朝起きたら口のなかが乾燥していると感じるなら、睡眠中に口呼吸をしているのかもしれません。鼻呼吸をしないと健康に悪い影響を与えることがあるため、できるだけ早い対策が必要です。
睡眠中、知らずのうちに口呼吸になることに悩んでいるなら、正しい対策の仕方を理解して、症状の改善に努めましょう。
この記事では、睡眠中に口呼吸になる原因や、鼻呼吸の役割をわかりやすく解説します。口呼吸で寝ることによるリスクも解説するので、口呼吸による健康面への影響が気になっている方は参考にしてください。
睡眠中に口呼吸になる原因
睡眠中に口呼吸になる原因として、代表的なものは以下のとおりです。普段口呼吸をしている方は、自分がどのケースに当てはまるのかチェックしてみてください。
- 鼻がつまっている
- 顔の骨格や歯並びに問題がある
- 寝姿勢に問題がある
- 肥満で顔・首まわりに脂肪が多い
- 口まわりの筋力が低下している
アレルギーや風邪によって鼻がつまっていると鼻で呼吸するのが難しくなり、無意識に口呼吸になることがあります。顔の骨格や歯並びに問題がある場合、鼻に空気が通りにくくなるため、口呼吸に繋がる方もいるようです。
また、寝姿勢の悪さや肥満による脂肪によって気道が圧迫され、鼻での呼吸が苦しくなって口呼吸してしまうケースも考えられます。さらに、口まわりの筋力が低下していると常に口が開いた状態になり、鼻よりも口で呼吸したほうが楽に感じることもあります。
上記以外にも原因はさまざまあり、いくつかの原因があわさって口呼吸になることもあります。
鼻呼吸の役割と効果
鼻呼吸と口呼吸は、同じ呼吸といっても役割が異なります。人間は、寝ている時だけでなく、起きている時も鼻呼吸をしているのが本来の状態です。
鼻呼吸には、大きく分けて「フィルター」と「温度調節」の2つの役割があります。
鼻の奥にある線毛と呼ばれる細い毛や、鼻毛がフィルターの役割を果たし、外気を体内に取り込む時にウイルスや花粉が侵入するのをブロックする効果があるとされています。
また、空気の温度と湿度を調節して体内に取り込むのも、鼻呼吸における重要な役割です。冷たく乾燥した外気が体内に届くのを防げるため、気道や肺への負担を減らしやすくなります。
口呼吸で寝ることによる健康面のリスク
口呼吸で寝ることにはさまざまなリスクがあり、健康に悪影響を及ぼす可能性が考えられます。口呼吸による代表的なリスクとして挙げられるのは、以下の4つです。
- 虫歯・歯周病にかかりやすくなる
- 歯並びが悪くなりやすい
- 睡眠時無呼吸症候群に繋がりやすい
- 風邪をひきやすい
それぞれ詳しく解説するので、現在口呼吸をしている方はぜひご一読ください。
虫歯・歯周病にかかりやすくなる
口呼吸で寝ると、口内が乾燥して唾液の量が減ります。唾液には口の汚れを洗い流したり、細菌の繁殖を抑えたりする役割があるため、唾液が減少すると虫歯になりやすくなると考えられています。
さらに、口内が乾燥すると歯周病菌が増えやすくなるため、歯周病にかかる可能性も高まります。
歯並びが悪くなりやすい
口呼吸によって一晩中口が開いた状態だと、舌の位置が下がってしまうことも懸念点です。舌が本来の位置よりも下になることで、顎や口周辺の筋肉の発達が悪くなり、口元のバランスをとりづらくなります。
口元の筋肉のバランスが悪くなると、出っ歯になったり歯の間に隙間ができたり、ガタガタの歯並びになりやすかったりする傾向にあります。
睡眠時無呼吸症候群に繋がりやすい
口呼吸で眠ると舌が喉に落ちやすくなって気道が狭くなり、睡眠時無呼吸症候群に繋がる可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている時に大きないびきを伴い、呼吸が繰り返し止まる病気です。10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」が1時間に5回以上、もしくは一晩(7時間)の間に30回以上確認されると、睡眠時無呼吸症候群であると定義されています。
