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2023.09.29 更新

【医師監修】妊娠中期に眠れない場合の原因と対策方法は何?妊婦に役立つ法律も紹介

【医師監修】妊娠中期に眠れない場合の原因と対策方法は何?妊婦に役立つ法律も紹介

妊娠中は食欲の低下、熱っぽさなど心身にさまざまな症状があらわれる時期です。

なかでも、不眠の症状は多くの妊婦の方が抱える問題として知られています。妊娠中期に思うように夜眠ることができず、仕事中に眠気を感じてしまい困っている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、妊娠中期に眠れなくなる主な理由や対処法を詳しく解説します。

  1. 職場で産休を取得できるのはいつから?
  2. 妊娠中期に眠れなくなる理由
  3. ストレス
  4. 女性ホルモンのバランスの変化
  5. 妊娠に伴う腰痛
  6. トイレが近くなる
  7. 妊娠中期に眠れない時の対策法
  8. 朝起きる時間と眠る時間を一定にする
  9. 起床時はカーテンを開けて太陽の光を浴びる
  10. 部屋の照明を暖色系の明かりに変える
  11. 就寝前にお風呂でリラックスする
  12. 夕食は就寝2時間前までに済ませておく
  13. 眠る前はブルーライトを避ける
  14. 仕事をしている妊婦の方が知っておくと良い法律
  15. 労働基準法
  16. 母性健康管理の措置
  17. まとめ

職場で産休を取得できるのはいつから?

妊娠期間は妊娠週数によって初期、中期、後期の3つに分けられています。それぞれの週数の違いは下記のとおりです。

妊娠初期13週6日までの時期
妊娠中期14週0日〜27週6日までの時期
妊娠後期28週以降の時期

このうち、職場で産休を取得できるのは妊娠後期です。具体的には、出産予定日の6週間前から取得できるようになっています。

出産予定日は、一般的に最終月経開始日の40週0日とされています。つまり、最短で妊娠34週目から産休を取得できます。

ただし、職場によって産休のルールはそれぞれ異なるため、妊娠中の方は自分の職場が産休をどう扱っているのか、事前に聞いておくと良いでしょう。

妊娠中期に眠れなくなる理由

妊娠中期になると、体の変化に伴って不眠の症状があらわれることがあります。妊娠中期に眠れなくなる理由として考えられるのは下記の4つです。

  • ストレス
  • 女性ホルモンのバランスの変化
  • 妊娠に伴う腰痛
  • トイレが近くなる

以下でそれぞれの理由を詳しく解説します。

ストレス

妊娠中は急な体の変化に気持ちが追いつかず、不安からストレスを感じてしまうことがあります。多くのストレスを受けている場合は自律神経のバランスが乱れてしまい、不眠の原因となるので注意してください。

自律神経とは、人間の内臓や体温など体の働きをコントロールしてくれている神経のことです。自律神経には心身を緊張させて活動に導く交感神経、心身を休息に導く副交感神経の二つが存在し、それぞれ日中と夜に切り替わることで心身の活動と休息のバランスは保たれています。

しかし、ストレスによって自立神経のバランスが乱れると、交感神経から副交感神経への切り替わりが上手くいかないことがあります。切り替わりが上手くいかない時は、夜の時間帯も交感神経が活発に働いてしまい、心身がリラックスできずに寝つきの悪さに繋がります。

女性ホルモンのバランスの変化

妊娠中期に生じる不眠の症状は、女性ホルモンの一つである「プロゲステロン」の増加にも原因があると考えられています。

プロゲステロンは、妊娠の維持を助ける役割を持つホルモンです。基礎体温を上げる作用があり、妊娠に伴って分泌量が増えていきます。

体温と睡眠の関係性は深く、人間の体は深部体温が下がることで心身が休息し、眠気を促す仕組みになっています。しかし、プロゲステロンの作用によって基礎体温が上がると深部体温が下がりにくくなり、寝つきが悪くなってしまいます。

