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2023.10.30 更新

【医師監修】サーカディアンリズムとは?乱れた場合の影響や整えるための対策などを解説

【医師監修】サーカディアンリズムとは?乱れた場合の影響や整えるための対策などを解説

毎朝決まった時間に起きられない、眠りが浅いなどの悩みがある方は、サーカディアンリズムが乱れている可能性があります。サーカディアンリズムは昼夜の変化に同調して、体内環境を変化させる機能です。

サーカディアンリズムが乱れたままだと、睡眠の質が低下するだけでなく、肥満や免疫力の低下などを招く恐れがあるので、注意しましょう。

この記事では、サーカディアンリズムの基本知識や乱れた場合の影響などを解説します。

  1. サーカディアンリズムとは?
  2. サーカディアンリズムが乱れた場合の影響
  3. 概日リズム睡眠障害
  4. 肥満や生活習慣病
  5. 免疫力の低下
  6. サーカディアンリズムを整えるための対策
  7. 生活リズムを整える
  8. 起床後日光を浴びる
  9. 就寝前にスマホの画面を見ない
  10. サーカディアンリズムを整える際の注意点
  11. サーカディアンリズムを整えようとして焦らない
  12. サーカディアンリズムが乱れた原因が認知症の可能性がある
  13. サーカディアンリズムを整えるために、1日の過ごし方を見直そう

サーカディアンリズムとは?

サーカディアンリズムとは、いわゆる体内時計のことです。人間をはじめ、多くの生物は、地球の自転による24時間周期に合わせて約24時間周期のリズムを体内で形成しており、体内環境を変化させる機能を持っています。

人間の場合は、サーカディアンリズムの周期が24時間よりも若干長いため(※)、体内時計のズレを修正するための同調機能があります。つまり、「体内時計を整える」「生活リズムを見直す」などは、サーカディアンリズムのズレを治すことを指します。

サーカディアンリズムの乱れを放置していると短期的には疲労や睡眠障害が、長期的には心身の健康に深刻な影響をもたらす可能性があります。

山本耕司

山本耕司

奏の杜耳鼻咽喉科 千葉いびき・無呼吸クリニック 院長

サーカディアンリズムは、主に「細胞内時計遺伝子」の働きによって制御され、正確な時間管理を行うことができます。また、日光や食事のタイミングなどの外部環境によっても体内時計が調整されています。

(※)サーカディアンリズムの周期は個人差があり、短い方も居ます。

サーカディアンリズムが乱れた場合の影響

サーカディアンリズムが乱れた場合の影響は以下のとおりです。

  • 概日リズム睡眠障害
  • 肥満や生活習慣病
  • 免疫力の低下

サーカディアンリズムが乱れた場合の影響を順番に解説します。

概日リズム睡眠障害

人間の体内時計の周期は24時間より若干長い(または短い)ので、さまざまな刺激を受けることにより、体内時計は外界の周期と同調してズレを修正します。

しかし、ズレが修正できないと、入眠や覚醒のパターンが乱れてしまい、次のような睡眠障害を招く可能性があります。

  • 時差症候群や交代勤務睡眠障害
  • 内因性概日リズム睡眠障害

上記のように、体内時計の周期を外界の24時間周期と同調できないために生じる睡眠障害を概日(がいじつ)リズム睡眠障害と呼びます。

山本耕司

山本耕司

奏の杜耳鼻咽喉科 千葉いびき・無呼吸クリニック 院長

サーカディアンリズムの異常による睡眠障害の可能性がある場合、睡眠学会専門医が在籍している医療機関や、睡眠学会認定医療機関となっている病院の受診をおすすめします。

時差症候群や交代勤務睡眠障害

概日リズム睡眠障害は二つのパターンがあります。一つは、社会的な理由などにより体内時計を短期間にずらした場合に起きる睡眠障害で、代表的なのは時差症候群と交代勤務睡眠障害です。

