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2024.01.22 更新

【医師監修】睡眠障害にはどんな種類がある?原因と予防法も解説

【医師監修】睡眠障害にはどんな種類がある?原因と予防法も解説

「寝つきが悪い」「中途半端な時間に目が覚めてしまう」など、睡眠障害の症状に悩んでいる方は少なくいでしょう。睡眠障害は不眠だけでなく日中の眠気、だるさにも繋がってしまうため、早めの対策が大切です。

この記事では、睡眠障害の治し方や病気の種類、予防方法を解説します。眠れずに悩んでいる方はぜひご一読ください。

  1. 睡眠障害の治し方
  2. 主な睡眠障害の種類
  3. 不眠症
  4. 過眠症
  5. 概日リズム睡眠・覚醒障害
  6. 睡眠時無呼吸症候群
  7. 睡眠関連運動障害
  8. レム睡眠行動障害
  9. 不眠の症状が生じる原因
  10. ストレス
  11. 身体的な要因
  12. うつ病などの精神疾患
  13. 薬の副作用
  14. 加齢
  15. 睡眠環境に問題がある
  16. 睡眠障害を予防する方法
  17. ストレスケアをする
  18. 規則正しい生活を送る
  19. 運動の習慣をもつ
  20. 朝に起きたら太陽の光を浴びる
  21. ぬるめの湯船にゆったり浸かる
  22. 睡眠環境を見直す
  23. まとめ

睡眠障害の治し方

不眠や日中の眠気の原因となる睡眠障害は、早めに治したいところです。しかし、睡眠障害には多種多様な種類があり、治療法も一概にはいえません。

一般的に、睡眠障害とは睡眠に関連した病気の総称を指します。症状の原因となっている病気の種類に応じて、適した治療方法は異なってきます。

例えば、代表的な睡眠障害として知られる「不眠症」は、生活リズムや就寝環境を整える非薬物療法、睡眠薬を用いた薬物療法などで治療するのが一般的です。ただし、これはあくまで不眠症の場合であり、ほかの病気を発症している場合は治療法が変わってきます。

そのため、症状の治し方を知るためには、まず自分が悩んでいる睡眠障害の種類を把握する必要があります。自分で睡眠障害の種類を正確に判断するのは難しいため、睡眠に関する症状に悩む場合は医療機関を受診することをおすすめします。

主な睡眠障害の種類

前述したとおり、睡眠障害には多くの種類があります。主な睡眠障害として挙げられるのは次の6つです。

  • 不眠症
  • 過眠症
  • 概日リズム睡眠・覚醒障害
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 睡眠関連運動障害
  • レム睡眠行動障害

以下では各睡眠障害の特徴を紹介します。思い当たる症状がある場合は、医療機関の受診を検討してください。

不眠症

不眠症とは、不眠の症状によって日中に倦怠感や集中力の低下、食欲低下などの不調があらわれる病気のことです。不眠の症状は主に「入眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」「熟眠障害」の4種類に分けられており、それぞれ以下のような特徴を持っています。

不眠症の種類症状の特徴
入眠障害寝つきが悪く入眠に時間がかかる
中途覚醒眠りが浅く睡眠中に何度も目が覚めてしまう
早朝覚醒朝、早すぎる時間帯に目が覚めてしまう
熟眠障害睡眠をとってもぐっすりと眠った感覚を得られない

こうした不眠の症状は誰にでも起こりますが、通常であれば数日〜数週間程度で普段と同じように眠れるといわれています。しかし、不眠の症状が1ヶ月以上続く場合は、不眠症にかかっている可能性が高いです。

過眠症

過眠症とは、日中に強い眠気が生じる症状の総称です。主な病気としては、ナルコレプシー特発性過眠症が挙げられます。

ナルコレプシーは、日中の強い眠気に加えて急に眠りに落ちてしまうのが特徴の病気です。一般的には仕事中や運転中などの多少の眠気を感じることはあっても、突然眠ってしまうということは珍しいでしょう。

