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2024.02.19 更新

【医師監修】眠気の原因は低血圧のせい?すぐにできる対処法を紹介

【医師監修】眠気の原因は低血圧のせい?すぐにできる対処法を紹介

最近眠気を感じることが多い方のなかには、「低血圧のせいなのではないか」と感じている方もいるでしょう。

もしも低血圧のせいなのであれば、どのようなメカニズムで眠気を感じるようになっているのかは気になるところです。

この記事では、眠気の原因が低血圧なのかどうか、低血圧で眠気が起こる理由、そして低血圧によって起こる眠気への対処法や予防法を解説します。

低血圧によって発生する眠気への対処法や予防法を知っておけば、眠気に悩むことも少なくなるかもしれません。ぜひ参考にしてください。

  1. 眠気の原因は低血圧かも?
  2. 低血圧にも種類がある
  3. 低血圧で眠気が起こる理由
  4. 体に血が巡りにくくなる
  5. 自律神経が乱れる
  6. すぐ実践できる!低血圧による眠気への対処法
  7. ストレッチなどの軽い運動をする
  8. 深呼吸をする
  9. 仮眠をとる
  10. 低血圧による眠気予防のためにすべきこと
  11. 早寝早起きの習慣を身に付ける
  12. 食生活を改善する
  13. 水分をしっかりとる
  14. 運動を習慣化する
  15. カフェインを摂取する
  16. 人混みなどのストレスを避ける
  17. まとめ

眠気の原因は低血圧かも?

眠気の原因は低血圧かも?

午前中はなかなか仕事のエンジンがかからない、常に眠気に襲われる、という方もいるでしょう。

睡眠不足やストレス、生活リズムの乱れなどに加えて、低血圧も原因の一つと考えられます。

睡眠はしっかりとれている、規則正しい生活を送れている、ストレスを感じているわけでもない、にも関わらず眠気を感じる場合は、低気圧が原因かもしれません。

低血圧にも種類がある

低血圧は、主に以下の4つのタイプに分類されます。

  • 本態性低血圧(一次性低血圧)
  • 症候性低血圧(二次性低血圧)
  • 起立性低血圧
  • 食事性低血圧(食後性低血圧)

本態性低血圧(一次性低血圧)は、特別な病気がないにもかかわらず慢性的に血圧が低い状態のことを指します。遺伝の影響が大きく、全身の倦怠感や冷え性のような症状が主に見られます。

症候性低血圧(二次性低血圧)は、ケガによる出血や胃腸の疾患による栄養不良など、原因となる病気がわかっているものを指します。

起立性低血圧は、急に立ち上がった時や体を起こした時などに急激に血圧が下がる状態のことを指し、いわゆる「立ちくらみ」も含まれます。

特別な病気がないものの神経系の障害により起こる「特発性起立性低血圧症」と、糖尿病や心筋症など病気が特定できる「二次性起立性低血圧症」に分類されます。

食事性低血圧(食後性低血圧)は、食後に血圧が過度に下がり、倦怠感が生じたり、眠気が起こったりする状態のことを指します。

食べたものを消化するために胃に血液が溜まり、心臓に戻りにくくなることで発生します。

白濱龍太郎

白濱龍太郎

RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック理事長

症候性低血圧は、原因となる疾患が潜んでいる場合もあるため注意が必要です。また、特発性もしくは二次性起立性低血圧も、転倒のリスクがあるため注意が必要です。

低血圧で眠気が起こる理由

眠気の原因として低血圧が考えられることはわかりましたが、低血圧で眠気が起こるメカニズムはどうなっているのでしょうか。

低血圧で眠気が起こる理由について、以下で説明します。

体に血が巡りにくくなる

低血圧は、心臓から押し出された血液が血管の壁を内側から押すポンプ作用が弱くなっていることが原因で生じる症状です。

起立性低血圧や食事性低血圧(食後性低血圧)の場合は、下半身や胃などに血液がたまり、心臓へ戻りにくくなることから起こります。

血液循環が滞ると全身に十分な血液が供給されなくなり、手足などの末端や脳への血液の流れも滞ります。血液は酸素とともに運ばれるため、脳に血液が不足していると十分な酸素が行き渡らなくなり、疲れやすさや眠気に繋がる場合があります。

