寝起きに首の痛みを感じ、原因が分からず不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
睡眠時は何が起こっているのか把握しづらいため、寝起きに体の不調があると心配になることもあるでしょう。
首の痛みが生じる要因はさまざまですが、特に就寝時や生活習慣に原因が潜んでいるケースが多いです。
この記事では、寝起きに首の痛みを感じる主な原因や対処法などについて紹介します。
寝起きに「首が痛い」と感じる主な原因
朝起きた時に首の痛みを感じた際は、まず痛みの原因を把握しましょう。寝起きに首が痛くなる主な原因としては、次の4つが挙げられます。
- 寝違え
- ストレートネック
- 肩こり
- 筋肉痛
原因を把握しておけば、どう対処するべきかが見えてきます。各原因について、詳しい内容を順番に見ていきましょう。
寝違え
首の痛みの原因としてまず考えられることが、寝違えです。
寝違えは、目が覚めてから首の後ろや首から肩にかけて痛みが出る症状です。
「不自然な姿勢で寝ていた」「慣れない運動をして一部の筋肉が痙攣している」などが原因となり、発症する場合があります。
寝違えが原因の場合、日々の生活のなかで首を動かすことで、数時間から数日かけて徐々に症状が改善していくとされています。そのため、首を無理に痛みがある方に動かさず安静にしましょう。
ストレートネック
人間の頚椎は、緩やかなカーブを描いているのが正常な状態です。
しかし、スマホの長時間使用などにより、首の骨が真っ直ぐになってしまう場合があります。この状態を「ストレートネック」と呼びます。
ストレートネックは首・肩こりの原因となりやすく、場合によっては首の痛みを感じる可能性もあります。
ストレートネックの可能性を疑う場合は、ぜひ記事もご一読ください。
肩こり
肩こりも首の痛みが生じる原因の一つです。ひどい場合は、首から肩にかけて重さや痛みを感じる場合があります。
肩こりが起きる要因はさまざまですが、主な原因としては下記の5つが挙げられます。
- 姿勢の悪さ
- 運動不足
- ストレス
- 眼精疲労
- 血行不良など
肩こりは、普段の姿勢や運動の頻度など、生活習慣を見直すと改善する可能性があります。肩こりに悩んでいる方は、日常の過ごし方に目を向けてみましょう。
筋肉痛
首の筋肉に負担がかかり炎症を起こすと、筋肉痛が生じる場合があります。
「慣れない運動をした」「同じ姿勢で長時間の事務作業を行った」など、首の筋肉に負担がかかる作業を最近行った方は、それが原因で筋肉痛による首の痛みが生じていると考えられます。
首の痛みが筋肉痛によって生じている場合は、「首の負担を減らすように意識する」または「湿布を貼る」などすると改善するケースが多いようです。
高野勇人
たかの整形外科 院長
上記の首の痛みの多くは姿勢が原因によるものです。例えばPCに向かっている時は、猫背にならないように気をつけ、横から見て耳・肩・骨盤が一直線になるように座りましょう。
また、スマホを操作する際も目線を落として首が過度の前傾にならないように気をつけましょう。
首が痛いのは病気の可能性も
前述した原因に当てはまらなければ、首の痛みは病気の可能性も疑われます。
首付近に外傷を負っている方は、その傷が痛みの原因となっている場合があり、まずは傷を治すことが重要です。無理に動かそうとせず、傷が完治するまで安静にしましょう。
首の痛みがひどい場合は、「頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニア」や「頚椎神経根症(けいついしんけいこんしょう)」など、首の痛みが伴う病気を発症している可能性も考えられます。
また、神経・筋肉・関節などに異常が生じて、首の痛みを感じているのかもしれません。神経が圧迫されたり筋肉に炎症が生じたり、関節に負担がかかったりした場合には、首の痛みを引き起こす可能性があります。
