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2024.01.18 更新

【医師監修】眠気を促すホルモン「メラトニン」とは?寝付きを良くしたいなら知っておきたいポイントを解説

【医師監修】眠気を促すホルモン「メラトニン」とは?寝付きを良くしたいなら知っておきたいポイントを解説

1日の疲れを癒して気持ち良く起きるためには、質の高い睡眠をとることが重要です。

しかし、なかには思うように眠れずに悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。このような方は、メラトニンが不足しないように心がけることをおすすめします。

メラトニンは、深い睡眠をとるうえで大切なホルモンです。この記事では、メラトニンの概要や質の高い睡眠をとる方法などを解説します。

  1. メラトニンは睡眠を促す役割を持つホルモン
  2. メラトニンとセロトニンの関係性について
  3. メラトニンを不足させないためにはトリプトファンの摂取が重要
  4. メラトニンの分泌を高めて質の高い睡眠をとる方法
  5. 起床時は太陽の光を浴びる
  6. ストレッチなど体を軽く動かす
  7. 就寝時間の90分〜120分前に入浴する
  8. 体に合った寝具を使う
  9. 温かい飲み物を飲んで体温を上げる
  10. 夕食は就寝3時間前までに済ませる
  11. 就寝前はリラックスする
  12. まとめ

メラトニンは睡眠を促す役割を持つホルモン

質の高い睡眠をとるためには、メラトニンが欠かせません。メラトニンとは、脳の松果体(しょうかたい)から分泌されるホルモンです。睡眠を促す作用があるため、睡眠ホルモンとも呼ばれています。

人は夜になると自然と眠気を感じますが、これはメラトニンが分泌されているためです。メラトニンは夜間に分泌され、朝に起きて日光を浴びると分泌が抑制される仕組みになっています。

起床後は14時間〜16時間程度で再度分泌され、夜の時間帯に睡眠を促してくれます。

メラトニンとセロトニンの関係性について

多くの方は昼間に活動して夜に眠るという生活リズムを保っていますが、このリズムを自然と保てているのは先述したメラトニン、そしてセロトニンという物質が作用しているためです。

朝にメラトニンの分泌が抑制される際は、その代わりに脳を活発な状態に導くセロトニンが夕方まで分泌されます。その後、夜になるとセロトニンの分泌が抑制される代わりにメラトニンが分泌される、というサイクルで分泌量は調整されています。

このサイクルによって、人は昼に活動して夜には眠くなるというリズムを意識せずとも保てています。

なお、メラトニンが不足すると寝つきが悪くなり、不眠の原因となる可能性もあります。そのため、不眠に悩んでいる方はメラトニンを不足させないことが大切です。

吉岡容子

吉岡容子

高梨医院院長

メラトニンには抗酸化作用があり、細胞の新陳代謝を活発にします。そのため、メラトニンが十分に分泌されることで疲労回復、老化防止などのメリットがあります。

メラトニンを不足させないためにはトリプトファンの摂取が重要

不眠に悩んでいる方は、トリプトファンを摂取すると良いでしょう。トリプトファンとは、メラトニンの原料となるアミノ酸の一つです。

摂取したトリプトファンは脳内で日中にセロトニンに変化し、夜にはメラトニンに変化します。十分な量のトリプトファンを摂取できていればメラトニンの分泌が安定し、夜に眠りやすくなります。

しかし、トリプトファンが不足するとメラトニンも減少してしまうため、不眠症や睡眠の質の低下に繋がる可能性があります。そのため、不眠の症状を避けるためには、トリプトファンを摂取することが大切です。

トリプトファンは体内で生成されないので、食事から摂取する必要があります。下記の食品はトリプトファンを多く含んでいるため、眠りが浅い方は普段の食事に取り入れてみてください。

  • 乳製品
  • 納豆
  • 鶏肉など
吉岡容子

吉岡容子

高梨医院院長

トリプトファンを含む食品は、午前中、できれば朝食に摂ることをおすすめします。朝、摂取すると日中はセロトニンに変化し、夜にメラトニンに変化するためです。

朝食に納豆、みそ汁、卵焼き、焼き魚、ヨーグルトなどのメニューが効果的です。

メラトニンの分泌を高めて質の高い睡眠をとる方法

メラトニンの分泌を高めて質の高い睡眠をとる方法

「眠りが浅い」「寝つきが悪い」など睡眠に関する悩みを持っている方は、質の高い睡眠をとる方法として食事以外の要素にも注目しましょう。

食事の内容に気をつけつつ下記の要素を意識すれば、より睡眠の質を高めやすくなります。

  • 起床時は太陽の光を浴びる
  • ストレッチなど体を軽く動かす習慣をつける
  • 就寝時間の90分〜120分前に入浴する
  • 体に合った寝具を使う
  • 温かい飲み物を飲んで体温を上げる
  • 夕食は就寝3時間前までに済ませる
  • 就寝前はリラックスする