  • 時差症候群…時差のある場所に高速移動したことで発症する
  • 交代勤務睡眠障害…交代勤務によって睡眠時間帯が頻繁に変化したことで発症する

時差症候群とは、ある程度の時差のある場所へ高速移動すると、出発地の時刻に同調していたサーカディアンリズムが到着地の時刻とズレが生じたことで発症する概日リズム睡眠障害です。

到着時刻に合わせて起きようとしたり、寝ようとしたりしても、サーカディアンリズムがズレているので睡眠の質が低下し、作業能力の低下や心身の不調が生じる可能性があります。

交代勤務睡眠障害とは、日勤や夜勤などのために睡眠の時間帯が変化し、睡眠障害や精神的、身体的な不調がもたらされる概日リズム睡眠障害です。

夜間の勤務後に睡眠をとろうとしても寝付けなかったり、就寝中に目が覚めてしまったりします。そのため、睡眠の質が低下し、起床後に疲労を覚えたり、集中力が低下したりする恐れがあります。

時差症候群や交代勤務睡眠障害は、社会的な理由などにより発症する可能性がある概日リズム睡眠障害で、判明している理由に合わせた対策を立てることが可能です。

内因性概日リズム睡眠障害

もう一つのパターンは、体内時計が外界の周期に同調する機能に問題がある場合に起きる内因性概日リズム睡眠障害です。

内因性概日リズム睡眠障害は、体内時計のズレを調整する機能に問題が発生し、睡眠と覚醒のリズムが、次の表のように乱れている睡眠障害になります。

内因性概日リズム睡眠障害の種類睡眠と覚醒のリズム
睡眠相後退症候群深夜にならないと眠れず、昼頃まで起きられないパターン
睡眠相前進症候群夕方になると眠くなり、早朝に目が覚めるパターン
非24時間睡眠覚醒症候群眠る時間と目覚める時間が毎日30~60分ずつズレていくパターン
不規則型睡眠覚醒パターン睡眠と覚醒のリズムが見られなくなるパターン

内因性概日リズム睡眠障害は時差症候群や交代勤務睡眠障害と違って、体内時計のズレを調整する機能に問題が発生しており、原因が特定しにくい場合があります。そのため、内因性概日リズム睡眠障害が見られる方は、医師に相談をしましょう。

肥満や生活習慣病

サーカディアンリズムが乱れて睡眠パターンが崩れると、体のさまざまな機能も乱れる可能性があります。例えば、サーカディアンリズムが乱れて夜型の生活を送っている方は、朝型の方に比べると脂肪分の摂取が多くなるとされています。

また、サーカディアンリズムが乱れると細胞の脂肪分解機能が低下して、肥満や生活習慣病のリスクが高まることが報告されています。

免疫力の低下

人間の体は、睡眠中に成長ホルモンを多く分泌し、代謝を調節して体を健康な状態に保とうとします。しかし、サーカディアンリズムが乱れてしまうと、ホルモンバランスが乱れます。

その結果、ホルモンバランスが乱れて免疫力が低下し、病気にかかる可能性が高くなります。

サーカディアンリズムを整えるための対策

サーカディアンリズムを整えるための対策

サーカディアンリズムを整えるための対策は以下のとおりです。

  • 生活リズムを整える
  • 起床後日光を浴びる
  • 就寝前にスマホの画面を見ない

サーカディアンリズムを整える方法を順番に解説します。

生活リズムを整える

サーカディアンリズムを整えるためには、毎朝決まった時間に起きて、栄養バランスの良い食事を摂取し、決まった時間に寝ることを心がけましょう。特に、体内時計のズレをリセットできるのは朝だけなので、起きる時間はなるべく一定に揃えましょう。

また、軽い運動は睡眠の質を高める効果を期待できます。朝食後の散歩や、就寝1~2時間前の軽い運動がおすすめです。ただし、激しい運動は交感神経を刺激して寝付きを悪くする可能性があるので止めましょう。

