日々の仕事や家事が忙しかったり、生活習慣が不規則だったりで、眠る時間が短くなってしまうと睡眠不足が気になる方も多いのではないでしょうか。
睡眠不足になると心身ともに不調になってしまい、日常生活に支障が出てしまう可能性があります。そのため、睡眠不足はできるだけ解消しておきたいところです。
この記事では、睡眠不足の兆候や睡眠不足からくる不調やリスク、睡眠不足を解消する方法などについて解説します。
睡眠不足を解消する3つの方法を紹介
睡眠不足に対処するための方法として、大きく以下の3つが挙げられます。
- 適切な睡眠時間を知る
- 昼間に15分程度の仮眠をとる
- 質の良い睡眠をとる
それぞれ、詳しく説明します。
適切な睡眠時間を知る
適切な睡眠時間は、一般的に6~8時間程度が目安とされていますが、個人差があります。
例えば、現在の睡眠時間が6時間で睡眠不足になっている人が、睡眠時間を1時間増やして7時間にしたとしましょう。
しかし、もしもこの人にとっての適切な睡眠時間が8時間である場合、睡眠時間を6時間から7時間に増やしたところで、結局睡眠不足であることには変わりありません。
そのため、自分にとって適切な睡眠時間を知ることは非常に重要です。
確認方法として、1週間ごとに睡眠時間を変えてみて、都度体調や精神面の変化をチェックするなどが考えられます。
昼間に眠くならずに、イライラしたり集中力が途切れたりすることなく過ごせた場合、それが自分にとって適切な睡眠時間であると判断できるでしょう。
昼間に15分程度の仮眠をとる
昼間に15分程度の仮眠をとることは、足りない睡眠量を補うことができるため、睡眠不足に効果的です。
ただし、仮眠をとる時間に注意してください。あまりに長すぎる仮眠は良くなく、15分程度(長くても30分程度)を目安にしましょう。
そもそも、人間の睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類に分けられますが、仮眠から目覚めた後に頭をすっきりさせるためには、「浅いノンレム睡眠」のタイミングで起きることが大切です。
眠りについた後は、「ノンレム睡眠→レム睡眠→ノンレム睡眠…」というサイクルが約90分周期で繰り返されます。そして、このなかで「浅いノンレム睡眠」にあたるタイミングが、入眠から15分~30分程度になります。
仮眠をとる時には、あらかじめ目覚まし時計を設定するなどして、15分~30分程度で起きられるようにすると良いでしょう。
質の高い睡眠をとる
睡眠時間を確保することが難しい場合は、睡眠の質を向上させることで睡眠不足をある程度解消することが可能です。
質の高い睡眠をとる方法として、以下の6つを紹介します。
- 寝る直前に食べない
- 寝る直前にスマホやパソコンを見ない
- 眠りに適した温度や湿度にする
- 寝室の証明を調整する
- アロマを焚く
- ベッドや寝具で睡眠環境を整える
寝る直前に食べない
寝る直前に食事を摂ると、食べたものを消化するために胃腸が活発に動いている状態で眠りにつくことになります。
胃腸が活発に動いている分、体が熟睡できない状態のまま眠りにつくことになるため、睡眠の質も悪くなるのです。
食べたものを胃腸が分解し終わるまで、約3時間が必要とされているため、23時に寝たい場合は20時までに食事を済ませるようにしてください。
寝る直前にスマホやパソコンを見ない
一般的に人は、「日光を浴びると覚醒し、夜になると眠くなる」という睡眠リズムを持っています。
これには「メラトニン」と呼ばれるホルモンが関係しており、メラトニンの分泌量が多いと人は眠くなります。メラトニンは強い光を浴びると分泌量が減り、暗いところにいると分泌量が増えるため、夜になると眠くなるということは、非常に自然なことです。
ただ最近では、寝る直前までスマホやパソコン、タブレットなどの電子機器を利用している人が多い傾向があります。
電子機器の画面から発される強い光を脳が認識すると、昼間であると錯覚してしまうため、メラトニンの分泌量が抑制されてしまい、夜になっても上手く眠れず、睡眠の質が低下してしまいます。
寝る直前には、上述したような電子機器を使わないよう意識してください。
眠りに適した温度や湿度にする
睡眠時の環境も眠りの質に大きく影響しており、眠りに適した温度は夏で28℃以下、冬で10℃前後、湿度は50%前後と言われています。
夏や冬に自然とこの条件を満たすことは難しいため、エアコンを利用して部屋の環境を眠りに適した環境に保つようにすることがおすすめです。
寝ている間中、ずっとエアコンを付けっぱなしにすることに抵抗がある場合は、タイマー機能を利用して適当なタイミングで切れるように設定しておくと良いでしょう。
また、夏場は湿度もかなり高くなるため、エアコンの除湿(ドライ)機能を活用することも効果的です。
寝室の照明を調整する
先述のとおり、光はメラトニンの分泌を抑制してしまうため、寝室の照明も睡眠の質を左右する大きな要素のひとつになります。
照明の色にはさまざまな種類がありますが、寒色系の色よりも暖色系の色のほうがメラトニンを抑制しづらいです。
また、寝る時に光源が直接目に入ってしまうことも睡眠の質に良くないため、寝室の照明には間接照明を利用することが好ましいでしょう。
なかには、電気を付けたままでないと寝られないという方も一定数いると思いますが、その場合でも明るさを調節して、なるべく部屋を暗くした状態で眠ることをおすすめします。
アロマを焚く
アロマの心地良い香りは、脳に影響を与えて安眠しやすくなる効果があると考えられています。
アロマの効果は種類によってさまざまであるため、数あるなかでも、リラックスして安眠しやすいものを選びましょう。
しかし、効果が優れていても自分に合わない香りであると結局安眠しづらくなるため、実際に香りを試してみて、好みと感じるものを選ぶことが大切です。
ベッドや寝具で睡眠環境を整える
温度や湿度、光やアロマなどの睡眠環境を整えることが安眠には欠かせませんが、ベッドや寝具ももちろん睡眠の質に大きな影響を与えます。
肌触りが良いものや機能性に優れているもの、通気性が良いものなどさまざまですが、自分に合うものを利用するようにしてください。
また、眠るときの姿勢が仰向け、横向き、うつ伏せのいずれかによっても、適したベッドや寝具は変わってきます。可能であれば、店頭などで実際に使い心地を確認したうえで購入すると良いでしょう。
そもそも睡眠不足とはどういう状況?
