睡眠は健康と密接な関係があり、心身の健康には欠かせません。
睡眠を疎かにすると健康的な生活が崩れてしまい、さまざまな病気のリスクを高めることに繋がります。
現在睡眠不足で悩んでいる方も、睡眠を疎かにするリスクを理解し早めに対処することをおすすめします。
この記事では、睡眠のメリットや健康的な睡眠をとるためのポイント、睡眠の質を高める方法などを紹介します。睡眠と健康の関係を理解したい方はぜひ参考にしてください。
睡眠と健康の関係とは?
睡眠は生活習慣そのもので、質の高い睡眠は規則正しい睡眠習慣によって成り立ちます。
反対に、睡眠リズムが崩れていると、ほかの生活習慣に悪影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。
例えば、健康的に運動したりバランスの良い食生活を心がけたりしていても、就寝・起床時間がバラバラであれば快眠が得られないでしょう。
なぜなら、ホルモンの分泌やそのほか生理的な活動を調節する体内時計は、規則正しい生活によって整うためです。
規則正しい生活の一つである睡眠のリズムが崩れると睡眠不足の状態になり、日中に眠気を感じるなど悪影響が及ぶ可能性があります。
睡眠不足は自律神経などにも影響を及ぼすほか、生活習慣病の原因にもなるため注意しましょう。
睡眠の具体的なメリット(効果)や、睡眠不足による健康へのリスクについては以降で詳しく紹介します。
睡眠によって得られる健康面でのメリット
睡眠によって得られる健康上のメリットには以下が挙げられます。
- 心身の疲労回復ができる
- 生活習慣病の予防にも繋がる
- 太りにくい体質作りが期待できる
- ストレスを緩和する効果がある
それぞれのメリットについて、下記で詳しく紹介します。
心身の疲労回復ができる
睡眠には心身の疲労回復効果があり、食事や運動などの生活習慣と同じく健康に関わってくる重要な要素の一つです。
睡眠は、体内に生じる不調をリセットし、その日の疲れを癒して翌日に備えるための行動です。睡眠が不足することは、体の不調をメンテナンスできない可能性が高くなることを意味します。
特に、寝てすぐの時間に多く分泌される「成長ホルモン」は疲労回復に影響するほか、肌の健康にも深く関係しているともいわれています。
生活習慣病の予防にも繋がる
慢性的な寝不足状態にある人は、糖尿病や心筋梗塞、狭心症などの冠動脈疾患といった生活習慣病にかかりやすいことがわかっています。
生活習慣病になる原因は人によって異なりますが、体内時計が狂うことが原因の一つとして挙げられています。
例えば、睡眠不足(目安として4時間以下の睡眠)が2日間続くと、食欲を高めるホルモン「グレリン」の分泌が増えます。その結果、食欲が増すと言われています。
質の高い睡眠は、生活のリズムや体内のホルモンバランスを整えやすくするため、生活習慣病の予防にも繋がります。
長期的な効果として、生活習慣を予防する重要な役割を果たしていることを理解しましょう。
太りにくい体質作りが期待できる
睡眠不足の状態を続けると、自律神経やホルモンバランスが崩れるだけでなく、消費エネルギーの低下や過食を招くことで肥満に繋がる可能性があるとされています。
また、睡眠不足になると、昼間に眠気が起こったり集中力が落ちたりするほか、日中の活動量が下がることによる「運動不足」にもなりかねません。運動不足によりさらに肥満のリスクを高めることになります。
睡眠の質を高めることで昼間の活動意欲を高め、消費エネルギーが増えたり活発的になったりすることにより、太りにくい体質作りに繋がるでしょう。
ストレスを緩和する効果がある
睡眠は手軽で重要なストレス解消手段の一つです。
睡眠不足が続くと心身が休まらず、ストレスが溜まりやすくなります。ストレスが溜まると睡眠の質が低下する原因となるため、余計に睡眠不足に繋がる可能性もあります。
また、ストレスが溜まっていると情緒も不安定になり、仕事のミスなどにも繋がります。これにより、ストレスの原因が増えるため注意しましょう。
そのほか、寝ている最中には脳の情報整理が行われているとされており、この記憶の整理中に不要な情報や嫌な情報が取り除かれ、ストレスが低減されるともいわれています。
このように、睡眠は肉体的な疲労回復に加え、ストレスなどの精神的な疲労を回復する効果もあるため、質の高い睡眠をとることは心身ともに健康に過ごすために欠かせないものといえます。
睡眠不足や質の低い睡眠による健康へのリスクとは?
