寝る前に好きな飲み物を用意して、ゆっくりティータイムを楽しんでいる方もいるでしょう。
しかし、飲み物の中には、寝つきの悪さや睡眠の質の低下を引き起こす可能性があるものも存在するため、注意しなくてはなりません。
スムーズに入眠して翌朝すっきり起きるためにも、就寝前に適している飲み物を知ることは重要です。
この記事では、寝る前におすすめの飲み物やその効果を解説します。寝る前にどんな飲み物を選べば良いのか気になる方は、ぜひ参考にしてください。
寝る前におすすめの飲み物8選
寝る前に何を飲もうか迷っている方のために、おすすめの飲み物を8つ紹介します。用意しやすい飲み物ばかり集めたので、飲み物選びに困っている方はぜひお試しください。
- 白湯
- 黒豆茶
- ホットジンジャー
- ルイボスティー
- カモミールティー
- ホットミルク
- ホットココア
- 甘酒
それぞれの飲み物の特徴や、おすすめポイントを解説します。
白湯
白湯とは、何も入っていない、一度沸騰させただけのお湯を指します。単なる「お湯」との違いは、「沸騰させているか」という点です。
白湯の作り方は簡単で、やかんや鍋に水を入れて火にかけ、10~15分ほど沸騰させます。はちみつを入れたりレモンを絞ったり、気分に合わせてアレンジを楽しむのも良いでしょう。
適温まで冷まし、ゆっくりと時間をかけて白湯を飲めば、体がしっかりと温まります。
黒豆茶
黒豆茶はノンカフェインのお茶のため、寝る前に飲む飲み物としておすすめです。
黒豆茶には、セロトニンの原料になるトリプトファンが豊富に含まれています。セロトニンは睡眠を促すメラトニンの原料です。そのため、黒豆茶を飲むことで自然と眠気が促される効果が期待できます。
また、黒豆茶には大豆イソフラボンが含まれており、エストロゲンという女性ホルモンの働きをサポートする働きがあります。大豆イソフラボンを摂取すると、女性ホルモンが不足して生じる睡眠の質の低下の改善に繋がる可能性があります。
ホットジンジャー
ホットジンジャーとは「生姜湯」のことです。生姜は体を温める代表的な食材で、新陳代謝を促し、体を温める効果が期待できます。
生姜を都度すりおろしても良いですが、ジンジャーシロップを作るか買っておくと、気軽に作れるためおすすめです。
ルイボスティー
ルイボスティーとは、南アフリカで採れる「ルイボス」というマメ科の植物から作られるお茶のことです。ややクセのある味わいですが、ノンカフェインなので就寝前にもおすすめです。
味が苦手な場合は、ドライフルーツを少し入れると飲みやすくなります。みかん、りんご、ラ・フランスなど、さまざまなアレンジを楽しんでください。
カモミールティー
カモミールとは、ヨーロッパ周辺などが原産のキク科の植物で、ドイツをはじめとする海外では薬用として活用されています。
ハーブティーの1種であるカモミールティーは、ノンカフェインなので寝る前にも飲みやすいでしょう。
カモミールには体を温める作用だけでなく、発汗作用や消化を促進させる効果もあるとされており、リラックスしたい時にもぴったりな飲み物です。
ホットミルク
牛乳には、睡眠を促す働きを持つ「トリプトファン」というアミノ酸が含まれており、牛乳に含まれるカルシウムには、活動モードの「交感神経」の働きを抑える効果があるとされています。
牛乳をレンジで温める際にはラップをかけて、鍋で温める際にはかき混ぜながら作りましょう。吹きこぼれてしまうと、火傷するリスクがあるため、沸騰させすぎないよう注意してください。
また、牛乳には脂質が含まれているため、消化に時間がかかる場合もあります。人によっては、就寝前に飲む飲み物として適さない場合もあることは覚えておきましょう。
ホットココア
ココアに含まれているテオブロミンには、自律神経を整える作用と、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンに作用する働きがあるとされています。
就寝前にホットココアを飲むことで、体温が上がりリラックス効果が期待できるため、睡眠の質を高める可能性があるでしょう。