自律神経が乱れる

低血圧のなかでも、起立性低血圧には自律神経も大きく関わっているといわれています。

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、交感神経が優位に働くと、興奮状態になります。

一方で、副交感神経が優位になると、体を休ませてリラックスさせる効果があります。

普段は交感神経と副交感神経が適度なバランスを保っているものの、低血圧で自律神経に乱れが生じると、日中に副交感神経が優位になることがあります。

その結果、本来眠くなるべきではないタイミングで眠気を感じることが起こりえるのです。

すぐ実践できる!低血圧による眠気への対処法

仕事中など、眠るべきでないタイミングで眠気を感じた場合、何とかして眠気を覚まさなければなりません。

低血圧による眠気に対処するために、すぐ実践できる方法として以下のものが挙げられます。

  • ストレッチなどの軽い運動をする
  • 深呼吸をする
  • 仮眠をとる

以下でそれぞれ詳しく解説します。

ストレッチなどの軽い運動をする

ストレッチなどの軽い運動は体内の血流を促すため、眠気対策に効果的です。血の巡りを良くして血圧を上昇させるため、低血圧の方に特におすすめの対処法です。

軽い運動であればどのようなものでも良いですが、特にふくらはぎに効く運動が効果的です。

ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、血の巡りに重要な役割を果たしています。

階段昇降や軽いウォーキングなどを行うことが理想的でしょう。

深呼吸をする

大きく深呼吸をして体に酸素を取り入れると、眠気が覚めることもあります。

また、深呼吸にはリラックス効果もあるので、眠気を覚ますだけでなく集中力を取り戻すための効果も期待できます。

ただし、深呼吸をしすぎると具合が悪くなるという方は、すぐに深呼吸をやめるようにしましょう。

仮眠をとる

眠気がどうしても覚めないのであれば、潔く仮眠をとるのも一つの方法です。

理想的な仮眠の時間は15~30分程度なので、アラームをセットするなどして短時間の仮眠をとりましょう。

イヤホンやアイマスクなどを使用して、周囲の音や光をシャットアウトした環境で寝ることで、質の良い睡眠をとりやすくなります。

なお、以下の記事では、眠っても眠気がとれない原因とその対処法について解説しています。眠っても眠気がとれないことでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

低血圧 眠気
【医師監修】眠気の原因は低血圧のせい?すぐにできる対処法を紹介

低血圧による眠気予防のためにすべきこと

眠気を感じた時、必ずしもストレッチをしたり、仮眠をとったりできる環境であるとは限りません。

そのため、眠気を予防する方法も知っておくことが望ましいでしょう。

低血圧による眠気予防としては、主に以下が挙げられます。

  • 早寝早起きの習慣を身に付ける
  • 食生活を改善する
  • 水分をしっかりとる
  • 運動を習慣化する
  • カフェインを摂取する
  • 人混みなどのストレスを避ける

それぞれについて、説明します。

ちなみに、症候性低血圧(二次性低血圧)や二次性起立性低血圧症など、病気などが原因の低血圧の場合は、まず医療機関を受診することが大切です。

白濱龍太郎

白濱龍太郎

RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック理事長

低血圧の疑いで診察を受ける際は、まずは循環器内科を受診してください。そのうえで、さらに糖尿病などの疾患が疑われる場合は、代謝内分泌科等の診療科に紹介されることがあります。

