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2023.02.03 更新

【医師監修】寝不足によって動悸は起こる?原因や解消法について詳しく解説!

【医師監修】寝不足によって動悸は起こる?原因や解消法について詳しく解説!

「なんだか最近動悸がする…」と悩んでいる場合、寝不足が原因の一つにあるかもしれません。

寝不足が原因で動悸がする場合、動悸自体に対処することではなく、寝不足の状態を解消することが大切です。

また、寝不足は動悸だけではなく日常生活へ悪影響を及ぼすリスクがあるため、心当たりがある方は改善に努めましょう。

この記事では、寝不足でなぜ動悸が起こるかについて、体のメカニズムを解説します。

寝不足を解消するための具体的な対処法や改善方法についても紹介するため、ぜひ参考にしてください。

  1. 寝不足で動悸が起こる原因とは?心臓がドキドキする理由
  2. 寝不足が原因で起こる動悸の特徴
  3. 寝不足による動悸を予防するには「睡眠負債」を溜めないこと
  4. 動悸を改善するために寝不足解消法を紹介
  5. 朝に太陽光を浴びてリズムを改善する
  6. 日中は適度に体を動かす
  7. 寝る約90~120分前にぬるめのお湯で入浴する
  8. リラックスしやすい環境を作る
  9. 普段使う寝具を見直してみる
  10. まとめ

寝不足で動悸が起こる原因とは?心臓がドキドキする理由

動悸とは自分の心臓の拍動に敏感になって、不快感や違和感を自覚する状態のことを指します。

心臓の動きは自律神経によってコントロールされていますが、この自律神経には活動中の状態である「交感神経」と休息中の状態である「副交感神経」の2つのモードを切り替える役割があります。

自律神経が乱れると、副交感神経が抑制され、交感神経が暴走するようになり、心拍数や血圧を調整する働きも乱れる原因となります。

動悸の具体的な原因は人によってさまざまですが、寝不足の状態が続いたり、過度なストレスにみまわれたりすることも自律神経の乱れに繋がるため、動悸が起きる要因の一つとされています。

寝不足が原因で起こる動悸の特徴

寝不足が原因で起こる動悸には「洞性頻脈(どうせいひんみゃく)」が多いとされています。

洞性頻脈(どうせいひんみゃく)は、単純に脈が速くなった状態のことを指し、運動後や緊張した時に起こるような「トットットットッ」とした一定のリズムが特徴的な動悸です。

安静時の洞性頻脈(どうせいひんみゃく)は、精神的緊張や過度のストレス、睡眠不足などが主な原因とされています。

また、なかには治療を必要とする病気が原因の場合もあります。一方で、脈のリズムが一定ではない(不整脈)場合には、下記のような動悸の可能性があります。気になる方は、医療機関を受診しましょう。

不整脈に関わる病気原因
心房細動(しんぼうさいどう)心臓病や高血圧、慢性の肺疾患、甲状腺機能亢進症のほか、精神的ストレスや睡眠不足、アルコールやカフェインの摂りすぎ
発作性上室性頻拍(ほっさせいじょうしつせいひんぱく)WPW症候群や房室結節回帰性頻拍症、心臓の異常細胞など
心房粗動(しんぼうそどう)心房細動が止まる過程で心房内を電気が回り始めて起こる不整脈
白濱龍太郎

白濱龍太郎

RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック理事長

基本的には、上記の不整脈は、健康診断で経過観察対応になることも多いです。動悸症状が頻繁に起こったり、めまいや意識消失などの症状を自覚したりする際は、循環器内科でホルター心電図などでの精査をおすすめします。

寝不足による動悸を予防するには「睡眠負債」を溜めないこと

寝不足による動悸を予防するには、睡眠負債を溜めないことが大切です。

睡眠負債とは、一般的に「意識しない程度に毎日わずかずつ積み重なる睡眠不足」のことを指し、動悸を含め日常的な生活にも支障をきたす可能性があるため注意が必要です。

例えば、6時間睡眠を2週間続けると、1晩徹夜したあとと同じくらい脳のパフォーマンスが低下することがわかっている(※)ほか、睡眠負債が溜まっている状態が数週間続くと、自律神経が乱れ、不整脈や動悸の原因になるとされています。

