夜中に目が覚める現象が続くと、「うつ病なのかもしれない」と不安になる方は多いと思います。
夜中に目が覚めること自体は誰にでもありますが、頻繁に続く、もしくは原因が不明な場合には、何らかの病気の可能性もあるため注意しなくてはなりません。
うつ病の症状として夜中に目が覚めているのであれば、専門医の指示のもと適切な治療を受けることが大切です。
この記事では、夜中に目が覚める症状とうつ病との関連性について、わかりやすく解説します。
毎日ぐっすり眠るためにできる睡眠の質を高める方法も紹介するため、睡眠トラブルに悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
夜中に目が覚めるのはうつ病の可能性もある
頻繁に夜中に目が覚める場合、うつ病が関係している可能性があります。就寝中に目が覚めて眠れなくなる「中途覚醒」という症状は、うつ病の方によくある症状の一つです。
また、厚生労働省の発表によると、うつ病の9割の方は睡眠に関して何らかの問題を抱えているとされています。
ただし、うつ病に関係する症状の出方は人によって異なるため、夜中に目が覚めるからといって必ずしもうつ病だとはいえません。
うつ病になると睡眠に関するトラブルが生じやすくなることから、うつ病になった際の症状の一つとして「夜中に目が覚める」という症状が出ている可能性があるということです。
夜中に目が覚める以外のうつ病の症状
そもそもうつ病とは、さまざまな要因によって脳が上手に機能しなくなり、心身ともに不調があらわれる状態のことです。
うつ病になると睡眠に関する問題だけでなく、以下のような症状が出る場合があります。
- 気分が落ち込む
- 意欲がなくなる
- イライラする
- 食欲が低下する
- 疲れやすくなる
- めまいや耳鳴りが起こる
うつ病は「気分障害」とも呼ばれており、はっきりとした発症の原因はわかっていません。また、上記の症状はあくまでも一例で、人によってほかにもさまざまな症状が出るようです。
うつ病であるかどうかを自己判断するのは難しいため、疑わしい症状がある場合には、医療機関を受診しましょう。精神科や心療内科を受診し、まずは専門医に現在の症状を確認してもらうことが大切です。
うつ病と関連性が深い「不眠症」とは?
うつ病と睡眠の関連性について調べていると、「不眠症」という言葉をよく耳にすると思います。
不眠症とは、睡眠に関するトラブルが1ヶ月以上続き、倦怠感や食欲低下、意欲の低下によって日常生活に支障が出てしまう病気です。
前述した「中途覚醒」も不眠症の一つですが、ほかにも以下のような症状があらわれる場合があります。
- 入眠障害:なかなか寝つけない
- 熟睡障害:十分な睡眠時間をとっても寝た気がしない
- 早朝覚醒:予定より早く目覚めてしまう
成人の睡眠時間は6~8時間の方が多いことから、一般的に必要な睡眠時間はこの程度だとされています。とはいえ、体質や年齢などによって必要な睡眠時間は異なるため、この時間に満たなくても、日中の行動に支障がなければ不眠症には該当しません。
しかし、夜中に目が覚める症状が慢性化しており、なおかつ日中に眠気が生じて日常生活に支障が出ているのであれば、不眠症の可能性も疑われるでしょう。
うつ病と不眠症は症状が似ているため、間違われることもあるようです。うつ病や不眠症を疑うのであれば、いずれの病気かを自己判断するのではなく、専門医の適切な診断を受けることをおすすめします。
夜中に目が覚めるなどの睡眠トラブルの改善方法
前提として、病気が原因で夜中に目が覚めているのであれば、適切な治療を行う必要があります。前述した、うつ病や不眠症の症状に心当たりがある場合は、医療機関を受診するようにしてください。
それを踏まえたうえで、生活習慣が乱れることで夜中に目が覚めたり睡眠の質が低下したりしているのであれば、日常で取り組める対策もあります。
- 規則正しい食生活を心がける
- 適度な運動を取り入れる
- 寝る前にリラックスする
- 仮眠をとって日中の眠気を解消する