就寝時のひどいいびきや無呼吸は、なかなか自分では気づきにくいものなので、検査や治療を受けていない潜在患者も多くいると考えられているようです。
睡眠時無呼吸症候群は多くの合併症や高血圧、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす可能性があるほか、交通事故を起こしやすくなる可能性もあるため注意しなくてはなりません。
さらに、寝ている間に何度も呼吸が止まるため熟睡できなくなり、日中に眠気に襲われて生活に支障をきたすケースもあります。
もし睡眠時無呼吸症候群を疑うのであれば、必ず医療機関を受診して適切な診断・治療を受けることを推奨します。
風邪をひきやすい
風邪をひきやすくなるのも、口呼吸で寝ることによるリスクの一つです。
鼻呼吸をする場合、鼻の中にあるヒダによってばい菌やウイルスが除去されます。しかし、口呼吸をすると空気中の雑菌がそのまま肺に入ってしまうため、感染を引き起こしやすい状態になります。
口呼吸になる時の対処法
口呼吸は体に悪影響を与えるリスクがあるため、できるだけ鼻呼吸を意識することをおすすめします。しかし、無意識のうちに口呼吸になってしまう方もいるでしょう。
どうしても口呼吸になってしまう場合は、以下の2つの対処法を実践してみてください。
- 医療機関を受診して医師に相談する
- 口のなかの乾燥を防ぐ対策をする
それぞれ詳しく解説します。
医療機関を受診して医師に相談する
睡眠中は無意識に口呼吸になってしまい、自分の力だけで鼻呼吸にするのは難しいケースが多いです。口呼吸から鼻呼吸にしたいなら、無理に自分だけで改善を目指すのではなく、医療機関を受診して医師の指示のもと治療に取り組みましょう。
口呼吸はアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎によって起こる場合もあるため、症状にあわせて治療を行う必要があります。歯並びが悪くて口呼吸になるなら歯科、鼻の通りが悪いなら耳鼻科の受診となりますが、まずはかかりつけ医に相談するのも良いでしょう。
口のなかの乾燥を防ぐ対策をする
口呼吸による病気のリスクを減らすには、普段から健康的な生活を送るように心がけることが大切です。医師への相談に加えて、日常でできる対策にも取り組みましょう。
口呼吸では口のなかが乾燥しやすいため、睡眠中はもちろん日中も以下のことに取り組むことをおすすめします。
- 加湿器を使用して、部屋の湿度が50%前後になるように保つ
- こまめに水分を摂取して、喉の乾燥を防ぐ
- 外気のウイルスや花粉が気になるなら、マスクを使用する
- 一日に何度も鼻呼吸を意識して口を閉じ、鼻呼吸する習慣をつける
- 睡眠中に喉が渇いてもすぐに潤せるように、枕元に飲料水を準備しておく
口のなかが乾燥すると、前述のとおり虫歯・歯周病にかかるリスクが高くなります。鼻呼吸を意識して生活を送ることはもちろん、口のなかの乾燥を防ぐ対策にも取り組みましょう。
まとめ
睡眠中に口呼吸になる場合、鼻づまりや顔の骨格、寝姿勢などの影響を受けている可能性があります。口呼吸は健康にさまざまな悪影響を及ぼすことがあるため、普段から鼻呼吸を意識して生活することが大事です。
就寝中、自力で口呼吸を止めるのは難しいケースが多いため、口呼吸を改善させて鼻呼吸をしたいなら、医療機関を受診して医師のアドバイスのもと治療を行いましょう。
また、口呼吸をすると口内が乾燥しやすいので、こまめな水分補給を忘れないでください。必要に応じて加湿器やマスクを使い、自分に合う方法で対策を行いましょう。