就寝前にココアを飲む効果は、以下の記事でも紹介しているためぜひこちらもご覧ください。
甘酒
甘酒にはストレス緩和作用があるといわれるGABAが含まれています。就寝前に甘酒を飲むことでリラックス効果が期待でき、睡眠の質が向上する可能性があるでしょう。
また、甘酒には糖質、脂質、アミノ酸、ミネラルなどの栄養素がバランス良く含まれているほか、腸内環境を整える作用もあるため、代謝や免疫力の向上も期待できます。
なお、米麹甘酒は糖質が多く含まれているため、飲む量には注意が必要です。適量は1日200ccまでとされているため、飲み過ぎてカロリー過多にならないように気をつけてください。
寝る前に飲むのは避けたほうが良い飲み物
就寝前にはリラックスした状態でいることが大切なので、体や脳に刺激を与える飲み物は避けることをおすすめします。
寝る前におすすめできない飲み物に挙げられるのは、以下のとおりです。
- カフェインを含む飲み物
- アルコール類
なぜおすすめできないのか、それぞれの理由を解説します。
カフェインを含む飲み物
カフェインには覚醒作用があり眠気を遠ざけるため、就寝前にカフェインを含む飲み物を飲むのは避けましょう。
カフェインを含む飲み物の例には、以下のものがあります。
- 玉露
- コーヒー
- 紅茶
- 緑茶
- 栄養ドリンク
- エナジードリンク
カフェインを多く含む飲み物は、一般的にコーヒーをイメージする方が多いと思いますが、緑茶などのお茶にも含まれています。
特に、玉露には多くのカフェインが含まれており、その量はコーヒーの2倍以上であることを覚えておきましょう。
なお、個人差はありますが、カフェインの血中濃度は摂取後30分~2時間程度で最大となり、効果が半分になるまでには2~8時間を要するといわれています。そのため、お茶やコーヒーを飲むのであれば、夕方以降は避けることをおすすめします。
また、カフェインには利尿作用もあるため、過剰に飲み過ぎると夜中にトイレに行きたくなって起きる可能性があります。
アルコール類
アルコールを飲むと一時的に眠くなることもありますが、時間が経って酔いが醒めると眠りが浅くなり睡眠の質が低下します。
一旦眠気が促されるからといって、睡眠改善の目的でアルコールを摂取するのは良くありません。飲む量がどんどん増えていくと、依存症に繋がる可能性もあるため注意が必要です。
また、カフェインと同様、アルコールにも利尿作用があるため、トイレに立つ回数が増えて熟睡しづらくなるうえに、脱水症状になる可能性もあります。
なかには「寝酒」が習慣になっている方もいるかもしれませんが、就寝前のアルコールは控えましょう。
睡眠とアルコールの関係は、以下の記事でも紹介しているため、ぜひこちらもご覧ください。
大塚亮
おおつか医院 院長
睡眠中の脳の活動は深い睡眠状態の「ノンレム睡眠」や、浅い睡眠状態の「レム睡眠」があり、この脳内活動がバランスよく繰り返すことが“質の高い睡眠”ですが、アルコールによってこのバランスが崩れてしまいます。
寝る前に飲み物を飲んだほうが良い理由
「夜中にトイレに行きたくなりそう」などの理由から、就寝前に飲み物を飲むのは控えている方もいるかもしれませんが、就寝前に飲み物を飲むことで得られるメリットもあります。
特に、温かい飲み物には以下のメリットがあるため、適量を守りながら、就寝前に飲む習慣を取り入れることがおすすめです。
- 水分補給ができる
- 体を温められる
- リラックス効果が期待できる
それぞれのポイントを、詳しく解説します。
①水分補給ができる
人は就寝中にコップ約1杯分の汗をかくといわれているため、朝起きた時は多量の水分を失った状態となっています。
就寝中に脱水症状を引き起こさないためにも、寝る前にはしっかりと水分補給をしましょう。水分を十分にとっていないと、夜間熱中症に陥る可能性があります。
夜間熱中症とは、夜に発症する熱中症です。だるさやめまい、発汗量の異常などの症状があらわれます。水分補給を怠ると、寝ている間に脱水症状を引き起こす恐れもあります。
