40代になってから、「疲れが溜まりやすくなった」「なかなか疲れが取れなくてつらい」など、20代や30代の時と比べて、疲れの取れにくさを感じている方は多いかもしれません。
疲れが取れないと何もやる気が起こらず、日々を活き活きと過ごすことが難しくなります。
年齢を重ねることで疲れが取れにくくなる理由を理解すれば、日常生活で疲れを軽減させる方法に取り組みやすくなるでしょう。
この記事では、年齢を重ねるにつれて疲れが取れなくなる理由について、わかりやすく解説します。
40代女性におすすめの疲れを軽減させる方法も紹介するので、普段の生活に取り入れて、疲れにくい体を目指していきましょう。
40代の疲れが取れない3つの理由
40代になると、なぜ体の疲れが取れにくくなるのでしょうか。日々の疲れの解消を目指すなら、疲れの理由を把握することから始めましょう。
40代特有の疲れの理由として、主に以下の3つがあります。
- 筋力低下による疲れ
- 精神的な負担やストレスの増加
- 多忙による睡眠不足
それぞれ詳しく解説するので、自分はどのケースに当てはまるのかチェックしてみてください。
40代は筋力が低下して疲れやすくなる
加齢に伴って筋力が低下していることが、40代になって疲れが取れにくいと感じる原因の可能性があります。
年齢を重ねるにつれて筋肉量は低下しますが、それに伴って筋力も低下するのが一般的です。20歳以上の男女を対象とした調査による年代別筋肉量の調査(※)では、体重あたりの筋肉の割合は、女性の場合30代で37.0%、40代で36.5%とされています。
個人差はあるものの、40代になると筋肉量が減るため、30代と同じように行動しても40代になると疲れやすくなると考えられるようです。
筋肉量が低下すると体を支える骨格筋に影響するほか、筋肉でできている心臓や循環器も影響を受けます。例えば、筋肉量の低下によって肺活量が減ったことが原因で、疲れやすくなっている可能性もあります。
(※)NPO 法人ヒューマンシップコミュニティ(体組成計による筋肉量・脂肪量の測定報告)による調査
精神的な負担やストレスが増える
40代は30代の時よりも社会的責任が大きくなることから、複雑な生活環境になりやすい状況にあります。
職場での責任ある立場・複雑な人間関係・親の介護・子どもの受験や独立・離婚など、職場でも家庭でも精神的な負担が増えやすい時期です。
精神的な負担を解消しないまま生活を続けていくと、少しずつストレスが蓄積されていき、いつも疲れている心境になることがあります。
仕事や家事が忙しく睡眠不足になる
仕事のキャリアアップや家事、育児にと忙しい40代は、睡眠時間が少なくなりやすい傾向にあります。
睡眠は、日々の疲労を回復させるために欠かせないものです。睡眠によって体の疲れが解消できないのに、精神的・肉体的な疲労は蓄積されていくため、いつまでも疲れが取れない状況になります。
また、睡眠時間が取れないばかりか、気分転換してリフレッシュする時間を取りづらくなることも理由の一つです。運動や趣味などで気分転換できなければ、ストレスが溜まって疲労感に繋がりやすくなるでしょう。
福井美典
糖尿病専門医・抗加齢医学会専門医・救急科専門医・総合内科専門医
DHEAという副腎から分泌される若返りホルモンの分泌が低下することにより、副腎疲労といった疲れやすさを自覚することがあります。
また、セロトニンが不足するような生活習慣が背景にある場合、睡眠ホルモンのメラトニンが分泌されくくなり、結果熟睡できなくなって疲れがとれにくいといった症状も見受けられます。
40代女性の疲れは更年期障害の可能性もある
40代女性の疲れが取れないのは、更年期障害の可能性も考えられます。前述した3つの理由が当てはまらなかった方は、一度更年期障害を疑ってみましょう。
ここからは更年期障害について知るために、以下の2つの項目について解説します。
- 40代から始まる更年期障害とは?
- 更年期障害の症状
「そもそも更年期障害って何?」というところから理解していきましょう。
40代から始まる更年期障害とは?
