健康や睡眠について調べていると、「セロトニン」という名前が出てきて気になっている方は多いのではないでしょうか。
セロトニンが分泌されると、精神的な安定をはじめとしたプラスの効果が期待できるとされています。
セロトニンは睡眠とも深い関係があるものなので、睡眠の質を高めたいと考えている方は、セロトニンがもたらす効果やセロトニンを増やす方法について知っておきましょう。
この記事では、セロトニンの概要からセロトニンを増やす方法まで、わかりやすく解説します。セロトニンを増やすための呼吸法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの役割とは?
セロトニンとは、三大神経伝達物質の一つです。ほかの神経伝達物質である「ドーパミン」「ノアルアドレナリン」などの情報をコントロールし、精神を安定させる働きを持ちます。
ストレスを受けると、緊張や不安を解消させようとノルアドレナリンが働き、その状況を脱した時にはドーパミンが快楽をもたらしますが、この両者の働きを制御してバランスを整えるのがセロトニンです。
ストレスに対して効能があり気持ちを落ち着かせる役割を果たすことから、別名「幸せホルモン」とも呼ばれています。
「幸せホルモン」という別名のとおり、セロトニンが不足すると不安やストレスに繋がる可能性があり、イライラ・意欲低下・不眠などを引き起こすケースもあります。
セロトニンと睡眠には深い関係性がある
感情をコントロールして気持ちを安定させる働きを持つセロトニンは、疲労を回復させるために大切な時間である「睡眠」にも深い関わりを持っています。
セロトニンは、夜ぐっすりと眠るために必要な「メラトニン」という物質の原料となります。メラトニンは、睡眠と覚醒のリズムを調整する作用を持っていることから、別名「睡眠ホルモン」とも呼ばれている神経ホルモンの一つです。
朝起きてからセロトニンが分泌され始め、夜になるとセロトニンを材料としてメラトニンが分泌されることで、夜になると眠気を感じるというメカニズムになっています。
つまり、日中セロトニンがたくさん分泌されていれば、睡眠に必要なメラトニンもしっかりと分泌されるというわけです。
セロトニンは、夜に自然な眠気を促すメラトニンを分泌させるために重要な役割を果たすため、質の良い睡眠をとるためには、セロトニンは欠かせないものだといえるでしょう。
セロトニンを増やす方法を5つ紹介
睡眠の質を高めたいのであれば、意識してセロトニンを増やすことが大切です。セロトニンを増やすために気軽に取り組める方法があるので、ここでは以下の5つを紹介します。
- トリプトファンが含まれる食べ物を摂る
- ビタミンB6が含まれる食べ物を摂る
- 朝食を抜かずによく噛んで食べる
- 朝から太陽光を浴びる
- リズム運動に取り組む
それぞれの方法について、詳しく解説します。
トリプトファンが含まれる食べ物を摂る
セロトニンを生成するためには、「トリプトファン」という必須アミノ酸が必要です。トリプトファンは体内で作られないため、食品から摂る必要があります。
トリプトファンを含む食品の一例は、以下のとおりです。
- 大豆製品(豆腐・納豆など)
- 乳製品(チーズ・生クリームなど)
- 穀類、魚(カツオなど)
- ナッツ類
これらの食品を単品で取り入れるのも良いですが、いくつか組み合わせて調理するのもおすすめです。
トリプトファンが豊富に含まれるバナナと、豆乳やきなこを合わせて飲みやすくした「黒胡麻きなこバナナスムージー」や、豆乳や生クリームをポタージュ状にした「豆乳ビシソワーズ」など、アレンジ方法はたくさんあります。
ほかにもトリプトファンを豊富に含むレシピはたくさんあるため、ぜひ好きなメニューを取り入れてみてください。
ビタミンB6が含まれる食べ物を摂る
トリプトファンからセロトニンを合成する時には、ビタミンB6が必要となります。そのため、トリプトファンが多く含まれている食材と合わせて、ビタミンB6が含まれる食材も摂るとより効果的です。
以下のようなビタミンB6が多く含まれる食品を意識的に取り入れましょう。
- ナッツ
- 魚類(鮭・サバなど)
- 脂身の少ない肉類(ささみなど)
- 玄米
魚類や肉類は食卓の主食として取り入れやすいほか、玄米も炊飯器を使えば上手に炊くことができます。また、間食する際には甘い物を食べるのではなく、ナッツをつまむように心がけるのも良いでしょう。
朝食を抜かずによく噛んで食べる
セロトニンは寝ている間には作られないため、朝食をきちんと食べてセロトニン神経を活性化させましょう。