②体を温められる
人間は体温が一旦上がってその後下降するタイミングで眠気が促されるため、寝る前に温かい飲み物を飲むことは、スムーズな眠りのためにも効果的です。
体を温める方法として入浴も挙げられますが、なかには忙しくてゆっくりお風呂に浸かれない日もあるでしょう。そんな時に温かい飲み物を飲むと、脳は「全身が温まった」と認識します。
温かい飲み物を飲むことは、忙しくて入浴時間をとれない方でも手軽に取り入れやすい手段です。
なお、就寝前に入浴の習慣がある方は、温かい飲み物だけでなく冷たい飲み物を飲んだ場合にも、寝付きが良くなることが期待できるため、状況に応じて飲み物の温度を変えるのも良いでしょう。
大塚亮
おおつか医院 院長
温かい飲み物だけではなく冷たい飲み物でも、入浴で温まった体の深部体温を下げることで眠気を催すようになります。ただし、あまり冷たいと消化酵素の働く温度域から下がりすぎ、消化力が落ちてしまうこともあります。
③リラックス効果が期待できる
温かい飲み物や香りの良い飲み物には、リラックス効果があるといわれています。好みの味や香りの飲み物を用意して、就寝前のひと時をリラックスタイムにしましょう。
温かい飲み物を飲んで胃・腸・食道が温まると、働きが活発になったり血流が良くなったりする効果も期待できます。心が落ち着いた状態で眠りにつけるよう、ぜひお気に入りの飲み物を見つけてみてください。
寝る前に飲み物を飲む際に気を付けたいポイント
就寝前には水分補給を行うことが大切ですが、何を飲んでも良いわけではありません。就寝前に飲み物を飲む際は、気を付けたいポイントがいくつかあります。
- 就寝の約1時間前から飲み物を飲む
- 飲み物の温度に注意する
- 糖分を含む飲み物は虫歯に注意する
それぞれ詳しい内容を説明します。
就寝の約1時間前から飲み物を飲む
就寝直前までスマホ操作をしている方は多いと思いますが、より良い睡眠をとるためには、就寝前にゆっくり過ごすことが理想的です。
スマホ操作は就寝2時間前までに留め、就寝前には1時間ほどのリラックスタイムを設けて、温かい飲み物を飲みましょう。就寝直前のスマホ操作はブルーライトの影響により、睡眠の質が低下する可能性があるため、注意が必要です。
なお、飲み物を飲む時は、胃腸に負担をかけないよう、一度にたくさんの量を飲むのではなく、少量ずつ時間をかけて飲むことが大切です。
飲み物の温度に注意する
寝る前に飲み物を飲む場合、温度には注意が必要です。眠気は深部体温が下がることで促されますが、冷たすぎる飲み物を飲むと深部体温が低くなります。すると、深部体温の下げ幅が少なくなり睡眠の質が低下する可能性があります。
一方、熱すぎる飲み物は交感神経を刺激し、かえって目が覚める可能性があるため、良くありません。
寝る前に飲む飲み物は、冷たすぎても熱すぎても良くないため、40℃~50℃程度の温かい飲み物を飲むことがおすすめです。
糖分を含む飲み物は虫歯に注意する
食後の歯磨きを終えた後に飲み物を飲む場合、再び歯磨きをすべきか悩む方もいるかもしれません。結論、白湯のように糖分を含まないものであれば、虫歯にはならないといわれています。
しかし、糖分が含まれていなくてもステインが含まれていれば、歯の黄ばみや着色汚れの原因になるため、歯磨きしてから寝たほうが良いでしょう。
また、牛乳や砂糖が含まれる飲み物を飲んだ時には、虫歯リスクを高めないために必ず歯磨きをしてから就寝しましょう。
まとめ
就寝前に飲む飲み物と睡眠とは密接な関係にあるため、何を飲むかは重要です。
何でも良いだろうと選ぶのではなく、飲み物に含まれる成分や飲むタイミングに注意しながら、就寝前の飲み物を選んでください。
アルコールやカフェインの入った飲み物は避け、白湯やホットジンジャーなどがおすすめです。
寝る前に温かい飲み物を飲んでリラックスし、就寝の約1時間前からはスマホなどの操作をやめて、質の高い睡眠をとるよう努めましょう。