夜寝ている時、首回りや全身にひどい寝汗をかいて不快に感じている方もいるのではないでしょうか。寝汗の気持ち悪さが気になると、寝付きづらくなったり睡眠の質が低下したりする可能性があります。
さらに、寝汗をかくと寝苦しさだけでなく、寝具が汚れるといった悪影響もあるので、寝汗の原因を把握したうえで改善する必要があります。
この記事では、寝汗の主な原因や対処法などを解説します。首周りや全身に寝汗をかくことに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
首回りや全身にかく寝汗の原因
寝ている時、首回りだけではなく全身に寝汗をかく場合、何らかの原因があると考えられます。
ここでは、首回りをはじめとした全身にかく寝汗の原因を6つ紹介します。
- アルコール・水分の過剰摂取
- ストレス
- 女性ホルモンの影響
- 加齢
- 肩こり
- 何らかの病気
それぞれの原因について、詳しく解説します。
アルコール・水分の過剰摂取
就寝前にアルコールや水分を過剰に摂取すると、寝ている時にひどく汗をかく場合があります。
さらに、過剰飲酒による影響は寝汗だけでなく、酔いが醒めた時に目が覚めて熟睡しづらくなる悪影響もあります。寝汗を予防し睡眠の質を高めるためにも、過度な飲酒は避けるよう心がけましょう。
ストレス
仕事や学校生活など、日常で受けるストレスにより、自律神経が乱れて寝汗に繋がることもあります。
自律神経とは、体温や呼吸、内蔵の動きなど、人間のさまざまな機能をコントロールする神経のことです。活動的なモードの「交感神経」と、リラックスモードの「副交感神経」があります。
昼間は交感神経が優位な状態ですが、夜になると副交感神経が優位な状態に切り替わり、眠気が促されるのが通常の動きです。しかし、ストレスによって自律神経が乱れると、この切り替えが上手くできなくなってしまいます。
ストレスによる自律神経の乱れは睡眠に支障が出るほか、睡眠中の体温調節が難しくなることで寝汗にも繋がります。ストレスの原因を見つめ直し、日々受けるストレスを溜めない意識を持ちましょう。
女性ホルモンの影響
PMS(月経前症候群)の症状の一つとして、ひどい寝汗があらわれることがあります。
PMSとは、生理前3日~10日程度続く、精神的・身体的な症状のことです。頭痛や腰痛のほか、のぼせの症状が出ることがあり、のぼせが原因となって寝汗をかいていると考えられます。
女性ホルモンが影響している場合、生理前に症状があらわれ、生理が始まると症状が落ち着くことが多いようです。個人差はありますが、生活習慣を整えたり適度な運動をしたりすると、改善しやすくなることがあります。
加齢
加齢に伴ってホルモンバランスが乱れ、さまざまな症状があらわれることを更年期障害といいますが、更年期障害の症状の一つに、のぼせやほてりからくる寝汗があります。
更年期障害は寝汗のほか、イライラや肩こり、疲れやすいといった症状が代表的です。更年期障害が原因の場合、夜間だけでなく昼間もひどく汗をかく傾向があります。
なお、自分では更年期障害だと思っていても、ほかのことが原因の可能性もあるため、症状が重くてつらい場合は、我慢せずにすぐ医療機関を受診して医師に相談することをおすすめします。
肩こり
慢性的な肩こりも、寝汗の原因になる場合があります。肩こりによって筋肉が固くなり、周辺の血管が圧迫されることで体温調整がしにくくなるため、周辺に汗を掻いてしまいます。
湿度が高く、汗が蒸発しないと筋肉が緊張しやすくなり、さらに肩こりを引き起こす原因ともなります。
何らかの病気
寝汗をかくのは、何かしらの病気が原因の可能性もあります。考えられる病気として挙げられる例は、主に以下のとおりです。
- 呼吸器疾患
- ホルモン疾患
