寝起きに頭痛がしたり、倦怠感によりなかなか起きられなくなったりする経験がある人も多いのではないでしょうか。
寝起きの悪さが慢性的になると日中の活動にも影響が及ぶ可能性があるため、気になっているのであれば改善することを意識しましょう。
しかし、寝起きの悪さや倦怠感の原因はさまざまなため、まず何が原因となっているかを理解することが大切です。
もし、万が一病気が関係している場合、自分だけで解決することは難しいため、医療機関での治療も必要となります。
この記事では寝起きが悪くなる時に考えられる主な理由や、毎日を快適に過ごすために心がけるポイントを紹介します。
寝起きの悪さに関連が考えられる病気についても紹介するので、寝起きの悪さで悩んでいる方は参考にしてください。
寝起きが悪い・だるいと感じる理由
寝起きが良くないと感じる場合、気分の悪さに加えて頭痛や腰痛、体のだるさなどの体調不良を伴うケースも少なくありません。
寝起きにそのような体調不良を感じる主な理由としては、下記のようなものが考えられます。
- 睡眠不足
- カフェインの過剰摂取
- 睡眠の質の低下
- 不眠症などの睡眠障害
- 寝具が体に合っていない
- 体内時計や睡眠リズムの乱れ
- 体や心の病気
それぞれについて以下で詳しく紹介するので、心当たりがないかチェックしてみてください。
睡眠不足
朝に体調が優れない時はまず睡眠不足の可能性を疑ってみましょう。
現代において日本人の平均睡眠時間は徐々に減っているといわれており、4〜5人に1人が何かしらの睡眠に関する問題を抱えていると考えられています。
睡眠不足の状態では朝起きても眠気がある場合や、倦怠感、頭痛などの症状を伴うケースがあります。
慢性的な睡眠不足になると「睡眠負債」として蓄積する可能性もあるため注意しましょう。
睡眠負債とは睡眠不足が積み重なって健康状態が悪化することを指しますが、睡眠負債の状態に陥るといつもどおりの睡眠では疲労が回復しづらくなるとされています。
日中の眠気や集中力・記憶力の低下や、睡眠不足によって自律神経が乱れて高血圧や糖尿病など体の病気にも繋がるリスクがあるため注意が必要です。
カフェインの過剰摂取
カフェインは覚醒作用があるため、頭をすっきりさせたり、眠気を抑制したりするために用いられることがあります。
仕事中にコーヒーなどに含まれるカフェインは眠気を促す「アデノシン」という脳内物質の働きを抑制するため、仕事中などに摂取して眠気覚ましのために活用する方も多いと思います。
しかし、午後の遅い時間や睡眠前のカフェイン摂取はスムーズな入眠を妨げたり、睡眠の質を低下させる原因となったりするため控えましょう。
カフェインには眠気覚ましの効果だけではなく利尿作用もあるので、夜中に目覚める原因にもなるなど睡眠に対しての悪影響が多くあります。
また、カフェインを過剰摂取し中毒になると、カフェインの使用を停止した時に倦怠感や不快気分、頭痛などの症状が起こる可能性があるとされています。
カフェインを効果的に活用することは問題ありませんが、摂取の量やタイミングには注意しましょう。
睡眠の質の低下
何かしらの理由で睡眠の質が低下している場合、十分な疲労回復ができず起きた時にだるさを感じる可能性があります。
睡眠は十分な時間を確保することも大切ですが、睡眠時間とともに重要なのは睡眠の「質」です。
睡眠時間が十分でも睡眠の質が低ければ睡眠不足のような状態に陥り、寝起きにもだるさを感じることがあるかもしれません。
睡眠の質が低下する原因は人によってさまざまですが、主な原因としては下記のようなものが挙げられます。
- 仕事や家庭での悩み・ストレス
- 睡眠前のカフェイン摂取
- 睡眠前のアルコール摂取
- 不規則な食生活
- 睡眠リズムの乱れ
- 寝室の環境(温度、音、光など)が悪い
- 寝具が体に合っていない
- 寝る前のスマホ・パソコン操作
これらの改善方法については後述しているため、睡眠の質が低いことで寝起きにだるさを感じている人は参考にしてください。
不眠症などの睡眠障害
すでに何かしらの睡眠障害がある場合は、それらが寝起きのだるさの原因となっている可能性があります。
