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2025.05.31 更新

【医師監修】「こむら返り」を防ぐには?原因とその予防法を紹介

【医師監修】「こむら返り」を防ぐには?原因とその予防法を紹介

「寝ていたら足に激痛が走った」「運動中に足がつった」など、急な痛みに襲われて驚いた経験がある方は多いでしょう。

激しい痛みに襲われる「こむら返り」は、就寝中や運動中などに突然起こるものなので、未然の防止も難しく、どのように対処したら良いのかわからないかもしれません。

こむら返りは激痛を伴うため、すぐに対処して痛みを軽減させたいものです。

この記事では、こむら返りで悩んでいる方に向けて、具体的な原因やこむら返りになった時の対処法などを紹介します。普段からできる予防法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

  1. こむら返りとは筋肉がけいれんして「つった」状態のこと
  2. こむら返りになる原因のうちの5つを解説
  3. ミネラルバランスの乱れ
  4. 血流の悪さ
  5. こむら返りになるのは病気の可能性がある?
  6. こむら返りになった時にすぐできる対処法
  7. 日常生活で取り組めるこむら返りの予防法
  8. ミネラルバランスの乱れの予防法
  9. 血流の悪さの予防法
  10. まとめ

こむら返りとは筋肉がけいれんして「つった」状態のこと

こむら返り」とは、主にふくらはぎの筋肉がけいれんして、いわゆる「足がつった」と表現される状態のことです。「こむら」とはふくらはぎのことを指しており、医学的には「有痛性筋けいれん」と呼ばれています。

足がつると激痛に襲われますが数秒から数分で収まることが多く、長時間続かないのが一般的です。

こむら返りはふくらはぎに起こることが多いですが、足全体や背中、腹部などにも起こることがあります。こむら返りが起こるのは、睡眠中や運動中のタイミングが多いようです。

こむら返りになる原因のうちの5つを解説

こむら返りが起こる原因はすべて解明されているわけではありませんが、ミネラルバランスの乱れ」「血流の悪さ」の2つが主な原因として考えられています。

この2つの状態に陥る際の原因を、状態別に紹介します。

ミネラルバランスの乱れ

ミネラルバランスが乱れる原因は主に以下の2つです。

  • 汗をかいてミネラルのバランスが崩れた
  • 栄養が偏ってミネラルが不足した

それぞれの内容について、詳しく解説します。

・汗をかいてミネラルのバランスが崩れたことが原因

筋肉の収縮や神経伝達をスムーズにする働きを持つ「ミネラル」が不足すると、これらの働きが上手くいかなくなり、こむら返りを引き起こすことがあります。

例えば、運動をして汗をかいた時には、水分と一緒にミネラルも失われており、体内の水分・ミネラルが不足した状態です。そのまま水分補給をしないとミネラルのバランスが崩れた状態が続き、こむら返りに繋がることがあります。

また、睡眠中にはコップ約1杯の汗をかきますが、寝ている間は当然水分補給ができません。そのため、ミネラルが不足して夜中や朝に足がつりやすくなると考えられています。

・栄養が偏ってミネラルが不足したことが原因

前述した「汗をかく」ケースだけでなく、無理なダイエットや偏食によって栄養が偏ることも、ミネラルが不足する原因の一つです。ミネラルは人間の体内で作れないため、食事から摂らない限りミネラル不足は続き、こむら返りへと繋がる可能性があります。

ただし、ミネラルは摂取しすぎると過剰症などを引き起こすことがあるので、バランス良く摂ることが大切です。

血流の悪さ

血流が悪くなる原因は主に以下の3つです。

  • 体の冷え
  • 運動不足による筋力低下
  • ヒールを履いて足に負担がかかっている

それぞれの内容について、詳しく解説します。

・体が冷えたことが原因

体が冷えて血行が悪くなると、筋肉が収縮してこむら返りを引き起こしやすくなります。冬はもちろん、夏に冷房で体が冷えた場合にもあてはまります。

夜に冷房をつけたまま寝ると、気付かないうちに体が冷えてしまうため気を付けなくてはなりません。足元の冷えが気になる時には、ヒーターや使い捨てカイロを取り入れながら、足を冷やさないよう努めましょう。

・運動不足による筋力低下が原因

運動不足で筋力が低下している状態で、急に力を入れるなどの刺激を与えると、こむら返りになることがあります。その理由は、筋肉が緊張していると血流を促す力が弱くなるため、運動不足の状態では血行が悪くなっているからです。