一方で、ナルコレプシーの症状があらわれた場合は、通常だと眠れないような状況でも発作のように眠りに落ちてしまいます。

特発性過眠症も日中の眠気や居眠りを特徴とする病気です。睡眠に関する症状だけでなく、頭痛や失神などの自律神経症状があらわれる場合もあります。

大川昭宏

大川昭宏

産業心身コンサルティングオフィス株式会社代表

過眠症の明確な原因はわかっていません。遺伝によるものが多いとされていますが、睡眠不足やストレスなどの環境要因、自律神経の乱れも過眠症の原因となる場合があります。

概日リズム睡眠・覚醒障害

概日リズム睡眠・覚醒障害とは、体内時計が乱れることで日中の活動に支障が出てしまう睡眠障害です。

体内時計は人間の体に備わっている機能で、睡眠と覚醒のリズムをコントロールする役割を持っています。多くの人は特に意識しなくても日中に活動し、夜に眠くなるというリズムを自然と保てていますが、これは体内時計が心身の状態を調整してくれているおかげです。

しかし、体内時計は生活習慣の乱れなどが原因でずれてしまうことがあります。体内時計がずれると起床と就寝のリズムが乱れ、「就寝時間なのに眠れない」といった不眠の症状に繋がります。

その結果、日中の眠気や集中力の低下を引き起こし、日々の生活に支障が出てしまうことがあります。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まったり、浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気です。多くの場合、空気の通り道となる気道が塞がってしまうことで発症するといわれています。

大きないびきが症状として有名ですが、それに加えて中途覚醒も代表的な症状の一つです。睡眠中に呼吸が浅くなってしまうと、体内の酸素濃度が低下し、覚醒作用を持つ二酸化炭素の濃度が上昇するため、中途半端なタイミングで目覚めてしまうことがあります。

大川昭宏

大川昭宏

産業心身コンサルティングオフィス株式会社代表

睡眠時無呼吸症候群を予防するためには、まずは自分の睡眠の状態をよく知ることです。家族と同居の方は様子を聞いてみたり、また睡眠中、録音や録画をすることをお勧めします。その上で体重過多な方は減量しましょう。また、鼻やのどに何か異常がないか耳鼻咽喉科で診てもらうのも良いでしょう。

睡眠関連運動障害

睡眠関連運動障害とは、睡眠時に生じる体の動きによって睡眠が妨げられてしまう症状のことです。主な病気としては、レストレスレッグス脚症候群(むずむず脚症候群)や周期性四肢運動障害(しゅうきせいししうんどうしょうがい)が挙げられます。

レストレスレッグス脚症候群(むずむず脚症候群)は、下肢にむずむずとした不快感があらわれる病気です。症状が生じると不快感を緩和するために体を動かしたい衝動に駆られ、眠りが妨げられてしまいます。

一方、周期性四肢運動障害は、睡眠中に四肢の筋肉が収縮を繰り返すことで目が覚めてしまうのが特徴の病気です。中途覚醒が増えると睡眠不足に陥り、日中の眠気やだるさを誘発する可能性があります。

レム睡眠行動障害

レム睡眠行動障害とは、睡眠中に見ている夢と同じ行動をとってしまう病気のことです。大声で寝言をいう、手足を動かす、歩き出すなどの症状のほか、場合によっては殴る・蹴るなどの激しい動作があらわれ、本人や周囲の人の怪我に繋がるケースもあります。

また、レム睡眠行動障害を患っている場合、睡眠中に誰かに起こされるとスムーズに目を覚まし、本人が夢の内容をはっきりと覚えているという特徴があります。

大川昭宏

大川昭宏

産業心身コンサルティングオフィス株式会社代表

レム睡眠行動障害は、頭部の外傷や脳の疾患、アルコールの過剰摂取や睡眠不足、抗うつ剤の副作用などによって引き起こされる事が多いです。50歳以降の男性に多く、加齢に伴って増加する傾向にあります。

