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2023.12.09 更新

【医師監修】寝ても疲れが取れない理由は?3つの原因から対処法まで解説

【医師監修】寝ても疲れが取れない理由は?3つの原因から対処法まで解説

忙しい日々を送るなかで、寝ても疲れが取れず悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

疲れを解消するために「休日に寝だめする」「ゴロゴロする」などの方法をとったことがあるかもしれませんが、場合によっては余計に疲れが取れなくなるため注意が必要です。

この記事では、寝ても疲れが取れない原因から対処法まで詳しく説明します。

寝ても疲れが取れない状態が続くと病気に繋がるケースもあるため、疲労感が続くことが気になっている方はぜひ参考にしてください。

  1. 寝ても疲れが取れない3つの原因と症状を解説
  2. 肉体的疲労による原因と症状
  3. 精神的疲労による原因と症状
  4. 神経的疲労による原因と症状
  5. 年齢別に考えられる寝ても疲れが取れない原因とは
  6. 10代によくある主な原因
  7. 20代によくある主な原因
  8. 30〜40代によくある主な原因
  9. 寝ても疲れが取れないのは病気の可能性がある?
  10. 寝ても疲れが取れない時の誤った対処法
  11. 栄養ドリンクや甘いものを過剰に摂取する
  12. 寝だめで疲れを取ろうとする
  13. 何もせずダラダラ過ごす
  14. 寝ても疲れが取れない状態を改善する方法
  15. 健康的な食事を心がける
  16. ぬるめのお湯に入浴する
  17. 適度な運動を心がける
  18. 快適な睡眠環境を意識する
  19. 趣味で気分転換をする
  20. まとめ

寝ても疲れが取れない3つの原因と症状を解説

寝ても疲れが取れない原因は、肉体的疲労・精神的疲労・神経的疲労という3つのタイプにわかれます。

  • 肉体的疲労による原因と症状
  • 精神的疲労による原因と症状
  • 神経的疲労による原因と症状

これらの詳しい内容について、それぞれ解説します。

肉体的疲労による原因と症状

「肉体的疲労」とは、運動や労働などによって引き起こされる筋肉のエネルギー不足が原因となり生じる疲れのことです。

筋肉がエネルギー不足の状態になると、力が出ずに肉体的な疲労を感じることがあり、体のだるさや肩こり、寝起き時の疲労感といった症状があらわれます。

エネルギー不足で生じる筋肉の疲れは、栄養素がエネルギーになる過程で作られる「乳酸」によって引き起こされるという説が一般的でした。

しかし、その定義は近年変わりつつあります。現在では、乳酸が作られる際に発生する水素イオンの影響により、筋肉が酸性に傾くことが原因であるという説がスタンダードです。

また、エネルギー源である筋グリコーゲン(糖)の蓄えが少なくなることも、肉体的疲労に繋がる原因であると考えられます。

上記の原因から起こる肉体的疲労は、肉体労働の方や運動が趣味の方だけでなく、デスクワークの方にも見られる症状であることを認識しておきましょう。

楠裕司

楠裕司

渋谷睡眠・呼吸メディカルクリニック 院長

肉体労働の方もデスクワークの方も、睡眠はしっかりとる必要があります。

睡眠中に分泌される成長ホルモンには、新陳代謝を活性化させ、疲労を回復して、肉体を治癒してくれる作用があります。その一方で、睡眠には脳内の老廃物を取り除き、ストレス物質を減らす働きもあります。

精神的疲労による原因と症状

「精神的疲労」とは、仕事のストレスや人間関係の悩みが原因となって引き起こされる、心の疲れのことを指します。

精神的疲労の原因は、パワハラをする上司がいる、家族や友人との関係性が悪くなったなど、人によってさまざまです。精神的疲労を溜めすぎると、精神的な疾患に繋がる可能性もあるため注意しなくてはなりません。