そもそも睡眠不足とは、「自分にとって必要な分だけの睡眠がとれていない状況」のことを指します。
先述のとおり、自分にとって適切な睡眠時間を知ることで、自分が睡眠不足であるかを確かめることが可能です。
また、睡眠の質も睡眠不足に関わる要素であり、睡眠時間を長めに確保できていても睡眠の質が高くなければ睡眠不足になる可能性があります。逆に、睡眠時間が短くとも睡眠の質が高ければ睡眠不足を感じにくくなるでしょう。
このように、睡眠不足はさまざまな要因が関係していることがわかります。
自分に当てはまるかチェック!睡眠不足の兆候を紹介
睡眠不足を解消するためには、まずは自分が睡眠不足であると自覚することが何より重要です。
以下に当てはまる方は、睡眠不足である可能性が高いと考えられます。
- 日中居眠りをしてしまう
- 運転中に眠気に襲われる
- 肌が荒れる
- 記憶力が低下する
それぞれ、詳しく解説していきます。
日中居眠りをしてしまう
睡眠不足の状態である場合、脳が本能的に睡眠をとろうとします。そのため、作業をしている途中で眠気を感じて、少し休憩しようと思ったはずがそのまま寝てしまうなどというようなことが起こりえます。
寝てしまうまでの症状がなくとも、日中何となく眠さやだるさを感じることが多い場合は、睡眠不足の可能性が高いです。
運転中に眠気に襲われる
眠気は、時間やタイミングを気にせず襲ってくるため、車の運転中などに眠気を感じたことがある方もいるでしょう。
運転中は気を張っていて、寝てしまうことはないとしても、信号待ちなどで少し気が緩んだ瞬間に猛烈な眠気に襲われて、後続車のクラクションで我に返る…などの経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
車の運転中の眠気は、事故に繋がる可能性があるため非常に危険です。
何度か運転中に眠気に襲われた経験がある方は、先述している「睡眠不足の解消方法」を実施して、対策しましょう。
肌が荒れる
肌は毎日、乾燥や日光、ほこりなどの外部刺激にさらされて細胞が傷ついていますが、眠っている間に傷ついた細胞の修復を行うことで、肌の状態を保っています。
しかし、睡眠不足である場合、睡眠時にしっかりと肌の修復が行われないため、肌の良い状態をキープすることができずに、肌荒れやシミ、小じわなどが増えてしまいます。
肌の調子が良くないと日々の食事のことを気にする方も多いですが、同様に「適切な睡眠がとれているか」も気にしなければなりません。
記憶力が低下する
睡眠不足である場合、脳が通常通りのパフォーマンスを発揮できません。
そのため、普段であれば簡単に覚えられていたようなことが、なかなか覚えられなくなってしまいます。
睡眠不足は集中力や思考力の低下にも繋がるため、このような要素も記憶力の低下に影響していると考えられます。
睡眠不足からくる不調やリスクについて
睡眠不足は、肉体面と精神面の双方に影響を与えます。
以下、睡眠不足による肉体面と精神面、それぞれで生じる不調やリスクについて、詳しく説明します。
肉体面
睡眠不足からくる「肉体面」の不調として、以下の例が挙げられます。
- 疲労感や倦怠感を感じる
- 朝起きることがつらい
- 免疫力の低下
- 肥満の原因になる
疲労感や倦怠感を感じるほか、睡眠不足である場合、唾液に含まれている免疫物質が減少するため、免疫力の低下も引き起こしてしまいます。
また、睡眠不足は自律神経系やホルモンの乱れにも繋がり、消費エネルギーの低下や食事摂取量の増加を引き起こして、肥満の原因になることもあります。
睡眠不足であることで日中の活動意欲が低下してしまうことも、肥満を助長する要因のひとつです。
生活習慣病にかかりやすくなる上、かかった場合に悪化しやすいため、体調面では十分な注意が必要です。
精神面
睡眠不足からくる「精神面」の不調として、上述したような認知力や判断力、集中力などの低下が挙げられます。
睡眠不足の状態では、交感神経と副交感神経のうち、交感神経のほうが優位になりますが、交感神経が優位である状態では、「アドレナリン」などのホルモンの分泌が盛んに行われます。
そのため、ちょっとしたことでイライラしたり怒りっぽくなったりしてしまいます。また、逆に気分が落ち込んで感情が不安定になり、抑うつ状態に陥るケースもあります。
睡眠不足の状態では、平穏な精神状態を保つことがなかなか難しくなるでしょう。
まとめ
「ふとした時にうとうとしてしまう」「昼間に眠くなってしまう」など、睡眠不足に当てはまると感じたら、注意が必要です。
肉体面では疲労感や倦怠感を感じたり、精神面では集中力や判断力などが低下したりなどの不調やリスクが生じます。
睡眠不足を解消するためには、自分に必要な睡眠時間を把握したうえで、15分~30分程度の仮眠や質の高い睡眠をとることが大切です。
温度や湿度など、睡眠環境を整えて質の高い睡眠をとることで、睡眠不足を解消していきましょう。