- 快適な就寝環境をつくる
- ストレスを発散させる
- 朝起きたら太陽の光を浴びる
それぞれについて以下で詳しく説明します。
規則正しい食生活を心がける
栄養バランスが偏っている、朝食を抜いているなど、乱れた食生活は睡眠の質に悪影響を及ぼす可能性があります。きちんと3食たべて、規則正しい食生活を心がけましょう。
朝食を食べると、ずれた体内時計を調節することができるうえに、日中を活き活きと過ごすためのエネルギーが蓄えられます。日中、活動的に過ごせれば、体が程よく疲労して夜にスムーズな入眠に繋がりやすくなるでしょう。
また、就寝直前に食事をとると、体が消化活動を優先させて寝つきが悪くなる可能性があるため、夕飯は就寝3時間前までには済ませることをおすすめします。
さらに、就寝前のカフェイン・アルコール摂取にも注意が必要です。
カフェインには覚醒作用や利尿作用があるため、興奮して寝つきづらくなったり、トイレのために何度も目が覚めて熟睡の妨げとなったりするリスクがあります。
少量のアルコールを飲むと眠気があらわれますが、時間が経って酔いが醒めると睡眠の質を低下させて、中途覚醒の原因になるとされているため、過度な摂取は望ましくありません。
これらの行動を避けて食生活を整えることで、睡眠の質を高めやすくなると期待できるため、ぜひ意識的に行動してみましょう。
適度な運動を取り入れる
夜中に目が覚めず、ぐっすりと熟睡するためには、日中に運動して適度に体を疲労させることも有効です。前述のとおり、日中に活動的に動いて疲労感が得られれば、自然な眠気が生じやすくなります。
また、人間は体温が上昇して下降するタイミングで眠気が促されるため、運動することで体温が上下することも質の高い睡眠をとるためのメリットだといえるでしょう。体温の上下によって眠気を促すためには、就寝3時間ほど前に運動するのがおすすめです。
ただし、就寝直前に激しい運動を行うと、体が興奮して寝つきが悪くなる可能性があります。就寝前に運動するなら、ウォーキングのような軽めの運動に留めてください。
運動習慣がある方には不眠が少ないとされており、特に毎日、継続的に運動に取り組むことが推奨されています。夜中に目が覚めることに悩んでいる方は、日常生活のなかに運動を取り入れてみましょう。
寝る前にリラックスする
スムーズに入眠するためには、自律神経のうち体を休ませるモードの「副交感神経」が優位になっている状態が理想的です。
日中は、活動モードの「交感神経」が優位な状態となっているため、夜に自然な形で両者の切り替えを行うためにも、体をリラックスさせることが大切だといえます。
リラックスするための方法にはさまざまありますが、一例として挙げられるのは以下の行動です。
- 読書
- 瞑想
- アロマを焚く
- ヒーリングミュージックを聴く
ほかにも、自分に合うリラックス方法を見つけて、ぜひ就寝前に取り入れてみましょう。
ただし、「アルコールを飲んだらリラックスできる」という方であっても、過度なアルコール摂取は前述の理由からおすすめできないため、ほかの方法を見つけるようにしてください。
仮眠をとって日中の眠気を解消する
夜中に目が覚めることが続くと、睡眠時間が不足して日中に眠気が生じやすくなると思います。日中に眠気があり、仕事や家事などに集中して取り組めない場合には、仮眠を上手に取り入れましょう。
ただし、あまり長すぎる時間寝たり、夕方や夜になってから仮眠をとったりすると、夜の睡眠に悪影響を及ぼす可能性があるため、仮眠の取り方には注意しなくてはなりません。
夜にはいつもの就寝時刻で正しく眠るためにも、仮眠の時間は15~30分程度に留めておき、仮眠をとるタイミングは15時頃までを目安にしましょう。
快適な就寝環境をつくる
睡眠の質を高めるためには、生活習慣を整えることと同様、快適に眠れる環境作りも大切です。
寝室における快適な温度・湿度は、夏場は25℃〜26℃、冬場で22℃〜23℃、湿度は通年50%〜60%が理想的とされています。ただし、使用している寝具や衣類によって感じ方は異なるため、エアコンなどを使いながら上手に温度・湿度を調節しましょう。