睡眠には、前述したような心身の疲労回復効果や生活習慣病予防の役割があります。
しかし、睡眠を疎かにするとそれらの効果とは反対に以下のような悪影響を及ぼすリスクにも繋がります。
- 集中力や記憶力などが低下する
- 生活習慣病を引き起こす可能性がある
- イライラしやすくなる
上記のような睡眠不足や質の低い睡眠によるリスクについて、以下で詳しく紹介します。
集中力や記憶力などが低下する
睡眠不足が続くと、集中力や注意力、記憶力などが低下しやすくなります。
また、睡眠障害の一つとして「不眠症」がありますが、不眠症の症状が長く続くと集中力や注意力、記憶力が低下することがあります。不眠症になると日中の仕事中などにも支障をきたす可能性があるため注意しましょう。
重大なミスや事故を起こさないためにも、不眠症が疑われる場合には医療機関で診察を受けることをおすすめします。
生活習慣病を引き起こす可能性がある
一般的に、睡眠中には心身がリラックスした副交感神経優位の状態になっているとされています。
しかし、夜更かしをする人や眠りの浅い人は、活動している時などに働く交感神経が優位となることで血圧の高い状態が続くため、高血圧を招く可能性があります。
また、睡眠不足は血糖値のコントロールに重要な「インスリン」というホルモンの働きを悪くし、糖尿病になるリスクを高めるといったデメリットもあります。
さらに、前述した肥満のリスクも含め、さまざまな生活習慣病に繋がる可能性があるため注意が必要です。
生活習慣病になると、そこからさらに動脈硬化に繋がり、心疾患や脳血管疾患のリスクを高めることがあります。
睡眠不足は、ただ単純な生活習慣病だけではなく、生活習慣病からくるさまざまな疾患に繋がる恐れがあるため注意しましょう。
イライラしやすくなる
睡眠はストレス解消の効果があると解説しましたが、睡眠不足の場合、イライラしやすくなることもあります。
睡眠不足により集中力や注意力が低下し、仕事でミスをすることでストレスが溜まりイライラしたり、ホルモンバランスが崩れることにより自分の意思とは関係なくイライラしたりすることもあります。
イライラする自分に情けなくなり、さらにイライラが増すという悪循環に陥ることもあるため、睡眠によって心身の疲労を回復させることは快適な日常を過ごすために重要です。
健康のために意識したい睡眠のポイント
ここまで紹介したように、睡眠と健康には深い関係があり、快適な毎日を過ごすためには快眠が欠かせません。
慢性的な睡眠不足の場合、休日の「寝だめ」といった長時間睡眠によって解消しようとする方もいるかもしれませんが、寝だめにはほとんど効果がないことがわかっています。
質の高い睡眠をとるには、以下のようなポイントに注意して毎日を過ごしましょう。
- 十分な睡眠時間を確保する
- 規則正しい睡眠を心がける
- 食事や運動などの生活習慣を整える
- 寝具や寝室の環境を快適にする
それぞれについて、以下で詳しく紹介します。
①十分な睡眠時間を確保する
日本の平均的な睡眠時間は6〜8時間とされていますが、実際には季節や年齢、個人の体質によって異なるため「最適な睡眠時間」は人によって変化します。
勘違いをしがちですが、長い時間睡眠をとることが健康ではありません。睡眠時間だけにこだわるのではなく「日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠」を基準として、自分にとって必要な睡眠時間を確保すると良いでしょう。
②規則正しい睡眠を心がける
睡眠不足などの場合「長く眠る」という方法で解決しようとする方もいるかもしれませんが、長時間睡眠は生活リズムや体内リズムの乱れに繋がるためおすすめしません。
規則正しい睡眠リズムを保つため、毎日ほぼ同じ時刻に眠り、同じ時刻に起きることが理想的です。
睡眠リズムを整える際に「早く寝床に入っても結局寝つけない」といったように就寝時間を早めることが難しい方は、起床時間を少しずつ早めて調整することをおすすめします。
快適で規則正しい睡眠をとるには、寝だめによって寝不足を解消するのではなく毎日同じ時間に起床、就寝し、意識的に睡眠のリズムを体に覚えさせることを意識しましょう。
③食事や運動などの生活習慣を整える
適度な運動は、深い眠りによる中途覚醒などを防いだり、疲労感による自然な入眠を促したりするために効果的な方法です。
また、しっかり朝食をとり日中を活動的に過ごすことは夜の自然な入眠に繋がり、朝・昼・晩に規則正しく食事をとることは体内リズムを整えることにも繋がります。
例えば、寝る直前に食事をとると睡眠中に消化活動が行われるため、睡眠の質の低下に繋がります。食事は睡眠の3時間ほど前までに済ませ、消化の悪いものを避けることをおすすめします。
