朝起きた時、背中の痛みを感じたことはありませんか?
寝起きに体の痛みがあると、「睡眠時に良くないことが起きているのでは」と不安になってしまう場合もあるでしょう。
寝起きに背中が痛い場合は、痛みの原因と対処法を把握すれば改善できる可能性があります。
この記事では、寝起きに背中が痛くなる原因・対処法について紹介します。
寝起きに背中が痛くなる主な原因
寝起きの背中の痛みにはさまざまな原因がありますが、主に考えられる原因が下記の5つです。
- 寝過ぎている
- 血行不良や筋肉疲労
- 寝ている時の姿勢が悪い
- 背中に痛みが伴う病気が発症している
- 寝具が合っていない
それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
寝過ぎている
人は睡眠中に体の各部位で体重を支えています。
特に肩や腰は睡眠中に負担がかかりやすい部位です。睡眠時間が長すぎる場合、その分肩や腰にかかる負荷も増えてしまい、血流が悪化する場合があるので注意が必要です。
血行不良を起こすと、発生した疲労物質がその部位に残ってしまい、痛みが発生しやすくなります。また、腰への負担はその周辺の背中部分にまで影響し、痛みが生じる可能性があります。
血行不良や筋肉疲労
長時間のデスクワークなどにより背中の筋肉が硬くなっていると、血行不良を起こす場合があります。
前述のとおり、血行不良は痛みを引き起こす原因の一つです。普段から血液の循環が悪いと寝起きに十分な血液が行き渡らず、背中の痛みに繋がる可能性があります。
このほかの原因として、背中の筋肉疲労も考えられます。特に普段の姿勢が猫背になりやすい方は、背中に疲労が溜まりやすいので注意してください。
寝ている時の姿勢が悪い
寝起きに背中の痛みを感じる場合、寝姿勢に原因があるかもしれません。
背骨が曲がった不自然な姿勢のまま眠ってしまうと、睡眠中に背中の筋肉を痛めてしまう場合があります。
寝姿勢は横寝、うつ伏せ寝などさまざまありますが、一般的に体に良いとされているのは仰向け寝です。
仰向けで寝ると血流が良くなり、体の筋肉のこりが解消されることがあります。
久手堅司
せたがや内科・神経内科クリニック院長
寝返りをすることで筋緊張からリセットされるため、寝返りをしにくい寝姿勢は背中の痛みに繋がりやすいです。首の位置が高すぎたり低すぎたりすると、首の筋緊張が強くなるため、背中の痛みに繋がりやすくなります。
背中に痛みが伴う病気が発症している
背中の痛みがあまりにもひどい方は、病気の発症も疑いましょう。下記の病気を発症している場合、背中の痛みが発生する症状が出る場合があります。
- 椎間板(ついかんばん)ヘルニア
- 骨粗しょう症
- 変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)など
病気を発症している場合は、医療機関での治療が必要です。しばらく経っても背中の痛みが続く場合、医療機関に相談しましょう。
寝具が合っていない
使っている寝具が自分の体に合っていないと、睡眠時の姿勢が悪くなりやすいです。
不自然な寝姿勢により体に多くの負荷がかかると、背中の痛みを感じる場合があります。
また、寝具が合っていない場合は、体に血流を促すための寝返りを打ちにくくなり、血行不良から背中の痛みに繋がる可能性もあります。
寝起きに背中が痛い場合の対処法
寝起きに背中の痛みを感じる方は、下記5つの対処法を実践してみてください。
- 生活習慣を改善する
- 入浴時は湯船に浸かる
- ストレッチをする
- 医療機関で診察を受ける
- 自分の体に合った寝具に買い替える
これらの対処法を試せば、背中の痛みの改善や軽減に期待できます。以下では、それぞれの方法について順番に紹介します。
生活習慣を改善する
寝過ぎが原因で背中の痛みを感じる方は、自身の生活習慣を改善しましょう。