それぞれの方法について、下記で詳しい内容を紹介します。

起床時は太陽の光を浴びる

メラトニンの分泌を高めるには、毎朝太陽の光を浴びて体内時計をリセットすることが大切です。

日光を浴びないと体内時計がリセットされず、メラトニンの分泌が乱れてしまいます。そうなると、決めた時間に眠れないなど睡眠の質の低下に繋がる可能性もあるでしょう。

また、体内時計が乱れると、食欲不振や集中力の低下などの不調があらわれる場合もあります。夜にぐっすり眠って健康的な生活を送るためにも、朝起きた時はまず太陽の光を浴びることを心がけてください。

吉岡容子

吉岡容子

高梨医院院長

起床時にカーテンを開けて太陽光を入れ、15~30分間ほど太陽光が入る中で身支度、通勤、仕事をすることが望ましいです。

ストレッチなど体を軽く動かす

体を動かす機会が少ない方は、習慣的に運動を続けてみてください。

習慣的な運動には寝つきが良くなる効果があり、不眠の解消に繋がります。空いた時間にストレッチするなど、軽めの運動を習慣的に行うと良いでしょう。

なお、1回きりの運動では効果が薄いため、習慣的に続けるようにしてください。また、激しすぎる運動は逆に睡眠を妨げる要因となる可能性があるので注意しましょう。

就寝時間の90分〜120分前に入浴する

質の高い睡眠をとるには、自律神経のうち副交感神経を優位に働かせることが大切です。

自律神経には体を覚醒に促す交感神経、リラックス状態に導く副交感神経の2つがあり、夜に眠る際は副交感神経を優位に働かせることで眠りやすくなる仕組みになっています。

この副交感神経を優位にさせるには、就寝前の入浴が効果的です。入浴をしてリラックスすると副交感神経が高まり、眠りやすくなります。

また、就寝時間の90分〜120分前に入浴すれば、お風呂上がりに深部体温が下がる影響で眠気を誘発できるため、より入眠しやすくなるでしょう。

ただし、お風呂の温度が熱すぎると逆効果になってしまうので注意してください。入浴は38℃のぬるめのお湯で25分~30分程度、42℃の熱めのお湯であれば5分程度に留めることをおすすめします。

体に合った寝具を使う

マットレスや枕などの眠る時に使用する寝具は、できるだけ自身の体に合った製品を使いましょう。

製品の特徴はそれぞれ異なり、使用する人によって合う・合わないは変わってきます。

自分の体に寝具が合っていない場合は違和感を覚えてしまい、快適に眠ることができません。普段から寝にくさを感じている方は、この機会により自分に合った寝具に買い替えてみると良いでしょう。

温かい飲み物を飲んで体温を上げる

人の体は、深部体温が下がっていくことで入眠しやすくなる仕組みになっています。深部体温を下げるためには、先述した「入浴する」という方法もありますが、温かい飲み物を飲むのも効果的です。

就寝前に温かい飲み物を飲んで体温を上げると、その後深部体温は下がっていき、スムーズに眠れるようになります。

ただし、お酒やコーヒー、紅茶や烏龍茶など、カフェインやアルコールが入っている飲み物を飲んでしまうと逆に眠れなくなってしまうので注意してください。

就寝前は白湯やホットミルクなど、カフェインやアルコールが入っていない飲み物を飲みましょう。

夕食は就寝3時間前までに済ませる

睡眠の質を高めたい方は、普段とる夕食の時間帯に気をつけてください。

具体的には、就寝3時間前までに夕食を済ませておくのが理想です。就寝直前に食事をすると睡眠中に体内で消化活動が行われる影響で、睡眠の質が下がってしまいます。

一般的に、消化活動は食事をしてから2時間〜3時間程度かかるといわれています。消化活動を終わらせてから眠るためにも、夕食は就寝3時間前までに済ませましょう。

どうしても夕食の時間が遅れる場合は、消化しやすいヘルシーな食事にするなどメニューに工夫をしてください。

就寝前はリラックスする

就寝前は体を休息モードに導くためにも、心身をリラックスさせることが大切です。アロマオイルを焚く、聴き心地の良い音楽を流す、読書するなど、自分なりの方法でリラックスしましょう。

ただし、動画視聴やゲームなどはおすすめできません。就寝前にスマホやパソコンを見ると、画面から発せられるブルーライトによって脳が覚醒して、眠りにくくなってしまいます。

ブルーライトはメラトニンの分泌を抑制するため、就寝前にブルーライトを浴びないことも重要です。スマホやパソコンの操作が癖になっている方は、ベッドから遠い位置に置くなどして対処してください。

まとめ

不眠にはさまざまな対策方法がありますが、そのなかでもメラトニンの分泌を高めることは重要です。就寝環境や食事の時間帯に気をつけていても、メラトニンの分泌が乱れていると眠気が起こらず、不眠に繋がってしまいます。

眠りが浅くて悩んでいる方は、メラトニンが不足しないよう、食事のメニューに気を配りましょう。

この記事の監修者
吉岡容子
吉岡容子高梨医院院長
東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。院長として勤務しています。
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