭痛です。一方、毎日頭痛が続く場合は、慢性緊張型頭痛といえるでしょう。
伊藤たえ
医療法人社団 赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック 院長
片頭痛・緊張型頭痛のほか、睡眠時無呼吸症候群の場合、酸素不足になり頭痛が生じます。また脳腫瘍がある場合にも、起床時に頭痛が起ることがあります。
片頭痛と緊張型頭痛の症状
片頭痛と緊張型頭痛、2種類の頭痛の原因がわかったら、次はどのような症状が出るのかを見ていきましょう。
頭痛の解消を目指すには、自分がどちらのタイプにあてはまるのか把握することが大切です。
片頭痛と緊張型頭痛の大まかな特徴は、以下のとおりです。
- 目の奥がズキズキしたら「片頭痛」
- ぎゅっと締め付けられる感覚なら「緊張型頭痛」
それぞれ詳しく解説します。
目の奥がズキズキしたら「片頭痛」
片頭痛の場合、目の奥からこめかみのあたりに、ズキズキと脈を打っているような痛みが起こります。
人によっては頭痛に加えて、吐き気、光や音に敏感になるなどの症状が出ることもあるようです。
また、片頭痛の前兆として、目の前にギザギザした光が見えることもあります。
ぎゅっと締め付けられる感覚なら「緊張型頭痛」
頭がぎゅっと締め付けられるような感覚があるなら、緊張型頭痛です。頭だけでなく、首や肩などが痛くなることもあります。
片頭痛と異なる点は、頭を動かしてもズキズキとした痛みが起こらないことです。そのため、片頭痛と比べると日常生活への支障は出にくいといえるでしょう。
緊張型頭痛の場合、頭が重い、めまいなどの症状を伴うこともあります。
寝起きの頭痛を引き起こす行動とは?
ここからは、寝起きの頭痛がどのような行動によって引き起こされるかを解説します。原因となる行動を知って、頭痛への対策に活かしていきましょう。
- 寝過ぎ・寝不足
- 寝ている間の水分不足
- 乱れた生活習慣とストレス
それぞれについて、詳しく解説します。
寝過ぎ・寝不足
寝過ぎや寝不足によって生活リズムが崩れると、頭痛を引き起こす可能性があります。生活リズムが崩れることによって、体を整える働きを持つ「自律神経」のバランスが乱れるからです。
自律神経のバランスが乱れると血管が収縮して血流が悪くなり、起床時に血液が一気に流れ出して頭痛へと繋がります。
寝ている間の水分不足
人間は、夜寝ている間にコップ約1杯分の汗をかくといわれています。寝ている間は水分補給ができないため、就寝中に汗をかいた分、朝起きた時の体は水分不足になった状態です。
体の水分が不足すると血液の流れが悪くなって体温調節ができなくなり、頭痛を引き起こすことがあります。
乱れた生活習慣とストレス
生活習慣の乱れやストレスも頭痛の原因となり得ます。寝起きの頭痛を誘発する可能性がある不規則な生活リズムとは、就寝する時間が毎日異なる、日勤と夜勤を繰り返すなどの行動です。
また、平日に仕事などでストレスが溜まっている場合、平日のみ頭痛が起こって休日には起こらない方もいるようです。
伊藤たえ
医療法人社団 赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック 院長
寝起きの頭痛を予防するには、規則正しい生活習慣を身につけることが大切です。また脱水予防やストレスを避けることも予防につながります。
寝起きの頭痛への対処法を種類別に紹介
寝起きに頭痛がする場合、どのように対処すれば良いのか悩んでいる方は多いと思います。もし、症状がひどくてつらい場合や頭痛が繰り返し起こる場合は、医療機関を受診して適切な診断を受けましょう。
ここでは、それと合わせて出来る対策として、頭痛のタイプ別に詳細な方法を説明します。
- 片頭痛
- 緊張型頭痛
頭痛の種類によって対処法が真逆になるため、注意しながら対策に努めましょう。
片頭痛の対処法
片頭痛の時は血管が拡張した状態なので、首の後ろを冷やして血管を収縮させると痛みを抑えやすくなります。
ただし、保冷剤などを使って長時間冷やすと凍傷になるリスクがあるため、冷やすのは短時間にしておきましょう。
もしズキズキとした痛みがひどい時は、部屋を暗くして横になり、できるだけ安静に過ごすことも大切です。
緊張型頭痛の対処法
緊張型頭痛は、頭や首などに負担がかかって筋肉が緊張している状態なので、首や肩を温めて、筋肉の緊張をほぐしていきましょう。
このほか、入浴して全身リラックスさせる、ストレッチやマッサージで体をほぐすなどの方法もおすすめです。