不眠の症状が生じる原因

睡眠障害は病気の種類によってさまざまな症状がありますが、なかでも多くの方が悩んでいるのが不眠の症状です。眠れない日々が続いている方は、この機会に不眠の原因を把握して対処しましょう。

不眠の症状は、下記のいずれかに原因がある場合が多いです。

  • ストレス
  • 身体的な要因
  • うつ病などの精神疾患
  • 薬の副作用
  • 加齢
  • 睡眠環境に問題がある

以下で各原因の内容を順番に紹介します。

ストレス

ストレス

多くのストレスを受けていると、自律神経が乱れることで不眠に繋がることがあるので気をつけてください。

自律神経とは、体の状態をコントロールしてくれている神経のことです。心身を活動状態に導く交感神経、心身をリラックスさせて休息状態に導く副交感神経の2つがあり、日中と夜に各神経がそれぞれ切り替わることで、覚醒と休息のバランスは保たれています。

しかし、ストレスによって自律神経が乱れると、夜になっても副交感神経に切り替わらないことがあります。その場合、就寝時間になっても体が休息できず、寝つきの悪さに繋がります。

身体的な要因

身体的な症状も不眠の原因の一つです。例えば、下記のような症状が身体にあらわれていると、眠りが妨げられてしまう可能性があります。

  • 皮膚疾患でのかゆみがある
  • 頻尿で何度も夜中に起きてしまう
  • 傷口の痛みが気になって眠れない

身体的な症状に原因がある場合、症状がおさまれば不眠の問題も解消するのが一般的です。症状がおさまっているにもかかわらず不眠が続く場合は、ほかに原因がある可能性を考えましょう。

うつ病などの精神疾患

精神的な疾患によっては、不眠の症状があらわれることがあります。下記の4つは不眠の症状があらわれる疾患の一例です。

  • 双極性障害
  • 適応障害
  • 統合失調症
  • うつ病

精神的な疾患は、精神だけでなく身体的な症状があらわれる場合もあります。不眠に加えて精神面や身体面での不調が続く場合は、精神科や心療内科に相談してみると良いでしょう。

薬の副作用

薬の種類によっては、副作用として不眠の症状があらわれる場合があります。下記は不眠の症状があらわれる可能性がある薬の一例です。

  • ステロイド薬
  • インターフェロン
  • パーキンソン病の薬
  • 抗うつ剤、降圧剤
  • 甲状腺治療薬
  • 喘息の薬

薬の副作用が気になる場合は、処方先の医療機関に薬を変えてもらえないか相談してみてください。

加齢

人間は歳を重ねると睡眠時間が短くなるほか、不眠の症状があらわれやすくなる傾向があります。過去に睡眠の問題を抱えていなかった方でも、加齢によって「寝つきが悪くなった」「中途半端な時間に目が覚める」などの不眠の症状があらわれる場合があります。

また、年齢を重ねていくことで増える環境の変化や健康面への不安などから、ストレスが増えてしまうことも多いです。こうしたストレスが原因で、不眠に繋がる可能性も考えられます。

睡眠環境に問題がある

睡眠環境が眠りに適していないと、不眠に繋がってしまうので気をつけましょう。

例えば、寝室の温度や湿度が睡眠に適していない、寝具が合っていない、外から光が漏れているなどの要素があると、寝つきが悪くなる可能性があります。

睡眠障害を予防する方法

不眠症などの睡眠障害を予防するには、普段の生活習慣に意識を向けることが大切です。日常の過ごし方に気をつけることで、睡眠に関する問題を予防しやすくなります。予防方法はさまざまですが、なかでも下記の6種類がおすすめです。

  • ストレスケアをする
  • 規則正しい生活を送る
  • 運動の習慣をもつ
  • 朝に起きたら太陽の光を浴びる
  • ぬるめのお湯にゆったり浸かる
  • 睡眠環境を見直す

以下で具体的な予防方法を詳しく解説します。

ストレスケアをする

先述したように、ストレスは不眠の原因となります。そのため、睡眠に関する問題を予防するには普段からこまめなストレスケアを心がけることが重要です。

適切なストレス解消方法は人によってそれぞれですが、例えば「趣味に没頭する」「仲の良い友人や家族と会話する」「映画鑑賞や読書で感情を刺激する」などが挙げられます。この機会に、自分に合ったストレス解消方法を探してみると良いでしょう。