睡眠障害とは睡眠に何かしらの問題がある状態の総称を指しますが、主な睡眠障害の代表的な例としては下記のようなものが挙げられます。
- 不眠症
- 過眠症
- ナルコレプシー
- 睡眠呼吸障害
これらの睡眠障害は睡眠の質を低下させるほか、寝起きのだるさや日中の眠気などの症状を伴うことがあります。
日中の生活や仕事などに支障をきたしているのであれば早めに医療機関にて受診し、専門的な治療やアドバイスを受けましょう。
寝具が体に合っていない
睡眠の質が低下する原因の一例としても紹介しましたが、使用している寝具が自分の体に合っていない場合は寝起きの悪さに繋がる可能性があります。
睡眠中には体重による圧力(体圧)がかかっていますが、自分の体に合わないマットレスなどを使用していると体圧が上手く分散されず肩や腰に負荷が集中し、寝起きのだるさに繋がります。
マットレスや枕といった寝具はさまざまな種類がありますが、人それぞれの体重や体型、骨格などによって合うものが異なるため、一概にどの寝具が一番良いとはいえません。
もし寝具によって快適な睡眠が妨げられているのであれば、積極的に自分の体に合う寝具を見つけるという心がけが大切です。
体内時計や睡眠リズムの乱れ
体内時計の乱れは自律神経や睡眠リズムが乱れる原因となるため注意しましょう。
自律神経には活動モードである交感神経優位の状態と、体を休めるモードである副交感神経優位の状態があります。
体内時計が整っていれば日中に交感神経優位の状態になり、夜になるにつれて徐々に副交感神経優位の状態となり、体が眠るための準備を始めます。
しかし自律神経が乱れていると寝る時に副交感神経優位の状態にならず、スムーズに入眠できないことや、睡眠の質が低下したりすることがあるため注意しましょう。
自律神経の切り替えは毎日の習慣に従い体内時計によって調整されるといわれています。
つまり、夜ふかしや交代勤務などで体内時計や睡眠リズムが乱れていると自律神経も乱れ「上手く寝つけない」「朝起きるのがだるい」といった症状に繋がる可能性があるということです。
このような体内時計の乱れによって快適な睡眠がとれなくなると「十分な睡眠をとっても疲れがとれない」といった状態になるため注意しましょう。
体や心の病気
寝起きのだるさや頭痛などの体調不良は心身の病気からきている可能性もあります。
寝起きに体調不良を感じる原因が何かしらの病気が関係している場合、対処するべきは睡眠の質などではなく病気の治療が先決となります。
寝起きの悪さと関係が考えられる病気については後述しているため、長期的に寝起きの悪さが改善しない方や日常生活に支障をきたしている方は参考にしてください。
寝起きの悪さを軽減・改善する方法
寝起きの悪さは主に睡眠不足や睡眠の質の低下が原因として考えられます。
長期的に改善しない場合や、病気と疑わしい場合は早めに医療機関での受診をおすすめしますが、軽い症状や一時的な症状で悩んでいる方は、睡眠の質を高める方法として下記を参考にしてください。
- 寝る前や寝起きに水分補給をする
- 起きたら太陽の光を浴びる
- 自分にとって十分な睡眠時間を確保する
- ストレス解消を心がける
- 適度な運動を習慣化する
- 自分の体に合う寝具を使う
- 寝る前のアルコール摂取は控える
それぞれについて、以下で詳しく紹介します。
寝る前や寝起きに水分補給をする
入浴中に汗をかくなどして寝る前は体が水分不足の状態になっている場合があるので、寝る前にはコップ1杯分の水を飲みましょう。
寝る前に水を飲むことで水分不足を防止でき、血行を改善することによって体を休めるモードである副交感神経優位の状態になることも期待できます。
リラックスした状態はスムーズな入眠や質の高い睡眠に繋がります。
水以外ではホットミルクや白湯など、温かい飲み物も体を温めるためスムーズな入眠に効果的でおすすめです。
ただし、水分のなかでもコーヒーや緑茶、紅茶、栄養ドリンクといったカフェインを含むものは睡眠に悪影響を与える可能性があるため控えましょう。
また、寝る前だけではなく朝起きた時の水分補給も大切です。
