日々の生活において、「どうにもやる気が出ない」「何事に対しても無気力になってしまう」というような悩みを抱えている方もいらっしゃると思います。
やる気が出ず前向きになれないと、何をしても上手くいかないことが多いので、やる気が出ない理由について、一刻も早く知りたいとお思いの方も多いでしょう。
また、やる気が出ない理由だけでなく、やる気が出ない時にはどのように対処すべきかということも、同時に把握しておくべきです。
この記事では、やる気が出ない理由や、やる気が出ない場合に考えられる病気、やる気が出ない時の対策方法などを解説します。
やる気が出ない理由は主に5つ
やる気が出ない理由としては、主に以下のようなことが挙げられます。
- ストレス
- 不規則な生活習慣
- 疲労の蓄積
- 生理前や妊娠中
- 心身の病気
それぞれの理由について、詳しく説明します。
ストレス
ストレスを抱えていると、自律神経失調の状態に陥ることがあります。自律神経は体のバランスを整える役割を担っているので、自律神経のバランスが乱れると体にさまざまな不調が生じる可能性があります。
やる気が出ないという症状も、自律神経のバランスが乱れた際に見られる症状の一つなので、ストレスが原因で気持ちが落ち込んでしまうということは十分考えられるでしょう。
不規則な生活習慣
不規則な生活習慣も、自律神経のバランスに影響を及ぼす要素の一つです。
生活習慣が不規則になってしまう原因としては、夜更かしや夜型の生活、シフト制の仕事で入眠・起床の時間が定期的に変わるといったことなどが、主に挙げられます。
生活習慣が不規則になるとやる気が出ないほか、頭痛やめまいといった症状が出ることもあります。
疲労の蓄積
運動をすると自律神経が活発に働きますが、一定以上の運動を行うと自律神経が「これ以上運動するな」と命令を発することで、疲労を感じるようになります。
仕事でもデスクワークの場合、集中力や緊張感が高まることで交感神経が優位になり、自律神経に負担がかかって疲労を感じます。その結果、やる気が出なかったり無気力な状態になってしまったり、といったことが考えられるでしょう。
生理前や妊娠中
生理前には、PMS(月経前症候群)と呼ばれる症状が出る方が多いです。
PMSの原因はハッキリしていませんが、ホルモンバランスが関係していると考えられており、やる気が出ないという症状はPMS時によく見られる症状のひとつです。
また、妊娠時もさまざまな要因でストレスを感じやすく、結果的にやる気が出ない状態に陥ってしまうことがあります。
心身の病気
病気がやる気に影響を及ぼすということも考えられます。
例えば、身体的な病気や疾患が原因で思ったとおりの生活ができないと、それがストレスになってやる気が出ない状態に陥ってしまうでしょう。
また、身体的なものだけではなく、不眠症や適応障害といった精神的な病気が、やる気が出ない原因になることもありえます。
やる気が出ない時の状態とは
やる気がある状態とは、ドーパミンが大量に分泌されている状態のことを指します。
ドーパミンは快感と多幸感をもたらす神経伝達物質であり、ドーパミンの分泌量が低下することで、やる気が出なくなってしまいます。
また、やる気に大きく関わる神経伝達物質としては、ドーパミンのほかに「ノルアドレナリン」と呼ばれるものもあります。
ノルアドレナリンが適度に分泌されている状態では、程良い緊張感の中でやる気や集中力が高まりますが、ノルアドレナリンが減少するとやる気が減退し、注意力も散漫になります。
このように、やる気を維持するためにはドーパミンおよびノルアドレナリンが分泌されていることが重要ですが、どちらも過剰な分泌が好ましいわけではありません。両者の過剰分泌を抑える役割の神経伝達物質に、セロトニンと呼ばれるものがあります。
セロトニンが適度に分泌されていると、ドーパミンやノルアドレナリンの暴走が抑えられ、良い効果が持続するため、やる気を維持することができます。
反対にセロトニンの分泌が減少すると、やる気や集中力が低下する結果に繋がります。つまり、神経伝達物質の分泌状態によって、やる気のあるなしは大きく変動するのです。
やる気が出ない場合は病気の可能性も
先ほど少し触れましたが、やる気が出ない要因としては病気も考えられます。
原因が思い当たらず、やる気のなさが生活に支障をきたすほどである場合は、医療機関を受診することが望ましいです。
やる気が出ない場合に考えられる病気としては、睡眠障害が挙げられます。
