「普段からあまり眠れていない」「寝つきが良くない」という悩みを抱えている方は、寝ている時の体温に注目してみましょう。
睡眠と体温には深い関係性があり、体温調整のコツを把握しておけば寝不足を解消できる可能性があります。
この記事では睡眠と体温の関係性、質の高い睡眠をとる方法などを紹介します。ぐっすり眠れるようになりたい方は、ぜひご一読ください。
睡眠と体温の関係性
人の体温といえば表面温度である「皮膚温度」を指す場合が多いですが、実はこのほかに「深部体温」と呼ばれる体温もあります。
深部体温とは、脳や臓器など体内部の温度のことです。深部体温が下がると人の体は休息状態となり、眠気が訪れる仕組みになっています。
深部体温は、眠りが深ければ深いほど下がります。このように、睡眠と深部体温は深い関係性を持っています。
深部体温が下がる仕組み
深部体温は主に「体内時計」と「熱産生・熱放散」という2つの機能で調整されています。体内時計とは、心身の覚醒と休息のリズムを管理する機能のことです。
多くの人は「日中に活動して夜に休息する」というリズムを無意識に保てていますが、これは日中に心身を活動状態に、夜間は休息状態に体内時計が切り替えてくれているためです。
体内時計の働きによって日中の活動状態から夜間の休息状態に切り替わる際は、人を自然な眠りに導いてくれるホルモン「メラトニン」が分泌され、その作用で深部体温が低下する仕組みになっています。
一方、熱産生・放熱機構とは、熱を作ったり熱を体外に逃がしたりすることで体温を調整してくれている機能のことを指します。熱産生・放熱機構によって手足などから熱が放出されると、深部体温が下がる仕組みです。
深部体温が十分に下がらないと寝不足になる可能性がある
深部体温が下がらないと眠気が訪れず、寝不足になってしまう可能性があるので注意しましょう。深部体温が下がらない要因にはさまざまありますが、分かりやすい例としては冷え性が挙げられます。
前述したように、深部体温は手足などから熱を放出することで下がる仕組みです。
しかし、冷え性だと手足から熱を上手に放出できないため、深部体温が下がりにくくなります。その結果、体が休息できず「なかなか眠れない」といった不眠の症状に繋がる可能性があります。
また、寝不足が続くと血液の流れが悪くなり、さらに体が冷えやすくなって深部体温も下がりにくくなる悪循環に繋がります。
深部体温を下げて寝不足を解消する方法
深部体温がなかなか下がらないと、体が休息できず眠気が訪れてくれません。
そのため、寝不足を解消したい方は、深部体温を下げるように工夫すると良いでしょう。深部体温を下げる方法としては、主に下記の3つが挙げられます。
- 夕方から夜にかけて運動をする
- 入浴をする
- 寝室の温度を調整する
夕方から夜にかけて運動をする
人の体は、睡眠前後の体温の落差が大きいとより眠りやすくなる仕組みになっています。
体温の落差を広げるにはいくつかの方法がありますが、なかでもおすすめなのが運動です。運動をして体温が上がると睡眠前後の体温の落差が大きくなり、寝つきが良くなります。
また、運動は夕方の時間帯に行うと良いでしょう。一般的に体温がピークに達するのは16時頃だといわれているため、このタイミングで運動をすれば就寝時との体温の落差をより広げられます。
なお、寝不足に悩んでいる方は、夕方の運動だけでなく寝る前に軽いストレッチをするのもおすすめです。就寝前にストレッチで体をほぐせば、より眠りやすくなるでしょう。
入浴をする
寝不足を解消するには、就寝90分〜120分前の入浴も効果的です。入浴をして体温が上がると睡眠前後の体温の落差が大きくなるため、より寝つきやすくなるでしょう。
また、手足の血行が良くなって熱を放出しやすくなるので、深部体温が下がりやすくなります。
ただし、お湯の温度が高すぎたり入浴時間が長すぎたりすると、上がった深部体温が下がりにくくなる可能性があるので注意してください。
入浴は38℃のぬるめのお湯で25分~30分程度、半身浴なら約40℃のお湯で30分程度、42℃の熱めのお湯であれば5分程度に留めることをおすすめします。
寝室の温度を調整する
寝室の温度が高すぎる場合、体の熱を放出しにくくなってしまう可能性があるので注意してください。体の熱を放出できずにいると深部体温が下がりにくくなり、入眠に時間がかかる可能性があります。
睡眠に理想的な温度は夏場が25℃〜26℃、冬場は22℃〜23℃だといわれています。また、どうしても寒くて寝つけない場合は、眠った後に理想的な室温になるよう暖房を調整すると良いでしょう。
寝不足を解消するには質の高い睡眠をとることが大切
寝不足を解消したい方は、普段の眠りの質を高める工夫をしてみましょう。
深部体温だけでなく睡眠の質にも気を配っておけば、寝不足を解消して熟睡しやすくなります。睡眠の質は、主に下記の方法で高められます。
- 就寝前に温かい飲み物を飲む
- 就寝3時間前までに夕食を済ませる
- 就寝前はリラックスする
- 体に合った寝具を使う
それぞれの方法について、以下で詳しい内容を順番に紹介します。
就寝前に温かい飲み物を飲む
寝不足の方は、就寝前に温かい飲み物を飲むと良いでしょう。温かい飲み物を飲んで深部体温が上昇すると、その後体温が下がっていく過程で自然と眠気が訪れてくれます。
ただし、カフェインやアルコールが含まれている飲み物は、逆に睡眠の質を低くしてしまうので注意してください。例としては、主に下記のような飲み物が挙げられます。
- お酒全般
- コーヒー
- 紅茶
- エナジードリンク
- 煎茶をはじめとしたお茶類など
寝る前に飲むのなら、ホットミルクや白湯などの刺激が少ない飲み物を選びましょう。
就寝3時間前までに夕食を済ませる
就寝直前に夕食を摂ると、就寝中に消化活動が行われる影響で睡眠の質が低くなってしまうので注意してください。
寝ている間に消化活動によって腸が働くと脳が刺激されてしまい、眠りが浅くなったり途中で目が覚めてしまったりする可能性があります。
消化活動は一般的に2〜3時間かかるといわれているため、夕食は就寝3時間前までに済ませると良いでしょう。
就寝前はリラックスする
心身が緊張していると寝つきにくくなってしまうため、就寝前はできるだけリラックスすることが大切です。
ベッドに入るまでの時間は、「アロマを焚く」「心地良い音楽を聴く」「読書する」など、自分なりにリラックスできる方法で一息つきましょう。
体に合った寝具を使う
睡眠の質を高めるうえでは、自分の体に合った寝具を使うことも重要です。体格や好きな寝心地などは人それぞれ違うため、「枕の高さは丁度良いか」「マットレスの硬さが合っているか」など、寝具の合う・合わないは使う人によって異なります。
体に合わない寝具を使っていると、寝にくさを感じて入眠しにくくなる可能性があります。寝具が体に合っていない場合は、より自分に合っている寝具を探してみると良いでしょう。
まとめ
深部体温が下がらないと体が休息状態に切り替わらず、寝不足に繋がる可能性があります。
寝不足気味の方や気持ち良く眠れるようになりたい方は、「夕方に運動をする」「就寝90分〜120分前に入浴する」などして、深部体温をコントロールするよう意識してみると良いでしょう。