温度・湿度だけでなく、照明の明るさや音の静かさに気を配ることも重要です。蛍光灯が眩しくて眠れないなら間接照明を取り入れ、落ち着いた環境で眠るためにもテレビは消して就寝しましょう。
また、寝室の環境を整えるのと同時に、マットレスや枕といった寝具を見直すこともおすすめします。使っている寝具が体に合っていなければ、寝姿勢が崩れることで体に痛みが生じて、睡眠の質が低下してしまうかもしれません。
就寝中、上手に寝返りを打てれば、体にかかる圧力が分散されて快適な眠りに繋がることが期待できます。そのためにも、マットレスを選ぶ際には、適度な反発力があり、体圧分散性に優れているものを選びましょう。
寝返りの打ちやすさを考慮して枕を選ぶ際には、寝姿勢に応じた高さのものを選ぶ必要があります。
- 仰向け寝:背骨が緩やかなS字カーブを描く高さ
- 横向き寝:首から背中の骨が真っすぐになる高さ
仰向け寝をする際には、目線が真上からやや前を向いていれば、枕の高さが合っていると判断できます。横向き寝の場合は、目線が床と並行になっていれば理想的な高さです。
寝室の環境や寝具を「快適」だと感じるものにすれば、熟睡に繋がることが期待できるため、ぜひ意識してみてください。
ストレスを発散させる
適度なストレスは、日々の行動を活性化させるためにも必要なものだとされています。しかし、過度にストレスを受けてしまうと、自律神経が乱れて睡眠の質が低下する可能性があるため、注意しなくてはなりません。
自律神経を適切な状態に保ち、夜に「交感神経」と「副交感神経」の切り替えをスムーズに行うためにも、日々受けるストレスは解消させることを意識しましょう。
とはいえ、仕事や家庭、友人関係など、生きているとさまざまなトラブルが頻繁に発生します。これらのトラブルから受けるストレスを完全にゼロにするのは難しく、「ストレスを受けてはいけない」と考えることが、かえってストレスに繋がる可能性も否めません。
そのため、受けたストレスをきちんと解消させて、溜め込まないという意識が大切です。
ストレスを発散させる方法は、何でも構いません。ここでは一例を紹介するので、ストレス発散方法が思いつかない方は、ぜひ参考にしてください。
- スポーツで汗をかく
- 趣味に没頭する
- 旅行に出かけて気分転換する
- 友人とお喋りする
睡眠の質に悪影響を及ぼす、アルコールやカフェインの過剰摂取などは避けることを前提として、自分に合う方法でストレスを発散させましょう。
朝起きたら太陽の光を浴びる
朝から太陽光を浴びて、ずれた体内時計を調節しましょう。人間の体内時計の周期は約25時間なので、地球の周期とは約1時間のずれがあり、これを放置するとそのまま夜型の生活になってしまう可能性があります。
起床したらカーテンを開けて太陽光を浴びるのが理想ですが、時間に余裕がある場合には、外に散歩に出かけるのも良いでしょう。朝から散歩することには、太陽光を浴びながら運動できるという2つのメリットがあります。
また、太陽光を浴びて「セロトニン」という神経伝達物質を分泌させることも重要です。
セロトニンは、眠気を促す「メラトニン」という睡眠ホルモンの原料となるため、日中に多く分泌させておけば夜にスムーズな入眠に繋がることが期待できます。
まとめ
夜中に目が覚める場合、うつ病や不眠症といった病気が関係している可能性があります。
うつ病や不眠症は病気なので、自分なりの方法で治療に取り組むのはおすすめできません。ほかにも症状が出ている、日中の活動にも支障があるなどの場合には、医療機関を受診して適切な診断を受けましょう。
それと同時に、夜中に目が覚める状況を回避するためには、日常生活を見直して睡眠の質を高めることも大切です。
この記事で紹介した、睡眠の質を高める7つの方法を参考にして、食生活や運動習慣を見直してみましょう。
まずは朝からカーテンを開けて太陽光を浴びるなど、簡単なことからでも構いません。ぜひこれらの行動を継続して、睡眠の質を改善できるように心がけてみてください。