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2024.01.22 更新

【医師監修】花粉症で眠気が起きるのは夜ちゃんと眠れていないせい?対策や治療法も紹介

【医師監修】花粉症で眠気が起きるのは夜ちゃんと眠れていないせい?対策や治療法も紹介

花粉症は鼻づまり・くしゃみが主な症状として知られている病気ですが、実は眠気に繋がることもあります。花粉の飛散量が増えるシーズンに毎回襲ってくる眠気に悩まされている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、花粉症になると眠気を感じる理由や花粉症の対策方法を解説します。

  1. 花粉症とは
  2. 花粉症にかかると眠気を感じる理由
  3. 花粉症の薬の副作用でも眠気は生じる
  4. 花粉症が睡眠時無呼吸症候群の引き金となることも
  5. 花粉症の対策方法
  6. 外出時は花粉が体に入らないようにする
  7. 帰宅後は洗顔やうがいを行う
  8. 服装の素材に気をつける
  9. 花粉症の治療法
  10. 薬物療法
  11. アレルゲン免疫療法
  12. 手術療法
  13. まとめ

花粉症とは

花粉症とは、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となり、体がアレルギー反応を引き起こす病気です。外から体内に入ってきた花粉を撃退しようと、体の免疫機能が過剰に働くことで発症します。

花粉症の症状は鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみが代表的です。体の部位のなかでも特に鼻や目は花粉が入ってきやすいため、症状も鼻や目にあらわれます。

このほか、皮膚のかゆみや喉のかゆみ、咳、頭痛、腹痛などがあらわれる場合もあります。

花粉症にかかると眠気を感じる理由

花粉症は鼻水やくしゃみをはじめとした心身の不調だけでなく、眠気にも繋がることがある病気です。花粉症によって生じる眠気の原因は、酸素不足や鼻の症状のためよく寝られないことなどが考えられます。

花粉症を発症して鼻の粘膜が腫れると、鼻づまりのため口呼吸になります。口呼吸を続けると喉が乾燥して花粉が付着しやすい状態になることから、炎症の悪化にも繋がります。

そして、花粉症は鼻水や鼻づまりにより寝つきを悪くしたり、途中何度も目が覚めたり、そもそも寝れないなど睡眠そのものを妨げるため、昼間の眠気にも繋がります。

花粉症の薬の副作用でも眠気は生じる

花粉症による眠気は、薬の副作用で生じる可能性もあります。

花粉症の治療薬にはさまざまありますが、代表的なのは「抗ヒスタミン薬」です。抗ヒスタミン薬にはアレルギー症状を引き起こす物質「ヒスタミン」の働きを抑える効果があり、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった花粉症の症状を緩和してくれます。

しかし、ヒスタミンはアレルギー症状の原因となる一方で、脳内では覚醒に作用している物質です。そのため、抗ヒスタミン薬を服用して働きが抑制されると脳を覚醒させる作用も弱まり、眠気に繋がることがあります。

高島雅之

高島雅之

たかしま耳鼻咽喉科院長

第一世代の抗ヒスタミン薬は脳内への移行が多かったため、ヒスタミンの覚醒作用をブロックしてしまうことから眠気を認める頻度が多かったのですが、第二世代抗ヒスタミン薬の出現以降、脳内移行の少ない薬が増えてきました。よって現在では薬の効き目と眠気の関係は薄れてきています。

花粉症が睡眠時無呼吸症候群の引き金となることも

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり,浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気のことです。寝ている時に気道が狭くなることで、大きないびきや無呼吸による息苦しさが症状としてあらわれます。

睡眠時無呼吸症候群は、肥満が原因だけでなく花粉症によって発症する場合もあるので注意してください。

先述したように、花粉症を発症すると鼻呼吸で酸素を取り込みにくくなるため、自然と口呼吸をするようになります。しかし、口呼吸で口が開くと舌が下側に移動し、息をするための気道が狭くなってしまいます。

気道が狭くなると思うように息をすることができず、いびきや睡眠時無呼吸症候群に繋がります。少しでも心配な点がある方は、早めに医療機関に相談しましょう。

花粉症の対策方法

花粉症によって引き起こされる眠気を解消するには、症状を軽減させるための工夫が必要となります。主に下記の方法は実践しやすいので、ぜひ意識してみてください。

<花粉症の対策方法>
  • 外出時は花粉が体に入らないようにする
  • 帰宅後は洗顔やうがいを行う
  • 服装の素材に気をつける

以下でそれぞれの対策方法を解説します。

外出時は花粉が体に入らないようにする

花粉症は体内に入ってきた花粉が原因で発症する病気です。そのため、外出時はメガネやマスクを使用し、鼻や口、目から花粉が入らないように気をつけて過ごしましょう。

体内に侵入する花粉の量は、メガネやマスクをつけるだけで半分以下になるといわれています。ただし、隙間があると花粉が入りやすくなってしまうため、メガネやマスクのサイズはピッタリなものを選びましょう。