睡眠障害は睡眠に関連した病気の総称で、不眠症・過眠症・睡眠時随伴症などがあります。
不眠症では健康を維持するために必要な睡眠時間が、量的または質的に低下し、過眠症では日中に過剰な眠気を生じます。睡眠時随伴症は、睡眠中に寝ぼけたような行動をとる症状が見られます。
やる気が出ない時の対策方法
やる気が出ないからといってそのまま何も対策を取らなければ、仕事や家事などの日常生活に支障が出ることも考えられます。
やる気が出ない時には、以下のような対策を取ってやる気を回復させることを心がけると良いでしょう。
- バランスの良い食事をとる
- 適度に運動をする
- 質の高い睡眠をとる
- リラックスする
- 仕事や勉強のやり方を変えてみる
それぞれの対策について、詳しく説明します。
バランスの良い食事をとる
上述したドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質は、それぞれに必要な栄養素が不足すると分泌が低下します。
タンパク質やビタミンB群、鉄分などのミネラルが必要なので、それらが含まれたバランスの良い食事を取ることが重要です。
バランスの良い食事は、気分を前向きにするという意味でも効果的なので、食事には特に注意しましょう。
適度に運動をする
適度な運動をすると、気分がスッキリして気持ちも前向きになり、睡眠の質を高める効果もあります。
また、体を動かすことでドーパミンの分泌促進も期待できるでしょう。
質の高い睡眠をとる
質の高い睡眠をとることで、心身ともにしっかりと回復することができるため、1日を前向きに過ごすことが可能です。
睡眠時間を確保するだけでなく、睡眠環境を改善して睡眠の質を確保することを意識しましょう。
リラックスする
やる気が出ない時に無理にやる気を出そうと焦っても、かえって逆効果になってしまう可能性が高いです。
むしろ思い切ってリラックスする時間をとって、心身ともに一度リセットするとモチベーションが取り戻せる場合があります。
リラックスの方法はお風呂に入る、音楽を聴く、マッサージを受けるなど人それぞれなので、自分に合った方法でリラックスすると良いでしょう。
仕事や勉強のやり方を変えてみる
仕事や勉強のやり方を変えてみるというのも、やる気が出ない場合の効果的な方法として考えられ、「作業の手順を変えてみる」「効率を改善する」などの手段があります。
なお、病気が原因と考えられるのであれば、産業医に相談のうえ、勤務方法を変えられないか打診するようにしましょう。
いずれの場合でも職場の協力が必要になるため、事前に相談して許可をもらう必要があります。
勉強の場合は、カフェなど普段とは異なる場所で行う、時間を区切って集中するといった方法が挙げられます。
やる気が出ない時にしないほうが良いこと
上述したのはやる気が出ない時の対策でしたが、反対にやる気が出ない時にしないほうが良いこととしては、「周囲と比べる」「自分を責める」といったことが挙げられます。
それぞれについて、以下で詳しく説明します。
周囲と比べる
やる気が出ない状態で周囲の人と自分を比べると、「みんなは頑張っているのに自分は…」という気持ちになり、さらに落ち込んでしまいやすいです。
「人は人、自分は自分」と割り切って、周囲のことは気にせずにまずは自分のことに集中することが重要です。
自分を責める
やる気が出ないのは自分が悪いからだと自分のことを責めてしまうのも、良くありません。
自分ではコントロールできないようなことが原因で、やる気が出なくなってしまっていることも十分考えられます。
まずはその原因を見つけ出して対処することのほうに、意識を向けましょう。病気が原因の場合などは、医療機関を受診することが賢明です。
まとめ
やる気が出ない時に考えられる理由としては、ストレスや疲労の蓄積・心身の病気などが挙げられます。バランスの良い食事をとったり適度に運動をしたりして、やる気が出やすいように心身の状態を整えることが重要です。
逆に、他人と自分を比べたり、自分を責めたりしてしまうのは好ましくありません。病気などのように、自分がコントロールできない要因のせいでやる気が出なくなってしまっているケースもあるからです。
やる気が出ない時に考えられる病気としては、睡眠障害などが挙げられます。病気の可能性があると思った場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。