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2023.02.10 更新

【医師監修】ショートスリーパーとは?健康や寿命への影響やなれる方法はあるのかなど徹底調査

【医師監修】ショートスリーパーとは?健康や寿命への影響やなれる方法はあるのかなど徹底調査

ショートスリーパーとは、睡眠時間が6時間未満でも、問題なく日常生活を過ごせる方のことを指します。

少ない睡眠時間でも日中の活動を有意義に行えることから、「自分はショートスリーパーだからラッキー」「ショートスリーパーになりたい」などと思う方も多いかもしれません。

しかし、「毎日短時間睡眠が続くと、体に悪影響が起こる?」「ショートスリーパーは寿命が短いって本当?」など、心配に思う方もいるのではないでしょうか。

この記事では、ショートスリーパーの定義や特徴について詳しく解説します。ショートスリーパーについて理解したうえで、自分の睡眠状況に問題がないか、改めて確認しましょう。

  1. ショートスリーパーとは
  2. ロングスリーパーと睡眠時間はどのくらい違う?
  3. ショートスリーパーと短時間睡眠の違い
  4. ショートスリーパーは病気ではない!健康への影響についても解説
  5. 不眠症や睡眠不足とは異なる
  6. ショートスリーパーは短命?寿命との関係性について
  7. ショートスリーパーになる方法はある?
  8. まとめ

ショートスリーパーとは

アメリカ国立睡眠財団が示す定義によると、ショートスリーパーに該当するのは「睡眠時間が6時間未満の方」です。

睡眠時間が短い傾向であるだけではなく、睡眠時間が短くても問題なく日常的な活動を行える方のことを指します。

「ショートスリーパーの日本人は多い」と耳にしたことがあるかもしれませんが、そういわれる理由として、各国と比較した時に日本人の睡眠時間が短いことが挙げられます。

日本における実際の睡眠時間について確認すると、厚生労働省が令和2年に行った調査によれば、男性の37.5%、女性の40.6%は睡眠時間が6時間未満であることがわかりました。

つまり、睡眠時間のみで判断すれば、日本人の約40%がショートスリーパーであるということです。

しかし、ショートスリーパーは遺伝性のものであると考えられており、同じ家系でも遺伝する方としない方がいます。

このことから、睡眠時間が6時間未満であってもショートスリーパーではなく、実際には寝不足や睡眠障害の方も多くいらっしゃると考えられるでしょう。

また、ショートスリーパーは、睡眠時間が短くても日中に眠気を感じないため、活動的に過ごすことができています。

一方、寝不足や睡眠障害の場合は、日中に眠気を感じるうえに頭痛などの不調も伴うケースも多いという違いもあります。

豊田早苗

豊田早苗

とよだクリニック院長

睡眠に関与しているβ1アドレナリン受容体遺伝子の配列に変異があると、深い睡眠(ノンレム睡眠)から一気に覚醒することができ、覚醒状態を促進する脳神経細胞の数が多いことがわかっています。

この遺伝子変異があることがショートスリーパーになる要因であり、遺伝子変異がない方がネット上の情報に惑わされてショートスリーパーになることを目指しても、健康を害するだけで真のショートスリーパーになることはできないといわれています。

ロングスリーパーと睡眠時間はどのくらい違う?

ロングスリーパーとは、ショートスリーパーとは反対に睡眠時間が長い傾向にある方のことを指します。

明確な定義はないものの、睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)によると、「成人で10時間以上の睡眠時間が必要な方」をロングスリーパーとしています。

ロングスリーパーの方は長時間の睡眠が必要なため、日中に活動できる時間が制限されるケースもあり、時間を有効活用できないことから悩みを抱えている方も少なくありません。

また、ショートスリーパーにもロングスリーパーにも属さない「バリアブルスリーパー」という言葉もありますが、これは最適な睡眠時間が約6〜9時間ほどである方々のことを指します。

ショートスリーパーとロングスリーパーの中間に位置し、日本人の多くはこのタイプであるといわれています。

ショートスリーパーと短時間睡眠の違い

ショートスリーパーと似た言葉に「短時間睡眠」があります。両方とも睡眠時間が短い点が共通していますが、明確な違いもあります。

それぞれの特徴などについて、わかりやすく一覧表にまとめました。

比較項目ショートスリーパー短時間睡眠
睡眠時間6時間未満自分に必要な睡眠時間をとれていない
原因遺伝的なもの・寝る時間が遅い
・起床時間が早い
特徴・日中に眠くならない
・活動的
・日中に眠気がある
・休日の睡眠時間が長くなる

短時間睡眠とは、一定の睡眠時間より短いことが定義されているわけではなく、自分にとって必要なだけの睡眠がとれていない状態のことです。

ショートスリーパーは6時間未満の睡眠でも問題なく活動できますが、短時間睡眠の場合には、休日に長く眠って起きる時間が遅くなるなど、足りない睡眠時間の帳尻を合わせる傾向にあります。

豊田早苗

豊田早苗

とよだクリニック院長

ショートスリーパーは、単に睡眠時間が短いだけでなく、睡眠時間が短くても日中に眠気を感じたり、仕事のパフォーマンスが落ちたり、心身の不調が生じたりすることはありません。