睡眠中にはコップ1杯分の寝汗をかくとされているため、朝には水分不足になっている可能性があるので水分を補給しましょう。
水を飲むことで消化器官が動き、体が目覚めやすくなることが期待できます。
起きたら太陽の光を浴びる
人の体内時計の周期は約25時間で、地球の周期である24時間と約1時間の差があるとされています。
この周期のずれにより普通に暮らしていると徐々に夜型になっていくといわれていますが、太陽の光を浴びると体内時計がリセットされ、外界の周期と同調していきます。
太陽の光を浴びることによって分泌されるセロトニンは、夜になると眠気を促すメラトニンの原料ともなるため、朝起きて太陽の光を浴びて体内時計を整えることは夜のスムーズな入眠にも繋がるでしょう。
夜ふかしや交代勤務などで体内時計が乱れている方は、朝起きたら太陽の光を浴びることを意識してみてください。
自分にとって十分な睡眠時間を確保する
日本人の平均睡眠時間は6〜8時間とされていますが、あくまでも平均であり、実際には体質などによって最適な睡眠時間は人によって異なるとされています。
例えば「1日4〜5時間の睡眠で問題ない」という人もいると思いますが、日中に眠気で困らないのであれば平均睡眠時間より短くても問題ありません。
睡眠は心身の健康を保ち疲労を回復する効果があるため、自分にとって最適な睡眠時間を知り、毎日のなかでその睡眠時間をしっかりと確保しましょう。
ストレス解消を心がける
ストレスは快適な入眠や質の高い睡眠の妨げになるため、溜めないように心がけることが大切です。
過剰なストレスによって自律神経が乱れると寝る時間になっても体を休めるモードである副交感神経の状態にならず、睡眠の質が低下する原因となる場合もあります。
ストレスの原因は人によってさまざまですが、社会のなかで生きている限りストレスを完全にゼロにすることは難しいでしょう。
そのため、ストレスをゼロにしようとするよりも、自分なりのストレス解消方法・発散方法を見つけて溜め込まないようにすることが大切です。
運動やスポーツ、読書や楽器など没頭できる趣味などを持つほか、旅行など非日常的なことで気分転換するなど自分に合ったものを取り入れてみましょう。
適度な運動を習慣化する
厚生労働省の発表では、適度な運動習慣がある人は不眠の症状が少ないといわれています。
運動は適度な疲労感によりスムーズな入眠に繋がるうえ、ぐっすりと眠るような質の高い睡眠にも効果的です。
また、人は体温が上昇し、低下し始めるタイミングで眠気が促されるため、寝る3時間前にウォーキングやジョギングなど軽めの有酸素運動を取り入れるとスムーズな入眠が期待できます。
ぐっすり眠ることにより、朝もすっきりとして目覚められるかもしれません。
運動はストレス解消や生活習慣病の予防などメリットが多いため、適度な運動を習慣化することをおすすめします。
自分の体に合う寝具を使う
前述していますが、睡眠の質を高めるためには自分の体に合った寝具を使うことが大切です。
寝具が体に合っていない場合、快適で質の高い睡眠は難しいでしょう。睡眠は疲労回復に欠かせないものですが、寝具が合っていない場合は肩こりや腰痛、寝起きのだるさの原因ともなるため注意が必要です。
睡眠は人生の3分の1を占めるといわれているほど長く行われるものなので、マットレスなどの寝具選びにはこだわることをおすすめします。
快適な睡眠には「体圧分散性」に優れ「適度な反発力」があるマットレスがおすすめです。
睡眠中には体に体圧による負荷がかかっていますが、体圧をバランス良く分散できるマットレスでは体への負荷を軽減することが期待できます。
一般的に柔らかいマットレスは体圧分散性に優れているといわれていますが、柔らかいだけだと体が沈み込み寝返りの打ちづらさに繋がるため「適度な反発力」を併せ持っていることが大切です。
寝返りは睡眠中に長時間同じ姿勢でいることによる血行不良を防ぐ効果があり、快適な寝返りができるマットレスでは血行が促進されることによって肩こりや腰痛、寝起きのだるさを防ぐことが期待できます。
もし寝具を見直すのであれば、体圧分散性を上手く分散してくれ、尚且つ快適な寝返りが可能な適度な反発力を併せ持ったマットレスをおすすめします。