また、外出の際は事前に花粉情報を確認することも大切です。花粉の飛散量が多い日は、可能な限り外出を避けることをおすすめします。

帰宅後は洗顔やうがいを行う

帰宅後は洗顔やうがいを行う

外出先から帰宅した際は、部屋で休む前にうがいをして花粉を落としましょう。鼻うがいも今ではよく知られており、吸い込んだ花粉を排出するには効果的です。

花粉は服や手だけでなく顔にも付着するため、そのままにしておくと鼻や目から花粉が侵入するリスクが高まりますので、洗顔も効果的です。

服装の素材に気をつける

花粉対策をしたい方は、普段の服装の素材にも気を配りましょう。花粉が付着しにくい素材の服を選べば、より効果的に花粉対策を行えます。特にレザーやナイロンをはじめとした表面がツルツルした素材は花粉がつきにくいのでおすすめです。

反対に、ウールなどの表面がフワッとした素材は花粉がつきやすいので注意してください。

花粉症の治療法

現在花粉症に悩んでいる方は、安心して治療に取り組むためにも具体的な治療法を把握しておくと良いでしょう。花粉症の治療法は主に下記の3種類が代表的です。

<花粉症の主な治療法>
  • 薬物療法
  • アレルゲン免疫療法
  • 手術療法

各治療法の内容を以下で順番に紹介します。

薬物療法

薬物療法とは、その名のとおり薬を用いた治療法のことです。

花粉症は悪化すると薬が効きにくくなってしまうため、初期の段階では薬物療法を検討することをおすすめします。早いうちに薬の効果で症状を緩和できれば、そのシーズンを楽に乗り切りやすくなります。

花粉症の治療薬には、先述した抗ヒスタミン薬をはじめさまざまな種類があります。代表的な薬の種類は下記のとおりです。

<花粉症治療に用いられる主な治療薬>

薬の種類期待できる効果
抗ヒスタミン薬くしゃみや鼻水の緩和
抗ロイコトリエン薬鼻づまりの緩和
鼻噴霧用ステロイド薬くしゃみや鼻みず、鼻づまりの緩和
点鼻用血管収縮薬鼻づまりの緩和

なお、薬の種類によって副作用の有無や服用方法、効果の強さが異なります。医師や薬剤師に相談したうえで、自分の症状に適した薬を選びましょう。

高島雅之

高島雅之

たかしま耳鼻咽喉科院長

市販薬は抗ヒスタミン作用にて眠気が出やすいものもあります。
また、今ではOTC薬といってこれまで病院で処方されていた薬が薬局で購入することができます。薬剤師とよく相談のうえ選びましょう。病院の処方薬は症状に応じて、薬を組み合わせて処方されます。

アレルゲン免疫療法

アレルゲン免疫療法とは、花粉症の原因となっている抗原を体内に吸収させることで、抗原に対する反応を弱めていく治療法です。抗原を注射する皮下免疫療法、舌の下の粘膜から抗原を吸収させる舌下免疫療法などがあります。

アレルゲン免疫療法は数年の治療期間が必要なものの、数ある治療法のなかでも唯一アレルギーを治せる可能性がある治療法だといわれています。ただし、人によっては副作用が生じる可能性もあるので、医師としっかり相談したうえで取り組むかどうかを決めましょう。

手術療法

鼻づまりの症状が強い場合、手術での治療を提案されることもあります。一般的に行われるのは、鼻の粘膜を切除して小さくする手術です。

また、近年では入院の必要がないレーザー手術に対応する病院も増えてきました。気になる方は、医療機関を受診する際に手術療法の内容を聞いてみると良いでしょう。

まとめ

花粉症の症状はただでさえつらいものですが、一般的な症状に加えて眠気も生じてしまうと日中のパフォーマンスが大きく低下してしまいます。心配な方は花粉のシーズンにしっかり対策を行い、花粉症にかからないように気をつけましょう。

また、症状が重い場合は、無理をせずに医療機関を受診することをおすすめします。花粉症はアレルギー外来や耳鼻咽喉科、内科などで診てくれるので、近くにあるかどうか探しておくと良いでしょう。

この記事の監修者
高島雅之
高島雅之たかしま耳鼻咽喉科院長
たかしま耳鼻咽喉科・内科 院長。耳鼻咽喉科医。睡眠時無呼吸を中心に睡眠医療を展開。睡眠のとりかたや大切さなど地域での講演等、啓発活動にも積極的に取り組んでいる。テレビやラジオなどメディアでも色々なジャンルにおいて医療情報を発信。著書に「専門医が教える鼻と睡眠の深い関係 鼻スッキリで夜ぐっすり」があり、Amazonのカテゴリー7つで1位を獲得。日本耳鼻咽喉科学会専門医・日本睡眠学会専門医・日本禁煙学会認定指導医として活躍。
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