精神的疲労が溜まることで自律神経のバランスが崩れ、気持ちの落ち込みイライラ寝付きが悪くなるといった症状があらわれます。

不調が続くことで睡眠の質が低下し、寝ても疲れが取れない状態に繋がるケースもあるでしょう。

神経的疲労による原因と症状

「神経的疲労」とは、パソコンや手作業などのデスクワークを長時間行うことによる、視神経・脳の疲れのことです。集中力の低下や頭痛といった症状があらわれます。

現代は、多くの方がスマホやパソコンを持ち、インターネット検索ですぐに欲しい情報が手に入る環境です。

情報が絶え間なく脳に入り続けるので、脳は大量に情報処理を行う必要があります。このように大量の情報処理を行うことも、脳の神経を疲労させる原因です。

神経的疲労は、時代の変化に影響を受けて生じる疲れともいえるでしょう。

年齢別に考えられる寝ても疲れが取れない原因とは

寝ても疲れが取れない原因は人それぞれ異なりますが、年齢によっても原因に差が生まれる場合があります。

  • 10代に良くある主な原因
  • 20代に良くある主な原因
  • 30〜40代に良くある主な原因

上記のとおり年代別に、寝ても疲れが取れない原因について紹介します。

10代によくある主な原因

10代の方に考えられる寝ても疲れが取れない原因は、以下のとおりです。

疲労の種類原因
肉体的疲労・部活
・サークル
・通学(徒歩/自転車)
精神的疲労・学校での人間関係
・家庭での悩み
・受験やテストのストレス
神経的疲労・長時間のスマホゲーム
・SNS

10代は学校中心の生活を送っているケースが一般的なので、疲労の原因も学校での活動に関係することが多いと考えられます。

また、若い世代は寝床に入ってからもスマホゲームに熱中することが多いです。

楽しいからといっていつまでも止められず夜更かししてしまうと、体内時計がずれて睡眠時間が不規則になりやすい傾向にあります。

20代によくある主な原因

20代の方に考えられる寝ても疲れが取れない原因は、以下のとおりです。

疲労の種類原因
肉体的疲労・大学での授業
・アルバイト
・デスクワーク
精神的疲労・会社での慣れない仕事
・上司や部下との人間関係
・友人関係
神経的疲労・長時間のデスクワーク
・パソコン作業

20代は、大学生や社会人など立場が異なることが多い年代なので、人それぞれ疲労の原因も多岐にわたります。

学校を卒業したばかりの新卒という立場では、慣れない社会人生活で精神的な疲労を感じることが多いかもしれません。

職種によっては、長時間のデスクワークによる肉体的疲労や神経的疲労を感じることもあるでしょう。

30〜40代によくある主な原因

30~40代の方に考えられる寝ても疲れが取れない原因は、以下のとおりです。

疲労の種類原因
肉体的疲労・加齢による筋肉の衰え
・運動不足
・育児の疲労
精神的疲労・会社の立場的なプレッシャー
・家庭と仕事の両立
神経的疲労・複雑な情報処理による脳の疲れ

30〜40代になると運動する機会が少なくなって運動不足になるうえに、若い頃と比べると体力も衰えます。そのような状況で家事や育児に励めば、肉体的疲労に繋がるでしょう。

また、会社勤めが長くなる年代でもあるので、プロジェクトを管理するような責任ある立場を任されることも増えると考えられます。

会社である程度の立場に立つことによるプレッシャーや、家事・育児・仕事など多方面の事柄について複雑な情報処理を繰り返さなくてはならないため、精神的疲労神経的疲労を感じるようになるといえます。

寝ても疲れが取れないのは病気の可能性がある?

「慢性疲労(まんせいひろう)」とは、対応できる範囲の疲労が続く状態のことです。一般的に「疲れた」と感じる程度の疲労なので、睡眠の質を高めて生活習慣を見直すことで症状は改善に向かいます。

一方、日常生活に支障が出るほどの激しい疲労感や倦怠感があり、その症状が6ヶ月以上続く場合は、「慢性疲労症候群」という病気を発症しているかもしれません。

慢性疲労症候群は一般的な疲労とは異なり、厚生労働省で診断基準が定められています。休んでも疲れが取れない、市販薬では改善しないといった重い症状が特徴です。

発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、睡眠障害などさまざまな症状を伴うケースもあり、精神面においてはうつ病の症状とも似ています。

明確な原因は解明されておらず、医療者でも気付きにくい病気なので、心当たりがあれば、病院を受診して慢性疲労症候群にあたるか相談してみてください。

楠裕司

楠裕司

渋谷睡眠・呼吸メディカルクリニック 院長

慢性疲労症候群の疑いがある方は、まず全身を診れる内科や総合診療科を受診しましょう。

診察や採血などで全体的な評価をし、疑わしい臓器や疾患があれば専門家への受診となります。肉体的な原因が無い場合は心療内科や精神科を受診し、精神的な疾患の鑑別を行います。