規則正しい生活を送る

睡眠障害を予防したい方は、普段から生活リズムが乱れないように気をつけながら過ごしましょう。正しい生活リズムを維持するポイントは下記の3つです。

  • 就寝・起床時間を決める
  • 休日に寝すぎない
  • 食事は3食しっかり食べる

生活リズムが乱れていると睡眠と覚醒のリズムも乱れてしまい、不眠に繋がってしまいます。不眠を予防するためにも、不規則な生活を送っている場合は生活リズムを見直してみてください。

運動の習慣をもつ

習慣的な運動は、睡眠の質を高めてくれるといわれています。

ただし、1回きりの運動では効果が弱いため、習慣的に続けることが大切です。どの運動を行うか悩む場合は、自分の体力に合わせて続けやすいメニューを選ぶと良いでしょう。

なお、体への負担が大きい運動は睡眠の妨げとなる可能性があるので注意してください。睡眠の問題を予防するために運動をするなら、ウォーキングなどの軽めの運動に留めることをおすすめします。

朝に起きたら太陽の光を浴びる

睡眠と覚醒のリズムをコントロールしてくれている体内時計は、1日よりも少し長い25時間周期でリズムを刻んでいます。このリズムを1日の24時間に合わせるためには、毎日体内時計をリセットしなくてはいけません。

この体内時計のリセットに欠かせないのが太陽の光です。朝に陽の光を浴びることで体内時計はリセットされ、正しいリズムを刻んでくれるようになります。そのため、起床後はまずカーテンを開け、太陽の光を浴びる癖をつけるようにしましょう。

ぬるめの湯船にゆったり浸かる

寝つきの悪さを予防したい場合は、就寝前にぬるめの湯船に浸かるのがおすすめです。

湯船に浸かってリラックスすると心身を休息状態に導く副交感神経の働きが高まるため、より眠りやすくなります。また、入浴後は深部体温が下がって心身が休みやすい状態となり、就寝のタイミングで自然な眠気が訪れてくれます。

ただし、お湯の温度が高すぎたり、入浴時間が長すぎたりすると、逆に目が覚めてしまう可能性があるので注意してください。お湯の温度はぬるめの38℃、入浴時間は25分~30分程度に留めましょう。

睡眠環境を見直す

眠りに関する問題を予防するには、睡眠環境を整えることも大切です。自分がより眠りやすいと思える環境を整えることで、不眠の予防・改善に繋がります。

例えば、自分の体に合う寝具に買い替えたり、アイマスクや耳栓などの安眠グッズを活用したりするだけでも就寝環境は良くなります。普段から寝にくさを感じている方は、この機会に就寝環境を変えてみると良いでしょう。

なお、予防を心がけても睡眠に問題が生じる場合は、心身の疾患に原因がある可能性も考えられます。不眠を含めた心身の症状に悩む場合は、無理せず医療機関に相談しましょう。

まとめ

不眠症や過眠症、睡眠時無呼吸症候群など、睡眠障害にはさまざまな種類があります。 睡眠障害は心身のさまざまな不調の原因となるので、気になる場合は早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修者
大川昭宏
大川昭宏産業心身コンサルティングオフィス株式会社代表
産業心身コンサルティングオフィス株式会社代表。心療内科医、精神科医、産業医。帝京大学医学部卒業後、国立精神神経医療研究センター、国立国際医療研究センター心療内科勤務等を経て現在は、産業心身コンサルティングオフィス株式会社代表。約30社の産業医も行っている。専門は心療内科全般、職場のメンタルヘルス。元帝京大学医学部医学教育センター臨床教授、帝京大学医学部地域医療学(心身医学)非常勤講師、日本赤十字社東京都支部メンタルヘルスケアアドバイザー、心療内科・精神科専門医、指導医。
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