早寝早起きの習慣を身に付ける

規則正しい生活を行っていないと自律神経が乱れて日中に眠気を感じるので、決まったリズムで生活することが重要です。

早寝早起きの習慣を身に付けると、生活リズムが自然と整います。

起床した際に日光を浴びる内時と体内時計がリセットされるので、朝起きた際にはできるだけ日光を浴びることを心がけましょう。

食生活を改善する

栄養バランスの取れた食事を3食しっかりとることも重要です。

塩分には血管を収縮させて血圧を高める効果があるといわれているので、低血圧の場合には意識して摂取すると良いかもしれません。ただし、過度な摂取には注意してください。

白濱龍太郎

白濱龍太郎

RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック理事長

炭水化物(パン、ご飯、麺)や、過度な食事は、消化のために消化器系へ血液が移動したり、食後のインスリンの働きにより低血圧が起こる可能性があるため注意が必要です。

水分をしっかりとる

十分な水分を摂取することは、血液量を増やして血圧を高めるのに効果的です。水分不足は血液量が減少する原因となるため、できるだけ多くの水分を摂取しましょう。

1日に摂取するべき水分は、1〜2リットルが目安です。ただし、体にむくみが出るようなら、水分の量を減らすことも検討してください。

運動を習慣化する

眠気にすぐ対処する観点でも運動は効果的ですが、日頃から運動を習慣化しておくことももちろん重要です。

前述したように、ふくらはぎに効くウォーキングやジョギングなどを取り入れた運動を習慣的に行うことがおすすめです。

どれぐらいの負荷が適切かは人によって異なるので、いろいろな運動を試して程よい疲労を感じる運動を継続するとよいでしょう。

カフェインを摂取する

カフェインには、交感神経を刺激して血液の循環を良くする働きがあります。

食後は血圧が下がりやすいですが、食事と一緒にコーヒーや紅茶などを飲むことで、食後に眠くなるのを防ぎやすくなります。

ただし、夕食時にカフェインを摂取しすぎると夜眠りにくくなる可能性もあるので、量や摂取時間に注意しましょう。

人混みなどのストレスを避ける

低血圧の方は、人混みの中や暑い場所など、ストレスのかかりやすい場所をできるだけ避けて行動しましょう。長時間ストレスの多い場所に留まると血圧が低下し、疲れや頭痛などの症状が悪化する可能性があります。

また、人混みをはじめとした環境的なストレスは、「血管迷走神経反射(けっかんめいそうしんけいはんしゃ)」を引き起こす原因になるともいわれています。血管迷走神経反射とは、ストレスが原因で自律神経のバランスが崩れ、血圧・心拍数が減少することで失神してしまう症状です。

低血圧の悪化や血管迷走神経反射を防ぐためには、ストレスを減らす工夫が大切です。人混みや暑い場所は避ける、外出時はこまめに休憩するなどして対策しましょう。

まとめ

低血圧は、眠気を引き起こす原因の一つとして考えられます。

日中などに眠気を生じた場合は、ストレッチのような軽い運動や深呼吸をすることで眠気を覚ましやすくなるでしょう。また、可能であれば短時間の仮眠をとるのも効果的です。

眠くなった時に対処するだけではなく、普段から眠気を感じにくくするように、早寝早起きを心がけ、食生活の改善や運動を習慣化することをおすすめします。

ただし、病気などが原因で起こる症候性低血圧(二次性低血圧)や二次性起立性低血圧症の場合は、まず医療機関を受診して医師の指示に従いましょう。

この記事の監修者
白濱龍太郎
白濱龍太郎RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック理事長
筑波大学卒業、東京医科歯科大学大学院統合呼吸器学修了(医学博士)。同大学睡眠制御学快眠センター等での臨床経験を生かし、総合病院等で睡眠センターの設立、運営を行ってきた。それらの経験を生かし、睡眠、呼吸の悩みを総合的に診断、治療可能な医療機関をめざし、2013年に、RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニックを設立。2014年には、経済産業省海外支援プログラムに参加し、インドネシア等の医師たちへ睡眠時無呼吸症候群の教育を行った。2018年にはハーバード大学公衆衛生大学院の客員研究員として睡眠に関する先端の研究に従事。社会医学系指導医、睡眠学会専門医、認定産業医を有し、教育、啓発活動にも取り組んでいる。
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