首の痛みは放置せず医療機関を受診することが大切
首の痛みが日常生活に支障が出るレベルではない場合、「治るまでそのままにしておこう」と考える方は少なくありません。しかし、痛みをそのまま放置すると痛みが長引くだけでなく、ほかの病気に繋がる可能性もあります。
ここでは、首の痛みを放置することで生じる問題や、医療機関を受診する目安となる症状を紹介します。首の痛みが気になる方はぜひ参考にしてください。
首の痛みを放置することで生じる問題
首の痛みがストレートネックや肩こりによって生じている場合、頭痛を誘発する可能性があり、日中のパフォーマンスにも影響します。首は頭を支える重要な部位であり、痛みを放置すると体のしびれに繋がることもあります。
首の痛みの原因は生活習慣によるものや、神経からくるものなどさまざまです。原因を取り除かない限りそのまま放置して改善する可能性は低く、いつまでも痛みに悩むことになります。
そのため、首の痛みは放置せず、早めに改善させることが重要です。
高野勇人
たかの整形外科 院長
首の痛みを放置した場合は、いざ治療を始めても改善しにくくなり、治療期間が大幅に長引くことがあります。
最悪神経の症状が強く出てしまっている場合は、手術をせざるを得なくなる場合もあるため、早めに医療機関で受診しましょう。
医療機関を受診する目安となる症状
首の痛みに併せて以下の症状が出ている場合は、前述した頚椎椎間板ヘルニアや頚椎神経根症の発症も疑われるため、医療機関の受診を推奨します。
- 腕や手がしびれる力が入らない
- 力が入らない
- 手先で細かな作業がしにくい
このほか、強い痛みがある、高熱が出る、体がしびれるなどの症状がある場合にも、医療機関の受診をおすすめします。
首の痛みの原因が病気によって生じている場合は、医療機関での治療が必要です。首の痛みが続く方は、脊椎外科・整形外科・リハビリテーション科などの医療機関に相談しましょう。
高野勇人
たかの整形外科 院長
上記の症状以外でも、首や肩から腕にかけての痛みが出ている場合も病気の可能性があります。このような症状が続く方は、放置せずに医療機関で受診しましょう。
寝起きに首の痛みを引き起こさないための心がけ
ここからは、寝起きの首の痛みに悩まされている場合の対処法を紹介します。
- 枕の高さを変える
- 枕以外の寝具も見直す
以下ではそれぞれの方法を紹介するので、首が痛い場合の参考としてください。
枕の高さを変える
首の痛みがなかなか改善されない場合は、使っている枕の高さを調整してみてください。
枕は、高すぎても低すぎても首に負担がかかります。首の痛みを緩和するには、丁度良い高さに保つことが大切です。
一般的には、枕を当てて仰向けに寝た際、顎が少し下がり気味になる状態を保てるのが丁度良い高さの枕だといわれています。
しかし、枕の合う・合わないは個人差があるので、自分に合った枕を使うことが重要です。
枕以外の寝具も見直す
使っている寝具が体に合っていない方は、この機会に買い替えを検討すると良いでしょう。
首の痛みが肩こりによって生じている場合、寝返りの打ちやすい寝具に変えると改善できる可能性があります。
首の痛みに繋がる肩こりが起きる原因にはさまざまありますが、多くは血行不良によるものです。血流が悪くなることで疲労物質が蓄積し、だるさや重さなどの肩こり特有の症状に繋がります。
しかし、寝返りを適度に打てていれば血流が促進されるため、血行不良による肩こりや首の痛みを防ぐ可能性が高くなります。
体の不調を解消するために寝具を買い替える際は、寝返りの打ちやすさに注目して選んでみましょう。
まとめ
寝起きに首が痛くなる原因の多くは、長時間のスマホ使用によるストレートネック、血行不良などです。
「首に負担のかからない姿勢を保つように意識する」「適度な運動で血行不良を防ぐ」など、普段から対策しておきましょう。
ただし、つらい状態が続く場合は、病気である可能性もあるため、早めに医療機関を受診することをおすすめします。