岩橋晶子

岩橋晶子

ゆかりレディースクリニック 医師

胎盤排出とともに急激にエストロゲン・プロゲステロンが減少します。それによりこれらによる乳汁分泌抑制作用が解除されプロラクチンの分泌が主体となり母乳が出ます。

出産後の女性ホルモンが元に戻る期間は授乳の有無や個人差がだいぶありますので一概には言えませんが、「非授乳婦では産後10週(2.5ヶ月)までにほぼ全例排卵が回復する」、「授乳婦では20週(5ヶ月)までに50%、62週(1年3ヶ月半)までにほぼ全例排卵が再開する」と言われています。

妊娠に伴う腰痛

妊娠中期にお腹が大きくなってくると体の重心が変わるため、腰を反らすような姿勢をとることが増えます。

しかし、この姿勢は腰周りの筋肉への負担が大きく、腰痛に繋がる場合があるので注意が必要です。就寝時も腰痛が続く場合は痛みが気になってしまい、なかなか眠ることができなくなる可能性が高くなります。

岩橋晶子

岩橋晶子

ゆかりレディースクリニック 医師

担当医師に相談し、妊娠帯・骨盤ベルトの装着が可能であれば使用しても良いと思います。

トイレが近くなる

妊娠中は体の血流量が増えるため、妊娠前に比べると尿が排出されやすいです。夜中でも頻繫にトイレに起きることが増え、寝不足になってしまうケースは少なくありません。

気になる場合は、寝る前の水分の摂取を控えめにするなどして対策をしましょう。

妊娠中期に眠れない時の対策法

妊娠に伴う不眠に悩んでいる方は、質の高い睡眠をとれるように普段から対策をしておきましょう。眠れない時の対策方法としては、下記の6つが挙げられます。

  • 朝起きる時間と眠る時間を一定にする
  • 起床時はカーテンを開けて太陽の光を浴びる
  • 部屋の照明を暖色系の明かりに変える
  • 就寝前にお風呂でリラックスする
  • 夕食は就寝2時間までに済ませておく
  • 眠る前はブルーライトを避ける

以下で各対策方法の内容を詳しく紹介します。

朝起きる時間と眠る時間を一定にする

眠れない日々が続いて休日の寝だめが増えると、起床・就寝時間がバラバラになりやすくなります。しかし、起床・就寝時間が不規則だと体内時計が乱れてしまい、夜に眠れなくなってしまうので気をつけてください。

体内時計とは、人間の覚醒と休息のリズムをコントロールしてくれている機能のことです。体内時計からの指令によって日中は活動状態に、夜は休息状態に心身の状態は切り替わります。人は夜になると自然と眠くなるものですが、これは体内時計の働きによって起きています。

しかし、生活リズムのずれによって体内時計が乱れると覚醒と休息のリズムも乱れてしまい、就寝のタイミングで寝つけなくなってしまいます。体内時計の乱れを防ぐためにも、起床と就寝時間は一定にするよう心がけましょう。