日頃から運動をするよう意識し、食生活にも気を付けることが質の高い睡眠=健康に繋がるのです。
④寝具や寝室の環境を快適にする
寝具や寝室の環境は快適な入眠や質の高い睡眠に大きく影響する要素です。
寝室の温度は夏場であれば25~26℃、冬場であれば22~23℃、湿度は通年50~60%が理想的とされています。使用する寝具やパジャマ、個人差によって変化しますが、目安として参考にしてください。
また、生活習慣や寝室の環境に問題がなくても、寝具などが体に合っていなければ睡眠の質が低くなるほか、肩こりや腰痛といった不調に繋がる可能性があります。
例えばマットレスの場合、快適な睡眠を得るためには「体圧分散性」と「適度な反発力」があるものを選ぶことがおすすめです。
睡眠中は体重による負荷(体圧)がかかりますが、その負荷をマットレスに均等に分散できれば質の高い睡眠が期待できます。
硬すぎるマットレスでは、肩や腰など体の一部に体圧が集中し、血行不良になることによって肩こりや腰痛の原因となる場合があります。
一方で、柔らかいマットレスは体圧分散性が高いとされていますが、柔らかすぎる場合は腰など体圧がかかりやすい部位が沈み込んでしまい「くの字」の寝姿勢になることがあります。
寝姿勢が崩れた状態でマットレスに沈み込むと、睡眠中に重要な寝返りが打ちづらくなるので注意が必要です。
そのため、マットレスは体の負荷を分散する「体圧分散性」と、快適な寝返りをサポートする「適度な反発力」をあわせ持つマットレスを選びましょう。
日常的な生活習慣に問題がないのに睡眠の質が低いと感じる場合は、寝室環境のほか、マットレスの寝具にこだわることをおすすめします。
健康的な睡眠を阻害するNGな行動
睡眠の質を高める方法を取り入れるだけでなく、下記のような睡眠の質を低める行動に心当たりがある場合は控えるように意識しましょう。
- 寝る直前のスマホやパソコン操作
- 不規則な睡眠時間
- 寝る前のアルコールやカフェイン摂取
それぞれについて、以下で詳しく紹介します。
寝る直前のスマホやパソコン操作
スマホやパソコンなどの電子機器には、画面から強い可視光線であるブルーライトを発するものがあります。
ブルーライトは太陽光にも含まれているため、睡眠前にスマホやパソコンの光を浴びると、脳が「昼だ」と錯覚し、寝つきが悪くなったり睡眠の質が低くなったりする可能性があるため注意が必要です。
寝つきが悪くなったり、睡眠の質が低くなったりするのは、夜になると活発になる「メラトニン」という眠気を促す体内物質の分泌がブルーライトによって妨げられるというためとされています。
このような体内ホルモンの関係のほか、動画視聴やメール、ゲームなども夜更かしの原因となり、睡眠リズムの乱れに繋がるため、寝る前のスマホ・パソコン操作は控えましょう。
不規則な睡眠時間
睡眠は体内時計によって習慣化しているため、同じ時間に就寝し、同じ時間に起床することが理想です。
不規則でバラバラな時間に起床・就寝していると、日々運動や適切な食生活を意識していても快眠を得られないため注意しましょう。
平日も休日も、一定の睡眠リズムをキープし、習慣化することが快眠に繋がります。
寝る前のアルコールやカフェイン摂取
寝る直前のカフェインを含む飲み物は覚醒作用によって寝つきを悪くさせるほか、睡眠の質を低下させる原因となるためおすすめしません。
飲み物はホットミルクやハーブティーなど、カフェインレスのものを選び、下記のようなカフェインを含む飲み物は避けましょう。
- コーヒー
- ココア
- 緑茶
- 紅茶
- 栄養ドリンク
- エナジードリンク
アルコールはリラックス効果によって入眠を促すため「寝酒」として寝る前に飲む方もいるかもしれませんが、こちらも覚醒作用によって途中で目を覚ましやすくなります。
また、利尿作用により何度も目が覚めるなど、睡眠の質が低下する原因となります。また、習慣化すると少量では足りなくなり、摂取量が増え依存症に繋がるリスクもあります。
アルコールに頼らず、マットレスなどの寝具を自分に合うものに変えたり、睡眠リズムを整えたりすることで自然な眠気が促されるよう心がけましょう。
まとめ
睡眠は心身の健康に大きく影響する要素の一つであり、生活習慣病などさまざまな病気を予防する効果があります。
反対に、慢性的な睡眠不足は生活習慣病のほか不眠症などさまざまな病気に繋がるリスクがあるため注意が必要です。
このように、睡眠を疎かにすることは健康を害することになりかねないのです。
快適な睡眠だけではなく心身の健康のため、今回紹介したことを参考にしながら毎日快適で質の高い睡眠を目指しましょう。