筋力低下は運動不足だけでなく、加齢女性ホルモンの減少などによっても起こります。運動中にこむら返りになる場合は、運動前のウォーミングアップ不足が原因になることもあるようです。

・ヒールを履いて足に負担がかかっていることが原因

高いヒールを履いて足に負担がかかっていることも、こむら返りを引き起こす原因の一つです。普段使わない筋肉を使い、筋肉が疲れたり血行が悪くなったりすることで、こむら返りに繋がる可能性があります。

ヒールを履いていなくても足がつる場合は、歩き過ぎや履いている靴が合っていないことが一因として考えられるのかもしれません。

こむら返りになるのは病気の可能性がある?

こむら返りの急激な痛みに襲われると、「もしかしたら病気ではないか」と不安に感じる方は多いかもしれません。一般的には、一度こむら返りになったから病気だというわけではなく、心配がないケースも多いです。

しかし、病気によっては、こむら返りのように足がつる症状が出るものがあります。例として挙げられるのは、腎不全、熱中症、椎間板ヘルニア甲状腺機能低下症糖尿病脳梗塞などです。

頻繁にこむら返りになる場合や痛みが収まらない場合は、我慢せず医師に相談することをおすすめします。また、薬の副作用で足がつることもあるため、飲んでいる薬がある方は薬を処方してもらった医師に相談しましょう。

ソシアス美緒

ソシアス美緒

麻酔科標榜医 日本アンチエイジング外科美容再生研究会認定医

こむら返りが頻繁に起こる場合は内科を受診し、血液や尿を用いて腎機能、肝機能、甲状腺などの機能を調べましょう。ただし、こむら返りだけでなく、腰や足の痛みを伴う場合は整形外科の受診が適しています。

こむら返りになった時にすぐできる対処法

こむら返りになった時にすぐできる対処法

こむら返りは予期せず起こる症状ですが、なった瞬間にすぐ取り組める対処法もあります。突然こむら返りの激痛に襲われたら、収縮したふくらはぎの筋肉を伸ばすことが大切です。

こむら返りが起こったら、まず足を伸ばしてつま先をつかみ、少しずつ手前に引き寄せてふくらはぎを伸ばします。もし足に手が届かなければ、誰かに手伝ってもらうかタオルを足に引っ掛けて伸ばすと良いです。

この時、急激に引っ張ると肉離れになる可能性があるため、無理に伸ばさないように気を付けてください。

痛みが和らいできたら、ふくらはぎを下から上へゆっくりとマッサージしましょう。足をお湯に浸けたり蒸しタオルを使ったりして、温めて血行を促すのもおすすめです。

日常生活で取り組めるこむら返りの予防法

こむら返りの主な原因である「ミネラルバランスの乱れ」「血流の悪さ」は、日常生活で予防できることもあります。

先ほどと同様に、原因別に予防法を紹介します。

ミネラルバランスの乱れの予防法

予防法は、以下の2つが主に挙げられます。

  • こまめに水分を補給する
  • 食事からミネラルを摂取する

それぞれの予防法について詳しく説明します。

・こまめに水分を補給する

前述のとおり、汗をかくと水分と同時にミネラルも失われるため、こむら返りを引き起こしやすくなります。水分不足によるこむら返りを予防するには、こまめに水分補給することが大切です。

運動して大量に汗をかいた時は、ミネラルを含んだスポーツドリンクを飲むと、水分とミネラルを同時に補給できます。睡眠中の水分不足を避けるには、寝る前にコップ1杯の水を飲むと良いでしょう。

ソシアス美緒

ソシアス美緒

麻酔科標榜医 日本アンチエイジング外科美容再生研究会認定医

1日あたりの適切な水分摂取量についてご説明します。厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準によると、生活活動強度が低い人は1日あたり2.3~2.5L程度、生活活動強度が高い人で、1日あたり3.3~3.5Lが必要です。