起床時はカーテンを開けて太陽の光を浴びる

起床時はカーテンを開けて太陽の光を浴びる

前述した体内時計を正しく機能させるためには、朝に太陽の光を浴びることも大切です。

体内時計は1日よりも少し長い25時間になっているため、正しいリズムをキープするには毎日体内時計をリセットしなければいけません。

体内時計のリセットに欠かせないのが太陽の光です。朝日を浴びることで体内時計はリセットされ、正しいリズムを刻んでくれるようになります。

そのため、朝起きた時はまずカーテンを開け、太陽の光を浴びる癖をつけましょう。

岩橋晶子

岩橋晶子

ゆかりレディースクリニック 医師

日光を浴びる際、窓越しでも視覚的に光を感じることができるのであれば体内時計のリセットに効果があると思います。

部屋の照明を暖色系の明かりに変える

夕食後〜就寝までの時間帯は、部屋の照明を暖色系の明かりに変えると良いでしょう。

暖色系の明かりにはリラックス効果があり、心身を休息状態に導く副交感神経の働きを高めてくれます。心身が休息状態となることで、スムーズに入眠しやすくなります。

就寝前にお風呂でリラックスする

眠れない時期が続いている方は、就寝前の入浴を習慣にするのもおすすめです。湯船に浸かってリラックスすると副交感神経の働きが高まり、より眠りやすくなります。

また、入浴後は深部体温が下がって心身が休みやすい状態になるため、寝つきの良さも高まります。加えて、血行が良くなる効果もあり、腰痛や肩こりの予防にも繋がります。

ただし、妊娠中は血液の量が多く、普段よりものぼせやすいので注意してください。妊婦の方が入浴をする場合、お湯の温度はぬるめの38℃前後、湯船に浸かる時間は10分程度が適切だといわれています。

夕食は就寝2時間前までに済ませておく

不眠対策をするなら、夕食をとる時間帯にも気をつけましょう。

特に就寝直前の夕食は避けることをおすすめします。就寝直前に食事をすると睡眠中に行われる消化活動によって休息をとっている脳が刺激されてしまい、目が覚めやすくなる可能性があるためです。

一般的に、消化活動にかかる時間は2時間〜3時間だといわれています。そのため、夕食は少なくとも就寝2時間前までに済ませておくのが理想です。

眠る前はブルーライトを避ける

ブルーライトとは、波長が短くエネルギーが高い光のことです。主にテレビやスマホ、パソコンなどの画面から発せられています。

ブルーライトを夜の時間帯に浴びてしまうと、脳が「昼間だ」と錯覚し、心身が覚醒してしまうので注意してください。眠れない夜はついスマホやパソコンを操作したくなりますが、夜の時間帯は避けることをおすすめします。

仕事をしている妊婦の方が知っておくと良い法律

仕事をしている妊婦の方が知っておくと得をする法律を紹介します。安心して仕事に取り組むためにも、ぜひ覚えておきましょう。

労働基準法

労働基準法とは、労働に関する最低限の基準を定めた法律のことです。

労働時間や賃金に関する基準が労働基準法によって定められていることは広く知られていますが、実は妊婦の方の労働に関する内容も定められています。下記は、妊婦の方の労働に関する内容を定めた法律の一例です。

  • 産前産後休業
  • 妊婦の軽易業務転換
  • 妊産婦等の危険有害業務の就業制限

労働基準法では産休のルールを定める「産前産後休業」、希望者は軽易な業務に変えてもらえる「妊婦の軽易業務転換」など、働く妊婦の方を保護するためのさまざまな法律が定められています。

母性健康管理の措置

母性健康管理の措置は、男女雇用機会均等法によって定められている法律です。妊婦の方を保護するための法律で、下記のような内容が定められています。

  • 保健指導又は健康診査を受けるための時間の確保
  • 妊娠中の通勤緩和
  • 妊娠中の休憩に関する措置
  • 妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置

これらの法律を知っておけば働きやすさが向上するほか、職場で理不尽な要求をされた時に自分の身を守ることができます。働く妊婦の方を保護する法律は今回紹介したもの以外にもさまざまあるので、時間があるタイミングで調べてみると良いでしょう。

まとめ

妊娠中期はストレスや腰の痛み、女性ホルモンのバランスの変化などが原因で眠りにくくなります。不眠の悩みを抱える方は、規則正しい生活習慣を心がけて対策しましょう。

また、妊娠中は妊娠前に比べると体調を崩しやすい時期でもあります。心身に不調が生じた時は一人で悩まず、職場や家族に相談するようにしましょう。

この記事の監修者
岩橋晶子
岩橋晶子ゆかりレディースクリニック 医師
ゆかりレディースクリニック 医師。2015年山口大学医学部医学科卒業。在学中シンガポール国立大学にて基礎研究留学。市立池田病院産婦人科・大阪医科大学附属病院産婦人科を経て、日本産婦人科学会産婦人科専門医取得。現在は城本クリニック岐阜院院長として岐阜院の他、四日市・大阪・姫路でも勤務し、婦人科美容・アンチエイジング・プチ整形を担当。神戸のゆかりレディースクリニックで婦人科外来を担当している。
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