- 自律神経失調症
呼吸器疾患は肺炎や結核、ホルモン疾患は甲状腺機能亢進症などが該当します。自律神経失調症は、自律神経が乱れることで疲労感やのぼせなど、さまざまな症状があらわれる状態です。
また、これら以外にも寝汗を引き起こす病気はいくつもあり、自分でどの病気かを判断するのは難しいです。病気が原因の場合、医師のもとで適切な治療を行うことが重要なため、速やかに医療機関を受診しましょう。
自律神経失調症は心療内科のように適する科がありますが、どの科を受診すれば良いかわからない場合は、まずかかりつけ医に相談する方法もあります。
寝汗をかく主な原因や、汗が気になる場合の対策方法については以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
寝汗による影響
寝汗は必ずしも悪いものではありません。汗には体温を下げる役割があり、深い眠りを促す効果が見込めます。寝ている間にコップ1杯程度の汗をかくのは自然なことです。夏だけでなく、冬でも寝汗をかきます。
ただし、多すぎる寝汗には悪影響もあります。
- 睡眠の質が低下する肌トラブルの原因になる体臭が気になる
寝具が汚れるだけでなくトラブルの原因にもなるため、確認していきましょう。
睡眠の質が低下する
寝汗をかくと、睡眠の質や体臭など、さまざまなことに悪影響が及ぶ可能性があります。
寝汗によってパジャマや寝具が汗で濡れると、体がベタベタして不快さを感じるでしょう。不快感が気になると、寝付きづらくなったり寝苦しくなったりするため、睡眠の質が低下する可能性があります。
さらに、寝汗の量が多いと夜目覚める原因になるのもデメリットです。寝苦しく、もう一度寝付こうとしても浅い眠りになりやすくなります。
肌トラブルの原因になる
寝汗はすぐに拭き取ることができないため、肌トラブルを引き起こすこともあります。大量の汗によって汗腺が詰まって炎症を起こす「あせも」が代表的な症状です。悪化すると赤みと強いかゆみを引き起こします。
また、汗が蒸発する時に、肌の水分まで奪った結果、乾燥肌になりやすいのもトラブルの一つです。乾燥肌は肌のバリア機能が低下した状態であり、かぶれやニキビに繋がる可能性があります。
体臭が気になる
寝汗がシーツや枕、毛布などに付着して汚れると、清潔な就寝環境を保てなくなってしまいます。特に首回りに汗をかくと枕が汚れ、臭いが気になる場合もあるでしょう。不潔な寝具を使っていると寝心地が悪いだけでなく、ダニやカビの繁殖にも繋がります。
さらに、汗をかいたまま放置すると、体臭の原因になる可能性もあります。体臭は自分だけでなく、周囲にも迷惑をかけることになるため注意したいポイントです。
このようなデメリットを避けるためにも、日頃から寝汗対策を行うことが大切です。
寝汗への5つの対策
寝汗をかく状態が慢性的に続いてしまうと、体臭や衛生面だけでなく、睡眠の質にも悪影響を与えてしまいます。寝汗にはいくつか対処法があるため、日頃から意識して対策に取り組みましょう。
寝汗の主な対処法は以下のとおりです。
- 就寝前に水分を補給する
- 首回りに冷たいタオルを巻く
- ストレスを発散する
- 規則正しい生活を送る
- 通気性が高いパジャマ・寝具を使う寝室の温度と湿度を整える
それぞれ詳しく解説します。どの方法も生活に取り入れやすいものなので、寝汗に悩んでいる方は、実践してみましょう。
就寝前に水分を補給する
寝る前には水分補給として、コップ約1杯分の水を飲むことをおすすめします。寝汗を抑えようと考え、就寝前に水分をとるのを控える方がいるかもしれませんが、それは逆効果です。
水分をとらずに寝ると汗でベタつきやすく、余計に寝汗をかきやすくなります。睡眠前の水分補給をやめるのではなく、飲みすぎないように気を付けながら水分を摂取しましょう。