ただし、水分は飲料だけでなく、食物からも摂取できるので、飲料としての必要量は上記の6-7割程度です。

・食事からミネラルを摂取する

不足したミネラルは、水分から補給する以外に食事から補給する方法もあります。

ミネラルを食事から補うために、マグネシウム・カルシウム・カリウムを意識的に摂取しましょう。各栄養素を多く含む食品の一例は、以下の表のとおりです。

種類含まれる食品
マグネシウム・海藻類
・ナッツ類
カルシウム・乳製品(牛乳など)
・大豆製品
・小魚
カリウム・いも類(さつまいもなど)
・バナナ

またミネラルだけでなく、ビタミンEを摂取すると血流が良くなって、こむら返りの予防になるともいわれています。ビタミンEは卵やアーモンド、オリーブオイルなどに含まれているため、ミネラルと合わせて摂取しましょう。

ソシアス美緒

ソシアス美緒

麻酔科標榜医 日本アンチエイジング外科美容再生研究会認定医

必要以上のミネラル摂取は過剰症となり、さまざまな問題を起こす可能性があるため注意しましょう。例えば、サプリメントなどでカルシウムを長期多量に摂取すると、マグネシウム欠乏症になることがあります。

血流の悪さの予防法

予防法は、以下の3つが主に挙げられます。

  • 体の冷えを防ぐ
  • 足に負担がかかる靴を避ける
  • ストレッチでふくらはぎを伸ばす

それぞれの予防法について詳しく解説するので、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。

・体の冷えを防ぐ

体の冷えが原因でこむら返りになる場合は、手足をすっぽり包める服を着たり体を温めるアイテムを使ったりして、普段から冷えないように心がけることが大切です。

夜中にこむら返りになることが多い方は、長ズボンのパジャマを着用して足元を温めましょう。それでも冷えるなら湯たんぽも効果的です。

また、デスクワークなどで足元が冷える場合は、レッグウォーマー・使い捨てカイロ・足元のヒーターなど、足元を温める工夫をしてみてください。

入浴はできるだけ湯船に浸かって全身温めるのが理想的ですが、難しければ足湯だけでも入ることをおすすめします。血行を促進するために、入浴後にふくらはぎをマッサージするのも良いでしょう。

・足に負担がかかる靴を避ける

足の筋肉に負担がかかることを防ぐためにも、ヒールや窮屈な靴の着用は可能な限り控えましょう。仕事などで履く必要がある場合でも、できるだけ長時間の着用は避けることをおすすめします。

どうしてもヒールが避けられない場合は、休憩中には靴を脱いで足が楽になる姿勢をとるなど、足に負担がかかり続けないような工夫を行ってください。

・ストレッチでふくらはぎを伸ばす

運動する時にこむら返りになることが多い方は、運動前後にしっかりストレッチすることが大切です。ふくらはぎをしっかり伸ばして、筋肉の柔軟性を高めていきましょう。こむら返りになりそうなところに、あらかじめテーピングを貼っておくのも効果的です。

普段の生活にも以下のようなストレッチを取り入れれば、足の冷え対策になるうえに筋肉の緊張をほぐせます。

  • 立ち上がって両脚を前後に開き、ふくらはぎを伸ばしたまま約30秒キープする
  • 横になってつま先にタオルなどを引っ掛けて、ふくらはぎを伸ばす
  • 軽く屈伸して足の筋肉をほぐす

ストレッチにはさまざまな方法があるため、自分がやりやすいストレッチを習慣にしていきましょう。

まとめ

ふくらはぎなどに激痛が走り、「足がつる」と表現されることもあるこむら返りは、急に起こるため対処が難しくつらい症状です。

こむら返りに悩まされている方は、こむら返りの主な原因である「ミネラルバランスの乱れ」「血流の悪さ」の2つに着目して予防していきましょう。

今日からでも手軽にできる方法として、食事内容の見直しや体を温める方法などがあります。ほかにも、水分・ミネラルの補給、ストレッチなど、紹介した予防法を生活に取り入れてみてください。

もし頻繁にこむら返りになる場合や痛みがひどい場合は、自己判断せずに医療機関を受診することをおすすめします。

この記事の監修者
ソシアス美緒
ソシアス美緒麻酔科標榜医 日本アンチエイジング外科美容再生研究会認定医
1999年東海大学医学部卒業、順天堂大学大学整形外科医局入局。2005年より順天堂大学麻酔科医局入局し、ペインクリニックで整形外科関連の痛みに関する治療を学び、麻酔科標榜医取得した後、同じく整形外科医である両親の経営する病院で整形外科医として勤務を開始。現在は、整形外科、再生医療、美容、皮膚科など多岐に渡る診療を手掛けている。
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