「更年期」とは、閉経になる前後10年間の時期を指します。
何歳から更年期になるかは人それぞれですが、日本人の平均閉経年齢は約50歳のため、45歳〜55歳に更年期になる方が多いです。早い方は40代前半から始まる場合もあります。
また、「更年期障害」とは、更年期にあらわれる症状のうち、症状が重くて日常生活に支障が出ているものを指します。
女性ホルモンの「エストロゲン」が減少して、自律神経のバランスが崩れることで更年期障害になると考えられているようです。
更年期障害の症状
更年期障害としてあらわれる症状は、身体的なものから精神的なものまで、人によってさまざまです。なかでも「ホットフラッシュ」は、更年期の代表的な症状といえます。
ホットフラッシュとは、前触れもなく発汗・のぼせ・ほてりなどがあらわれる症状のことです。自律神経のバランスが崩れて、血管の収縮・拡張が上手く働かなくなることが原因で起こると考えられています。
また、身体的な症状として、めまい・動悸・肩こり・頭痛・腰痛などが起こる方もいるようです。これらの症状が出るのは、エストロゲンの減少によって自律神経のバランスが崩れるからだと考えられています。
さらに、エストロゲンの減少は精神にも影響を及ぼすため、疲れやすい・不眠・イライラする・うつ状態になるなど、精神的な症状が出ることもあります。
これらの更年期障害の症状がつらい時は、無理せずに医療機関の受診を検討しましょう。
40代女性の疲れを軽減する方法
ここからは、日常生活で簡単にできる、40代女性の疲れを軽減する方法を紹介します。忙しくても生活のなかで意識して、疲労やストレスを溜めないように努めましょう。
疲れを軽減する方法として挙げられるのは、以下の5つです。
- 睡眠の質を高める
- 食事は3食規則正しく食べる
- 運動して筋力アップを目指す
- ストレスを溜めずに発散する
- 完璧主義をやめて意識を変える
それぞれ詳しく紹介するので、できるところから取り組んでみてください。
睡眠の質を高める
忙しい日々が続くと、長時間の睡眠をとることが難しいかもしれませんが、睡眠時間を確保して睡眠の質を高めることは大切です。
同じ睡眠時間をとったとしても、睡眠の質が高ければ疲れが取れやすくなります。
まず、寝室の睡眠環境を整えて、寝心地の良い空間を作りましょう。寝室は、夏場は25℃〜26℃、冬場は22℃〜23℃が快適に過ごせる温度です。理想的な湿度は、通年50%〜60%だとされています。
次に、室内にある蛍光灯などの明かりを消して、暗くしてから就寝しましょう。寝室が暗くなると睡眠ホルモンの分泌が促され、質の高い睡眠へと繋がりやすくなります。
また、睡眠に適している音のレベルは、WHO(世界保健機関)の推奨では30dB以下です。これは、深夜の郊外やささやき声程度の音を示します。家族がいると難しいかもしれませんが、できるだけ静かな環境で眠りましょう。
枕やマットレスなどの寝具は、高さや硬さなどが体に合わないものを使うとストレスになり、睡眠の質が低下する可能性があります。自分が寝心地が良いと感じるものを使用して、熟睡できる環境を目指しましょう。
食事は3食規則正しく食べる
人間の体内時計は自然とずれていくものなので、朝食をきちんと食べて体内時計をリセットさせましょう。毎日3食規則正しく食べて、できるだけ間食は控えることが望ましいです。
就寝直前に食事をとると消化活動が優先されるため、寝る3時間前には夕食を済ませるよう心がけてください。就寝前に、睡眠を妨げるカフェインやアルコールを摂取するのは避けましょう。
また、食事の際には、豆腐や納豆など、大豆食品を食べることをおすすめします。大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンに似ているため、食事からしっかり摂るようにしましょう。
福井美典
糖尿病専門医・抗加齢医学会専門医・救急科専門医・総合内科専門医
食生活を整えることは、健康維持の要です。腸内環境を整える食事を心がけましょう。