首回りに冷たいタオルを巻く
寝汗対策として、首回りに冷たい水で濡らしたタオルを巻くのも良いでしょう。首筋は動脈が走っており、体の中でも血液が集まる部分の一つです。血液が集まる部分を冷やすことで冷えた血液が全身を回り、効率的に体温を下げることができます。
ただし、「より効果的に冷やしたい」と考えて保冷剤を使用することはおすすめできません。保冷剤は水で濡らしたタオルより長く首を冷やすことができますが、首が冷えすぎてしまうと、肩こりの悪化や頭痛の原因になることがあるため、注意が必要です。
ストレスを発散する
ストレスによる自律神経の乱れが寝汗の原因になっているなら、ストレスを発散させることが大事です。
仕事や学校の人間関係をはじめとして、社会生活を送っているとストレスをまったく受けないのは難しいため、受けたストレスを溜め込まない意識を持ちましょう。
自分に合うストレス解消法を見つけると、心身ともにリラックスしやすくなります。ストレスの発散方法として、例えば以下のものがあります。
- 映画を見る
- ゆっくりお風呂に入る
- アロマの香りを楽しむ
- カラオケで思いっきり歌う
ストレスの発散方法は人それぞれ異なります。どうやってストレスを解消すれば良いかわからない場合は、いくつか試して自分に合う方法を探しましょう。
規則正しい生活を送る
生活リズムの乱れは体内時計の乱れにも繋がり、自律神経のバランスが崩れたりPMSの悪化に繋がったりする可能性もあります。寝汗を防いで睡眠の質を高めるためにも、規則正しい生活を送ることが大切です。
規則正しい生活を送るためには、以下のことを意識しましょう。
- 朝起きた時に太陽光を浴びる
- 日常に軽めの運動を取り入れる
- 毎日お風呂に浸かってリラックスする
- 質の高い睡眠をとる
自律神経の乱れやPMSが寝汗の原因であれば、このように規則正しい生活を意識することで改善や予防に繋がりやすくなります。
通気性が高いパジャマ・寝具を使う
通気性が高いパジャマや寝具を使えば、寝汗をかいた時の蒸れが軽減できて眠りやすくなります。通気性に加えて吸湿性にも優れているパジャマや寝具を選ぶと、汗をかいてもベタベタせず快適に過ごしやすいでしょう。
通気性や吸湿性を重視して選ぶ場合、パジャマの素材は綿・麻・シルクがおすすめです。肌触りが良く、夏場でも汗を吸収しやすいため、サラッとした着心地を保てるでしょう。
枕の素材は、そばがら・パイプ・羽毛(ダウン)・ファイバーは通気性が高く、頭に熱がこもりにくい傾向にあります。
また、寝具の中でも体に触れる面積が大きいマットレスは、特に通気性を重視して選ぶことをおすすめします。内部に風が通りやすい構造のコイルマットレスは、マットレスの素材の中でも通気性が高い特徴があります。
寝室の温度と湿度を整える
就寝時の快適な温度は、夏場26〜28度、冬場16〜20度が目安です。暑すぎる場合は冷暖房を活用して、温度を調整しましょう。
また、快適な湿度は40〜60%です。湿度が高い場合は除湿機を活用して湿気を減らすと、汗が蒸発しやすくなります。
まとめ
首回りや全身にかく寝汗の原因は、水分の過剰摂取やストレス、加齢の影響などが考えられます。寝汗は病気の症状である可能性もあるため、気になる症状がある場合は放置せず、速やかに医療機関を受診してください。
また、寝汗をかくと、寝苦しくなって睡眠の質が低下する可能性があるため、日頃から対策を行うことが大切です。規則正しい生活を心がけて、寝具やパジャマの質にも気を配りましょう。
そのほか、「状況に合わせて首回りにタオルを巻く」「ストレス発散をする」、「就寝前に水分補給をする」など、この記事で紹介した方法を参考にして、できることから取り入れてみてください。