よく噛んで食べることで、血中のセロトニン濃度が増加してセロトニン神経が活性化するだけでなく、よく噛むと脳からα波が出て、リラックスすることにも繋がります。
朝食を抜かずにしっかりと食べて、朝の時間帯にセロトニンの分泌を増やすよう促すことが大切です。ガムなどを噛むのも効果的なので、ぜひ試してみてください。
朝から太陽光を浴びる
朝起きてから太陽光を浴びることで、夜の時間帯に分泌されていたメラトニンが抑制されます。メラトニンの分泌が抑制されると、セロトニン神経が活発的になってセロトニンが多く分泌されるようになるため、朝起きたら太陽光を浴びましょう。
また、朝だけでなく日中も太陽光を浴びることで、睡眠に必要なメラトニンの分泌量を増やすことができます。朝昼問わず太陽光を浴びることは、良い睡眠をとるためにも大切なポイントです。
朝からウォーキングをすれば、太陽光を浴びながら同時に運動もできるため一石二鳥です。
リズム運動に取り組む
以下のような一定のリズムがある「リズム運動」を行うと、セロトニンが増えるといわれています。
- ジョギング
- ダンス
- 自転車をこぐ
- 太極拳
楽しみながら体を動かせるリズム運動は、日常に取り入れやすいところが魅力的です。ダンスや太極拳に取り組めば、それが趣味になって長く続けやすいかもしれません。
ただし、何かほかのことをしながらの運動はセロトニンの活性化に繋がらないため、集中して取り組むようにしましょう。
セロトニンを増やす呼吸法を解説
セロトニンを増やすために、呼吸法を意識することも効果的だとされています。正しい呼吸法でセロトニンを増やし、心身ともにリフレッシュしましょう。
- 呼吸法の重要性
- セロトニンを増やす「丹田呼吸法」
- 丹田呼吸法のやり方
ここからは、セロトニンを増やすために効果的な呼吸法について、上記の項目に分けて解説します。
呼吸法の重要性
呼吸が浅くなっていると、セロトニンの分泌量は減るといわれているため、意識して深い呼吸でいることは大切です。
仕事やゲームをはじめ何かに集中していると、緊張状態が続くことから呼吸が浅くなりやすい傾向にあります。このようなシーンでは、特に呼吸法に気を付けるようにしましょう。
また、深く呼吸することには、ストレスを軽減させて精神を安定させる効果もあるとされています。その際には、息をゆっくり吐くことで気分が落ち着きやすいため、「息を吸う」よりも「息を吐く」ことに意識を向けるのもポイントのようです。
セロトニンを増やす「丹田呼吸法」
セロトニンを増やす呼吸法は、「丹田呼吸法」と呼ばれています。
そもそも丹田とはどこかというと、へその下3寸あたりの部分のことです。この丹田に近い下腹部を意識して呼吸する呼吸法を「丹田呼吸法」と呼びます。
丹田呼吸法を行うことで、自律神経が乱れることを防ぎ、筋肉の緊張を和らげてリラックスさせるなどの効果が期待できます。
丹田呼吸法のやり方は難しくなく、今からでもすぐに取り組める呼吸法なので、ぜひトライしてみてください。
丹田呼吸法のやり方
丹田呼吸法のやり方は以下のとおりです。
- ゆったりした服に着替える
- 椅子に座るもしくは仰向けになって背筋を伸ばす
- 丹田に手をあてる
- 肛門をしめながら腹筋に力を入れ、息を吐き切る(10〜15秒かけてゆっくり吐く)
- 腹筋の力をゆるめ、自然な力で息を吸う
- ④と⑤を5分間繰り返す
リラックスできるように、ルームウェアなど体を締め付けない楽な格好で行いましょう。自分の体が安定して、落ち着きやすい座り姿勢や仰向け姿勢をとるとなお良いです。
息を吸う際は、丹田に当てた手でお腹がふくらむのを意識しながら、2〜3秒で息を吸うようにしてください。
慣れるまでは丹田にしっかりと手を添えておこない、慣れてきたら、吐く時間を伸ばしていくとより効果的です。毎日、ストレスを感じた時などに実践するようにしましょう。
まとめ
セロトニンは、精神の安定やリラックスに大切なホルモンです。睡眠とも密接な関係にあるため、夜にスムーズな眠気を促すためにも、意識して日中にセロトニンを分泌させましょう。
セロトニンを増やすために、まずは食事内容の見直しや太陽光を浴びることから始めてはいかがでしょうか。セロトニンを増やすために大切な「トリプトファン」を含む食品を使って、好きな方法でアレンジレシピを楽しみましょう。
それと同時に、ぜひ丹田呼吸法にも取り組んでみてください。この記事で紹介したとおり、気軽に試せる方法なので、ぜひ続けて実践していきましょう。