もし日中に眠気を感じたり、体のだるさや頭痛、イライラしやすいなどの心身の不調が起こったりする場合は、ショートスリーパーではなく単なる睡眠不足と考えましょう。

ショートスリーパーは病気ではない!健康への影響についても解説

ショートスリーパーは病気ではない!健康への影響についても解説

ショートスリーパーは遺伝的に生じる特性であり、病気ではありません。

遺伝子の影響で必要な睡眠時間がもともと短い傾向があるだけなので、睡眠時間が短くても寝不足にならないのです。

また、自分にとって必要な睡眠時間が確保できているため、健康にも害を及ぼさないと考えられています。

不眠症や睡眠不足とは異なる

ショートスリーパーと関連する睡眠用語に、「不眠症」や「睡眠不足」があります。

不眠症とは、1ヶ月以上の長期間にわたって睡眠トラブルが続く病気のことです。ストレス、心身の病気、生活リズムの乱れ、服薬などの影響を受けて発症し、集中力や意欲の低下といった不調があらわれます。

不眠症は4つのタイプに分けられ、それぞれの特徴は以下のとおりです。

  • 入眠障害:寝付きが悪く、すぐに眠れない
  • 中途覚醒:眠りが浅く、就寝中に何度も目覚める
  • 早朝覚醒:早朝に目覚め、ふたたび眠れない
  • 熟眠障害:熟睡したという満足感が得られない

一方、睡眠不足とは、自分にとって必要なだけの睡眠時間がとれていない状態のことを指し、病気ではありません。

なかには、睡眠時間を確保しているにも関わらず、睡眠の質が低いことによって睡眠不足に陥っているケースもあります。

また、平日に必要な分の睡眠をとれていないことから、休日に長時間の睡眠をとる方が多いことも特徴です。

睡眠不足の状態が続くと、日中の眠気、頭痛、倦怠感、吐き気、めまいといった体の不調があらわれます。

ショートスリーパーは短命?寿命との関係性について

厚生労働省の調査によると、睡眠は短すぎても長すぎても病気を発症するリスクが高いことがわかっています。

睡眠基準改定検討会の「睡眠に関する施策的背景」によると、発症リスクの高い具体的な病名をあげると、睡眠時間が長い方は脳卒中、睡眠時間が短い方は、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患です。

さらに、国立がん研究センターと健康研究センターの調査では、睡眠時間を7時間確保している方が最も死亡リスクが低いことも判明しており、これらの調査結果をふまえると、睡眠時間と死亡リスクには因果関係があるといえるでしょう。

ただし、生まれつき長時間の睡眠を必要としないショートスリーパーの方々は、その限りではないと考えられています。

睡眠時間が6時間未満という短さであっても、その方にとっては十分な睡眠時間であることから、健康や寿命への影響はないとされています。

豊田早苗

豊田早苗

とよだクリニック院長

一般的に健康維持のために必要な睡眠時間は6~7時間といわれていますが、実際は、人によって必要な睡眠時間は違います。そのため、睡眠時間にこだわらず、日中に眠気が起こらなければ十分な睡眠が確保できていると考えて良いです。

また、睡眠は時間だけでなく質も重要です。時間にばかり目を向けるのではなく、朝起きた時に疲れが取れているか?スッキリ感があるか?など、睡眠の質(睡眠の深さ)も考えることが大切です。

ショートスリーパーになる方法はある?

「訓練を行うことで誰もがショートスリーパーになれる」とする意見もありますが、その言葉に科学的な根拠はありません。

ショートスリーパーは単純に睡眠時間が短いだけでなく、自分にとって必要な時間の睡眠時間が確保できていることや、日中の活動に支障がでないといった特徴があります。

自分の意思だけでクリアできるものではないため、自ら望んでショートスリーパーになるのは難しいといえるでしょう。

ショートスリーパーではない方は、睡眠時間を短くすると、ゆくゆくは日中の活動や健康状態に影響が出ることが懸念されます。無理に睡眠時間を短縮することはおすすめできず、起床後のコンディションを整えたいのであれば、睡眠時間を削るよりも睡眠の質を高めることが重要です。

就寝後にも疲れが残っている、夜中に何度も目覚めるなどの悩みがある方は、食生活や入浴方法といった生活習慣を見直すことから始めましょう。

生活の基盤を整えることで睡眠の質が高まり、心身ともに健康に過ごせることが期待できます。

まとめ

日中の活動時間を有効に使えるため、ショートスリーパーに憧れる方は多いと思います。

しかし、ショートスリーパーは遺伝的な要素が関連する症状なので、トレーニングを行うことで誰もがなれるものではありません。

睡眠時間は短すぎても長すぎても健康へのリスクが高まるため、自分にとって必要なだけの睡眠時間をきちんと確保するよう努めてください。

日中のパフォーマンスを高めて毎日を快適に過ごしたい方は、まずは日々の過ごし方を見直すことをおすすめします。

健康的な生活を送ることで睡眠の質を高め、意欲的な毎日を過ごせるよう心がけましょう。

この記事の監修者
豊田早苗
豊田早苗とよだクリニック院長
鳥取大学卒業後、JA厚生連に勤務し、総合診療医として医療機関の少ない過疎地等にくらす住民の健康をサポート。2005年とよだクリニックを開業し院長に。患者さんに寄り添い、じっくりと話を聞きながら、患者さん1人1人に合わせた診療を行っている。
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