寝ても疲れが取れない時の誤った対処法

寝ても疲れが取れない時の誤った対処法

日常生活の何気ない行動が、寝ても疲れが取れない状態を引き起こしているかもしれません。

  • 栄養ドリンクや甘いものを過剰に摂取する
  • 寝だめで疲れを取ろうとする
  • 何もせずダラダラ過ごす

ここでは、特に気を付けたい3つの行動について解説します。

栄養ドリンクや甘いものを過剰に摂取する

栄養ドリンクやコーヒーのようにカフェインが入った飲み物は、適量であれば眠気覚ましや集中力持続の効果が期待できます。

ただし、カフェインを飲んで得られる効果は一時的なものであり、疲れが根本から取れているわけではありません。カフェインによる興奮状態が切れてしまうと、疲れが一気に押し寄せる可能性もあります。

カフェインは体に耐性ができやすいので、少しずつ効かなくなります。摂りすぎることで不整脈などの病気に繋がり、海外では死亡した事例もあるので注意が必要です。

また、適度な糖分摂取は大切ですが、甘いものの過剰摂取も避けたほうが無難です。甘いものを過剰に食べると、血糖値が急激に上下するため気分に不安定感が生じ、イライラや疲労感に繋がることがあります。

就寝前にはカフェイン入りの飲み物を摂取しない、甘いものは量に気を付けるなど、日頃から気を付けるようにしましょう。

寝だめで疲れを取ろうとする

平日の睡眠不足や疲労の解消を目的として、休日に「寝だめ」することは望ましくありません。

普段と違う時間に就寝・起床して生活リズムが崩れると、睡眠の質の低下に繋がります。

また、睡眠不足が続くことで溜まる「睡眠負債」は、寝だめでは解消できません。日々、自分にとって十分な睡眠時間を確保して、睡眠負債が溜まらないように心がけることが大切です。

楠裕司

楠裕司

渋谷睡眠・呼吸メディカルクリニック 院長

疲れが取れやすい体をつくりたい場合は、休日もできるだけ平日と同じ時間に就寝・起床するのが望ましいでしょう。

休日の起床時間が遅くなると体内時計が乱れ、その乱れを直すのに3~4日かかります。自分で毎週時差ボケを作ってしまうのと同じです。当然睡眠の質も悪化しますし、疲労も取れにくくなります。

何もせずダラダラ過ごす

疲れていることを理由に、家でダラダラ過ごすこともおすすめできません。

自律神経を整えるためには、活動する時と休む時のメリハリある生活が大事です。ダラダラ過ごしていては、活動的な「交感神経」とリラックス状態の「副交感神経」の交替が上手く行われなくなるケースがあります。

就寝中は副交感神経が優位に働く状態が正常なのですが、交感神経が優位なままになってしまうと、なかなか熟睡できず睡眠の質の低下に繋がるでしょう。

適度な休息は必要ですが、休日だからといってゴロゴロしすぎず、メリハリある生活を心がけてください。

寝ても疲れが取れない状態を改善する方法

寝ても疲れが取れない状態を改善するためには、睡眠の質を向上させて「きちんと睡眠によって疲れをとる」ことが重要です。

  • 健康的な食事を心がける
  • ぬるめのお湯に入浴する
  • 適度な運動を心がける
  • 快適な睡眠環境を意識する
  • 趣味で気分転換をする

日常生活で取り組める改善方法について、それぞれ詳細を解説します。

健康的な食事を心がける

夕飯には消化が良いものを食べて、就寝の3時間ほど前には食事を済ませるよう心がけてください。

寝る直前に食事をとると、就寝してからも消化活動が続くこととなり、睡眠の質が低下します。就寝直前に脂っこいものや脂肪分が多い食品を食べることは避けたほうが良いです。

また、イライラをはじめとした心の疲れを取るためには、疲労解消に効果があるとされる「ビタミンB群(ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)」を意識的に摂取すると良いでしょう。