寝る前のアルコール摂取は控える
スムーズな入眠を求めて寝る前に「寝酒」としてアルコールを用いる人もいるかもしれません。
たしかにアルコールにはリラックス効果があるためスムーズに寝つける可能性がありますが、アルコールは睡眠の後半の覚醒度を高めるなど睡眠に悪影響を与えることがわかっています。
寝酒が習慣化すると少量では寝つけなくなり量が増えてアルコール中毒になるリスクが増えるうえ、生活習慣病に繋がるリスクや利尿作用によって夜目覚めやすくなるといった多くのデメリットがあります。
長期的に見てデメリットが多いため、寝る前のアルコール摂取は控えましょう。
寝起きの悪さと関連が考えられる病気
寝起きが悪い原因として生活習慣や睡眠の質などに心当たりがない場合や、長期的に改善しない場合は何かしらの病気が関係している可能性も考えられます。
寝起きの悪さや体調不良などと関連が考えられる病気としては下記のようなものが挙げられます。
- 睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠相後退症候群
- うつ病などの精神疾患
心当たりがある場合や、日常生活に支障をきたすほど体調が優れない場合は早めに医療機関にて受診しましょう。
自己判断で誤った治療法を取り入れると悪化する可能性があるため注意が必要です。
それぞれの病気の概要について以下で詳しく紹介します。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まり、低酸素状態に陥る病気のことを指します。
医学上では10秒以上呼吸が止まることや、呼吸が弱くなる「低呼吸」が1時間あたり5回以上繰り返されると睡眠時無呼吸症候群と定義されます。
肥満により首周りに脂肪がついている方や、扁桃腺が大きいなどで気道が狭くなっている方に多いとされる病気です。
睡眠時無呼吸症候群の症状は下記のようなものが挙げられます。
- 熟眠感の欠如
- 日中の眠気
- 慢性的な疲労感
- 集中力の低下
- 起床時の頭痛やだるさ
このほかにも低酸素状態によって心臓に負担がかかることや心身へのストレスにより、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病、脂質異常症といった病気のリスクを高めるとされています。
睡眠相後退症候群
睡眠相後退症候群とは、慢性的な入眠困難と覚醒困難により社会的に望ましい時間に睡眠がとれないことを指します。
例えば、午後3〜6時に寝つくなどのように「明け方に眠くなり、昼まで起きられない」といった症状がその一つです。
体内時計の乱れによるもので「概日(かいじつ)リズム睡眠障害」の一つとされており、もし午前中に無理して起きても頭痛や食欲不振、疲労感などの心身の不調を伴うといった症状もあります。
うつ病などの精神疾患
通常心身の疲労は睡眠によって回復しますが、十分な睡眠をとっても疲労が回復しない場合、うつ病などの精神疾患の可能性も考えられます。
精神疾患では精神的な意欲の低下だけではなく、全身の倦怠感、寝起きのだるさ、体が重いといった身体的な症状が伴うケースもあります。
精神疾患の原因や症状の程度は人によって異なりますが、脳の働きに異常が起こることによって心身に症状が起こるとされています。
精神疾患だけに限らず、寝起きの悪さがここで紹介した病気に関係していると疑わしい場合には自分で治療・改善しようとせず医療機関で専門的な治療やアドバイスを受けましょう。
まとめ
寝起きが悪い原因は人によってさまざまですが、主に生活習慣の乱れや睡眠の質が低下していることが原因で起こっていることが考えられます。
もし生活習慣や睡眠の質に問題がないのに寝起きが悪いという場合、病気が関係している可能性もあります。
寝起きの悪さ以外に体調不良などの症状がある場合は、自分で解決しようとせず早めに医療機関で受診し、適切な治療を受けることが大切です。
もし一時的なものや、軽度なものであれば毎日の行動を見直し、体内時計を整えぐっすりと眠るような睡眠がとれるように、今回紹介した改善方法を日常のなかに取り入れてみてください。