生活習慣を改善し、毎日決まった時間に起床・就寝するように心がければ、寝過ぎを防げます。寝過ぎによる血行不良が解消されると、背中の痛みを改善できる可能性があります。
また、生活習慣の改善によって睡眠の質が高まれば、その分体の疲れが取れやすくなり、気持ち良く起きられるようになるでしょう。
生活習慣が乱れている方は、この機会に見直してみましょう。
入浴時は湯船に浸かる
普段からシャワーで入浴を済ませている方は、湯船に浸かることをおすすめします。
湯船に浸かると血行が促進されて筋肉や関節が柔軟になるため、背中の痛みの解消に期待できます。
ただし、お湯の温度が熱すぎると、睡眠の質に影響が出る可能性があるので注意してください。体の疲れを取るには、38℃のぬるめのお湯に25分〜30分程度浸かるのが効果的です。ぬるめのお湯は副交感神経を刺激し、リラックス作用をもたらしてくれます。
42℃の熱めのお湯が好きな方は、入浴時間を5分程度に抑えるなどして調整しましょう。また、半身浴の場合は約40℃のお湯に30分程度浸かると、体の疲れが抜けて質の高い睡眠に繋がります。
ストレッチをする
背中の痛みを解消するには、ストレッチも効果的です。
日常にストレッチを取り入れると、筋肉がほぐれる分、体の痛みの原因となる血行不良を防げます。
ここでは背中の筋肉をほぐすストレッチ方法を紹介するので、ぜひ試してみてください。
- 椅子に浅めに腰掛ける
- 両腕を組んで前に伸ばす
- そのままおへそを覗き込むように背中を丸める
ストレッチのポイントは、背中を丸める際に呼吸を止めないことです。正しくストレッチを行い、背中の筋肉をほぐしてあげましょう。
医療機関で診察を受ける
背中の痛みがひどい、または一向に改善しない場合は、背中の痛みを伴う病気にかかっている可能性があります。
背中の痛みが病気によって生じている場合、自力での改善は難しいです。痛みを解消するためにも、早めに医療機関を受診しましょう。
久手堅司
せたがや内科・神経内科クリニック院長
病気が原因で背中の痛みが生じている場合、同じ場所の痛みが続くことが多いです。例えば、膵臓の場合は左側、胃の場合はみぞおちの裏、心臓疾患は前胸部から背中に痛みがあらわれます。
しかし、痛みの強さもさまざまのため、自分で原因を見極めるのは難しいです。痛みが続く場合は、医療機関を受診しましょう。
自分の体に合った寝具に買い替える
睡眠時に使っている寝具が合っていない場合は、寝具の買い替えを検討しましょう。
自分の体に合った寝具に変えると、不自然な姿勢になりにくく、寝返りが打ちやすくなるため、体の不調の改善に期待できます。
特に寝返りの打ちやすさは、寝具を選ぶうえで重要となる要素です。
前提として、体の不調を引き起こす原因の多くは、血行不良によるものです。そのため、寝返りを打てていない場合、血流が体に行き渡らず、血行不良を起こすことがあります。
しかし、適度に寝返りが打てていれば血流が良くなり、血行不良による体の痛みや違和感を軽減できます。
寝具を買い替える際は、素材やデザインだけでなく、寝返りが打ちやすいかどうかも確認すると良いでしょう。
久手堅司
せたがや内科・神経内科クリニック院長
以下4つのうち、起床時に〇が3つ以上なら適切な寝具だとしています。
1. リラックスしているか?
2. 体がすっきりしているか?
3. 背中の痛みがないか?
4. 顎、首、肩のこりを感じないか?
ただし、答えは一通りではなく、寝具は個々に合うことが大事です。
まとめ
寝起きに背中の痛みを感じた時は、まず、痛みの原因になっている要素を考えることが大切です。
原因を把握したうえで適切な対処法を実践すれば、痛みの軽減や予防ができます。ただし、痛みがひどい場合は無理をせず、医療機関で診察を受けましょう。
また、背中の痛みをはじめとした体の不調は、寝具の買い替えでも改善できる可能性があります。
寝返りが打ちやすく、自分の体に合う寝具選びを心がけることがおすすめです。