平日は夜更かしなどによる寝不足状態で、休日に「寝だめ」で睡眠不足を解消しようとする人も多いと考えられますが、睡眠負債は寝だめで解消されないといわれています。

反対に、寝だめによる長時間睡眠によって生活リズムや体内時計が狂うことにより「寝たい時に眠れない」といった睡眠リズムを崩すことにも繋がります。

睡眠の質が低下することにより、さらなる寝不足に繋がる可能性があるため、寝だめをして睡眠不足を解消しようとすることは避けましょう。

(※)「https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12683469/ 」より

白濱龍太郎

白濱龍太郎

RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック理事長

睡眠負債とは、正確になにを示すのかは現状まだはっきりしていません。例えば、認知症関連で注目されるβアミロイドも、当然ながら睡眠負債そのものではありません。動脈硬化の進行も起こると考えられていますが、血管の効果進行因子も睡眠負債そのものではありません。

睡眠負債が溜まっていると考えられる場合は、睡眠時間が不足した状態を改善するための治療、睡眠衛生指導などをしていくことになります。

動悸を改善するために寝不足解消法を紹介

動悸を改善するために寝不足解消法を紹介

動悸の原因は人によってさまざまなため、一概に寝不足が原因とは限りませんが、心当たりがある方は日頃から寝不足を解消する行動を心がけましょう。

寝不足を解消するには、長時間寝るのではなく「睡眠の質を高めること」が大切です。睡眠の質を高める方法としては、以下のようなものがあります。

  • 朝に太陽光を浴びてリズムを改善する
  • 日中は適度に体を動かす
  • 寝る約90~120分前にぬるめのお湯で入浴する
  • リラックスしやすい環境を作る
  • 普段使う寝具を見直してみる

それぞれについて、以下で詳しく解説します。

朝に太陽光を浴びてリズムを改善する

人の体内時計は約25時間周期で、地球の周期である24時間と約1時間のズレがあります。

太陽の光にはこの体内時計のズレを調整する働きがあるといわれているため、起床後には太陽光を浴びる習慣をつけることをおすすめします。

その働きをするのが、太陽の光を浴びてから14時間後に分泌される「メラトニン」という体内ホルモンです。

メラトニンには睡眠を促す働きがあるため、朝に太陽の光を浴びる習慣をつけることで、夜に自然な眠気が促され生活リズムや睡眠サイクルを改善でき、睡眠の質を高めることに繋がります。

日中は適度に体を動かす

日中に運動などで体を動かすと、適度な疲労感により快眠に繋がります。

運動は肉体的な疲労感のほか、精神的なリフレッシュや自律神経を整えることにも繋がるため、睡眠の質を高めるための習慣としておすすめです。

つらく感じない程度の軽め(最大酸素摂取量の60%)の運動を1時間行うと、その後深い睡眠の指標となる脳波が増加したという研究(※)もあります。

また、人は体温が上昇し、下がり始めるタイミングで眠気が誘発されるため、睡眠の約3時間前に軽めの有酸素運動を取り入れることによって、自然な入眠による質の高い睡眠が期待できます。

ただし、激しい運動は体を興奮させ、寝つきの悪さや睡眠の質の低下に繋がるため、睡眠前の運動は軽めに抑えておきましょう。

(※)「https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33627708/ 」より

寝る約90~120分前にぬるめのお湯で入浴する

入浴にはリラックス効果のほか、体温を上げる効果があります。

前述のとおり、体温が上がって下がるタイミングの眠気や、リラックスした状態は自然な入眠や質の高い睡眠に繋がるため、入浴も有効活用しましょう。

寝る約90~120分前に入浴を済ませることで寝床に入る時間に自然な眠気が誘発されるため、深い睡眠を得るための効果的な方法とされています。

ただし、熱すぎるお湯での入浴は体を興奮させ、寝つきの悪さに繋がるため避けましょう。

入浴は38℃のぬるめのお湯で25~30分、42℃の熱めのお湯なら5分程度がおすすめ、半身浴であれば腹部までを湯船につけ、約40℃のお湯で30分ほど汗をかく程度の入浴がおすすめです。