起床後日光を浴びる

人間の体は、さまざまな刺激を受けてサーカディアンリズムのズレを修正しています。その中で最も影響力が強い要素が光となるため、毎朝日光を浴びることで、サーカディアンリズムが修正されます。

反対に、夕方や夜に強い光を浴びてしまうと、サーカディアンリズムが乱れる要因となるので、注意してください。

就寝前にスマホの画面を見ない

スマホやパソコンなどの画面から発せられるブルーライトは、朝日と同じような強い光を含んでいます。夜間に浴びてしまうと、ブルーライトの刺激により、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が減少し、眠れなくなったり睡眠リズムが乱れたりする原因になります。

メラトニンには、サーカディアンリズムを調整する作用もあるため、正しく分泌させる必要があります。就寝前に、スマホやパソコンなどの画面は見ないようにしましょう。

サーカディアンリズムを整える際の注意点

サーカディアンリズムを整える際の注意点は以下のとおりです。

  • サーカディアンリズムを整えようとして焦らない
  • サーカディアンリズムが乱れた原因が認知症の可能性がある

サーカディアンリズムを整える際の注意点を順番に解説します。

サーカディアンリズムを整えようとして焦らない

眠ろうと意識しているにも関わらず眠れないと、かえって焦ってしまうことがあります。

人間の体は、自律神経が交感神経優位の状態から副交感神経優位の状態に切り替わらないと、睡眠モードに入りません。

眠ろうとして焦っていると、副交感神経優位の状態に切り替わりにくくなるので、ますます眠れなくなり、更に焦ってしまうという悪循環に陥る可能性があります。

サーカディアンリズムを整える時は、焦らずにリラックスすることが重要です。眠れない時は、本を読んだり、音楽を聞いたりして、リラックスした状態を目指しましょう。

サーカディアンリズムが乱れた原因が認知症の可能性がある

認知症を患うと、体内時計を調節している神経系に変性が生じ、日中の活動が低下して光を浴びる量が減り、睡眠リズムが乱されます。

特に、アルツハイマー病は夜間のメラトニンの分泌量が減少するため、睡眠と覚醒のバランスが崩れやすく、サーカディアンリズムが乱れやすいです。

認知症が原因でサーカディアンリズムが乱れている可能性が考えられる場合は、まずは医療機関に相談しましょう。

山本耕司

山本耕司

奏の杜耳鼻咽喉科 千葉いびき・無呼吸クリニック 院長

認知症やアルツハイマー病の初期症状は、「記憶障害」「会話が難しくなる」「道に迷いやすくなる」「判断力や集中力が低下する」「性格や行動が変化する」などが挙げられます。

サーカディアンリズムを整えるために、1日の過ごし方を見直そう

サーカディアンリズムは人間の体に備わっている生活リズムです。外界の周期が24時間に対して、人間のサーカディアンリズムは24時間より長いため、ズレが生じます。

「毎朝決まった時間に起きて、栄養バランスの良い食事を摂取する」など、規則正しい生活を送っていればズレは修正されますが、何らかの理由によってズレが修正されないことがあります。

サーカディアンリズムが乱れると、短期的には疲労や睡眠障害、長期的には心身の健康に深刻な影響をもたらすリスクがあるので、サーカディアンリズムを整えたい方は1日の過ごし方を見直してください。

この記事の監修者
山本耕司
山本耕司奏の杜耳鼻咽喉科 千葉いびき・無呼吸クリニック 院長
東京慈恵会医科大学卒業後、同大学耳鼻咽喉科学教室入局。2013年より現職。睡眠時無呼吸症候群の治療であるCPAP(シーパップ)療法や、アレルギー性鼻炎の根本治療となる舌下免疫療法にも注力しており、治療薬処方数は日本一の実績あり。日本睡眠学会専門医、日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。
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