心身に受けるストレスが緊張型頭痛に関係しているケースもあるため、日々のストレスを解消させることも大切といえます。心身ともにリラックスできるように、普段から外を散歩したりカラオケをしたりして、リフレッシュするよう努めましょう。
伊藤たえ
医療法人社団 赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック 院長
寝起きの頭痛で医療機関を訪れるタイミングとして、頭痛以外の症状がある場合は医療機関を受診してください。吐き気や嘔吐がある、または鎮痛剤が効かない時や長時間症状が続くことも目安になります。
睡眠の質を高めて寝起きの頭痛対策をしよう
睡眠の質が低下していると、寝起きの頭痛をはじめとしたさまざまな体の不調に繋がる可能性があります。そのため、日頃から生活習慣を整えて、睡眠の質を向上させておくことも大切です。
睡眠の質を高める方法として、まず以下の3つを意識して生活しましょう。
- 食生活を見直す
- 就寝環境を整える
- 朝に太陽の光を浴びる
それぞれの方法について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
食生活を見直す
睡眠の質を高めるために、食生活を見直して規則正しい時間に食事をとりましょう。朝食をしっかり食べると、体内時計がリセットできて生活リズムが整いやすくなります。
バランスが良い食事をとることはもちろん、睡眠をサポートしてくれる栄養素を摂ることも大切です。睡眠の質を高くしたいなら、栄養素の「トリプトファン」を意識して摂りましょう。
トリプトファンとは必須アミノ酸の一種で、睡眠の質を高める「セロトニン」や「メラトニン」を作るために必要となる栄養素です。豆腐や納豆などの大豆製品、チーズや牛乳などの乳製品、米などの穀類に多く含まれています。
また、夜に食事をする際は、食後の消化活動が快適な睡眠を妨げる可能性があるため、就寝3時間前に食事を済ませることが望ましいです。アルコールやカフェインなどの覚醒作用があるものは、寝る前の摂取は避けてください。
就寝環境を整える
毎日ストレスなく眠るためには、寝室の室温・湿度や照明、寝具などの就寝環境を整えることも重要です。
寝室の温度は、夏場は25℃〜26℃、冬場は22℃〜23℃が理想的とされています。湿度は通年50%〜60%になるように、加湿器などを使って調整しましょう。
温度や湿度以外にも、寝室の照明を消して暗くする、騒音が気にならない静かな環境で眠るなど、寝室を落ち着いて眠れる環境に整えてみてください。
また、就寝中に不自然な姿勢にならないように、マットレスや枕といった寝具の選び方も力を入れたいポイントです。
寝返りを打ちやすく、自分が「寝心地が良い」と感じるマットレスや、自分の体型と寝姿勢に合った高さの枕を使用して、寝姿勢を整えましょう。夏場は通気性が良い素材、冬場は保温性が高い素材の寝具を使用すると快適に眠りやすくなります。
直接肌に触れるパジャマは、体を締め付けない肌触りの良いものがおすすめです。
朝に太陽の光を浴びる
朝起きたらカーテンを開けたりベランダに出たりして、太陽の光を浴びて体内時計をリセットさせましょう。太陽光を浴びると、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌が抑制されて、体が活発的に動ける状態となります。
さらに、日中に太陽光を浴びて「セロトニン」を分泌させておけば、太陽を浴びた約14時間後にメラトニンの分泌量が増えるため、自然な眠気が促されやすくなることも期待できます。
また、就寝前に明るい光を浴びると、脳が「朝だ」と勘違いしてしまうため注意が必要です。自然に眠たくなった脳を覚醒させないために、就寝前にスマホやパソコン、照明などの強い光を浴びることは避けましょう。
まとめ
寝起きの頭痛には、大きく分けて片頭痛と緊張型頭痛の2種類があります。それぞれ痛みの出方と原因が異なるため、自分がどちらのタイプか知ることから始めてみてください。
症状が長期間続く場合やひどい場合には、医療機関を受診して専門家の適切な診断を受けることが重要です。それと合わせて、日頃から取り組める頭痛対策として、生活リズムを整えながら睡眠の質を高めていきましょう。
この記事で紹介した、食生活を見直す方法や就寝環境を整える方法は、今日からでも取り組める対策です。費用をかけずに対策に取り組みたい方は、まずは朝から太陽光をしっかり浴びることから始めてみてはいかがでしょうか。