ビタミンB群には、ビタミンB1、B2、B6などの種類がありますが、日常的に摂取しやすい食品として、以下のものがあります。

種類食べ物
ビタミンB1・豚肉
・うなぎ
・玄米
ビタミンB2・レバー
・納豆
・卵
ビタミンB6・レバー
・マグロ
・カツオ

ビタミンB群を含む代表的な食品を挙げましたが、ほかにもさまざまな食品に含まれています。自分の好みに合わせて、積極的に食べるよう努めてみてください。

ぬるめのお湯に入浴する

就寝の90分~120分前に、38℃のぬるめのお湯で25分~30分ほど入浴することをおすすめします。深部体温が上昇し、その後下降するタイミングで自然な眠気が発生するため、スムーズな入眠に繋がるでしょう。

さらに、入浴することで副交感神経が優位の状態になり、体の筋肉がほぐれてリラックス効果も得られます。

ただし、熱すぎるお湯に浸かると交感神経が優位の状態になり、睡眠の質を低下させる可能性があるため注意が必要です。

適度な運動を心がける

ほどよい疲労感が得られると快適な睡眠に繋がりやすいため、ウォーキングや散歩のような軽めの有酸素運動に取り組みましょう。

入浴と同様に、運動によって体温が上昇して低下する流れのなかで自然な眠気が促されます。

就寝直前に激しい運動を行うと、体が興奮して入眠しづらくなるので、運動は就寝の3時間前までに済ませるほうが望ましいです。

快適な睡眠環境を意識する

睡眠の質を高めるためには、寝室の温度や湿度、照明の明るさといった就寝環境を快適な状態に整えることも大切です。

個人の好みや体調にもよりますが、夏場は25℃〜26℃、冬場は22℃〜23℃の室温が推奨されており、湿度は通年50%〜60%が理想的です。

また、スマホやパソコンが発するブルーライトは脳を覚醒させる効果があるので、就寝前の操作は控えましょう。部屋の照明が明るすぎるのであれば、間接照明を取り入れることもおすすめです。

さらに、使用している寝具が体に合っているかという点も、睡眠の質に大きな影響を与えます。

マットレスや枕は、寝返りが打ちやすいものを選んでください。寝返りには、体の一部に負担がかかって血行不良になることを防ぐ効果や、寝具内の温度を調節する役割があります。

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、寝床内の温度は33℃、湿度は50%の状態が最適とされているため、寝具を見直す際には「寝床内を適切な状態に保てるか」という点に注目して選ぶと良いでしょう。

趣味で気分転換をする

ストレスを溜めないよう日頃から意識し、就寝前にはリラックスできる行動を心がけることをおすすめします。

具体的なストレス解消法としては、友人と会話する、好物を食べる、映画鑑賞する、などが考えられます。就寝前には、ヒーリングミュージックを聞く、アロマを焚く、瞑想をするなどして、心身の緊張をほぐしましょう。

ネガティブな思考や不安な感情を取り除くことで、睡眠の質が向上すると期待できます。

なお、リラックスするために「寝酒」としてアルコールを摂取するのはおすすめしません。

アルコールには覚醒作用と利尿作用があるので、就寝中に目が覚めて睡眠の質が低下する可能性があります。

まとめ

寝ても疲れが取れない場合、肉体的疲労と精神的疲労、神経的疲労、いずれかが原因となっていることが考えられます。

情報化社会が進む現代は、スマホやパソコンを使うことによる神経的疲労や、SNSを通じた人間関係の悩みで精神的疲労が出ている方も多く、疲労が溜まりやすい時代であるともいえるでしょう。

寝ても疲れが取れない原因を特定し、日々の生活で対処することが大切です。食生活や入浴方法といった生活習慣を改善させることで、睡眠の質を高めるよう努めてください。

過度な疲れが長期間続き、日常生活にも支障を及ぼすのであれば、「大丈夫」と自己判断せずに、我慢しないで医療機関を受診することをおすすめします。

この記事の監修者
楠裕司
楠裕司渋谷睡眠・呼吸メディカルクリニック 院長
山梨医科大学を卒業後、日本医科大学呼吸器内科入局。2011年から本格的に睡眠診療の研鑽を積み、2022年11月渋谷睡眠・呼吸メディカルクリニックを開院。「最高の睡眠診療を身近に」を合言葉に睡眠専門医の治療を気軽に受けて頂けるよう日々取り組んでいる。資格:医学博士、睡眠学会専門医、内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医等
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