具体的には、なるべく精製された白砂糖や白米・パン・麺類、加工食品、トランス脂肪酸などの腸内環境を荒らすものを控え、血糖値を急上昇させないことから始めていただきたいと思います。
運動して筋力アップを目指す
40代女性は30代と比べて筋肉量が減っているため、運動で筋力アップして疲れにくい体を目指しましょう。
厚生労働省では、全年齢層における運動の考え方として週に2回以上、1日30分以上の運動を推奨しています。もし運動時間の確保が難しい場合は1日15〜30分程度でも良いので、ウォーキングやストレッチなどに取り組んでみてください。
運動が苦手な方や時間が取れない方は、日常生活のなかで体を動かすことを意識するだけでも良いです。駅の階段を使う、買い物に歩いて行く、スピードアップして歩くなど、いつもより少し多めに歩くだけでも筋力アップに繋がります。
たまにハードな運動をするよりも、毎日少しずつ継続することが大切です。
ストレスを溜めずに発散する
職場や家庭などで社会的責任が大きい40代は、ストレスを完全に避けることは難しいかもしれませんが、できるだけ溜めないように努めましょう。ストレス解消する手段を持ち、普段から楽しく過ごしてストレスを発散させることが、疲れの解消に繋がります。
ストレスを解消する方法は人によってさまざまですが、何も思いつかない方は、以下の例を参考にしてください。
- 音楽鑑賞や読書、スポーツなど、現実が忘れられるもの
- アロマやマッサージなど、癒し効果が高いもの
- カラオケや外食など、仲間と一緒に楽しく過ごせるもの
忙しくてストレス発散する時間さえも取れない場合は、家事をしながら音楽を楽しんだり、入浴時にお気に入りの香りの入浴剤でリラックスしたりと、何かをしながら少しでも楽しむことを意識してみましょう。
完璧主義をやめて意識を変える
繊細・完璧主義・真面目など、1人で疲れを溜め込みやすい性格の方は、物事の考え方を変えると楽になることがあります。
ストレスを溜めないためには、自分にも他人にも完璧を求めないようにしましょう。完璧主義の方は自分で100%完璧にやろうとせず、肩の力を抜いて良い意味で「いい加減」にすることも大切です。
また、責任感からなかなか休めないかもしれませんが、不調が出たら無理せず休むようにしてください。もし悩み事や問題があれば、1人で悩まずに家族や友人などに話すよう心がけると楽になります。
更年期障害の場合、女性ホルモンが減ることによってさまざまな症状が出るのは、自分ではコントロールできません。つらい状態で無理するのではなく、人に頼ることも考えていきましょう。
あまりにも体の疲れが取れないなら病院へ行こう
あきらかに疲れがひどい場合や長期間続く場合、病院へ行って相談することも検討してください。単なる疲れや更年期障害ではなく、何かしらの違う病気が隠れている可能性もあります。
何らかの病気なのであれば、早期に発見して治療を行うことが望ましいので、自己判断せずに診察を受けることを推奨します。
医療機関では、症状に応じて投薬治療や漢方による治療が行われるようです。専門医に相談して、体質や症状に合わせたものを処方してもらいましょう。
福井美典
糖尿病専門医・抗加齢医学会専門医・救急科専門医・総合内科専門医
疲労感の原因には、鉄欠乏症や貧血、副腎疲労、甲状腺機能異常、悪性腫瘍(癌)、心臓弁膜症などの見逃してはならない疾患もあります。
医療機関の受診・治療などに関しては、採血や画像精密検査ができる病院の内科を受診し、精査をしてから、それに見合った治療が開始されることになります。
まとめ
40代女性は筋力低下やストレス、睡眠不足などによって、疲れが溜まりやすい傾向にあります。ライフステージの変化に伴い、精神的な負担も増えやすい時期です。
場合によっては、単なる疲れではなく更年期障害や病気の可能性もあるため、あまりにも疲れが取れない場合は医療機関の受診を検討してください。
それを踏まえたうえで、日常生活における食事や就寝環境などを整えることも大切です。
運動やストレス発散方法などを生活に取り入れて、疲れにくい体を目指していきましょう。この記事で紹介した疲れを軽減する方法を参考にして、できることから日常生活に取り入れてみてください。