リラックスしやすい環境を作る

リラックスすると自律神経が休息中の状態と同じ副交感神経優位の状態になるため、睡眠前の行動や睡眠環境はできるだけリラックスできる環境作りを心がけましょう。

ここまで紹介したものも踏まえ、リラックスできる行動の一例を紹介します。

  • ストレッチや軽めの運動をする
  • ぬるめのお湯で入浴する
  • 読書やアロマ、ヒーリングミュージックなどで心を落ち着かせる
  • 腹式呼吸で深呼吸する
  • 温かい飲み物を飲む
  • 寝室の温度や湿度を快適にする

一方で、寝る前にコーヒーや緑茶、栄養ドリンクなどカフェインを含む覚醒作用がある飲料を摂取すると、睡眠の質が低くなる可能性があるため控えましょう。

アルコールはリラックス効果があるため「寝酒」として用いられることがありますが、睡眠後半の質を低めたり、利尿作用によって夜中に目が覚めたりします。

結果的に睡眠の質を低下させる原因となるため、寝る前のアルコール摂取も控えましょう。

そのほか、スマホやパソコンといった強い光であるブルーライトを発する電子機器は、眠気を促すメラトニンの分泌を妨げるため、睡眠の質が低くなる原因といわれています。

睡眠前にはスマホやパソコンは使用せず、前述したリラックスできる行動を心がけ、快適で深い睡眠がとれるようにしましょう。

普段使う寝具を見直してみる

日頃使用している寝具は睡眠の質に大きく影響します。

マットレスなどの寝具は睡眠の質だけではなく、寝起き時や日中の体調にも大きく影響するため、自分が快適な睡眠を得られるものにこだわりましょう。

マットレスを選ぶ際には、体の負担をバランス良く分散できる「体圧分散性」と、快適な寝返りをサポートしてくれる「適度な反発力」を併せ持つマットレスを選びましょう。

例えば、硬すぎて体圧分散が上手くいかないマットレスだと、肩や腰など体の一部で体重を支えることになり、血行不良に繋がり肩こりや腰痛などの原因になり、睡眠の質が低くなる可能性があります。

一方で、柔らかすぎるマットレスだと、腰など体重がかかりやすい部分が沈み込んで「くの字」の寝姿勢になります。

寝姿勢が崩れると、血行不良など睡眠中に起こる体の不調をリセットする役割がある「寝返り」が打ちづらくなり、寝起き時の倦怠感のほか「十分眠ったのに疲れがとれない」という悩みの原因になることがあります。

前述した睡眠の質を高める行動も大切ですが、睡眠の質に直結するマットレスなどの寝具は、日頃の疲れを癒すために重要なので、自分に合ったものを選びましょう。

まとめ

動悸の原因は人それぞれによって異なりますが、寝不足も動悸に繋がる原因の一つです。寝不足では「トットットットッ」とした一定なリズムでの動悸が起こることが多いとされています。

睡眠の質に満足していない方は、自分の生活を振り返り寝不足になっていないかチェックしてみましょう。

動悸がする方で寝不足に心当たりがある方は、質の高い睡眠をとることが大切です。

睡眠の質を高めるには、日頃の習慣も大切ですが、根本的な解決を目指すのであれば、睡眠の質に直結するマットレスのような寝具を自分の体に合ったものにすることも大切です。

一方で、もし十分寝ているのに動悸がするという場合や動悸のリズムが一定ではない場合などは、ほかの病気などの可能性もあるため医療機関での診察をおすすめします。

この記事の監修者
白濱龍太郎
白濱龍太郎RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック理事長
筑波大学卒業、東京医科歯科大学大学院統合呼吸器学修了(医学博士)。同大学睡眠制御学快眠センター等での臨床経験を生かし、総合病院等で睡眠センターの設立、運営を行ってきた。それらの経験を生かし、睡眠、呼吸の悩みを総合的に診断、治療可能な医療機関をめざし、2013年に、RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニックを設立。2014年には、経済産業省海外支援プログラムに参加し、インドネシア等の医師たちへ睡眠時無呼吸症候群の教育を行った。2018年にはハーバード大学公衆衛生大学院の客員研究員として睡眠に関する先端の研究に従事。社会医学系指導医、睡眠学会専門医、認定産業医を有し、教育、啓発活動にも取り組んでいる。
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